日本共産党
2008年4月13日

日本の情勢、世界の流れと、綱領が響きあっている

志位和夫委員長の演説(大要)


 4月3日、大阪府立体育会館で開かれた演説会での志位和夫委員長の演説(大要)を紹介します。


写真

(写真)つめかけた聴衆を前に訴える志位委員長=3日、大阪市

 みなさん、こんばんは(「こんばんは」の声)。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫でございます(拍手)。こんなに広い会場いっぱいに、たくさんのみなさんが足をお運びくださいまして、まことにありがとうございます(拍手)

 今日は、「政治の熱い焦点と日本共産党の綱領」という主題で、日本共産党は政治をどう変えようとしているのか、どういう日本をめざしているのかについて、お話をさせていただきたいと思います。どうか最後までよろしくお願いいたします(拍手)

チベット問題――対話による平和的解決を

 まず、ホットなところから話を始めたいと思います。

 この間、チベット問題が起こり、多くのみなさんが、事態のなりゆきを心配されていると思います。私たちもこの問題を慎重に注視してきましたが、今日(四月三日)、私は、この問題について、中国の胡錦濤国家主席あてに書簡を送りました。その内容について、読み上げて紹介させていただきます。

 「チベット問題をめぐって、騒乱・暴動の拡大と、それへの制圧行動によって、犠牲者が拡大することを、憂慮しています。

 事態悪化のエスカレーションを防ぐために、わが党は、中国政府とダライ・ラマ側の代表との対話による平和的解決を求めるものです。

 そのさい、双方が認めている、チベットは中国の一部であるという立場で対話をはかることが、道理ある解決にとって重要であると考えます。

 だれであれ、オリンピックをこの問題に関連づけ、政治的に利用することは、『スポーツの祭典』であるオリンピックの精神とは相いれないものであり、賛成できないということが、わが党の立場であることも、お伝えするものです」。

 以上が書簡の全文ですが、私が胡錦濤主席に求めたのは、いま紹介したように、端的に申しますと、「対話による平和的解決」をはかるということであります(拍手)。私は、これはいま、世界の多くの国々、多くの人々が望んでいることだと思います。チベット問題について、わが党が、こういう基本的立場にたっているということを、まず最初に、ご報告しておきたいと思います。(拍手)

道路問題――特定財源・暫定税率の復活反対、「中期計画」は撤回せよ

 ホットな話では、いま一つ、この間、道路特定財源をめぐって、大きな動きがありました。三月三十一日に、ガソリン税などに上乗せされていた暫定税率が期限切れになり、四月一日から、ガソリンが値下げになりました。同時に、ガソリン税などを道路建設だけに使うことを定めた法律(道路整備財源特例法)も失効し、道路特定財源という、無駄な道路建設をすすめる「自動装置」の仕組みも期限切れになりました。このお金は、福祉や暮らしをふくめ、何にでも使える一般財源となりました。これは、国民のみなさんの世論と、国会論戦の重要な成果と言えると思います(拍手)

 これからが大切になってまいります。政府・与党は、期限切れとなった道路特定財源と暫定税率を復活させ、むこう十年も延長させるための法案(道路整備特別措置法案)を何が何でも通すと言っています。しかし、これはおかしな話なのです。福田首相は、先日、とうとう世論に押されて、「二〇〇九年度から道路特定財源をやめて、一般財源化する」と約束したではありませんか。そう言いながら道路特定財源を復活させ、十年間も延長する法案を通すというのは、誰がみても根本から矛盾しています。これを許さないことが、まず大切であります(拍手)

 もう一つ大切なことがあります。むこう十年間で五九兆円ものお金を道路につぎ込む「道路中期計画」という、「総額先にありき」という方式で、高速道路を際限なくつくりつづける計画を撤回させることです。「道路中期計画」の中心は、高速道路の建設であり、バブルの時期に策定された一万四千キロの「高規格幹線道路」です。さらに政府の高速道路計画には、七千キロ近い「地域高規格道路」もあり、その「候補路線」には、日本列島に六つもの海峡横断道路をつくる計画まで含まれています。すでに東京湾には「アクアライン」(東京湾横断道路)がかかっていますが、車がほとんど通らない“スカスカライン”で、毎年巨額の赤字を計上しています。ところが東京湾口にもう一本道路をかけるという。伊勢湾にも道路をかけるという。和歌山県と淡路島の間にも道路をかける。愛媛県と大分県の間にも道路をかける。関門海峡にももう一本道路をかける。海峡を見たら、橋がかけたくなる(笑い)。むしょうにトンネルが掘りたくなる(笑い)。これはゼネコン病というほかありません(笑い、拍手)。これはやめさせる必要があります。

 政府は、さかんに「生活道路の整備が必要だ」といいますね。ところが「道路中期計画」をみますと、「生活基幹道路」の計画として、こんなことが書いてあるんですよ。「医師不足から救急医療施設がここ五年間で約一割減少しており、救急医療施設へのアクセスを確保する幹線道路ネットワークの整備は急務」。これはまったくおかしな話ですね。いま、救急病院が不足して困っているのは事実ですが、それならば遠くの病院に患者さんを運ぶための道路をつくるのではなく、近くに病院をつくるべきではありませんか(「そうだ」の声、大きな拍手)

 福田首相は、このとんでもない「道路中期計画」を、「十年」から「五年」にするというものの、あくまで推進するという態度です。これでは無駄な道路建設が続くことになります。私は、首相に強く要求したい。「二〇〇九年度から一般財源にする」というのだったら、むこう十年間も特定財源と暫定税率を続ける法律は、廃案にすべきではないですか(拍手)。「道路中期計画」は、白紙撤回すべきです(拍手)。ムダな道路より病院を――この国民の声にこたえるべきであります(大きな拍手)

新しい政治を生み出す歴史的な変わり目――力つくし「政治の夜明け」を

 さて、日本共産党はどういう日本をめざしているのかという、今日の主題に話をすすめたいと思います。

 私たち共産党は、綱領という文書を持っておりまして、これを日常の活動の大方針としてたいへん大切にしております。私たちの綱領の立場というのは、一言で言えば、政治の軸足をアメリカと財界から、主権者である国民に転換するということです。憲法には、「主権在民」と書いてありますでしょう。しかし、日本の政治の実態は“主権財界”であり、“主権アメリカ”ではありませんか。そこを大本からなおして、憲法どおりに「国民が主人公」の国をつくろうというのが、日本共産党の綱領の立場であります(拍手)

 私が、お話したいのは、この綱領の立場が、日本の情勢と響き合ってきた。世界の動きとも響き合ってきた。こういう状況が生まれているということなのです。響き合いは、いろいろなところで感じるのですが、たとえば最近、『週刊朝日』が、巻頭の五ページをつかって日本共産党の特集をやりまして、表紙にも大きく出ています。「真面目でブレない主張が新しい 志位和夫の日本共産党宣言!」と書いてある。「真面目でブレない主張」だけでなく、それが「新しい」というあたりが(笑い)、面白い見出しのつけ方だと思います。こういう動きをみても、いま日本共産党への新しい期待や注目が広がっていることを感じます。

