地球温暖化対策 日本共産党欧州調査団報告

写真 日本共産党の地球温暖化対策チーム(責任者・小池晃政策委員長)は2008年4月18日、欧州の温暖化対策の取り組みについて現地調査した党欧州温暖化対策調査団の報告会を国会内で開きました。環境団体や市民団体、労働組合のメンバー、科学者など約130人が参加しました。調査団長の笠井亮衆院議員が、スライドで写真やグラフを示しながら報告。真剣に取り組む欧州と比べ、「日本の政府や財界が立ち遅れているというより、むしろ顔の向きが逆になっていると痛感した」と語りました。


調査団報告(PDF) しんぶん赤旗から

報告集会 笠井亮団長の報告

 今回、地球温暖化対策をめぐる欧州の実情を調査するということで、ドイツ、イギリス、EU(欧州連合)本部と十日間回ってきました。

(1)調査の目的

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報告をする笠井亮団長=18日、衆院第二議員会館

 まず、今回の調査の目的です。

 今日、地球温暖化から人類の未来をいかに救うかが、世界でも日本でも焦眉(しょうび)の課題となっています。今年は、一九九七年の京都議定書で国際社会が決めた温室効果ガス削減目標達成のための第一約束期間(二〇〇八―一二年)の初年です。七月には洞爺湖サミット(主要国首脳会議)が予定されています。

 それだけに、京都議定書の議長国である日本は、京都議定書で約束した温暖化ガスの削減目標を達成するとともに、約束期間後のとりくみについて、地球環境を守る国際的責務を果たすことが強く求められています。

 こうした観点から、日本共産党としてぜひ政策提言を行う必要がある。私たちは、その作成に資するよう、ドイツ、イギリスおよびEU本部を訪れて、欧州における先進的なとりくみをつかむことをめざしました。

(2)主な訪問先、日程と概要

 いずれの懇談・調査でも、わが党が、ヨーロッパの先進的なとりくみをつかんで、それを参考にして、洞爺湖サミットに向けて日本政府に提言したいというとたいへん歓迎されました。内容上も、温暖化対策のあり方ではほぼ一致し、各国の基本的立場、とりくみ、今後の課題など、直接つかむことができました。

 また、各国の政府、産業界をはじめ関係者との新しい関係を築くことができ、さらに今後の情報・意見交換などのコンタクト(メールなど)を確認するなど、貴重な財産となりました。協力をいただいたすべての方々に、改めて感謝を申し上げる次第です。

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調査団の主な訪問日程


3月10日 ベルリン、独環境・自然保護・原子力安全省/独外務省

11日 独連邦議会/独経済技術省

13日 独南部バイエルン州ミュンヘン市郊外のザウアーラッハ市/ミュンヘンのバイエルン州政府農林省

14─15日 フライブルク

17日 ロンドン、英議会/英環境・食糧・農村地域省

18日 英産業連盟/欧州排出権取引所

19日 ブリュッセル、欧州委員会環境総局

 

 



(3)調査を通じて分かったこと――野心的目標で達成にとりくむ欧州。日本との違い

 今回の調査を通じて分かったことについて報告いたします。私たち調査団は、三カ国二十四カ所、二十九回の聞き取り、懇談、視察を通じて、地球温暖化にとりくむヨーロッパと日本の基本的姿勢の違い、日本の政府や財界が立ち遅れているというより、むしろ顔の向きが逆になっていることを、三つの点で、一同痛感させられました。

(1)地球の気候変動の重大性をどうみているか、緊迫感・切迫感の問題

 第一が、ヨーロッパでは、地球の気候変動の重大性を認識し、緊迫感・切迫感をもってとりくんでいるということです。

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ロンドン市内のCBI本部で、マシュー・ファローCBI環境課長(中央奥)と懇談する笠井衆院議員(その右)=3月18日(岡崎衆史撮影)

 今回の話し合いでは、どこでも、世界の科学者が協力して温暖化の被害や抑制策を検討したIPCC(気候変動に関する政府間パネル)報告、そして、イギリス政府の求めで経済学的観点から二〇〇六年にまとめられた「スターン・レビュー(報告)」の内容がドイツでも引用されるなど、どこでも科学的知見が真剣に語られ、とりくみの大前提になっていることがよく分かりました。

