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キャッシング・クレジット・ローン サラ金被害をなくそう

改正された貸金業法の主な内容

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新・貸金業法が成立しました。その内容と今後の課題です。

1.貸金業者の業務を適正に行わせるための規制が強化されます

 (1)貸金業者となるためのハードルが引き上げられます。

 →具体的には、貸金業者の純資産を現行の個人300万円・法人500万円から、施行後一年半以内に2000万円、上限金利引下げ時に5000万円に引き上げます。

 (2)テレビCM,駅前ビルの看板などの宣伝方法を規制するルールができます。

 →具体的には、貸金業協会に対して、07年度中をメドに、テレビCMや駅前ビルなどの広告の頻度や方法についての自主規制ルールを制定させ、金融庁が認可するという枠組みが導入されます。

 ただ、業界がつくる「自主規制」が甘いルールにならないように厳しい監視が必要です。

 (3)貸金業者が行ってはならない行為の拡大や説明義務を強化します。

 →具体的には、貸金業者が行ってはならない行為の拡大(夜間に加えて日中の執拗な取り立て行為などを禁止、借り手の自殺を対象とした生命保険契約の締結を禁止、公正証書作成にかかる委任状の所得を禁止、利息制限法の上限金利20%を超える貸付の契約についての公正証書の作成の嘱託を禁止など)。また、説明義務の強化(貸付にあたっての「トータルの元利負担額」などを書面で事前交付すること、連帯保証人に対して催告・検索の抗弁権がないことの説明など)が行われます。

2.貸し過ぎ・借り過ぎを防ぐ仕組みが強化されます

 (1)貸金業者に借り手の返済能力の調査を義務づけます

 →具体的には、自社からの借入残高は50万円超となる場合、他社を含めた総借入残高が100万円超となる場合は、年収などの資料の取得が貸金業者に義務付けられます。この年収などの調査の結果、総借入残高が年収の3分の1を超える貸付など、返済能力を超えた貸付が禁止されます。

 なお、この「年収の3分の1を超える貸付」について、新法には「売却可能な資産がある場合は除く」という例外規定があります。弁護士や被害者団体は、この例外規定が、「おまとめローン」などの略奪的貸付けに“お墨付き”を与えてしまう可能性を強く懸念していました。日本共産党の大門実紀史参議院議員は、2006年12月12日の参院財政金融委員会でこの点を追及し、「おまとめローンのように、担保とした住宅を売却することで返済させる貸し付けについては、例外とならず禁止される」(金融庁の三國谷勝範総務企画局長)という重要な答弁を引き出しました。法律の「穴」をふせぐ重要な答弁だとして、弁護士や被害者団体からも注目を集めています。

 また、クレジットによる買い物(割賦販売)や銀行の住宅ローンなどは、この総額規制の対象にならない点は大きな課題です。銀行ローンを抱えて生活に困り、サラ金やクレジットに手を出すのが多重債務に陥るパターンの1つだからです。今後、クレジットによる割賦販売なども総額規制の対象に加えていく必要があります。

 (2)貸金業者が借り手の総借入残高を把握できる仕組みを整備します

 →具体的には、借り手の借入や返済の情報を管理する能力があるなど、「一定の条件」をみたす信用情報機関を国が指定します。貸金業者は、この機関を使って、借り手の総借入残高を把握することになります。信用情報機関が備えるべき「一定の条件」とは、(1)全件リアルタイム登録、(2)「名寄せ処理、(3)適切な安全管理措置、(4)加盟業者に対する指導監督体制の整備、(5)一定の加盟業者数、貸付残高の確保などです。現在、4つの信用情報機関(*)がありますが、加盟している貸金業者は2割程度にとどまっています。

 この問題では、借り手の借入・返済情報といったきわめて重要な個人信用情報の漏洩などが懸念されています。いったんこうした情報がヤミ金などに流出したら取り返しのつかない損害が発生する恐れがあります。裕福な借り手を選んで過剰に貸し付けることを防止することも必要です。

