以前、朝日新聞が武富士から5000万円の広告料収入をもらった事件がありました。朝日だけでなく、ほとんどのテレビ、新聞、雑誌に、サラ金業界のCM,宣伝があふれかえっています。日経広告研究所の「業種別の広告宣伝費上位10社(2004年度)」によると、サラ金大手4社の宣伝費だけで、500億円を超えています。銀行系のサラ金CMも加えると、もっと巨額のCM経費が使われていることになります。(参考)
しかし、サラ金CMははじめから大手を振って放送されていたわけではありません。当初、テレビ局は、サラ金CMの放送を自粛していました。それが、1986年にテレビ東京が解禁、2001年のTBSが放送したことで全面解禁となりました。全面解禁まで、およそ15年かかったのです。この時期は、サラ金が大手銀行との資本関係を強化し、経団連に加盟するなど財界にも入り込んだ時期と一致しています。
サラ金業界は、「サラ金」という言葉を嫌って、「キャッシング」や「ローン」などと呼ぶようにしています。実は、大手新聞で、「サラ金」という表現を使っているのは朝日と毎日だけです。しかも、毎日ではサラ金(消費者金融)と、括弧を付けています。「サラ金」という言葉を使った場合は、サラ金業界から新聞社にクレームがつくという異常な状況が横行しています。
元々、「サラ金」というのは、サラリーマンの社員証があれば無担保無保証で融資するという業態を示す言葉でした。サラ金業者の側でも、普通にこの用語を使ってきました。サラ金業界は、「サラ金」という言葉が持つマイナスイメージをとても嫌っていますが、これは今でも続いている違法な取り立てや強引な貸付などの自らの行動で招いた結果です。
今年3月15日の参院予算委員会で、大門議員の質問に対して、与謝野馨金融担当大臣(当時)は、「銀行がサラ金業者と一緒に広告を出していることは不愉快」と答弁しました。大臣自身が、「サラ金」という言葉を口にしてサラ金会社のテレビCMを「不愉快だ」と答弁したことによって、それまで、大量のコマーシャルを垂れ流していたサラ金業界は一転、コマーシャルの一部自粛に追い込まれました。 →詳しく
与謝野前大臣:「近ごろ不愉快なことは、やはりテレビコマーシャルにそういう高い金利で貸すサラ金業者の広告が堂々と載っていることと、かつては私は超一流銀行だと思っていた銀行がサラ金業者と一緒に広告を出しているというのは、私の気持ちとしては、最近不愉快のことの一つでございます」(参院予算委員会、06年3月15日、大門質問への答弁)
与謝野前大臣:「高利で貸す方というのはいつの世の中にも実は存在をし ていましたけれども、多分静かにひっそりとした存在だったと思うわけでして、三〇%近い金利でお金を貸す人が白昼堂々と広告を打つというのは私にとっては異常に思えるわけです」、「広告については、本当にテレビを見ていますとサラ金の広告があふれるほど出てくるということで、私は何を心配しているかといいますと、高利で借りて消費を行うということが当たり前のような社会的風潮になるというのは好ましいことではないと思っております」(参院行政監視委員会、06年5月29日)
与謝野前大臣:「これはあくまでも高利でございまして、二十数%の金利というのは異常な金利でございます。これが当たり前のことのように社会で通用するようになるということはやっぱり不健全であると思っておりまして、そういう意味ではテレビ会社が良識を持ってこれらのコマーシャルをどう取り扱うのかということはやっていただかなければならないと。要するに、言わばATM感覚でサラ金を使うというのは決して健全なことではないし、また個人個人の経済を破壊するということはやっぱり自覚をしなければならないことだと思っております」(同上)
日弁連などもCM中止を求めています。 →詳しく
サラ金会社は、借り手に生命保険(「消費者信用団体生命保険」)をかけ、借り手が死亡した場合の生命保険金がサラ金会社に渡る仕組みをつくっていました。金融庁の調査でも、サラ金大手5社が、05年度に受け取った死亡保険金は3万9732件にのぼり、死因が判明している件数(1万3621件)のうち、自殺(3476件)の占める割合が、平均で25.5%、多い会社では28.7%に達することが分かりました。四人に一人が自殺という恐ろしい事態です。また、サラ金17社では、死因判明件数のうち自殺の占める割合は平均で24%、多いところでは33.3%、三人に一人に達することも明らかになりました。さらに、サラ金がどの生命保険会社を主幹事にしているかも明らかになりました。三井生命が、サラ金2社プラス日本消費者金融協会加入の6社の計8社、明治安田生命がサラ金3社、AIGグループ(AIGエジソン生命、エイアイジー・スター生命)が3社、第一生命が2社、日本生命が1社と主幹事契約を結んでいました(表)。大手生保会社が、『命を担保』にしたあくどい商売でもうけていた実態が明らかになったのです。→金融庁のHP
国会での質問と世論の批判を受けて、金融庁は、こうしたサラ金と生命保険会社のやり方にメスを入れました。世論と結んだ日本共産党の質問が政治を動かした1つの例です。 →詳しく
[表]消費者信用団体生命保険契約の状況
(消費者金融業者)2006年3月末時点
| 団体名 | 主幹事保険会社 |
