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「第19回参議院選挙にあたっての日本共産党の各分野の政策」は次の通りです。これは日本共産党第2回中央委員会総会(2001年5月29日)で重点政策とあわせて発表することが確認されたものです。
底知れぬ将来不安が国民を自己防衛にかりたて、これがまた今日の不況を長期化させる原因の一つになっています。社会保障は、国民の暮らしの共通の土台であり、これを信頼できる制度に改善・充実させることは、暮らしをまもるうえでも、経済をたてなおすうえでも緊急で不可欠の課題です。
介護保険実施から一年、利用料や保険料負担が重いために、低所得者が必要なサービスを受けられない事態が頻発しています。それは利用限度額にたいするサービスの利用率が、全国的に四割にとどまっていることでもあきらかです。マスコミの調査によっても、市町村の七割は、給付実績が当初予算を下まわり、「自己負担を気にして利用が抑制された」ことを、最大の要因としてあげています。十月からお年よりの保険料満額徴収がはじまれば、低所得者は、さらに必要なサービスを切り縮めざるをえなくなります。
住民税非課税者の保険料・利用料は免除・軽減する恒久的な措置を、地方自治体に広げるとともに、国の制度として確立することは、最小限の課題です。
保険外の自立支援対策を含め、サービス提供や介護基盤整備など、地方自治体が本来の役割を発揮することがますます重要となっており、そのための国による財政支援を強めます。
自民党や公明党は、医療保険制度の「抜本改革」と称して、二〇〇二年度にも国民負担の引き上げと給付の削減を内容とする医療大改悪をたくらんでいます。とくに、健保本人負担の二割から三割への引き上げや、「高齢者医療保険制度」を創設し、介護保険にならって、すべてのお年よりから保険料をとりたてようとしていることは大問題です。
今年一月からのお年よりの窓口負担増は、すでに深刻な受診抑制をひきおこしています。これを中止するとともに、医療大改悪をやめさせるため、(1)老人医療費に占める国庫負担の割合が、一九八三年の老人保健法制定時の四四・九%から三一・九%(二〇〇一年度予算)に下がっていますが、これを計画的にもとにもどします。(2)「新薬」承認審査や薬価決定のあり方にメスを入れ、薬価を適正な価格に引き下げます。(3)国・自治体をあげて、開業医、医療機関の協力のもと、病気の早期発見・治療とともに、予防・公衆衛生や福祉施策に力を入れ、住民の健康づくりのための施策を推進します。そのため国の予算を増額します。以上の方策をすすめることによって、お年よりと現役労働者の負担を軽減し、医療機関の経営をまもります。
昨年三月の年金改悪は、国民の将来不安を一気に増大させました。支給開始年齢の六十五歳への繰りのべ計画や賃金スライドの停止、支給額五%削減などの計画を凍結すべきです。そのためにも、基礎年金への国庫負担を現行の三分の一から、ただちに二分の一に引き上げます。将来的には、財政再建をすすめながら、年金財源を確保して、国庫と大企業の負担による最低保障年金制度を創設し、このうえに掛け金に応じて年金が受け取れる二階建ての年金制度をめざしていきます。
パート労働者や派遣労働者などの権利をまもり、年金をはじめ各種社会保険の適用をすすめます。無年金障害者の救済策をただちにおこないます。
各地で乳幼児医療費の無料化が広がっています。国の施策として、乳幼児医療費の無料化制度を創設し、各自治体の独自施策を上乗せできるようにします。母子家庭の児童扶養手当を拡充します。難病児・者の医療費無料化の復活をはじめ、公費負担医療の充実をはかります。
障害者プランの充実、欠格条項の早期見直し、雇用の確保などを推進し、障害者の「全面参加と平等」を実現します。バリアフリーのまちづくりをすすめ、障害者も高齢者もだれもが安心して過ごせる地域社会をつくります。そのために国の支援をつよめます。
長期不況のもとで、全国で三万人を超える人たちがホームレス(野宿生活者)となっており、人道上も、一刻も放置できない状態になっています。ボランティアまかせのような現状をあらため、国と自治体の責任で、住居の確保、生活保護行政の実態にあわせた改善、医療の保障、臨時の公的就労をはじめとした仕事への援助などの対策をすすめます。