 「気候変動の経済学」と題する「スターン・レビュー」では、「気候変動は、経済学に対して今までにない類の挑戦を迫っている。それは、いまだかつて見られなかった、非常に深刻で広範囲におよぶ市場の失敗である」としています。

 今日の危機をつくりだした根源には、環境破壊をかえりみず利潤追求第一主義に走ってきた巨大資本の活動があった―そのことへの反省を改めて読み取りました。だから、そこに焦点を当てた対策こそ求められているのです。

 「本レビューで集められた知見を総合すると、ひとつの単純な結論にたどり着く。つまり、強固で早期な対策によりもたらされる便益は、対策を講じなかった場合の被害額を大きく上回る」「早期に効果的な対策を実施するほど、対策コストを低く抑えることができる」

 日本の政府や財界にぜひしっかり読ませたいですね。向こうではしっかり読んで、そういう立場にたっているから、懇談でも、「気候変動は否定し得ない現実であり、今後の気温上昇を産業革命時比で二度以内に抑えることが至上命令であり、そのために先進国が率先して温室効果ガスの大幅削減をする必要がある」という認識と共通の決意が口々に語られました。

 それでもまだ認識が足りない。四月十七日付のイギリスの新聞フィナンシャル・タイムズによりますと、この報告をとりまとめた世界銀行の元チーフ・エコノミストだったスターン卿が、「地球温暖化を過小評価していたことを認めた」と報じました。それほどの切迫感が広がっているのです。

 だからこそ、先進国が二〇五〇年、二〇二〇年に向けた「野心的な削減目標」を掲げ、それは必ずやりきらなければならない、一国ではなく欧州全体あるいは全世界が一致して挑戦しなければならない。科学的知見にもとづいた政治のリーダーシップのもとで、「偉大な模索と実験」が果敢にとりくまれている。

 「この課題は、やれるところまでやればいいという問題ではなく、必ずやりきらなければならない課題ですよね」と問いかけると、どこでも「その通り。そこが肝心なんだ」と返ってきました。

 この観点から、中長期の目標をきちんと設定しています。イギリスの場合ですが、英議会のチェイター下院議員は、「ガス削減を世界で初めて法的に義務化する気候変動法案の審議のなかで二〇五〇年までの削減目標を60%から80%に引き上げる方向が強まっている。26―32%の中期削減目標を掲げている」とのべていました。この法案は、私たちの訪問後の三月末、上院で原案を強化した修正案が通過し、下院に送られ、今夏までの成立をめざしています。

 ドイツも、二〇五〇年までに80%削減することをめざし、中期目標として、二〇二〇年までに40%削減するための総合的な法制化が、ことし五月をめどに進んでいます。

 欧州委員会では、環境総局のスリンゲンベルク課長によれば、「EUが二〇五〇年までに世界で半減、先進国で60―80%の削減をめざし、中期目標として二〇二〇年までに20%、他の先進国が同様の政策をとる場合は30%という削減の絶対目標を掲げている」として、国際交渉でリーダーシップの維持を図っている。「途上国が加わる温暖化防止体制を築くためにも先進国が責任を果たさねばならない」と強調していました。

 財界の基本的対応も、日本とまったく違うことを実感しました。英産業連盟(CBI)とは、日本共産党として初めての出会いでした。日本でいえば財界の総本山、日本経団連にあたるところですから、そのビルに足を踏み入れるということで緊張して行きました。

 対応したマシュー・ファロー課長に、CBIが出した「気候変動」というパンフレットの日本語版を示しながら、「たいへん興味深く読みました」というと、一気にほぐれて「注目してくれてうれしい」と話が弾み、調査団の成果への期待が寄せられました。

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EU環境総局の担当者(右側)と懇談する党調査団。左から3人目が笠井氏=3月19日、ブリュッセル(岡崎衆史撮影)

 懇談では、「ビジネスと進歩のための好機であり、経済成長と排出削減は両立できる」、「気候変動問題の解決には産業界の果たす役割が決定的だ」という話を聞きました。財界そのものの姿勢として「社会的責任から必ずやる」と、むしろ対策をたてる中心になっていると受け止めました。

