日本共産党
SEISAKU
SOUGOU,KOSODATE

2009年 総選挙政策 《分野別政策》

3 子ども・子育て

一人ひとりの子どもが大切にされ、安心して子育てできる社会に

 子どもは未来の主人公であり、社会の希望です。国連・子どもの権利条約は、すべての子どもが差別されることなく、命と健康、文化、教育による全面的発達と意見表明、社会参加等が権利として保障されなければならないとし、そのための締約国の義務を定めています。ところが日本では、子どもや子育てに対する社会的なサポートが先進諸国のなかできわだって弱く、子育てがとりわけ困難になっています。自国が「子どもを生み育てやすい国」と思うかを聞いた国際調査(内閣府05年実施)では、「そう思う」がスウェーデン98%、アメリカ78%、フランス68%などに対し、日本では48%と半数以下です。

 また、自公政府の「構造改革」路線が、不安定な雇用と低賃金、長時間労働をひろげ、教育費、税金や社会保険料などの負担増、生活保護の母子加算廃止など社会保障切捨てをすすめてきたために、事態はいっそう深刻になりました。若い世代が結婚や出産をためらうことになり、少子化が改善されません。日本は、ILO156号条約(家族的責任を負う男女労働者の差別的扱い禁止に関する条約)を批准しており、政府には、女性も男性も家族的責任を果たしながら働ける条件を保障する責任があります。

 親の経済的困難が子どもたちに及ぼすしわ寄せも重大です。給食費が払えない、費用が出せず修学旅行にいけない、高校、大学を中退せざるをえないなど、貧困に苦しめられる子どもたちが増大しています。 

 これらは、自公政治が、子育てへの支援や福祉、保育、教育など、家族を支える政策を怠り、家族や親の「自己責任」にしてきたためです。家族政策や子どもの教育にかける予算をGDP比率でみると、日本は先進諸国の最低レベルです。政府は財政難を理由にしますが、お金がないのではありません。子どもと家族に冷たく、大企業を最優先する政治のあり方に問題があるのです。この政治をただして、家族と教育、福祉関係の予算を抜本的に増額し、人間らしい働き方とくらしの実現、子どもたちが大切にされ、だれもが安心して子育てできる社会をめざします。

1.男女ともに子育てできるゆとりある社会を

 子育てにとって、父母、家庭の役割は特別に重要です。安心して子どもを生み、育てるためには、ゆとりある働き方と、安定した経済的土台が不可欠です。労働時間や賃金、休日などで人間らしい働き方を確立するとともに、妊娠・出産、子育てに対して社会全体で支援をつよめます。

子育てしやすい人間らしい働き方、賃金・労働時間を保障します

 青年の2人に1人が非正規雇用であり、結婚、子育てに直面する年代である25歳から34歳の労働者のうち年収200万円に届かない人は300万人以上にのぼります。これでは結婚や子育てをするのは困難です。非正規労働者の労働条件の改善のために、最低賃金を時給1000円以上にひきあげて底上げするとともに、パートや派遣社員などへの差別禁止、均等待遇の原則を確立します。安定した雇用を保障することは企業の社会的責任です。明日の生活も見えないような不安定な働かせ方をしいる登録型派遣をきびしく規制するなど、派遣法を抜本的に改正し、正社員への登用・転換を図ります。

 多くの若い父親がもっと子育てにかかわりたいと願っているにもかかわらず、長時間過密労働のために、現実にはできません。30代の男性で週60時間以上働く人が4分の1にのぼります。子育てに対する母親の負担感、不安もきわめて大きくしています。サービス残業の根絶とともに、残業時間の上限規制で長時間労働を改善し、男性も女性も子育てにかかわるゆとりをとりもどします。子育て中の変則勤務、夜間・休日出勤、単身赴任などを制限します。