 海外では、こうした信用情報機関について、民間が運営したり、公的団体が運営したりとさまざまですが、共通しているのはいずれも準国営に近い厳格な規制を受けている点です。日本でも、金融庁などの監督官庁がきちんと検査、監督し、必要な場合は立入検査を行うなどの公的関与が不可欠です。日弁連などは、そのためには、現行の個人情報保護法(基本法)だけでなく、個人信用情報だけを対象とする「特別法」を制定する必要があると提案しています。

3.上限金利が引き下げられます

 (1)貸金業法上の「みなし弁済制度」(いわゆるグレーゾーン金利)が廃止されます。

 (2)出資法の上限金利20%まで引き下げられ、これを超える場合は刑事罰が科せられます。

 (3)業として行う貸付の利息には、契約締結費用及び債務弁済費用も含まれることになります(ただし、公租公課・ATM手数料は除かれます)。貸付利息と借り手が保証業者に支払う保証料を合算して上限金利を超過した場合、超過部分について、原則として、保証料は無効となり、保証業者に刑事罰が科せられます。

 (4)日賦貸金業者、電話担保金融の特例が廃止されます。

 ★これら金利引下げ、特例廃止は、交付から約3年後に実施されます。しかし、この約3年の間に、グレーゾーン金利によって多数のサラ金被害者が生みだされる可能性があります。3年を待たず施行をできるだけ早めさせる必要があります。また、九州などを中心に高金利の“隠れ蓑”として横行しているヤミ金まがいの保証料・日掛け金融特例は、即時廃止するべきです。

新法の実施スケジュール

 罰則の引き上げ   →公布から1ヶ月

 取立て規制、説明義務の強化など →公布から1年以内

 信用情報機関の指定の開始など  →公布から1年半以内 

 みなし弁済廃止、グレーゾーン金利廃止、総量規制導入、純資産引き上げ(5千万円)、事前書面公布義務導入など  →施行から2年半以内(公布から約3年)

 ★この点で、新法が、施行から2年半以内に金利引下げをやらないことを含めて「見直し」を行うと規定している点は問題です。サラ金業界や族議員のねらう超高金利の復活など、絶対に許してはなりません。むしろ、見直しというのであれば、利息制限法の20%という高金利自体をさらに引き下げていく必要があります。

今後さらに必要な対策

柔軟で使いやすい貸付制度、セーフティーネットの拡充を

 生活保護の受給世帯数が100万世帯(05年度)を突破するなど、国民の生活苦はいっそう深刻さを増しています。多重債務に陥らないためのセーフティーネットとして、リストラや急病などで急な出費が必要や人や、事業資金などの資金繰りに困った中小業者の人たちに対して、生活設計などを含む金銭・生活設計カウンセリングを前提に、貸付が受けられる制度を充実させることが重要です。

 →具体的には、低所得者向け生活保護の充実、生活資金などの緊急小口資金融資制度の拡充、政府系金融機関や信用保証協会などによる低利融資の拡充などが求められます。この点で、07年、厚生労働省が、低所得世帯向けの緊急小口融資制度の上限を、現行の2倍の10万円に引き上げることを決めた点は重要です。融資対象は、年収200万円以下の世帯で、金利は年3%。申込から2,3日で融資します。こうした公的融資の質と量を抜本的に引き上げるべきです。同時に、何よりも、民間金融機関が、小規模業者に対しても、適正な金利での貸出を行うという当たり前の責任を果たすべきです。

 誰もが利用できる身近な相談窓口、借り手の生活再建を助ける制度の充実を

 5件以上のサラ金業者から借りている多重債務者が230万人を超えています。にもかかわらず、官民ともに相談窓口、相談体制が整備されておらず、多くの多重債務者が放置されたままです。