 私は、日本の政治はいま、新しい政治を生み出す大きな歴史的な変わり目にきていると思います。たとえて言いますと「夜明け前」のようなものだと思います。「夜明け前」というのは一番暗いけれど、つぎには明るい朝がやってくる。ただ違うのは、自然の夜明けは寝ている間にやってきますね。しかし、政治の夜明けは、目が覚めたらひとりでに夜明けになったというわけにはいきません。国民が声をあげないとやってこない。私たちとしては、頑張り抜いて選挙で勝利をつかまないとやってきません。今度の総選挙では、何としても頑張り抜いて、底力を出し切って、前進・躍進をかち取りたいと決意しています。(大きな拍手)

人間「使い捨て」の働かせ方は許せない――人間らしい労働のルールを

 まず暮らしと経済の問題から、お話ししたいと思います。

 日本は資本主義の国ですが、同じ資本主義の国でもヨーロッパの国々とはずいぶん違うのです。よく「ルールなき資本主義」の国と言われます。つまり、大企業の横暴勝手が野放しにされていて、国民の暮らしを守るルールがあまりに弱い。これまでわずかにあったルールも、「構造改革」という掛け声で壊されてきてしまっている。ここに日本の異常な特徴があります。

 そのいちばん深刻なあらわれが、貧困と格差の広がりです。深刻化する貧困の一番の根っ子にあるものは何でしょうか。いろいろな原因がありますが、私は、人間らしい労働、人間らしい雇用が壊されていることに、一番の根源があると思います。

 私は、二月の衆議院予算委員会で、派遣労働の問題をただしました。派遣労働が合法化され、規制緩和がどんどん進められるもとで、派遣労働者は三二一万人まで広がりました。その七割以上は登録型派遣と言いまして、派遣会社に登録し、仕事があるときだけ雇用されるという、たいへん不安定な働き方をさせられています。

究極の不安定雇用――「日雇い派遣」は禁止し、安定した雇用に

 なかでも、究極の不安定雇用が「日雇い派遣」といわれている働かせ方です。これは、派遣会社に登録すると、携帯電話にメールで集合場所と仕事の内容が入ってきます。一日かぎりの契約です。次の日の仕事があるかどうかは、まったくわからない。お話をうかがいますと、必死に働いても月収一三〜一五万円というたいへんな低賃金です。それから毎日働く場所が違うわけですから、慣れない仕事で労働災害が多発し、大ケガをするなどの事故が後を絶ちません。

 私が、若いみなさんにお話をうかがって、何よりひどいと思ったのは、この働かせ方が、生きている人間を消耗品のように、モノのように「使い捨て」にする。「使い切り」にする。究極の非人間的雇用だということです。私は、国会でいくつかの現場からの告発の声を紹介して、福田首相の姿勢をただしました。

 たとえばこういう訴えです。「直接雇用の場合は、たとえアルバイトでも明日も来てもらうから、ある程度長持ちするように使うが、日雇い派遣は明日来なくていいから、目いっぱいヘトヘトになるまで使う。人間として気遣われることもない」。

 こういう訴えもありました。「倉庫作業と言われて行ったら、冷凍倉庫だった。軍手しか持って行かなかったので、半日で両手とも凍傷になった。それでも日替わりで翌日には別の人が来るから改善がされない」。私は、凍傷になった若者の手を見せてもらいました。何日もたっていましたが、真っ赤な凍傷がなかなか治らず、いまだに痺れているとのことでした。とても胸が痛みます。

 いったい生きている人間を、まるで消耗品のように使い捨てにする労働が許されるでしょうか。私は、首相の見解をただしました。

 首相は、最初は、「労働者のニーズもあるんです」と答えました。しかし、もっぱら「日雇い派遣」で生活せざるを得ない人は、学校を出たけれど正社員になれない、リストラにあった、当座の生活費すらない、やむなく「日雇い派遣」をやらざるを得ないのです。生きる術が他になく、やむなくその仕事についている方を、「ニーズがある」とは普通呼ばないでしょう。

 そのことをさらに質していきますと、とうとう首相も、「日雇いというかたちというのは決して好ましいものではないと思っております」と、初めて答弁で認めました。しかし、そう言うのならば、「日雇い派遣」というひどい働かせ方は法律で禁止して、安定した雇用を保障するのが、政治の責任であります。(拍手)

日本のモノづくりを支える労働者のこの現状――これで日本の未来があるか

 もともと、労働基準法、職業安定法では、人貸し業は禁止なのです。中間搾取、ピンハネは禁止なのです。ですから派遣労働を解禁したさいに、政府も二つの条件をつけざるをえませんでした。

 第一は、派遣労働は、臨時的・一次的仕事に限定し、常用雇用の代替にしてはならないということです。つまり正社員を派遣に置き換えてはいけないということです。

 第二は、派遣労働は、原則一年、最大三年までという期間制限を設けたことです。この期間をこえたら、受け入れ企業は直接雇用の申し出をしなければならないということであります。

 私が、質疑のなかで、「この二つの条件はいまでも変わりませんね」と質しますと、首相は、「変わりません」と答えざるをえませんでした。ところが現実はどうなっているか。とてもこの条件が守られているとはいえません。

 たとえばキヤノンという会社では、正社員から派遣への置き換えを、この間、大規模に進めてきました。私たちは、いくつかの工場を調べてみましたが、驚くべき現状が明らかになってきました。大分県にあるキヤノンマテリアルという企業では、二八八〇人の労働者の半数が派遣労働者です。滋賀県・長浜キヤノンの工場では、約三千人の労働者の半分以上が派遣労働者だといわれています。

 長浜キヤノンの工場で働く二人の派遣労働者から、実態を直接お聞きしました。パソコンの部品のトナーカートリッジを作る製造ラインで働いているとのことですが、この製造ラインでは、十九人が働いている。五人が交代要員として配置されている。なんと、あわせて二四人の全員が派遣労働者だというのです。こうなってくると工場全体が「派遣工場」ではないかということになってくるわけです。

 労働の実態もきわめて過酷です。「神経を集中して一日中立ちっぱなし。一工程を十一秒七でやれ、もっと短くと言われ、八時間で二二〇〇台の部品を仕上げている。まるでモノ扱い。給料は寮費などを引かれて、手元に残るのは十万円以下。健康保険にも年金にも入れない」。こういう実態を訴えられました。私は、国会で、「『世界のキヤノン』と言われる会社で働き、日本のモノづくりを支えている労働者が、こんな働き方をさせられている。健康保険にも入れない、年金も払えない。こんな働かせ方をさせておいて、日本の未来はあると思いますか。こういう状況をつくって、胸が痛みませんか。調査すべきではないですか」と、首相に質しました。