妊娠、出産にともなう解雇、退職勧奨を根絶します

 妊娠・出産をつうじて働き続ける女性はいまもごくわずかです。7割が第1子出産を前後して仕事をやめており、この比率は20年来、ほとんど改善されていません。厚労省の雇用均等室には、年間3710件(08年度)の妊娠・出産による解雇や嫌がらせ、退職勧奨にかかわる相談(うち女性労働者からは2079件)が寄せられています。育児休業の取得による解雇や不利益取り扱いなど、いわゆる「育休切り」の相談も1100件を超えています。違反企業への指導の徹底、罰則の強化などで妊娠・出産、育休取得などにともなう解雇・不利益取り扱いを根絶するとともに、女性労働者が妊娠・出産で昇給や昇進・昇格等が不利にならないようにします。

育児休業制度を改善し、男性の取得促進、所得保障の増額をはかります

 政府の調査では女性の育児休業取得率は9割近くに前進していますが、これは働き続けている人のなかの比率であり、それまでに仕事をやめた人を加えると3割に満たないとみられます。一方、男性の取得率は1%台です。

 安心して育児休業が取得できるように、休業中の所得保障を6割に増額します。中小企業への助成や代替要員の確保、男性の取得を促進する「パパクオータ制度」の導入などをはかります。派遣・パートなど有期雇用労働者の取得条件をひろげます。取得すると昇進・昇格にひびくことがないように改善をはかり、男女ともに取得しやすくします。子どもが病気のときの「子どもの看護休暇」を、学校行事への参加などにも使える「家族休暇」制度に拡充し日数を増やします。短時間勤務制度や残業免除制度など、子育てと仕事を両立できる制度を拡充します。

住宅、生活、出産費用への援助など若い世代への支援をつよめます 

とりわけ低賃金、不安定雇用のもとにおかれている若い世代にとって、結婚・出産にふみだすためには大きな経済的負担がかかります。公共住宅の建設や「借り上げ」公営住宅制度、家賃補助制度、生活資金貸与制度など、国や自治体による支援を特別につよめます。

2.保育所を増やし、子育てしながら働ける社会に

 この4月、保育所に申し込んでも入れない待機児童が、昨年比で東京都1・4倍、横浜市で1・8倍と急増しました。経済危機と「雇用破壊」のもとで、子どもを預けて働かなければ生活できない事態が子育て世帯にひろがったのです。雇用の責任を投げ捨てた財界・大企業と政府の責任は重大です。そして保育所不足の深刻な事態をつくりだしてきた原因もまた、認可保育所の建設を怠って、定員を超えた詰め込みや認可外の保育サービス活用などの安上がりの「待機児童対策」に頼ってきた、政府の保育政策にあります。

欧米諸国と比べても日本は、20代、30代の仕事をもつ女性の比率がとりわけ低く、依然として、年齢別労働力率のグラフがM字型カーブを描く現状が残されています。その要因は、長時間労働など子育てしながら働き続けられない職場の労働条件とともに、保育所不足にもあります。3歳未満の子どもが認可保育所を利用している割合は、フランス42%、スウェーデン44%に対し、日本は20%です。女性の社会進出を支える保育などの条件整備がまだまだ遅れているのは明らかです。

保育所は、親の就労、子どもの生活と成長を保障する場としてなくてはならない施設です。国・自治体の責任で、保育所の整備・拡充をすすめます。

当面の待機児童の解消を急ぎます

 当面ただちに対策が必要なのは、すでに入所を申し込んでいる待機児童の解消です。今すぐ保育を必要としている子どもたちにただちに保育を保障することは、国・自治体の責任です。公共施設の空きスペースや統廃合された保育所などの施設を使った臨時保育所の設置や、自治体の保育所建設計画の前倒し実施など、可能なあらゆる手だてをとり、来年4月を待たずに早急な対応をすすめます。緊急整備のための特別な計画と予算を確保します。

