日本共産党

 ときの政権の座にいる自民党議員がNHKの番組に放送前に介入し、改変させた事件が大きな政治問題に浮上しています。

 NHKの番組「戦争をどう裁くか(2)問われる戦時性暴力」(2001年1月30日放送)に、安倍晋三幹事長代理(当時・内閣官房副長官)、中川昭一経済産業相が事前に介入し、番組の内容が大きく変更されたと告発されています。

 いったいなにがおこり、なにが問題なのでしょうか。


番組はどう改ざんされたか

番組改ざんをめぐっては裁判で係争中
番組制作にかかわった元制作会社ディレクターの証言
番組出演者語る 長井証言に説得力感じる 

 放送日の前日、安倍官房副長官と面会したNHK幹部はスタジオへ取って返し、作り直しを指示。編集作業は深夜に及び、44分ものだったのが43分になって完成しました。さらに放送日当日の夕方、幹部から再度「カット」の指示が出て、編集は夜10時の放送まぎわまで続きました。放送されたのは40分のものでした。何が消され、何が加えられたのか。実際に放送された番組と、44分版の修正台本を比較し、番組改変のありさまを見ました。(「しんぶん赤旗」05年1月16日付

長井暁チーフ・プロデューサーが証言した改変内容

2001年1月29日

 (1)「女性国際戦犯法廷」が、日本軍による強姦や慰安婦制度が「人道に対する罪」を構成すると認定し、日本国と昭和天皇に責任があるとした部分を全面的にカットする。

 (2)スタジオの出演者であるカルフォルニア大学の米山リサ準教授の話を数カ所でカットする。

 (3)「女性国際戦犯法廷」に反対の立場をとる日本大学の秦郁彦教授のインタビューを大幅に追加する。

同30日(放送当日)

 (1)中国人被害者の紹介と証言。

 (2)東チモールの慰安所の紹介と、元慰安婦の証言。

 (3)自らが体験した慰安所や強姦についての元日本軍兵士の証言。


隠せない介入の事実――安倍氏の弁解を検証

 「圧力をかけていない」「公正・中立にといっただけ」――。自民党の安倍晋三幹事長代理が、NHKの「従軍慰安婦」番組改ざん問題で、あれこれ弁明しています。介入を明白に認めた当初の発言を変えるなど否定に躍起。しかし、この間の経過や安倍氏自身の発言をみても、圧力・介入の事実は隠しようがありません。

  • 具体的注文こそが圧力
  • 面会後に内容が改変されたのは事実
  • なぜ特定の番組を説明したのか

 くわしくは→

NHK番組介入問題の経過

 2000年12月8〜12日 「女性国際戦犯法廷」開催

 01年1月29日午後 NHK総合企画室の野島直樹担当局長と松尾武放送総局長が安倍、中川両氏を議員会館に訪ね番組への理解を求める。了解を得られず、番組を変更するので放送させてほしいと説明。(安倍氏「NHK幹部が予算の説明できた。NHK側が自主的に番組内容を説明」、中川氏「会ったのは2月2日」)

 同日午後6時すぎ 松尾総局長と野島担当局長、伊東律子番組制作局長が完成済みの番組を試写し、内容の変更を制作現場に指示

 同日深夜 制作現場が手直し作業し、44分の番組は43分に

 30日夕 松尾総局長が番組の改変を3点にわたり指示。番組は最終的に40分に短縮

 同日午後10時 番組放送

 (注)長井NHKチーフ・プロデューサー(当時番組デスク)の証言にもとづく。かっこ内は安倍、中川氏の主張

「朝日」が検証特集(05年1月19日付)


なにが問題か

放送法に反する介入、憲法に反する検閲

 憲法21条は、言論・表現・報道の自由を保障し、検閲を禁止しています。また放送法第3条は、放送内容についての外部からの介入を禁止しています。政権・与党の政治家が、テレビ番組の内容について、事前に放送中止や、内容の変更を求めるということは、憲法や放送法に反する民主主義破壊の行為です。

 こうした行為をおこなった政治家と、その圧力に屈して番組の改ざんをおこなったNHK関係者は、それぞれがその責任をきびしく問われなければなりません。

 安倍氏は当時内閣官房副長官、中川氏は現職の閣僚です。一政治家による放送内容への政治介入問題にとどまらず、政府の要職にあるものの政治介入として、小泉内閣の責任が問われる問題です。

「慰安婦」問題で歴史そのものの改ざんをねらう

 安倍氏は放送前日に、NHKの放送総局長に会い「意見」をいったことを認めつつ、番組が「ひどい内容」と攻撃してみずからの行為の正当化を図っています。「読売」「産経」の社説も制作現場や番組に矛先を向け、安倍氏の発言の後押しをしています。安倍氏やこれらのメディアが問題にしているのは、歴史の事実として従軍慰安婦問題をとりあげ、旧日本軍の関与や昭和天皇の戦争責任を明らかにすることそのものです。

 政府は1993年に発表した見解でも、従軍慰安婦問題での旧日本軍の関与を認め、国際的に「お詫(わ)びと反省の気持ち」を明らかにしています。それを否定するような番組の改ざんは、まさに歴史そのものを改ざんしようとするものです。「日本は過去の歴史の隠ぺいを中断し、今回の事件を自己反省のきっかけとすべきだ」(韓国・ソウル新聞1月13日付)、「日本で政治家が、慰安婦模擬裁判に関する報道でNHKに圧力」(マレーシア・華字紙星州日報14日付)など、アジア各国から批判の声があがるのは当然です。

NHKチーフプロデューサー会見要旨

志位委員長が会見
■写真憲法と放送法踏みにじった責任は重大

ムービー
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市田書記局長 会見■写真
NHK番組政治介入問題――引き続き重要問題として追及


小池政策委員長がテレビ朝日系番組で批判
安倍氏が事前に内容知り介入 


志位委員長、CS番組で主張
不当な政治介入があった事実は明白 真相と責任の解明もとめる

各界、世界から批判の声



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