 この問題については、さすがに福田首相も、「実態がどうなっているか、確認させたい」と調査を約束しました。その後、滋賀県や静岡県のキヤノンの工場に、労働基準局が調査に入っています。ここは徹底的にきちんと調査をして、違法行為、脱法行為を洗いざらい明らかにしてもらおうではありませんか(「そうだ」の声、大きな拍手)

 さらに、キヤノン会長をつとめている御手洗さんという人は、日本経団連の会長でもあります。キヤノンは、「偽装請負」という違法行為で、これまで八回も摘発されているのです。このところイヤな世の中になりまして、“偽装”ばやりですよね。ただ、“偽装”が明らかになった会社は、みんな決まって記者会見をやりますでしょう。そこに会長や社長が出てきて、(おじぎの真似をして)……こうやりますでしょう(笑い)。謝罪するでしょう。しかしみなさん、御手洗さんが頭を下げた姿を見た方がいらっしゃいますか。(「ないぞ」の声、笑い)。私も見たことがない(笑い)。一度も謝ったことはないんです。謝るどころか、「法律の方が悪いから変えろ」などという勝手なことを言っている。ならば、国会に参考人として出てきていただいて、どういう考えで、どういう働かせ方をやっているのかを話してもらおうではないかと、私たちは提案しております(大きな拍手)

日本共産党の主張が、国会でも共感をもって受け止められ、響き合っている

 この質問は、私にとっても初めての経験がいろいろありました。私は、国会議員になって今年で一五年になりまして、予算委員会の質疑もずいぶんやってまいりましたが、私が予算委員会に立ちますと、左側に座っている自民党席からごうごうたるヤジが飛んでくることが多いのです。ひどいときには、ヤジ専門の部隊と入れ替わったこともある(笑い)。あまりにひどいヤジで、自分のしゃべっている声が、自分で聞き取れないこともたびたびです。そこで「静かにしなさい」などと言いながら話すでしょう。そうすると、どこまで話したか一瞬わからなくなったりして(笑い)、なかなか難儀なものなのです。ところが今度は、委員会中が、シーンと静まり返って、息を呑むようにして聞いている。それだけではありません。拍手がおこってくる。拍手が起こるというのは、この会場で起こるのは自然だと思いますけれども(笑い)、予算委員会で起こるというのは普通じゃないのです。といいますのは、衆議院の予算委員は五〇人、そのうち日本共産党の委員は一人なのです。その一人が、質問をやっているときは私というわけですから(笑い)、普通は拍手が委員席からおこることはないんですね。いったい誰が拍手をしているのかなと思って後ろを見ると、自民党の人なども拍手している(笑い)。拍手だけでなく、「いい質問だ」とか、「その通り」とか、掛け声までかける。私が、キヤノンの話をしだしたら、「御手洗さんを呼べ」という声までかかる(笑い)。私は、質問をしながら、国会の状況もずいぶん変わったなと思いました。

 実は、労働の規制緩和に反対を貫いてきた政党は、日本共産党だけであります(拍手)。派遣労働が、一九九九年に原則自由化されたさいに、反対したのも日本共産党だけであります。他のすべての政党は賛成しました。

 当時は、共産党だけの主張だったのですけれども、その主張がいまや、国会の中でも、多くの人たちに違和感なく受け止められつつある。さきほど綱領が情勢と響きあっているという話をしましたが、国会の中でも響き合っているというのが、いまの状況だということをご報告したいと思います(拍手)

潮目が変わった――大企業が派遣労働解消の方向に動き出す

 全国の労働者のみなさんのたたかい、私たちの論戦、この力があわさって、財界も変化してまいりました。

 まず慌てたのはキヤノンです。幹部社員に対して、「インターネットで志位質問を必ずみるように」という、指示が出されたようです。それからこれは、長浜キヤノン工場で急遽まき始めたビラです。「キヤノン正社員大募集」(爆笑)。こういうビラをまき始めました。大分の工場では、「大分キヤノンの直接雇用 期間社員大募集!!」、こういうビラを慌ててまき始めました。

 そしてキヤノンは、先日、製造現場での一万二千人に及ぶ派遣社員を年内に解消するという方針を明らかにしました(大きな拍手)。ただ、半数の六千人は直接雇用になるものの期間社員です。残りは業務請負にするとのことです。期間社員の中から正社員を採用し、正社員は今年中に千人増やすということです。ですから、たたかいはこれからが大切になります。ただ、変化が起こってきたことは事実です。

 いすゞ自動車では、派遣・請負をなくすという方針を発表し、八〇〇人の派遣社員を直接雇用に切り替え、八〇〇人の期間社員から正社員に登用する制度を導入することを明らかにしました。コマツも、七五〇人の派遣社員を、期間社員ではありますが直接雇用に変えることを明らかにしました。

 これらはどれも、問題が解決したわけではありません。期間社員も、請負も、不安定雇用であって、私たちは正社員化をめざすたたかいに、さらに力を入れて取り組む決意であります(拍手)

 同時に、キヤノン、いすゞ自動車、コマツなど、一連の大手製造業の大企業が、派遣労働解消の方向に舵を切らざるを得なくなったことは重要な変化と言っていいのではないでしょうか。(拍手)

 これまで財界は、「派遣を大いに増やす」、「派遣の期間制限は撤廃せよ」、「直接雇用の申し出義務はなくせ」、「派遣禁止業務をなくせ」、つまり派遣労働の全面・完全自由化を要求し続けてきました。それが派遣労働の解消の方向に転換を余儀なくされた。労働者と日本共産党のたたかいが、財界を動かし、潮目を変えたのであります(拍手)

 この前進の一歩を確信にして、労働者派遣法は“派遣労働者保護法”に抜本改正する、同じ労働には同じ待遇――均等待遇のルールを確立する、全国一律の最低賃金制をつくる、過労死を生み出す長時間労働を規制するなど、あらゆる分野で人間らしく働ける労働ルールをつくるために、力を合わせようではありませんか(大きな拍手)

憲法二五条の精神にたって、暮らしの安心を支える社会保障を

後期高齢者医療制度――人間の尊厳を否定する差別医療が許されるか

 さて、貧困と格差の広がりに追い打ちをかけているのが、社会保障の切り捨てです。とりわけ怒りが集中しているのが、この四月から実施が強行された後期高齢者医療制度であります。私は、衆議院の代表質問で、党本部に寄せられたある高齢者のつぎの声を読みあげて、首相の姿勢をただしました。

 「私たちは、焼け野原だった日本を必死で働いて復活させた世代です。『後期高齢者医療制度』を知ったとき、その私たちがいま、国から棄てられようとしていると思いました。悔しい」。