|---|---|
| アコム株式会社 | 明治安田生命 |
| アイフル株式会社 | 明治安田生命 |
| 株式会社武富士 | エイアイジー・スター生命 |
| プロミス株式会社 | 日本生命 |
| CFJ株式会社 | 明治安田生命 |
| GEコンシューマー・ファイナンス株式会社 | AIGエジソン生命 |
| 三洋信販株式会社 | 三井生命 |
| シンキ株式会社 | 第一生命 |
| 株式会社クレディア | 第一生命 |
| 丸和商事株式会社 | 三井生命 |
| 株式会社栄光 | AIGエジソン生命 |
日本消費者金融協会
| 三井生命 |
(出典:金融庁HP)
いまスポーツ界にサラ金が押し寄せています。競技場の看板から大会スポンサー、大相撲の懸賞金…。スポーツ中継でのテレビCM、スポーツ紙や一般紙のスポーツ面でも広告を見ない日はありません。スポーツ界に食い込もうとするサラ金業界の実態と狙いはどこにあるのでしょうか。
→連載:スポーツ界を侵食するサラ金
共産党、ファンとの共同でサラ金広告なくす
自民党には、サラ金業界の意向を反映して作られた「金融サービス制度を検討する会」がありますが、同会の甘利明代表(自民党政調会長代理)には、サラ金業界がつくる「全国貸金業政治連盟」から、30万円のパーティー券購入という形でカネが渡っています。同連盟は、同会事務局長を務める西川公也のパーティー券10万円分も購入しています。
さらに、同連盟は、公明党機関紙を約109万円分も購入し、民主党にもパーティー券代20万円を提供するなど、与野党を問わず政界工作を繰り広げている(『赤旗』06年9月8日)。
高金利引下げチームの調査で、サラ金業界が、自民党議員(閣僚5名を含む)に1949万ものカネを渡して政界工作をしていたことが新たに判明。これらカネをもらっていた議員が、業界よりの発言をしたことも判明しました。 →詳しく

「お財布感覚で出し入れ自由。いつでもどこでもあなたの強い味方です」―。三井住友銀行のATM(現金自動預払機)コーナーで手にしたサラ金の入会申込書。銀行内だけでなく全国のコンビニなどに設置されているATMでも契約できることを宣伝しています。サラ金と銀行との提携ATMは、全国で38万台にのぼります。
三井住友はアットローンに約50%、プロミスに20%出資し、緊密な棲み分け戦略をとっています。三菱UFJも、アコムに13%出資し、DCキャッシュワンには45%出資しています。住友信託も、事業者ローン会社のビジネクストに40%出資しています。サラ金は、こうした関係を利用し、1%台で調達した資金を20数%の高金利で貸し出し、ぼろ儲けしているのです。 →詳しく
政府の審議会の報告書はこう述べてサラ金を持ち上げています。「消費者金融や商工ローンは、これまで金融機関において必ずしも主流の資金仲介チャネルとして位置付けられてこなかったが、リスクを的確に評価し管理する仕組みを独自に構築して収益を上げる点は、今後の金融業の目指すべき姿勢であり、積極的に評価する意識の転換が必要である。」 →詳しく
与謝野前大臣:「まず、大手銀行が消費者金融と組んでいること、それは自由といえば自由ですけれども、私は見ていて大変こんなことでいいのかという思いがいつもいたします」(参院行政監視委員会、06年5月29日)
アメリカのニューヨーク州の場合、貸金業者になるためには、ニューヨーク州銀行局の免許が必要です。日本の登録制より規制が強いのです。
免許の申請に際して、申請者は、自社に関する財務諸表、会社組織基本文書、その他会社データの提出義務があります。また、会社の取締役会メンバー全員及び貸金業者の株式を10%超所有する者は、申請と同時に指紋の提出が義務付けられています(指紋の提出は、現在は住宅抵当ローン事業者に限られている)。さらに、申請者の金銭上の責任感、経験、性格及び一般的適性が融資業務を誠実、公正かつ効率的に行うに足り、申請者が申請時で5万ドル超の流動資産を営業のために所持していることを銀行局が認める必要があるなど、きびしい基準があります。このようにアメリカの貸金業者は非常に厳しいルールの下に置かれており、日本の貸金業登録制度と大きく異なっています。
イギリスでも貸金業は免許制になっています。さらに同国では、「統一消費者信用法制」が現在検討されている段階ですが、この中には、過剰融資が見つかった場合に免許取消しといった厳しい内容を検討しています。
【PDF】英国改正消費者信用法における「無責任な貸付」に関する規定について(金融庁)
フランスでも貸金業は免許制です。また、フランスには各都道府県に一つ、「過剰債務委員会」というものがあります。この委員会の事務局を担っているのはフランス銀行で、日本の日銀にあたります。このフランス銀行の職員が1,000人くらい配置されていて、負債を抱えた人は誰でもそこを利用できるようなシステムになっています。
ドイツでは、銀行しか貸金業を行えず、銀行は免許制です。また、ドイツには「債務者相談所」という組織があります。全ドイツで700カ所くらいあって、さらに「消費者センタ−」でも債務整理の援助を行っています。そして「消費者センタ−」と「債務者相談所」には、連邦と州から財政的支援が行われています。