ヨーロッパでは、ドイツの「解雇制限法」など、多くの国で労働者の雇用上の権利をまもる法律が整備されていますが、日本には労働者を一方的な解雇から保護する法律がありません。希望退職や転籍出向の強要など、事実上の解雇は、まったく野放しとなっています。政府は「労使間の問題であり、一律に法律で規制するのは適当でない」として法制化を拒否していますが、労使間にまかせておいては雇用をまもれないから、ヨーロッパでも法律が制定されたのです。こうしたルールは、個別企業だけの対応では難しい面があり、法制上の整備が必要です。
裁判所の判例で確立されている「整理解雇四要件」((1)企業の維持・存続ができないほどさしせまった必要があること、(2)解雇を回避するあらゆる努力がつくされたこと、(3)解雇対象となる労働者の選定基準、人選が合理的なこと、(4)以上について、労働者個人および労働組合に、事前に十分な説明をして了解をもとめ、解雇の規模、時期、方法などについて、労働者側の納得を得る努力がつくされていること)を、法律として明文化します。
希望退職については、本人の同意と十四日以内の同意取り消し(クーリングオフ)権を確立して、本人の意思が尊重されるようにします。転籍についても、三十日間の熟慮の期間を保障し、文書による転籍条件の明示、条件に反した場合の本人同意の取り消し権を確立し、強要をきびしく禁止します。
希望退職や転籍に応じない労働者を「隔離部屋」に閉じ込めるなどの嫌がらせで精神的に追いつめるという人権侵害が横行しています。解雇規制法に、こうした行為を禁止する措置を盛り込みます。
分社化や合併など、企業組織の変更をともなうリストラが増えていますが、こうした企業組織再編によって雇用がおびやかされる例が増大しています。昨年政府が制定した「会社分割に伴う労働契約承継法」では、会社分割にさいして、新会社に移る部門に主として従事している労働者は自動的に移籍されることになっており、移籍を拒否する自由がまったく与えられていません。労働者や労働組合にも、事前通知をするだけで、協議を義務づけてはいません。
ヨーロッパでは、企業組織の変更にあたって労働者の既得の権利を保護する法律が制定されています。日本でも、企業組織の再編にあたって労働者の雇用と権利をまもるためのルールを確立するため、「企業組織の再編を行う事業主に雇用される労働者の保護法(リストラ規制法)」を制定します。
企業分割の場合だけでなく、合併や営業譲渡の場合も含め、企業組織の改編を理由とした解雇を禁止します。企業組織改編によって労働者を移動させる場合は、本人同意を原則とし、労働条件も従前どおり移転することとします。労働者代表との事前協議を義務づけます。リストラ支援の「産業再生法」は廃止します。
五十五歳になったら全員転籍にしたり、希望退職を強要するなど、年齢を理由としたリストラが広がり、中高年の自殺が急増するなどの問題を生んでいます。高齢者雇用安定法では、六十歳未満の定年は許されておらず、それ以前の年齢による雇用の打ち切りは、違法行為です。こうした行為を規制するための措置をとります。アメリカでは雇用年齢差別禁止法があります。日本でも、採用など雇用の年齢差別をなくすルールをつくります。
残業をさせても手当を支払わない「サービス残業」は、労働基準法に違反する企業犯罪です。「サービス残業を廃止すれば九十万人、残業をすべてなくせば二百六十万人の雇用が増える」と財界系のシンクタンク・社会経済生産性本部も試算しています。
日本共産党は、三月に発表した「緊急経済提言」で「サービス残業なしの経営計画をたてる大運動」を提唱しました。その後、四月六日に厚生労働省が出した通達は、使用者が労働者の日々の始業・終業時刻を確認し、記録する義務があることを明記しています。この通達の実行を徹底します。
現状では、サービス残業が発覚しても、政府は、規定の残業代を支払わせる指導しかしていません。これでは、企業にとって“サービス残業のやり得”です。悪質な企業には、労働基準法の割増金や罰金のほかに、「賠償金」を労働者に支払わせるなど、企業にとってサービス残業は割に合わない「高価な」ものにすることが必要です。このために、サービス残業根絶法を制定します。
サービス残業根絶に続いて、残業そのものを減らし、当面、年間百五十時間に制限するなど、労働時間の短縮をすすめます。欧米では一〇〇%消化が当たり前なのに、日本では五〇%の消化率にとどまっている年休の完全消化をはかります。
正社員をパートやアルバイト、派遣労働者などに置き換えることが、リストラの一環として、大規模にすすめられています。正社員とまったく同じ仕事をしているパート・派遣労働者も増えていますが、低賃金や不安定な雇用条件が押しつけられています。