 こういう声でありますが、この制度に対する怒りの声は、負担増だけにとどまらないと思います。七五歳という年齢を重ねただけで、これまで加入していた国保や健保から強制的に追い出されて、別枠の制度に囲い込まれる。保険料は年金から天引きです。四月十五日には、まず二カ月分の天引きが現実のものになろうとしています。さらに保険料を払えない人からは情け容赦なく保険証を取り上げる。保険証の取り上げは社会的大問題になっていますが、それでもこれまでは、被爆者、障害者、高齢者からは、保険証を取り上げるなどという非道なことはやってはならないとなっていたのです。ところが、これからはここまでやるというのです。それから、診療報酬も別立てになって、保険の使える医療が制限されます。

 差別はあらゆる問題に及んできます。たとえば、七五歳以上の方は健康診断の実施義務から外すというのです。なんでこんなひどいことをするのかと、わが党の小池晃政策委員長が参議院予算委員会で追及しましたら、舛添厚生労働大臣は、「生活習慣の改善が困難なので、予防効果が健診でどこまであるか。それより残存能力をいかに維持するか(だ)」と答えた(どよめきの声)。後期高齢者は、「生活習慣」が改善されないから、健診をやっても予防効果がないというわけです(どよめきの声)。「残存能力」とは何という言い方か。病気は、早期発見、早期治療が大事なことは、何歳になったって変わりないことで、健診の実施義務から外すなどは、とんでもないことであります。(拍手)

 外来に行ったらどうなるのか。複数の医療機関を受診させないように主治医を一人に決めさせられる。そして保険から出る医療費は、定額制といいまして頭打ちにされる。これでは、たとえば糖尿病など慢性病の患者さんのなかで、検査が減らされるのではないかという不安が広がっています。

 入院したらどうなるのか。ここでもひどいことが起こります。「退院支援計画」というのを作って、入院された患者さんを退院させた病院には診療報酬を増やす(どよめきの声)。つまり病院からの追い出しを奨励しようとしています。

 いわゆる「終末期」といわれる医療はどうなるか。「在宅死」を選択させて退院させた病院には、これも「ご褒美」に診療報酬を増やして、末期の患者さんを病院から追い出すことを奨励しようとしています。どこで人生の最期の時を迎えるのかは、たいへんに大切な問題ですが、それは患者さんとご家族の意思で自由に選べるのがまともな社会ではないですか。(大きな拍手)

 さらに亡くなった場合にどうなるか。国保や健保などで加入者が死亡したときに払われる「葬祭費」が、七五歳以上では減らされようとしています。

 そうすると、健康診断、外来、入院、「終末期」、亡くなったときのことまで、どの場面でも七五歳以上のお年寄りは差別されることになる。長生きを“懲罰”しようという。こんな制度は本当に許しがたい(拍手)。あまりに後期高齢者医療制度は評判が悪いので、福田首相は、名前をかえて「長寿医療制度」にすると言うんですが、名前を変えて「偽装」しても差別医療の本質が変わるわけではない。これは“長寿懲罰医療制度”にほかなりません(拍手)。私たちは、人間としての尊厳を否定する差別医療は絶対に許すわけにはいきません。(大きな拍手)

ここにも人間を使い捨てにする思想が――撤回させるまで力をあわせよう

 私は、わけてもこの制度の最大の理不尽さは、人間を、七五歳という年齢で区切る根拠はどこにもないというところにあると思います(「そうだ」の声、拍手)。私の母は、今年八一歳ですが元気で暮らしています。「後期高齢者」と区分されたのをたいへん怒っておりまして、「私はまだ後期じゃない」(笑い)と言っていますが、ここが一番の怒りではないでしょうか。

 いったいどこに七五歳で区切る根拠があるのか。私が、代表質問で聞いたときには、首相は答弁ができませんでした。小池さんがさらに参院予算委員会で追及しましたら、舛添大臣がこう言いました。「後期高齢者は心身の特性がある。それに応じてきめ細かな医療をするためです」(どよめきの声)

 それでは、厚生労働省のいう「心身の特性」とはいったい何か。ここにもってまいりました。厚生労働省が出した「後期高齢者医療のあり方に関する基本的考え方」と題する文書ですが、「後期高齢者の心身の特性」について、三つの点をのべています。そのまま読み上げます。

 「(1)老化に伴う生理的機能の低下により、治療の長期化、複数疾患への罹患(特に慢性疾患)が見られる。

 (2)多くの高齢者に、症状の軽重は別にして、認知症の問題がみられる。

 (3)新制度の被保険者である後期高齢者は、この制度の中で、いずれ避けることができない死を迎える」(大きなどよめきの声)

 ここには、どうせ治療しても治らない、いずれ亡くなるとばかりに、医療費の節約のためとしてお年寄りを差別する思想がはっきり表れているじゃありませんか。先ほど、若者を使い捨てにして胸を痛めない政治がまかり通っていると言いましたけれど、ここには、人間を使い捨てにする思想が表れているではありませんか。(拍手)

 いま、高齢を迎えられた方というのは、辛い戦争を体験し、戦後の復興を支えてこられた方です。そういう方々に、『国から棄てられようとしている』と言わせるような政治には、決して未来はないと言わなければなりません(「そうだ」の声、大きな拍手)

 七五歳まで長生きされたら、みんなで長寿をお祝いし、医療費は無料にするというのが当たり前の政治だと思います(大きな拍手)。これは何も特別なことではない。かつてお年寄りの医療費無料化は、全国の革新自治体に広がり、一時は国の制度にもなったではありませんか。これがまっとうな政治なのです(拍手)。お年寄りを敬い、そのご苦労に報いる社会でこそ、若い方々も含めてすべての人々が人間として大切にされる社会となると、私は信じています(拍手)

 みなさん、この問題は、中途半端な見直しではすみません。実施が強行されましたが、たたかいはこれからです。この差別医療は撤回させるしかありません(拍手)。そのために力をあわせてがんばろうではありませんか(大きな拍手)

税金はまっさきに社会保障に――軍事費にメス、大企業に応分の負担を

 社会保障の充実を国民が求めると、すぐに政府は、「財源がたいへんだ」と言います。しかし、国民の生存権をうたった憲法二五条には何と書いてあるか。すべての国民が「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を有すること、そして「社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進」にたいする国の責務が明記されています。社会保障を良くするのは国の責任だと書いてある。社会保障は、国民の権利であって、国の予算の有無によって決められるのでなく、社会保障費は国の予算の主役でなくてはならない。みなさんからあずかった大切な税金は、まず社会保障に使う、残ったお金で他の仕事をしっかり優先順位をつけておこなうというのが、憲法の精神だということを私は訴えたいのであります。(拍手)

 そこをまっさきに削ってきたのが、「構造改革」の掛け声で進められたこの間の政治です。小泉内閣の「骨太の方針」以来、社会保障費の自然増を毎年二二〇〇億円削りつづけてきた。これが医療、年金、介護、障害者福祉、生活保護など、ありとあらゆる社会保障切捨ての「自転車操業」をもたらす元凶となっています。この抑制政策はきっぱり中止させなければなりません。(拍手)