 ドイツでも、産業界には、「うまくいくかどうか疑問がある」という声がある一方、「決められたことは必ずやる」と社会的責任を果たす姿勢を明確にしていました。

 政府の側も、中期目標実現のため、環境に配慮した産業づくりをすすめつつ、「短期ではなく長期的な利益を追求する考え方が社会に広がっている。十五年前から経済が成長しても温室効果ガス排出増加と結びつかない状況が起きている」、「産業界の自主的なとりくみに任せているだけでは不十分であり、政治主導の拘束力ある措置が不可欠だ」としていました。

 総じて欧州では、IPCC報告や「スターン報告」に依拠し、いまの体制のもとで地球環境の不可逆的な破壊を回避する最大限の努力を払おうとしています。EUの基本文書では「新しい産業革命」と位置づけている。

 ところが日本では、結果としてできなくても仕方がないというのが政府の立場で、日本経団連の反対で中期の削減目標もまだ決められないでいる。そんな目先の利益優先で、「あとは野となれ山となれ」という態度とは対照的であることを痛感しました。

(2)政府がきちんとルールつくり、削減目標達成の具体的手だてがとられているか

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欧州排出権取引所のバーレイ社長から取引状況の説明を受ける調査団=3月18日、ロンドン(岡崎衆史撮影)

 日本との違いの第二は、削減目標達成のために政府がルールをつくり、それを確保する具体的な手だてがとられているかどうかという問題です。国民一人ひとりの努力はもちろん大事ですが、全体の目標を達成するうえでは、電力、鉄鋼など大量排出元の大企業・財界がきちんとやることが一番のカギです。

 ヨーロッパの主要国では、政府が中長期の拘束力ある削減目標を明確に定め、それを達成するため、ルールをきちんとつくり、産業界との協定を結んで削減させるようにしていました。それが、絶対的目標を達成する手段として、環境税、排出量取引などとともに位置づけられ、実際に削減に成功しています。

■政府と産業界の協定

 政府と産業界の公的協定について、ドイツでは当初は産業界が反対し、自主規制方式を通していました。しかし環境保護団体などから強い批判の声が出され、二〇〇〇年に政府と十九の産業団体との間で協定が締結されました。業界ごとに取り決めがなされ、国際競争力を維持しながら、経済成長も可能にし、効率的にCO2を削減していくというものです。

 この協定でドイツ産業界は、二〇一二年までに21%削減するという自主目標をさらに上乗せし、原単位あたり35%削減するという目標を打ち出しています。独立研究機関が協定順守状況を監視し、違反企業にはエネルギー税制上の優遇撤廃など厳しい措置を課すことで、目標履行を図っていることがわかりました。

 イギリスの気候変動協定は、政府と五十以上の産業セクターごとに結ばれ、六千企業が参加しています。高い削減目標を持ち、削減効果の高い協定で「〇六年までに二十の部門で生産を増大させながらCO2排出を減らした」とのことでした。

 鉄鋼などエネルギー集約部門の協定参加企業には、気候変動税(環境税)の80%減税という優遇措置が実施されています。これに国民の理解が得られているのかは検討が必要だと感じました。

 日本の経団連の「自主行動計画」と違い、順守しなければ減税措置の取り消しなど厳しいペナルティーがある。イギリスでは、目標達成できない企業は排出量を買って差を埋めることになります。

 いまのところ、削減目標達成は間違いないとされ、いずれの国でも、ある企業、業界が達成できない場合は、経済界全体で協力して達成するだろうとみられています。

■環境税

 ドイツでエコ(環境)税制を導入したのは、温室効果ガスという「外部コスト」を内部化するためということでした。税収は〇五年度で百八十億ユーロ(二兆八千八百億円)です。税金の分だけ、雇用者、被雇用者の社会保険料を引き下げたので、産業側と国民の負担は変わりませんでした。

 税収の10%は、交通の改善、コジェネ(電気・熱併給システム)など環境対策に使用され、連邦政府収入が上がっています。エコ税制改革によって、CO2削減、エネルギー使用削減に2―3%分の効果があったほか、社会保険料の負担軽減に伴って二〇〇三年までに二十五万人の新規雇用があったとしていました。