計画的に保育所整備をすすめ、女性の社会進出をささえる基盤をつくります

 保育を必要としているのは、申し込みをして入れなかった待機児童だけにとどまりません。都市部では現在でも、「保育所をつくればつくるほど待機児童が増える」という事態も生まれています。認可外施設やベビーホテルなどに預けられている潜在的な待機児童は数十万人といわれており、当面する待機児童対策にとどまらない抜本的な対応が求められています。さらに将来的に、就業を希望する女性がすべて子どもを入所できるようにするためには、政府の試算でも100万人分のあらたな保育所整備が必要です。詰め込みや認可外保育施設の活用などの小手先の安易なやり方では解決できません。国・自治体の責任で、中期、長期の「保育所整備計画」を作成し、計画的に認可保育所を建設します。

 保育所建設に対する国庫補助を増やし、公有地の貸与、土地取得費用への助成、一般財源化された公立保育所の運営費と建設費への国庫負担を復活させるなど、保育所建設が着実にすすむように国の財政支援をつよめます。

 遅れている保育所の耐震診断・耐震化を、期間を区切って一気にすすめる特別な予算と計画をもちます。老朽施設の改修・改築を計画的にすすめます。

保育条件を改善し、子どもの豊かな成長をはぐくみます

 公立保育所の運営費を一般財源化したことによって、自治体の保育施策が後退しています。自治体財政が厳しいもとで、6割の市区が保育所運営費を削減しました。公立保育所の民営化もすすみ、私立保育所の数が公立保育所の数を上回りました。民間保育所への自治体独自の助成も削減されています。こうしたもとで、保育士の非常勤化、賃金など労働条件の低下と長時間過密労働も深刻です。予算の削減や保育士の労働条件の悪化は、子どもたちの生活を支える保育の質の低下につながるものです。

 子どもの豊かな発達を支え、国民の多様な保育要求に応えるなど、保育所が果たしている役割にふさわしく、国の財政的支援を抜本的に増やし、公立、私立ともに安定して経営できる運営費を保障します。保育条件を切り下げる公立保育所の民営化・民間委託に反対します。保育士の労働条件の改善をすすめます。

 保育所に対する国の最低基準の緩和・撤廃を許さず、ヨーロッパなどと比べて貧弱な保育士の配置基準等を改善します。高すぎる国の保育料徴収基準を見直し、中・低所得家庭や、第2子以降の保育料を軽減します。延長・夜間・休日・一時・病後児保育等の拡充をすすめます。障害児保育、発達障害をもつ子への支援を充実します。

 国民の運動と日本共産党の国会議員団の活動などによって、一定の基準をみたした無認可保育所への消費税非課税措置が実現しました。一定の基準をみたした無認可保育所に対する国の助成制度をつくるとともに、希望する施設の認可の促進をはかります。

保育制度の改悪に反対し、公的保育制度を守り発展させます

 政府は、財界がつよく要求してきた直接契約制度の導入、保育所最低基準の緩和・撤廃などの保育制度改悪をすすめようとしています。国・自治体が保育の実施、公費負担、水準確保に責任をもってきたこれまでの仕組みをなくし、市場原理のもとで営利企業などに保育サービスを競わせようというものです。低所得世帯の子どもや障害児が入所できなくなる、保育士の非正規化や不安定な就労などによる保育の質の低下、保育料負担の増大などが懸念されています。国・自治体がきちんと保育に対する責任を果たしてこそ、安心して子どもを育てることができます。将来に禍根を残す保育制度改悪に反対し、ひろく国民、父母と力をあわせて、公的保育制度を守り発展させます。

学童保育の拡充をすすめます

 共働き家庭やひとり親家庭が増えるなかで、小学生の放課後の生活と安全を保障する学童保育の役割はいっそう大きくなっています。学童保育はまだまだ不足しており、希望する子どもが全員入所できるようにします。子どもたちに負担を強いる大規模化を解消し、新・増設をすすめます。「遊びと生活の場」にふさわしく、適正な規模、施設の広さや設備など、安心して生活できる設置・運営基準を定めます。指導員の半数は、年収150万円未満であり、非正規が多く、不安定で働き続けられない劣悪な条件におかれています。指導員の専任・常勤・複数配置と労働条件の改善、研修の充実をはかります。これらにふさわしく国の予算の抜本的な増額・拡充を図ります。「放課後子どもプラン」は、学童保育、放課後子ども教室をそれぞれ拡充します。