 消費税などに頼らなくても、社会保障を支える財源をつくることはできます。

 年間五兆円にのぼる軍事費に、ばっさりメスを入れさせようではありませんか。一隻一四〇〇億円のイージス艦のような物騒な買い物はやめさせようではありませんか(拍手)。在日米軍への「思いやり」予算は、「米軍再編」費を含めたら、年間二五〇〇億円にもなっています。毎年、社会保障のお金を二二〇〇億円も削って、米軍に二五〇〇億円貢ぐ。これは「思いやる」先を一八〇度間違えているではありませんか(大きな拍手)。私たちは、きっぱりこの予算を中止することを求めます。(拍手)

 そして大企業に儲け相応の負担をさせることです。さきほど大企業が、酷い働かせ方で労働者を搾り上げていると言いました。そのもとで、大企業はバブルの時期を上回る空前の儲けをあげています。ところが、この十年間で、大企業には五兆円もの減税のばらまきをやりました。濡れ手に粟の大儲けをしている大資産家には、二兆円もの減税をばらまいた。あわせて七兆円の減税ばらまきです。大儲けをしている大企業や大金持ちには、儲け相応の税負担を求めるのが、税金の民主主義というものであります。(大きな拍手)

 こういう立場で安心できる社会保障の仕組みを作るために、日本共産党は力をつくすことをお約束するものです。(拍手)

食料と農業の危機――打開の道をさししめす『農業再生プラン』 

「カネさえあれば食料は外国から買える」という考えは通用しない

 いま一つ、「ルールなき資本主義」ということにかかわって、日本の食料と農業が深刻な危機に見舞われていることを言わなければなりません。日本には、雇用や社会保障のまともなルールがないだけではない。国民が生存する大前提である食料という問題でもまともなルールがなく、荒れ放題になっているのです。

 最近、『週刊エコノミスト』という雑誌が、「日本が飢え死にする」という大特集をやりました。すでに日本の食料自給率は三九%に落ち込み、六割以上を外国に頼っている。そのことがいかに危険かということを、この特集でも詳しく書いています。

 いま世界をみますと、地球温暖化による農業生産の不安定化や人口の増加に伴う食料の逼迫がおこっています。一連の国々では輸出規制を開始しています。一方、国境を越えて利益を漁る投機マネーが食料にまで及び、価格の高騰をまねいています。そういうもとで、「カネさえあれば食料は外国から買える」という考えは通用しなくなっている、こういう世界になっているということを、見なければいけないのではないでしょうか。「安心できる食料は、日本の大地から」――こういう立場で、食料自給率の引き上げに本腰をいれることが、政治の責任だと私たちは考えております。(拍手) 

価格保障・所得補償をおこない、歯止めのない輸入自由化にストップを

 この危機を打開することは、日本国民の存亡がかかった大問題です。日本共産党は先日、『農業再生プラン』を発表し、抜本的な建て直しの方策を提案しました。そこではいくつかの具体的な提言をのべていますが、つぎの大きな柱があります。

 第一は、農産物の価格保障を中心にしながら、所得保障を上乗せして、農家のみなさんが安心して農業に打ち込める再生産を保障するということです。

 いま、生産者米価の下落は、恐るべきところまで来ています。二〇〇六年産米の生産者米価は、一俵あたり平均一万四八二六円まで下がりました。米の生産価格は、農水省の計算で一俵あたり平均一万六八二四円です。つまり、生産価格を二千円も割ってしまっているのです。農家の一時間あたりの労働報酬は、時給に換算して二五六円にまで落ち込んでいる。労働者の最低賃金と比べても、時給で半分以下まで下がってしまっているのです。これでどうしてお米がつくれますか。ペットボトルというのがありますでしょう。五〇〇CCのペットボトルに、ミネラルウォーターを詰め込みますと、平均価格は一三七円だそうです。お米をぎっしり入れたらどうなるか。生産者価格のベースではわずか九一円です(どよめきの声)。しかし、ペットボトルいっぱいの米があったら、おいしいごはんが六杯は炊けるそうです。それが水より安いとは何ということか。どんな言い訳をしたとしても、お米を水より安くしてしまったというのは、亡国の大失政と言うしかありません。(大きな拍手)

 ですから日本共産党は、『農業再生プラン』の中で、生産者米価は、生産費から不足する部分は政府が払う――「不足払い」制度を創設して、農家の手取りを、当面生産費に見合う一俵一万七千円以上とする価格保障をおこなう。それに上乗せして、農業は食べる物を作っているだけでなくて環境や国土を守っていますから、そういうこともよく考慮して所得補償をおこなう。価格に換算して、一俵千円程度の上乗せをおこなう。こうしてあわせて、一俵一万八千円は保障しようではないか。そのくらいのことをしなければ、農家のみなさんは、安心して米作りはできません。ぜひそれを実現しようじゃないかと、いま日本中で訴えているところです。(大きな拍手)

 第二に、無制限な輸入自由化には、ストップをかけるということです。これをやらないと、いくら価格保障・所得補償をやっても、穴のあいたバケツに水を入れているようなもので、お金がいくらあっても足りません。

 いま世界では、「食料主権」という考え方が主流になっています。「食料主権」というのは、各国が食料を自給する、そのために各国は輸入規制や価格保障を自主的に決定する権利を持つという考え方です。これを当たり前の貿易ルールにしようということです。国連人権委員会が採択した特別報告には、この考え方が盛り込まれ、日本も賛成しました。それならば各国の「食料主権」を尊重するという立場で、WTO農業協定を見直して、歯止めない輸入自由化はストップをかけるべきであります。(拍手)

価格保障をおこない、輸入制限の防波堤をつくることは、欧米では当たり前

 『週刊エコノミスト』の特集を読みますと、いまのべた日本共産党の提言は、特別のことではなくて、欧米では当たり前のように行われていることです。

 まずアメリカでは、たとえば米について、政府が設定した目標価格が六〇キロ(一俵)で一万八千円だとして、国際価格水準の四千円で販売したとしますと、差額の一万四千円は政府から支払われています。日本共産党が提案している「不足払い制度」をアメリカではやっているのです。この手厚い支払いによって、国内消費を上回る生産が生じ、アメリカの自給率は一〇〇%を超え、輸出国になっているわけです。

 それから欧米では、牛乳や乳製品が日本の米に匹敵する最も基礎的な品目となっているそうです。一番大事な食料の要とされている。この要のところで、ヨーロッパでもアメリカでも、オーストラリアにはとても太刀打ちできないのです。輸入を制限する防波堤がなければ、オーストラリアからの輸入品がどっと入ってきて、自給率を維持することはできません。そこで、欧州連合(EU)や米国では、乳製品に対して高い関税を維持しています。輸入をできるだけ低い水準に抑え込んでいます。日本の平均関税率は十一・七%にまで下がってしまっていますが、EUは二〇%です。日本の約二倍の関税をかけているのです。こうして、どの国だって、食料・農業を守っている。自給に力を入れている。それが世界の当たり前の姿なのです。