 サラ金被害の特徴は、借りる前の段階でも、借りた後の段階でも、借り手に正確な情報が与えられる機会がきわめて少ない点にあります。借金の問題を相談できる場所や組織が身の回りにないため、自分1人、家族だけが抱え込んで被害を深刻化する例があとを絶ちません。サラ金被害をなくすためには、正確な情報を得られる、身近な相談窓口の整備が急務です。

 関係するすべての団体(省庁、地方自治体、弁護士・司法書士など専門家、各カウンセリング機関など)が連携して、相談・カウンセリング体制の抜本的強化にとりくむ必要があります。なお、ウラでサラ金業界とつながり、多重債務者を食いものにするような相談活動を行っている悪質な「相談」窓口もありますし、相談する組織によって対応がマチマチになってしまうという問題も指摘されています。そこで、こうした問題を解消するために、借り手の債務状況、家計の状況等をふまえて、適切な相談を一元的に行う体制を早期に整備するべきです。

 また、すでに多重債務に陥ってしまった人を救済するには、自己破産制度や個人版民事再生制度、特定調整制度など、現在ある「債務整理」の仕組みをさらに使い勝手よくすることが重要です。具体的には、これらの制度を使う際の条件緩和、弁護士、裁判費用などの経済的負担軽減などを検討すべきです。さらに、「払いすぎ」分の返還については、現状では訴訟を行わなければならず、裁判という高いハードルがあります。そこで、「払いすぎ」分については、サラ金業者が率先して払い戻すことを促進すると同時に、裁判(訴訟)ではなく、債務者からの「請求」だけで返還が認められるような行政指導を行うべきです。

 さらに、借り手の生活再建のためには、単に借金がなくなればいいというわけではありません。多重債務に陥った要因の除去、生活スタイルの再建を含めた支援が必要だからです。

 アメリカでは、CCCS(Consumer Credit Counseling Service)という組織が、多重債務者に対してカウンセリングや「デット・マネージメント・プラン(DMP)」と呼ばれる生活再建プランをつくって支援を行っています。フランスには、各都道府県に一つ、「過剰債務審査委員会」(commission de surendettement)という組織がおかれ、借り手の生活再建のために「和解プラン」の作成(最低生活費の確保が条件)、家計管理指導、返済計画の作成、債権者への説得などを行っています。

 日本でも、長野県では、04年7月に「長野県多重債務問題研究会」をスタートさせました。県や市町村の担当者、弁護士会、司法書士会、貸金業界、教育委員会、マスコミなど18の団体が参加し、サラ金被害をめぐる生活相談や債務整理に協力しています。沖縄県の奄美市でも、市民生活係と弁護士が連携してサラ金被害の相談、解決に協力するやり方(奄美方式と呼ばれる)が生まれています。こうした内外の経験を参考にしながら、生活再建委員会や生活再建アドバイザー(仮称)の育成など、借り手の生活再建のための総合的な体制を整備することが求められています。

ヤミ金融の徹底した取り締まりを

 ヤミ金問題は、ヤミ金被害などの情報を受けた警察と司法当局がどこまで真剣に取り締まるかにかかっています。現在でも、警察に相談に行っても「借りたあなたが悪い」「忙しいから」などといって追い返される例が後をたちません。この点で、大門実紀史参院議員が、警察庁から「(借りた方が悪いなどの対応は)不十分な対応。調査させる」との答弁を引き出した点は重要です。今後とも、こうした警察と司法当局の対応を根本的に改めることが不可欠です。

 また、ヤミ金融が勧誘に使うのは多重債務者の「名簿」です。警察としては、こうした名簿の取締を抜本的に強化すべきです。さらに、携帯電話に対する規制を強化することも有効です。「ヤミ金融が顧客勧誘につかうのはレンタルした携帯電話。レンタル業者に、貸出先の本人確認を徹底させる条文を盛り込めば、違法行為があればすぐに本人を突き止めることができる」(溝呂木弁護士、『日経新聞』06年11月9日)との指摘もなされています。


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