 またこれによって化石燃料の消費が、ドイツ連邦共和国成立以来、初めて減り、公共交通の利用者も共和国史上初めて増え、環境・自然保護・原子力安全省当局は、「効果は全体として肯定的」と評価していました。

 イギリスでは二〇〇一年に気候変動税が導入され、エネルギーの支払いに10%上乗せするものになりました。この合意は二〇一三年までのものですが、政府はこれを一七年まで延長することを決めたということでした。

■排出量取引

 どこでも議論の真っ最中だったのが排出量取引でした。これは、政府が企業ごとに温室効果ガスの排出枠を定め、その枠を超えて排出した企業が、排出枠よりも少ない企業から余った枠を買い取ることで埋め合わせようという仕組みです。

 欧州全体を対象にしたEU排出量取引制度(EU―ETS)は、発電所、石油精製、製鉄、石油化学などを対象に、約一万一千五百施設、EU内のCO2の49%をカバーしています。EUは二〇年に20%削減を目標に掲げ、半分は排出量取引でまかない、政府の収益の20%を再生可能エネルギーの活用・改善などに使用するとしています。

 欧州委員会環境総局で、「炭素に価格をつけることで意識を変える意味がある」といっていたのが印象に残りました。

(3)「持続可能な発展戦略」のもとに温暖化対策を通じて社会のあり方を問い、再生可能エネルギーを活用しているかどうか

 日本との違いの第三は、温暖化対策を通じて社会のあり方を変える取り組みになっているか、再生可能エネルギーの本格的活用に踏み出しているかどうかです。

 EUでは、「持続可能な発展戦略」がすえられ、その最上位に気候変動対策がおかれています。二〇〇六年に採択された新戦略の中核は、「現在の持続不可能な消費と生産のパターンを、だんだんに変革していく」という新しい社会像をめざす取り組みです。

 私たちは、あちこちで、「社会のあり方を変える」という視点ではどうかと聞きました。ドイツ連邦議会の環境・自然保護・原子力安全委員会副委員長で左翼党のエバ・ブリングシュレーター議員は、「利潤第一の考え方では温暖化はとめられない。社会システムの根本的変革が必要だ」と答えました。

 フライブルク在住の環境問題研究家の今泉みね子さんからは、「ドイツの取り組みを見てきて、いろんな対策をとることは必要だが、結局のところ、もうけ本位の社会システムそのものを変えないと根本的には変わらないと感じている」という回答がありました。

■再生可能エネルギー

 「持続可能な発展戦略」にとって、温室効果ガス削減の上でも自然エネルギー(再生可能エネルギー)の活用が重視されています。

 ドイツでは、原発政策をやめ、風力・太陽光・バイオマスなどの活用に力をいれています。再生可能エネルギーは、すでに12%を占め、二十一万四千人の雇用の確保と年間一億トンのCO2削減効果、年間二百三十億ユーロ(約三兆七千億円)の売り上げです。

 バイエルン州では、一九九〇―二〇〇七年までに一億八千万ユーロ(約二百九十億円)を研究や木質バイオマス暖房補助に拠出し、現在は州内のバイオガス施設が千三百五十カ所にのぼるということでした。バイオ燃料や木材チップなどの活用で、「三十年来衰退してきた農林業に希望が持てるようになった」と熱く語っていました。

■原発政策の位置づけ

 エネルギー政策上の原発の位置づけについて、ドイツでは、社民政権以来掲げてきた脱原発の方針は、社民党・キリスト教民主党の大連立のもとでは、そのまま維持することになっています。

 日本では「イギリスが原発推進に政策を転換した」とよくいわれますが、昨年のイギリスのエネルギー白書によれば、将来のエネルギー源別供給では、原発からの供給が今より増えないことを示しています。

■交通政策・エネルギー消費を減らす街づくり

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ロンドンの混雑税適用地域入り口の標識を示す笠井議員(岡崎衆史撮影)

 環境にやさしい町、「環境首都」として知られるフライブルクの交通政策は教訓的でした。古い町でも路面電車を復活させ、市民合意で公共交通網を整備していて、路面電車・地域交通(列車)、バスを正確に接続させているので、待たずにすぐ乗り継げることを実体験しました。

