政府の多重債務者対策本部有識者会議は、全国の1830市区町村が、多重債務者への支援をどのように行っているかの調査結果を発表しました(07年3月26日)。自分の住む自治体で対策を進める上で何が必要かを考える際に参考になる資料です。
【個別市町村の調査結果】(PDF)
自治体のとりくみで最も多いのは「他の相談機関等への紹介」で94%の自治体が行っています。ただ、「他の相談機関等に自ら連絡する」という自治体は171(9.3%)にとどまり、「紹介した他の相談機関等への相談に同行する」と答えた自治体は12(0.7%)しかありませんでした。この背景には、「官から民へ」の名の下ですすめられている人員削減や労働強化によって、人手がないという事情もあります。
また、「解決方法(任意整理、特定調停、個人再生、破産等)を検討・助言する」と答えた自治体は393(21.5%)にとどまっています。利息制限法の上限金利を超える金利の貸付の残高を、利息制限法の上限金利水準で計算しなおす、いわゆる「引き直し計算」を行う旨のアドバイスをしている自治体は238(13.0%)でした。この点については、担当者からは、「法律的な専門知識が必要になるので市町村では対応できない」という意見が多く出されています。
他方で、ある自治体の担当者からは、多重債務に陥った人は、サラ金業者などに追い詰められた結果、「とても不安定な精神状態にいる場合が多く、本来の債務整理についてその必要性等を説明する前に、まずは相談者の話を丁寧に聞き、時には話の内容を整理しながら、自分の現状を把握できるまでの冷静さを取り戻させることが必要です。そしてそのためには、ある程度十分な時間と相談を受ける者にちょっとしたカウンセリング能力があれば、法的な専門知識などは全く必要ないと思います」という指摘もありました。
そのほかにも、「利息制限法で『引きなおし計算』できるプログラムを国民生活センターのホームページに掲載してほしい」、「簡単に貸し付ける業者について整理させ、借りやすい状況を法的にやめさせてほしい。自治体条例等作れないものか」、「市町村単位で対応すると、対応の差をついて業者側が都合の良いことを言い出す」、「消費者基本法第19条2項に基づき、国、都道 府県で必要な施策を構ずべき」など、多くの要望が出されています。
マスコミでは、総務省と金融庁が、多重債務相談をめぐって、「負担なすり合い」をしていると報じています。しかし、この問題は、お互いの役割を生かして連携することが決定的であり、「負担の押しつけ合い」では決してうまくいきません。
何よりも、多重債務の原因をつくったサラ金業者、サラ金業者と提携して大もうけしている大手金融グループなど、民間業界のとりくみを抜本的に強化することが必要です。同時に、豊富な経験と法律的知識をもつサラ金被害者団体やNPO、弁護士、司法書士、行政書士などの専門家とのヨコの連携が不可欠です。地方自治体に求められるのは、この連携の中で、住民に最も身近な存在として独自の役割を果たすことです。個々の自治体でやるより広域的な組織で対応する方が適当な場合は、都道府県や省庁の地方ブロック局等の役割も再検討されるべきです。
政府は、一方では民営化万能路線に立って自治体リストラを強行しながら、他方で自治体に多重債務対策を丸投げするようなことは許されません。国として、関係者の連携を推進するとともに、専門家の育成や財政措置などで独自の責任を果たすことが必要です。
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