 『週刊エコノミスト』の特集では、「日本の農産物市場が閉鎖的だという批判があるが、これは間違いである。むしろ、これほど開放度の高い国も少ない」とのべています。食料と農業を守るための措置を、しっかりとるのが当たり前だということです。ここでも「食料自給率の向上」「国の産業政策のなかで、農業を基幹的な生産部門として位置づける」と明記した綱領の立場と、響き合う主張が広がっているのは、たいへん印象的であります。(拍手)

「ルールなき資本主義」をただす経済民主主義の改革を

 日本共産党の綱領の立場を、雇用、社会保障、農業についてのべてきました。「ルールなき資本主義」をただして、国民の生活と権利を守る「ルールある経済社会」をつくろうというものであり、大企業に社会的責任を果たさせ、応分の社会的負担を担ってもらうというものです。

 端的に言えば、経済政策の軸足を、大企業から家計・国民に転換せよというのが、日本共産党の綱領の立場です。

 最近、日本経済新聞が、「一目均衡」という経済コラムで、「経済政策を『改革』する時」と題する論評を掲載しました。この論評では、この間の日本経済は成長したといわれるが、儲けているのは外需の恩恵を受ける大企業だ。それとは対照的に内需、個人消費が落ち込んでおり、このままでは立ち行かないと指摘し、最後をこう結んでいます。「改革論議の視点を変え、大企業から家計へ経済政策の軸足を移せ」(拍手)。これは日本共産党の主張と、表現まで一致する(笑い)ではありませんか。ここでも情勢と綱領との響き合いを感じます。どうか暮らしをよくする願いは、こぞって日本共産党に託してください。よろしくお願いします。(大きな拍手)

アメリカ言いなり、軍事優先政治をただす

 日本の政治の歪みという点では、アメリカ言いなり、軍事優先の政治もたださなければならない大問題です。この間、国民の安全を脅かす二つの事件が相次いで起こりました。問題の根本にある政治の歪みを考えてみたいと思います。

イージス艦事件――根深い軍事優先体質、米空母の「護衛」が任務

 二月十九日に、海上自衛隊のイージス艦が、漁船「清徳丸」に衝突、沈没させるという事件が起こりました。「清徳丸」は、私の地元の千葉県の勝浦市の川津漁港から漁に出ている漁船です。事件が起こった翌日、私は、現地にうかがい、被害にあわれたお二人のご親族、漁業組合の組合長さん、一緒に漁に出かけていた「金平丸」の船長さんとお会いし、お見舞いを申し上げるとともに、事情を詳しくうかがいました。そこで漁業関係者のみなさんから事件の真相をお聞きしました。

 漁業協同組合は記者会見をし、決定的な事実が発表され、防衛省・自衛隊の側に責任があることが、疑問の余地のない形で明らかにされてゆきました。漁業組合の組合長さんは、自民党員の方ですが、先日、勝浦市に近い、千葉県いすみ市でおこなった日本共産党の演説会に、「日本共産党にお礼をいいたい」ということでお見えになって、熱弁をふるってくださいました。(拍手)

 私は、現地にうかがって、お話を聞きながらあらためて感じたのは、自衛隊というのは骨の髄まで根深い軍事優先体質に染まっているということです。

 防衛省の最初の発表は、「漁船は二分前に発見した」とのことでした。しばらくしたら、「発見は一二分前だった」と変わりました。最近出た「中間報告」では、「三〇分以上前に発見していた」と、また変わりました。都合の悪い事実は、後から出てくるのです。海のルールでは、船の右舷に接近してくる船を見つけた場合、その船に回避義務が生じます。今回の場合は、イージス艦の側に回避義務がありました。そして「三〇分以上前」ならば、間違いなく回避できたことは疑いありません。イージス艦は大きな船ですが、最新鋭の戦闘艦で舵の効きはすごくよいそうです。三〇分前に見つけて、よけられないわけはありません。よける意思がなかったのです。見つけておきながら、衝突直前まで自動操舵のまま真っすぐ進んでいたのです。

 そして漁業関係者のみなさんにうかがうと、「日常がそうだった」と言う話です。漁船の側に回避する義務がなくても、ぶつけられて損するのは漁船ですから、軍艦をよけながら漁をしているのが実態だという話でした。「そこのけそこのけ、軍艦が通る」というのが海の実態なのです。国民の命を守るべき自衛隊の艦船が、海の無法者だというのは、私は絶対に許すわけにはいかないのであります。(大きな拍手)

 だいたいイージス艦というのはどんな軍艦か。どんな仕事をやっているのか。この船は、ハワイ沖でアメリカの先制攻撃戦略の一翼をになうミサイル発射訓練を行ったあと、意気揚々と引き上げる途中だった。そしてイージス艦というのは、アメリカの空母の護衛が本来の仕事なのです。日本国民を「護衛」することが仕事ではありません。そこから、米軍を守ることを優先し、国民の命を顧みない、根深い軍事優先の体質が生まれているということを、私は言わなければなりません。こんな船一隻に、国民の税金が一四〇〇億円も使われているのですよ。こんな物騒な買い物は、きっぱりやめさせようではありませんか。(大きな拍手)

 そして、東京湾の内側にある横須賀の港が、アメリカの空母の母港にされている。こんどは原子力空母が来るという。こんな現実を、いつまでも続けていていいでしょうか。私は、空母の母港は返上せよと強くいいたい。日本中のすべての港を、軍艦のない平和な港にすることを強く訴えたいと思います。(大きな拍手)

沖縄の暴行事件――どう猛な「殴り込み」部隊は米国に帰れ

 沖縄でも、二月十日に痛ましい事件が起こりました。米海兵隊員による女子中学生の暴行事件であります。被害にあった少女は、あまりの辛さに告訴を取り下げ、米兵は釈放になりましたが、起こった事実に変わりはありません。沖縄では、怒りが広がり、「被害者に代わり糾弾を」を合言葉にして県民大会が成功しました。

 そのとき政府はどうしていたのか。ただ米軍に「綱紀粛正、再発防止」を申し入れるだけであります。抗議ひとつしないのです。しかし、「綱紀粛正、再発防止」を何度申し入れようと、凶悪事件は繰り返されるじゃありませんか。

 なぜ繰り返されるのか。それは、海兵隊という部隊が、最もどう猛な「殴り込み」専門の部隊だからです。イラク戦争でも、アフガニスタン戦争でも、まっさきに切り込んで、女性や子どもやお年寄りを殺害してきた。そういう部隊が海兵隊です。

 私は、以前、沖縄にうかがったさいに、普天間基地をかかえる宜野湾市の伊波洋一市長にお会いし、伊波さんから海兵隊とはどんな部隊か、つぎのような話を聞いて、ぞっとする思いをしたことがあります。