こうした労働者の権利をまもるため、「パート・アルバイト労働者保護法」「派遣労働者保護法」を制定します。正社員と同一労働のパートなどの賃金は、正社員との時間比例をめざし、少なくとも判例でそれ以下は「違法」と認められた正社員の八割まで引き上げさせます。また、地域最低賃金を引き上げます。派遣労働の対象事業を限定し、正規雇用の代替となる派遣は禁止します。一定の条件を満たす派遣労働者が希望する場合には、直接雇用を義務づけます。パート・アルバイト・派遣労働者の社会保険への加入の権利をまもります。
昨年の雇用保険法の改悪で、これまで最長三百日支給された失業手当が、倒産や解雇等による場合を除いて、百八十日に短縮されてしまいました。四月以降に六十歳となり定年を迎えた労働者は、厚生年金の一階部分の支給繰りのべとあわせて失業手当の支給日数も削減され、二重の被害を受けています。この雇用保険の改悪で、六千億円もの支給削減となり、国民の所得と消費の落ち込みに拍車をかけています。雇用保険法をあらため、短縮された失業手当の支給日数をもとにもどします。
長期化する不況で、失業手当の支給期間がすぎても再就職できない人が増えています。職業訓練などとあわせて、給付を延長する制度を拡充し、失業者の生活を保障します。
日本の中小企業は、企業数の九九%、勤労者の八割を占めています。「日本経済の主役」である中小企業に、それにふさわしい対策をおこないます。
政府の中小企業予算は、千九百四十八億円(二〇〇一年度)で、一般歳出のわずか〇・四%にすぎません。一九六七年には〇・八八%あったのが、毎年のように減らされ、ここまで少なくなってしまいました。
中小企業の保護・育成について国の責任を明確にするとともに、中小企業予算を抜本的に増額し、予算の内容も、これまでの出資金や利子補給金などの融資偏重から、中小企業の経営基盤を直接支えるものに改革します。
東京・墨田区では、日本共産党の提案をきっかけに、一九七九年に中小企業振興基本条例を制定し、対策を充実させてきました。すべての中小企業が共同利用できる中小企業センターをつくり、担当職員も増やして、経営基盤を支え、事業の発展に役立つ支援をおこない、区内中小企業の大きな支えになっています。そのため、一般会計の二%を中小企業予算(融資を除く)にあてています。国の中小企業予算についても、少なくとも墨田区なみに一般歳出の二%に引き上げるべきです。
国(公団等を含む)の官公需の中小企業向け発注率は、九九年十二月に中小企業の資本金区分が変更され、中小企業の範囲が拡大されたこともあって若干増加していますが、それでも四二・五%にとどまっています(九九年度)。地方自治体も七一%です(九八年度)。これを少なくとも国は五〇%、地方は七五%程度に引き上げるべきです。そうすれば、二兆円近い仕事や物品を中小企業に発注できます。
公共事業の浪費をなくし、教育・医療・福祉などの公共施設や、高齢者向けの住宅改造などにたいする補助を拡大し、中小企業の仕事を増やします。
地域に根ざして事業をおこない、その業種もきわめて多様な中小企業に、画一的でない支援策を講じるため、実態をよくつかみ得る立場にある区市町村の仕事として、法律上も必要な権限をもたせ、それを国が財政面でも保障するようにします。
自治体に「中小企業支援センター」を設置し、設備・技術・経営指導・情報提供・人材育成などによって、中小企業が顧客の要求、社会的ニーズにこたえた製品開発・販路開拓をおこなえるように支援します。
日本の製造業の土台を支えるモノづくりの基盤をまもり、発展させるため、こうした技術をになってきた中小企業が集積する地域への支援を強化します。各分野のすぐれた技能者・職人の認定制度を創設し、人材の確保、技術の継承をはかります。
創業に必要な経営上のノウハウを提供するとともに、事業展開に応じて相談にのる体制を各自治体に設けるなど、創業を積極的に支援します。
中小企業の事業承継については、事業の存続が可能となるよう、土地、建物、設備などにかかる相続税について、通常の評価額とは別の評価をおこない、通常の評価額による税額との差額は猶予し、十年以上事業を継続した場合は差額を免除することとします。
法人税は、アメリカでおこなわれているように累進制を導入し、中小企業の最低税率を引き下げます。自営業者本人や家族の労働に見合った勤労控除(自家労賃)を認めます。第二消費税となる法人事業税への外形標準課税の導入には反対します。