3.子育ての経済的負担の軽減、「子どもの貧困」の克服に力をつくします

 希望する数まで子どもを生めない理由のトップは、「子育てや教育にお金がかかりすぎる」(56・3%、内閣府調査)です。不安定雇用の増加、労働者世帯の収入減など国民生活が困難なもとで、親の貧困と格差が、そのまま子どもの貧困と格差につながっています。貧困が子どもの生活と成長に重大な影響を及ぼすのを放置することは許されません。社会全体で子育てを支え、経済的支援を抜本的につよめます。

子ども医療費の無料化へ国の制度をつくります

 子どもの医療費助成制度は何らかのかたちで全都道府県・市区町村でおこなわれています。「国の制度」としても、子どもの医療費を所得制限なしで、まず当面は小学校入学前まで無料化する制度を確立します。これによって都道府県市区町村ですすめている制度が上乗せ、底上げされるよう、各地でいっそうの拡充をはかります。

児童手当を増額、支給年齢をひきあげます

 フランスやドイツなどヨーロッパ諸国では、子育て世帯に非常に手厚い手当が給付されており、経済的な心配なしに子育てすることができます。

 将来的にそうした水準をめざしつつ、当面、第1子・第2子の児童手当を小学6年生まで月額1万円に増額するとともに、18歳までの支給年齢の引上げをめざします。その際、扶養控除、配偶者控除の廃止などのいわゆるサラリーマン増税との「抱き合わせ」での手当増額はおこないません。

保育所、幼稚園の保育料を軽減します

 「私立幼稚園の入園料、教育費、高すぎます」「保育料が高くて負担が大変」など、保育料の軽減を求める声は切実です。幼稚園に通う子どもの親に対する国の助成制度を拡充します。保育所の保育料は、保護者の収入に応じて定める制度を堅持します。各自治体が独自の努力で保育料の減免、負担軽減をすすめていますが、そもそも高すぎる国の保育料基準額を改善することが不可欠です。第2子以降の軽減措置も拡充し、保育料をひきさげます。一定の基準を満たした無認可保育所に通わせている家庭への保育料助成制度をつくります。

高校授業料無償化、大学学費負担の軽減、奨学金の拡充をすすめます

 先進国(OECD加盟30ヶ国)で、高校に授業料があるのは、日本を含めて4ヶ国(韓国、イタリア、ポルトガル)にすぎません。公立高校の授業料を無償化します。私立の初年度納付金は公立の6倍に達しており、負担軽減は急務です。入学金などを対象とする「授業料直接助成制度」を創設し、年収500万円未満の世帯は全額助成、800万円未満の世帯は半額助成とします。国立大学の授業料減免を広げ、私立大学の授業料負担を減らす「直接助成制度」を創設します。国の奨学金を以前のようにすべて無利子にするとともに、返済猶予を拡大します。とくに就学が困難な生徒・学生のため、欧米では主流の返済不要の「給付制奨学金制度」を創設します。「給付制奨学金制度」がない国は、先進国では日本、メキシコ、アイスランドの3ヶ国だけです。

妊婦検診、出産費用の軽減、不妊治療への助成拡充をはかります

 働く女性が増えて、長時間・過密労働を強いられるなかで、高齢妊娠、ストレスをかかえる妊婦が増加しています。母体や胎児の健康のための妊婦健診はいっそう重要です。経済的負担の心配なく妊婦健診を受診できるように、政府がのぞましい健診回数としている14回分を、自治体による格差なく、全国どこでも負担なしに受けられるようにします。

 出産育児一時金を増額します。パートなどの非正規雇用や、業者、農業など就労形態を問わず、安心して産前産後休暇がとれるように、国保に出産手当金制度を創設するなど休業中の所得保障、社会保険料免除などをすすめます。