 一九八〇年代のことですが、沖縄の海に、海兵隊が乗ったヘリコプターが墜落した。海兵隊員がたくさん死にました。その時、海兵隊の司令官は何と言ったか。「海兵隊はこうして強くなる」。こう言ったそうです。部下がたくさん死んでいる。ところが、お悔やみの言葉でなく、「海兵隊はこうして強くなる」といってはばからない。海兵隊は戦争で真先に切り込んでいく「殴り込み」部隊だ。だからヘリコプターだって、落ちることはある。落ちたら死ぬのも当たり前だ。それを乗り越えて強くなっていくのが海兵隊だ。伊波さんは、この言葉を聞いて、なんと人間の命を軽んじる部隊か。こういう部隊とは金輪際一緒にいることはできない。そのことを強く感じたと、私に話してくれました。

 こういう部隊相手に、いくら「綱紀粛正、再発防止」といっても、かなうはずがないではありませんか。本気で「再発防止」を言うのだったら、海兵隊はアメリカに帰ってもらうしか他に方法はないと、私は訴えたいのであります。(大きな拍手)

九条と響き合う流れが、ラテンアメリカでも、ユーラシア大陸でも

 みなさん。だいたい世界を見てください。外国の軍事基地を強化し、軍隊の海外派兵にばかり熱中し、憲法まで変えようとしている国が、日本のほかに見当たりますか。

 いまラテンアメリカでは、民主革命がつぎつぎに広がり、左翼政権がつくられています。ボリビアでも左翼政権が誕生したのですが、ボリビアから去年三月、新しくリーダーに選ばれたモラレス大統領が来日して、当時の安倍首相と会談しています。ボリビアでは、いま憲法改正の手続をすすめています。外務省のホームページをみましたら、モラレス大統領は、こう言ったというんです。「現在すすめている憲法改正において、戦争放棄を盛り込みたい」(拍手)。いったい、安倍首相が何と答えたか(笑い)。外務省のホームページには書いてありません(笑い)。困っちゃったのではないですかね(笑い)。「私の国ではいま憲法改定をすすめています。日本の憲法九条を模範にしています」と言われて、「いやいや、実は、その九条を捨てようとしているんです」とは、なかなか言えませんからね(笑い)。しかしそういう注目が世界から寄せられているのが、憲法九条だということを、みなさんに紹介したいと思います。(拍手)

 アジアを見ますと、東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々から始まった東南アジア友好協力条約(TAC)が、いまものすごい勢いで広がっています。この条約の最大の特徴は、「武力による威嚇、武力行使の禁止」、「紛争の平和的解決」など、日本国憲法第九条と同じ方向の恒久平和の精神です。

 この条約が、イラク戦争が起こった二〇〇三年以降、爆発的に広がり始めました。まずこの年に、ASEANの国々に加えて、中国とインドが加入します。次の年には、ロシア、パキスタン、韓国、そしてしぶしぶながら日本も加入しました。さらにどんどん広がり、いま数えてみたら、二四カ国、三七億人、世界人口の五七%が参加する巨大な平和共同体に発展しています。

 去年驚いたのはフランスが加入しているのです。ヨーロッパまで広がった。そして欧州連合(EU)としても、すでに加入申請を行っています。まもなく欧州連合も合流することでしょう。そうしたらこの広いユーラシア大陸をまるまるおおう流れになるじゃありませんか。日本国憲法第九条と同じ方向の平和の流れが、ユーラシア大陸をおおい、ラテンアメリカまで響いて、世界を一周している。これはなんとも素晴らしい希望ある動きと言えるのではないでしょうか。(拍手)

平和の願いは反戦平和を貫く日本共産党に

 世界はここまで変わっているのです。その時に、アメリカの軍事力だけを崇拝し、平和の流れが目に入らない外交を続けていていいのかが、いま問われています。

 日本共産党の綱領では、憲法九条を生かした平和外交に本格的に取り組む方針が述べられています。そしてアメリカいいなりの根本にある日米安保条約を廃棄し、本当の独立国と言える中立・平和の日本、米軍基地のない日本をつくろうと書いてあります。もちろんアメリカとの関係は、喧嘩するつもりはありません。安保条約に代えて、日米友好条約を結び、本当の対等・平等の関係での友好を築こうではないかと、綱領にはっきり明記している党であります。(拍手)

 どうか平和の願いも、党をつくって八六年、戦前の厳しい時代から、命がけで反戦平和を貫いてきた日本共産党にお寄せください。(大きな拍手)

自民・民主の「増税大連立」、「改憲大連立」に正面から立ちはだかる

 自民党政治の行き詰まりは、経済の問題でも、外交の問題でも、行き着くところまできたという感を強くします。

 ただ、ここまで行き詰まっても、それを悪い方向に打開する道が一つあるのです。それが自民党と民主党との「大連立」、あるいは「政界再編」という動きです。

 昨年秋に騒動があったでしょう。福田首相と民主党の小沢代表が密室で談合をし、連立政権をつくることをいったんは合意した。福田総理、小沢副総理でいこうと、ここまで決まっていたということです。この動きは、民主党側の条件が整わなくて、中断した格好になっていますが、いまだに「大連立」が間違っていたということは、双方から聞こえてきませんから、いつでも浮上する可能性をはらんでいるのです。

 私は、あの騒動のさい、「二大政党の正体が見えた」、自民と民主は対立しているような格好をしているけれども「同質・同類の政党」だと批判しましたが、これが本当の姿だということが、はっきり見えてしまいました。

 その後、民主党は、「対決戦術」に戻ったかのように見えます。しかし、「対決」の裏で、国政の二つの大問題で、自民・民主に危険な接点がある。両党がこの接点で手を結ぼうとしているということを、私たちはしっかり見る必要があると思います。

 一つは、消費税増税です。自民党と民主党は、去年一二月、税政調査会の答申を相次いで出しましたが、両方を拝見すると、共通して二〇〇九年度から、消費税の税率を引き上げる方向が明記してあります。消費税増税ばかりは、自民党も民主党も、一人でやるのは怖すぎる。国民の怒りが怖すぎる。しかしよく言うでしょう。「赤信号、みんなで渡ればこわくない」(笑い)。消費税増税も「『二大政党』でやれば怖くない」とばかり、合作ですすめよう。そうした動きが底流でつくられつつあります。

 いま一つは、憲法改定です。三月四日、自民、民主などの国会議員が一緒になって、「新憲法制定議員同盟」なる議員集団の新役員体制を決めました。自民党一六七人、民主党一四人、国民新党三人、公明党一人、その他も含めて一九一人の議員集団であります。会長は中曽根元首相です。自民党から伊吹幹事長、町村官房長官、安倍前首相などがずらりと並びました。民主党から鳩山幹事長、前原前代表、羽田元首相などがずらりと並びました。憲法審査会を立ち上げ、海外派兵の恒久法をつくり、憲法九条をとりはらった憲法改定案をつくろうというのがシナリオです。自民・民主両党の現職の幹事長が参加した議員集団がつくられている。まさに「改憲大連立」の動きが起こっているのであります。この「議員同盟」は、あからさまに「九条の会」を敵視し、この平和の流れに対抗して、改憲運動をおこなうと宣言しています。