日本は主要国で「納税者の権利憲章」をもたない数少ない後進国です。政府の強権的な税務行政で苦しんでいる中小業者をまもるため、「納税者憲章」を制定します。
大企業によるしめつけと切り捨てで、下請け中小企業が悲鳴をあげています。下請代金支払遅延防止法、下請中小企業振興法という法律がありながら、これに違反する行為が横行しています。下請け業者は大企業の報復を恐れて違法を告発できない状況です。下請け業者からの告発を待つのでなく、行政の側から系統的に「立ち入り検査」をおこない、ルール破りが発見されたら、大企業・親会社にペナルティーを科すなど罰則を強化し、ただちに是正させます。
数十万の下請け業者にたいして、政府の下請け検査官は六十三人しかいません。これを抜本的に拡充するとともに、きめ細かな検査をおこなうために、検査官を自治体にも配置します。
下請け二法を改正・強化し、対象を製造業だけでなく他の業種にも拡大します。発注元大企業の責任を二次以下の下請けにも及ぶようにします。一方的な発注の打ち切りや大幅な発注削減にも罰則が適用されるようにします。中小企業の労働条件を悪化させる終業後発注・翌日納品、休日前発注・休日明け納品などを禁止します。
大型店の出店ラッシュと、既存商店街からの大型店の撤退で、商店街が衰退しています。これは、たんに小売業者だけの問題ではなく、街が荒廃し、高齢者が住みにくく、子どもたちを育てる環境も悪化するなど、住民の暮らしの基盤にかかわる大問題です。
大型店の身勝手で無秩序な進出・撤退を規制するため、大型店の出店を許可制とし、地方自治体が独自の規制をできるようにするなどの内容の「大規模小売店舗規制法」の制定をめざします。
商店街の役割を発揮させるため、駐車場の確保、公共施設の配置、野菜・魚・肉類の生鮮三品を販売する小売店の確保、高齢者への配達など、消費者の要求にこたえた商店街づくりを支援します。
中小企業は大銀行の「貸し渋り」で苦しめられてきましたが、政府は「不良債権処理」と称して、不況にあえぐ中小企業への融資打ち切りを大規模にすすめようとしています。「貸し渋り対策」として実施された「中小企業金融安定化特別保証制度」も、今年三月末で打ち切ってしまいました。
銀行の不当な「貸し渋り」を是正し、本来の社会的責任を果たさせます。アメリカの「地域再投資法」にならい、金融機関が地域の資金ニーズにどのように応じているか、具体的な数字を公表し、一定割合の融資を義務づける日本版「地域再投資法」を制定します。融資審査は「物的担保主義」にかたよることなく、中小企業のもつ経営方針や技術力などを総合的に評価する仕組みをつくります。
政府系金融機関を中小企業が利用しやすいように改善するとともに、中小企業信用保険法を改正し、特別小口保険と無担保保険との併用を認め、無担保無保証人融資の利用を広げます。当面の資金繰りのため、「中小企業金融安定化特別保証制度」を再開します。
いじめや不登校、学力問題、さらに「ひきこもり」や児童虐待の増加など、子どもと教育をめぐる状況は深刻さを増しています。凶悪な少年犯罪の続発に、だれもが胸をいためています。日本社会の未来にかかわる問題として、子どもと教育の問題に国民と力をあわせて取り組みます。
いま学校教育は、大きな困難に直面しています。校内暴力は過去最高の件数を記録し、八〇年代の「荒れた学校」を上まわる規模となりました。不登校も増加の一途をたどり、過去最高です。勉強の面でも、「成績はいいが世界一勉強嫌い」「授業がよくわかる子どもは、中学二年で二十人に一人」など、ほんとうに深刻です。
これには、さまざまな要因が考えられますが、なかでも、自民党政治が長年続けてきた競争と管理の教育が、もっとも大きな要因ではないでしょうか。
たとえば、各方面で問題になっている学力問題です。いま子どもたちが教わっている学習指導要領は、小学校一年生に時計の「分」まで読ませるなどつめこみで、低学年から多くの「おちこぼし」を生み出しました。また、競争のための勉強は、学ぶことの意味やおもしろさを子どもたちから奪い、世界一の「勉強嫌い」をつくりだしました。
自民党流の競争と管理の教育を根本からあらため、子どもの成長と発達を中心にすえた教育に転換することを提案します。