 高額な費用がかかる不妊治療の助成額の増額、所得制限の緩和をはかるとともに健康保険の適用をめざします。

「子どもの貧困」の克服にむけて、生活保護母子加算の復活、就学援助の拡充などをすすめます

 生活保護の母子加算を復活します。生活困窮世帯の子どもに給食費・学用品代・修学旅行費などを援助する「就学援助」も受給者が急増するなど、その役割はますます重要になっています。ところが政府が2005年に国庫補助を廃止したために、支給額や基準を切り下げる自治体も増えています。国庫補助を復活し、拡充へと転換します。児童福祉施設の生活と進学保障の充実、児童相談所の体制強化を緊急にすすめます。

母子家庭・父子家庭への支援をつよめます

母子家庭の平均所得は、児童扶養手当などをふくめても年約237万円、一般世帯の4割で、85%が「生活が苦しい」と感じています。自民、公明、民主党などは、児童扶養手当を08年度から最大で半分に減らすという制度改悪を行いましたが、運動と世論の批判を受けて手直しを迫られ「凍結」しています。しかし、「就業が困難な事情」の証明書類の提出など「就業意欲」による線引きの考え方は変えていません。手続きも煩雑です。手続きの簡素化はもとより、受給開始から5年で最大半額に削減という制度改悪そのものを中止し、額の引き上げと対象の拡大をはかります。削減された生活保護の母子加算を復活し、支給対象年齢も18歳の年度末までに戻します。

母子家庭にとって長期の安定した雇用が切実です。母子家庭の母親の85%が働いていますが、非正規労働者がふえて常用雇用を上回っています。パートタイム雇用を正規雇用に転換した事業主にたいする奨励金を増額し、正規雇用への道を拡大します。母子家庭の母親が仕事と子育てをしながら資格取得や技能訓練をするにはその間の経済的保障など支援が必要です。資格取得や技能訓練費などの国の援助額をひきあげます。安価で良質な公共住宅を供給します。

母子家庭の寡婦控除を受けられないシングル・マザーにも、税控除がうけられるよう、制度を改善します。

また、父子家庭への支援も必要です。一人で仕事と子育てをする大変さは、父親でも母親でも変わりません。より長時間労働を強いられている父親の場合、子育てのために仕事を変えざるをえない人も少なくありません。年収は一般世帯の75%と母子家庭を上回るものの、就労収入が300万円未満の世帯が37%、200万円未満も16%にのぼっています。父子家庭にも児童扶養手当を支給するようにします。政府に実態・要望調査をもとめ、父子家庭に必要な子育て・生活支援などを強めます。

4.子どもの命と健康、健やかな成長をはぐくむ社会に

 どのような家庭、環境におかれていても、子どもの命と健康、安全と成長が最優先に保障される社会をつくらなければなりません。医療、福祉、教育の充実で安心して子育てでき、一人ひとりの子どもが必要としている専門的な支援が受けられるようにします。

産科、小児科、救急医療体制の確立をはかります

 地方でも都市でも、「お産難民」「医療崩壊」ともいえる医師不足による小児科・産科などの病棟の休止、病院の閉院などの事態が進行しています。政府・与党の社会保障切り捨て政策によるものです。出産できる病院・診療所は、2006年までの5年間で6398カ所から3613カ所に激減しました。救急医療施設も1割減少し、国民のあいだに深刻な不安をひろげています。公的病院の産科、小児科切り捨てをやめ、早期復活をはかります。国の責任で医師の養成・確保、診療報酬の改善、予算の増額をすすめ、安心して出産、子育てできる医療体制の整備、小児救急医療体制の確立をはかります。

