2001年6月1日「しんぶん赤旗」で発表

第19回参議院選挙にあたっての日本共産党の各分野の政策


女性

女性の力が正当に評価される、男女平等の社会をつくる

 日本の女性は、職場でも家庭でも、地域でも農村でも大きな役割を担い、力を発揮しています。しかし、女性の賃金は男性の半分にすぎず、子育てや介護の責任も多くが女性に負わされています。憲法には男女平等がうたわれていますが、社会のあらゆる場で男女が平等とはいえません。

 日本は平均寿命や教育水準、国民所得などの指数は百七十四カ国中九位です。ところが、女性の政治や経済活動での意思決定への参加、所得格差などの総合的な比較では四十一位(二○○○年「国連開発計画」の報告)で、サミット参加国の中でも最低です。

 男女平等、女性の地位向上をすすめることは、女性の切実な願いです。人口の半数を占める女性の力が正当に評価されず、生かされないようでは、二十一世紀の日本社会の発展はありえません。日本共産党は、二十世紀に前進をみた女性の権利の尊重などの世界的な流れを二十一世紀にさらに広げるために力をつくします。

働く女性への差別をなくす

 昨年、雇用労働者のなかで女性の比率がはじめて四割を超えました。女性労働者の役割と比重がますます大きくなっているのに、昇進・昇格でも、賃金でも、女性への差別的扱いは放置されています。男性の賃金にたいする女性の平均賃金は日本では四九・一%ですが、欧米諸国では、八割前後まで縮小しています。女子学生にたいするさまざまな採用差別、女性パート労働者の無権利状態も横行しています。

 「同期に採用され、仕事の内容も男性と同じに働いてどうしてこんなに差別されるのか」やむにやまれぬ思いから是正をもとめ、裁判に訴えている女性もいます。女性労働者にたいする差別の解決は、すべての労働者の地位向上にかかわる大事な問題です。

 男女雇用機会均等法の実効ある改正を……九七年の男女雇用機会均等法の改正とだきあわせに女子保護規定を撤廃したのは、「規制があるから平等に扱えない」というのが口実でした。にもかかわらず、差別は改善されていません。同一労働同一賃金を保障し、同期同年齢男性との同一昇格などの実現をはかります。均等法を改正し、事実上の差別をなくす措置をとります。調停委員会を差別是正の権限のある行政委員会に改組・強化し、委員会の構成は公益・労働者・使用者の三者構成とし、その二分の一を女性とします。

 女性パート、派遣労働者の権利をまもる……パート労働者、派遣労働者の七割は女性です。深刻な不況のもとでの一方的な解雇、雇い止めを規制します。地域最低賃金の引き上げをはかるとともに、パート労働者に労基法など現行法の厳格な適用や最賃法違反の時給をなくすため、監督を強化します。正規労働者との平等な待遇を原則とする「パート、アルバイト労働者保護法」と、賃金、福利厚生施設の利用などの労働条件・待遇で派遣労働者への差別的扱いを禁止するなどの「派遣労働者保護法」を制定します。

 農家・自営業者の家族労働を正当に評価する税制に……農業や商工自営業者の家族従業者の多くは女性ですが、その労働は、税制上、一般の給与所得者に比べても、不当に低い評価になっています。自家労賃を税制上きちんと評価します。

女性の人権を尊重する

 女性が一人の人格ある個人として尊重されることは当然です。暴力や性の退廃など、女性の人間としての尊厳をふみにじる深刻な実態を野放しにせず、解決をいそぎます。女性の生涯にわたる健康・権利(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)を保障するための総合的な対策も必要です。

 民法を改正し夫婦別姓が選べるようにする……この間、野党共同で民法改正案を提案してきましたが自民党の反対で実現していません。憲法の「両性の平等」「個人の尊厳」の規定を真に実行させるうえでも、選択的夫婦別姓制度の導入や女性のみの再婚禁止期間の見直しなど民法の改正をおこないます。

 女性への暴力をなくし、尊厳をまもる……今年の通常国会では日本共産党をふくむ超党派の取り組みで「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(DV=ドメスティック・バイオレンス防止法)が成立しましたが、まさに第一歩です。被害者の自立支援の充実や加害者である男性への対策など、さらに充実をはかります。セクシャルハラスメントにかんする事業主の防止義務、違反への罰則規定をもうけます。

仕事と家庭生活の両立の条件をととのえる

 サービス残業の野放しなど世界でも異常な長時間労働のもとで、子育てや介護などの家庭の責任の多くは女性の肩にかかっています。男女がともに子育てに責任を果たせるようにするためには、労働時間の短縮など労働条件、労働環境を抜本的に改善することが必要です。

 残業、休日労働、深夜業を男女とも規制する……厚生労働省がだしたサービス残業をやめさせる「通達」を徹底し、その解消をはかるとともに、残業を男女とも年間百五十時間以内に制限します。子育て中の男女労働者が、残業や深夜業の免除を請求できるようにし、変則勤務や単身赴任なども規制します。

 育児・介護休業制度を利用しやすい制度に改善する……出産した女性労働者で育児休暇をとったのは半数にすぎません。どんな職場でも、女性も男性も利用しやすい制度に充実させることが急がれます。休業中の所得保障の六割への引き上げ、代替要員の確保のための中小企業にたいする国の助成の拡充、看病や授業参観などで休める「子ども休暇」の創設、パート労働者への適用など制度の改善をすすめます。

 保育・学童保育を拡充する……いま保育園に入れない「待機児」が五万人もいます。公立保育所の増設、保育士の確保、無認可保育所にたいする補助と指導の充実など、国と自治体の責任で「保育所整備計画」をつくり、希望するすべての子どもに保育を保障します。国と自治体の公費負担を増やして、高い保育料を引き下げ、父母負担の軽減をはかります。

 学童保育を一小学校区に一カ所以上つくり、施設と指導員の確保、拡充ができる十分な補助金を保障します。

日本の女性の地位を世界の水準に高める

 日本も批准している女性差別撤廃条約やILO一五六号条約(家族的責任をもつ男女労働者の権利保障条約)の内容を真に生かし、政府の「男女共同参画基本計画」の充実をはかります。女性差別撤廃条約選択議定書、ILOの母性保護条約、パートタイム労働に関する条約(第一七五号)などを批准し、日本の女性の地位を国際的水準に高めます。国際的にも立ち遅れている女性の政治参加をすすめ、審議会をはじめ意思決定機関への女性の登用をはかります。


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