すべての子どもに基礎学力を保障する……すべての子どもが、基礎学力をつけられるよう、わかるまで教えられるようにします。「学力の危機」をより深刻にするとして実施前から中止の声があがっている新学習指導要領はただちに見直し、基礎・基本とは何かを含め、英知を集めて、国民的合意の形成をはかります。教育行政による学習内容の統制をやめ、各学校が子どもたちの実態にあわせて生き生きと教えられるようにします。
過度の競争教育の制度を是正する……欧米には、高校入試は基本的にありません。競争的教育制度の解消に向けた国民的討論をおこないます。また、「関心・意欲・態度」の点数化などの入試制度のゆがみを是正します。政府の「中高一貫」政策は、一部の学校だけを一貫校にし、そこに入学するための受験競争を招くもので反対します。大学入試は、高校以下の教育をゆがめないよう、資格試験的なものに改革していきます。
教職員の力量の発揮と向上を保障する……学校教育で教職員の果たす役割は決定的です。「多忙化」を解消し、教員の自主的な研修、研究を保障します。行政による一方的な教員評価や恣意(しい)的な排除は、教員の目を子どもでなく管理職に向けさせ、教師の創造性や自主性をつみとってしまいます。教員評価は、教員相互の話し合いや専門家、父母、子どもも参加して、教育に役に立つ方向で検討されるべきです。
学校・教員の自主性を保障する教育行政を確立する……上意下達の教育行政をあらため、学校の開かれた、民主的運営を保障します。そのためにも、子どもや父母の学校運営への参加を広げます。学校間競争をあおる通学区域の「自由化」は、地域に根ざした学校づくりを困難にするものであり、反対です。学校施設の整備など教育条件整備をすすめます。すべての学校図書館に人を配置し、豊かなものにします。父母の教育費負担を軽減します。
子どもの市民道徳の形成をたすける学校に……日本共産党は、人の生命を大切にするなどの市民道徳の教育を提唱しています。そのため何より学校生活のあらゆる場面で子どもを人間として大切にすることを重視します。ボランティア活動は、子どもの成長にとって大切であり、強制するのでなく、自主性を大事にします。「出席停止」は緊急避難の措置であり、その乱発で子どもを切り捨てることに反対します。
三十人学級を早期に実現する……学力格差や問題行動が広がるなかで、少人数学級の実現は切実な課題です。野党三党が共同で提出した「三十人学級法案」の成立に全力をあげます。
暴力や性の映像文化などから子どもをまもる……日本の子どもは、世界に例がないほど、テレビやテレビゲームなどを通して、暴力や性の映像にさらされています。日本共産党は、この問題で社会の自己規律を確立することを提案してきましたが、この間、国民からの意見や苦情を聞く第三者機関の発足など、その取り組みが前進してきました。この動きを国民的な運動でさらにすすめます。
社会の各分野での道義の確立を……おとな社会が政治や経済の分野でのモラルの崩壊などを放置して、子どもだけに市民道徳を身につけよという、勝手な理屈は通りません。社会の各分野での道義の確立を呼びかけます。
「子どもの権利条約」を社会のすみずみに普及し具体化する……子どもの権利条約は、社会が子どもを大切に保護すると同時に、子ども自身の積極的な権利の行使を保障することを明記しました。この条約を普及し、条約にそって子どもたちが社会に参加する道を拡大します。
教育基本法は、子どもたちに「お国のために血を流せ」と教え込んだ戦前の軍国主義教育を否定し、憲法の理想にそった戦後の教育の基本を定めたものです。いまもとめられているのは、教育のゆがんだ現状を憲法や教育基本法にてらして改革することです。
自公保政権が、侵略戦争を美化する歴史教科書を検定「合格」としたことに国内外から強い批判がまきおこっています。この「合格」は、侵略戦争と植民地支配についての「反省と決意」を歴史教科書の基準とした政府自身の国際公約にも反するものです。日本共産党は、いまの検定制度そのものに反対ですが、「合格」にした政府自身の責任で「合格」を取り消すべきです。
幼児期は人間としての土台をつくる大切な時期です。ところが、その幼児期が今日の社会と政治の中であまりに粗末にされています。安心で豊かな幼児期を保障できる社会をめざします。充実した保育のために幼児教育・保育施策を拡充します。児童虐待など子どもにかかわる問題の急増に対応するため、児童相談所を抜本的に拡充します。
日本の大学予算の水準は、欧米の半分にもみたず、大学施設の老朽化など世界の研究者からも驚きの声があがるような状態です。日本社会の知的基盤を大切にする立場から、大学予算を欧米なみに引き上げ、教育研究条件の整備をおこない、学問研究・教育の自由を保障する大学改革をすすめます。大学の基盤を掘り崩し、国家統制をつよめて教育研究を台無しにする国立大学の独立行政法人化に反対します。私学助成を抜本的に拡充します。