子育ての不安や虐待などの悩みにこたえます

 はじめての出産を迎えるときには、とりわけ不安が大きく、不安定になりがちです。きめ細かな相談体制、個別の訪問活動など、支援体制を拡充します。

 格差と貧困のひろがりを背景に、08年度、児童相談所に寄せられた児童虐待の相談件数は過去最高の4万2662件にのぼりました。子育てへの不安や虐待などの悩みにこたえる専門的できめ細かな相談・支援体制を拡充します。児童相談所、保健所、子育て支援センター、児童養護施設など、子どもにかかわる専門機関や施設の増設、職員の増員をはかります。

少人数学級でどの子もわかるきめこまかな教育をすすめます

 どの子もていねいに育て、わかる授業をすすめるためには、少人数学級が必要です。今では46道府県にまで自治体独自の努力で広がりました。この流れをさらにすすめるために、国として「30人学級」を実施させるために全力をつくします。子どもたちにストレスと重い負担をもたらしている、ゆきすぎた競争と格差づくりの教育をやめさせます。

 特別支援教育・障害児教育を拡充するとともに、学習障害など軽度発達障害をふくめてどの子にもていねいな教育ができるよう、少人数学級、障害児学級、通級指導教室などきめ細かな対応をすすめます。

 ストレスなどで傷ついた子どもたちのケアや、学校に行けない子どもの教育権の保障のための公的支援をつよめます。相談しやすい窓口を拡充するとともに、不登校や「ひきこもり」などの「親の会」やフリースクールなどへの公的支援を拡充します。

 日本でくらす外国人の子どもたちへの教育を保障するため、日本語教室設置、公立学校への入学資格の改善などをすすめます。

児童養護施設、里親制度などの整備・体制をつよめます

 経済的、社会的事情をもった親が子育てできない状況におちいったり、予期せぬ妊娠に悩んだ時に、身近に相談できる体制を整備します。

 現在、児童福祉行政の中核的役割を担う児童相談所は全国で200カ所足らず、親の事情で育てられない子どもなどが養育されている乳児院は120カ所程度しかありません。児童相談所や児童福祉施設、小児病院や保健所、子育て支援センターなどが連携して、親が育てられるような支援をおこなうとともに、それが困難な場合の受け入れ施設の拡充、職員配置や施設整備の改善、里親制度などの拡充・整備をすすめます。

 民法の婚外子差別の条項の是正、無戸籍児の解決など、親の事情で子どもが差別されない社会をめざします。

子どもの豊かな成長をはぐくむ文化、スポーツへの支援を拡充します

 子どもたちの成長、発達にとって、生きいきとした遊びや豊かな文化・スポーツにふれることは不可欠です。子どもたちの生活圏内に安全で安心して遊べる公園や児童館、プレイパーク、青少年がスケートボード、フットサルなどを楽しめる広場の確保をすすめ、そこでの自主的な活動を支援します。演劇や映画、音楽などさまざまな芸術・文化に親しめるように、文化団体、地域の活動を応援します。学校公演(鑑賞教室)の支援を充実します。

5.子どもの権利条約の立場を政治と社会につらぬきます

 日本は子どもの権利条約批准国であるにもかかわらず、子どもたちの権利を守る施策があまりにも不十分です。自公政府がすすめてきた全国いっせい学力テストのような過度の競争をあおり、管理をつよめる教育や、子どもたちがストレスをかかえ自己肯定感をもてず、いじめや自殺が多発している事態に、多くの国民が胸を痛めています。

 いまほど、一人ひとりの子どもが真に大切にされる社会へ、子どもの権利条約の立場で、子どもと子育てをめぐる問題を見直すことが求められているときはありません。政府と社会が、「子どもの最善の利益」のために、福祉、教育、文化、子育て支援の充実を最優先にはかることは、国際的には当たり前のことになっています。子どもの権利条約を社会のすみずみに実現するための国民の共同をひろげます。

分野別政策目次にもどる アピールと基本政策 総選挙特集へ

JCPトップページサイトマップ「しんぶん赤旗」著作権リンクについてメールの扱いについてアクセス地図

(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4−26−7 TEL.03-3403-6111 FAX.03-5474-8358 メール