 暮らしを壊す「増税大連立」、平和を壊す「改憲大連立」――「二大政党」の合作での間違った政治に、日本共産党は両手を広げて正面から立ちはだかり、暮らしと平和を守るために頑張り抜くことを、ここにお約束したいと思います。(大きな拍手)

世界の資本主義の矛盾の深まりと、社会主義・共産主義への注目

 今日は、いろいろな角度から、綱領と内外情勢の響き合いということについてお話をさせていただきました。

 響き合いという点では、私は、今年の一月一日付の「しんぶん赤旗」紙上で、経済同友会終身幹事の品川正治さんと対談する機会がありました。品川さんは一九二四年生まれ。戦争に一兵卒としてとられ、中国戦線で死線をさまよった方です。日本に戻る復員船の中でぼろぼろになった新聞が回覧されてきた。そこに、新憲法の草案が載っていたというのです。そこで初めて九条を読んだ。すると、なんと戦争を放棄すると書いてある。軍隊をもたないと書いてある。よくぞここまで書いてくれた。こう思って、泣きながら仲間と抱き合った。この話をしてくださいました。そうした平和への強い思いを原点としてやってこられた方です。

 その後、大きな会社の社長さんや会長さんをやってこられ、経済界の重鎮の方です。話し合ってみますと、憲法の問題はもちろん、外交でも、経済でも、ことごとく意見が一致してまいります。対談がはずんでなかなか終わりません。六時間に及びました。夕食を食べてもまだ終わらない。夜の十時ごろまで続きました。ずっと対談して最後に、品川さんがこう言い出しました。

 「資本主義のシステムは行き着くところまできている感じです。私なんかも日常使わない言葉ですが、『新しい社会主義』というのを考えざるを得ないんですね。しかもそれは日本共産党の言うようにソ連型でないものが」。

 経済界の重鎮として活動しておられる方から「社会主義」という言葉が出るとは思いませんでしたから、私は、大きな驚きであり、また嬉しい思いでした。対談では、貧困の問題、環境の問題、投機の問題など、さまざまな問題を話し合いましたが、これらの問題をよくよく考えると、やはり資本主義では根本的解決は難しいのではないかと、品川さんは考えられたのではないかと、私は感じました。

 今日のお話の冒頭で、『週刊朝日』の特集記事のことを紹介しましたが、これは面白い題名がついていまして、「日本共産党宣言 志位和夫委員長、資本主義を叱る」とあるのです。私のインタビューをまとめたものですが、編集部の質問は、“資本主義を問う”という角度からのもので、それをまとめたものなのです。

 インタビューのリードに、編集部はこう書いています。

 「円高、株安、原油高が進み、経済の先行きは不透明だ。一九世紀に、マルクスとエンゲルスは『共産党宣言』で『ヨーロッパに共産主義という妖怪が出る』と書いたが、今や国際的な投機マネーに引きずられた『超資本主義という妖怪』が世界を脅かしている。共産主義者の目に今の社会がどう映るのか」。

 これがリードなのです。「資本主義が世界を脅かしている」――“資本主義批判”という角度からインタビューをまとめた。“資本主義批判”となると、“共産党宣言”になるのは自然の成り行きです(笑い)。そういう特集をしても、違和感がないと言いますか、当たり前の情勢が展開している。そこまで世界と日本の資本主義の矛盾が深くなっているということなのだと思います。

 私たちの綱領では、一番終わりの部分で、「二一世紀の世界は、……資本主義を乗り越えて新しい社会をめざす流れが成長し発展することを、大きな時代的特徴としている」と述べていますが、そのことを予感させる動きが、いろいろな形であらわれていることは、胸躍ることであります。

 「共産党という名前がちょっと」とおっしゃる方もいるかも知れません。共産主義というのは、英語で言うと「コミュニズム」です。語源をたどるとラテン語で「コムニス」、直訳すると「共同」という意味です。人間と人間が角を突き合わせてケンカして暮らすのではなく、共同し連帯して幸福な世の中をつくろうというのが、そもそもの考え方なのです。コミュニティセンターとか、コミュニティホールとか、みんな語源が一緒です。だから、直訳したらコミュニティセンターというのは「共産センター」ということになるかもしれません(笑い、拍手)。身近にある言葉なのです。

 人間による人間の搾取もなく、抑圧もなく戦争もない、真に平等で自由な人間関係からなる共同社会。これが私たちのめざす社会主義・共産主義の社会です。日本共産党という名前は、この理想と結びついた、なかなかロマンチックな名前なのです。私たちは、日本共産党という名前を高く掲げて前進・躍進を勝ち取る決意ですので、どうかよろしくお願いします。(大きな拍手)

強く大きな党をつくり、総選挙で必ず前進・躍進を

 最後にみなさん。選挙で勝つには強く大きな党がどうしても必要です。私たちは、そのための取り組みに力を注いでいますが、私はここで呼びかけたい。今日、会場にいらっしゃる方で、まだ入党されていない方も多いと思います。ここで会ったのも何かのご縁と考えていただいて、これを機会に日本共産党に入ることをおすすめいたします。私も、大学一年のときからやってきて、ずっとやってきて感じるのは、いいところですよ、ここは(爆笑、拍手)。いまの社会では、人間関係がささくれだって、荒れているという面がありますでしょう。人間を人間として大切にしない政治がまかりとおっている。その社会にあって、日本共産党のモットーは、温かい人間関係、人間集団をつくっていく、そういう努力と一体に、平和と社会進歩のために力をつくすということです。どうか私たちと一緒に歩んでいただくことを、心から訴えたいと思います(拍手)

 そして今日は、ずいぶんいろいろな「響き合い」があると、『週刊朝日』、『週刊エコノミスト』、「日本経済新聞」などいろいろ紹介しましたけど、そうは言っても、いまのマスメディアは全体としては真実をなかなか伝えません。その中で「しんぶん赤旗」は、闇を照らす松明のような働きをしておりますから、どうか「しんぶん赤旗」を大きく広げるためにご協力をお願いいたします。(拍手)

 どんな風が吹いても勝利できる強く大きな党をつくって、つぎの総選挙では国民の期待にこたえて必ず立派な結果を出したい。どうかこの大阪、近畿ブロックから、大きな躍進の波をつくりだしていただきたい。私も、もてるすべての力をつくして、全国すべての比例ブロックで前進・躍進を勝ち取り、勝利を勝ち取るために、先頭にたって頑張りぬく決意を申し上げるものです。日本共産党への絶大なご支持をお願いして、私の話とさせていただきます。ありがとうございました。(長く続く拍手)


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