 「国家自転車計画」を持つドイツで、同市でも、ゆとりある自転車道・駐輪場が整備されています。自動車や自転車のシェアリング(共有)、フランス軍基地があった新興住宅街=ボーバン地区(四千七百人が居住)の「カーフリー」(車のない街)・駐車場整備・エコ住宅の取り組みで、「子どもたちが安心して住居の外で遊べる持続可能な街づくりで、生活の質が向上した」という話も印象深いものでした。

 人口が年1%増加する同市では、新しい住宅団地は路面電車の路線を整備してからつくるといいます。中心部に来る人は、徒歩23%、自転車27%、公共輸送18%、自動車32%で、自動車利用が非常に抑制されていました。

 ロンドンの「混雑料金(混雑税)」制による自動車規制は対象面積が三十八平方キロで、千代田、中央、港区の都心三区の面積にほぼ匹敵します。幹線道路は除外されており、そこでは依然混雑はありますが、全体的には、自動車乗り入れ規制の対策としてバス・自転車専用レーンが拡充され、地下鉄も新車が大量に導入され運転間隔も短縮されているようです。

■軍事と温室効果ガスの排出

 軍事とのかかわりは、EUの回答文書によれば、現在の排出量計算ルールに従えば、国内での活動や、第三国における基地内での活動(すなわち平和時の活動)で軍隊が排出するガスは、各国の温室効果ガスに含まれているそうです。

 国際航空と海上交通は京都議定書のもとでは排出制限の対象とされていませんが、これらの分野の排出が対象となる場合には、軍事活動に起因するこれらの分野での排出も含まれるべきか、議論する必要が出てきます。

(4)二〇一三年以降をめぐる国際交渉のなか、日本政府に寄せられる期待と注文、いらだちを受け止めて

 欧州諸国は、京都議定書の第一約束期間(〇八―一二年)後に向けて、国際的にも積極的なイニシアチブを発揮しようとしています。それだけに、本来、日本が果たすべき役割と責任への期待が大きく、あちこちで、“日本政府は中期削減目標をバリでもダボスでも言わない。どうなっているのか”という思いから、私たち調査団に、「日本はどうするつもりか」と逆質問が寄せられました。

 ドイツの環境・自然保護・原子力安全省からは、「G8議長国として、日本の役割が大きい。京都議定書内での最低限の努力を期待したい」との声があがりました。

 イギリス環境・食糧・農村地域省も、「イギリスの経験は、公的協定など温暖化防止の国内対策が実行可能なことを示している」と、日本などに同様の取り組みへの希望が述べられました。

 欧州委員会環境総局からは、「とりわけ日本が、拘束力ある排出削減の枠組み導入、温室効果ガスの25―40%削減をめざす中期目標の設定、排出量取引市場への参加を進め、指導性を発揮してほしい」と言われました。

 ヨーロッパでも、こういう日本政府へのいら立ちがあるからこそ、今回の私たちの訪問を通じて、「日本には異なる意見がある」ことを知ってもらえたようです。欧州委員会環境総局からも、「あなたがたが出す政策提言を知らせてほしい。今後もコンタクトをとっていきたい」などの希望が寄せられました。これからも大いに意見・情報交換を通じて協力関係を進めていきたいと考えています。

(5)日本の地球温暖化対策に向けた提起

 最後に、今回の調査結果を、日本の地球温暖化対策にどう生かしていくかについて、調査団として議論していることを若干ご紹介して終わりたいと思います。

 一つは、政府が産業界との間で温室効果ガス削減のための公的協定を結ぶこと、二つめに、再生可能エネルギーの活用を大胆に増やす、特に自然エネルギー電力の固定買取制度の導入に踏み出すこと、三つめに、二酸化炭素の排出をコストに反映させる排出量取引制度、排出量に応じた環境税の導入など、排出削減を促す経済的措置をとること、四つめに、わが国でも中長期削減目標を明確に盛り込んだ日本版「気候変動法案」のような法制度をつくるべきことなどです。大いにご意見、ご提案を寄せていただきたいと思います。長時間ありがとうございました。

(「しんぶん赤旗」2008年4月19日〜21日付から)