世界第二位の経済規模を誇り、大量の資源や製品の輸出入、企業の海外進出も盛んで、国の内外でおう盛な生産活動を展開している日本は、地球環境の保全にとって、決定的な影響力をもっています。
今年一月、新たに公表された「温暖化の予測」によって、一段と深刻な状況があきらかになったにもかかわらず、米ブッシュ政権は、温暖化ガスの削減目標を定めた京都議定書にたいして不支持を表明しました。この議定書は、温暖化ガスの排出権取引など、削減目標を実質的に後退させる仕組みをアメリカ自身の強い要求で取り入れたものですが、それでも温暖化ガス削減を一歩前にすすめるものです。日本は京都議定書を取りまとめた国際会議の開催国・議長国として、きぜんとした態度でアメリカに批准をもとめ、みずからも早期に議定書を批准すべきです。
日本政府も、森林吸収や原発に頼る方式に固執せず、省エネの徹底と再生可能エネルギーの利用拡大に重きをおくやり方に転換すべきです。
ダイオキシンなど有害物質による環境破壊・汚染の防止をすすめる……ダイオキシンをはじめ、人体に害を及ぼすとみられている環境ホルモンの研究と、除去・無害化を含めた対策に本格的に取り組みます。ダイオキシン発生の原因となる製品などの生産抑制と代替素材の開発、メーカーが責任をもって回収するシステムづくりをすすめます。地球のオゾン層破壊と温暖化を促進するフロンについては、回収・分解を義務づける法律を制定し、メーカーの責任と負担を明確にします。
リサイクルへのメーカーの責任を明確にし、引き取りを義務づける……今年四月から実施された家電リサイクル事業は、処理手数料と輸送費を消費者に排出時に一方的に負担させる仕組みです。これをあらため、メーカーの責任で引き取り、リサイクルをおこなうよう義務づけます。消費者にリサイクル費用の一部の負担を求める場合には、販売時にすべきです。その費用の使途について、徹底した情報公開をするのは当然です。リサイクルの対象をコンピューターや自動車にも広げます。EUで実績をあげ、OECDでも重視されている拡大生産者責任制度の立場にたって、メーカーのリサイクルや廃品回収の義務づけを強化します。
幹線道路のそばで暮らす住民が、環境基準を超える大気汚染物質に常にさらされ、激しい気管支ぜんそくの発作や肺がんなどで、長年にわたって命と健康をおびやかされるような事態を、一日も早くなくさなければなりません。
窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)、ベンゼン類を大幅に削減するために、自動車NOx削減法を改正し、事業者にたいして、使用する自動車からの大気汚染物質の排出総量を規制したり、ディーゼル排気微粒子(DEP)の除去装置の装着を期限を決めて義務づけます。地域で実情にそくした対策がとれるよう、地方自治体の権限を強化し、条例で総量削減計画や特定自動車の排出基準、自動車使用管理計画に関して、特別の規制ができるようにします。自動車排ガス削減と低公害車の普及を促進するため、自動車メーカーにたいして、車両区分ごとの排出ガス総量規制や、低公害車の販売を義務づけます。また、ディーゼル車も、ガソリン車と同等の排出規制を実施することが必要です。
住民の健康をまもり生活環境を保全するため、沿道の測定データや健康影響データなどの情報を充実し、全面的に公開するとともに、ディーゼル排気微粒子の調査・研究を急ぎ、早急に微粒子(PM2・5)の環境基準を設定します。公害健康被害補償法を改正し、二酸化窒素や浮遊粒子状物質(SPM)、微粒子、ディーゼル排気微粒子を対象物質に追加するとともに、公害指定地域を再指定すべきです。
日本は世界でおきる地震の一割が集中するといわれる世界有数の地震国であり、火山帯がつらなる火山国です。この間のあいつぐ地震、火山、水害などの災害の経験から教訓をくみ取り、貧弱な監視・予防体制の抜本的な強化、災害に強いまちづくりの推進、個人補償・営業補償など被災者にたいする生活支援の強化をはじめ、災害への備えを抜本的に厚くすることが急務です。
三宅島や有珠山の噴火、鳥取県西部地震、東海豪雨災害、芸予地震など大規模災害が頻発しています。阪神・淡路大震災以来のこうした大規模災害にたいして、現行の被災者生活再建支援法は、大きな限界をもっています。この法律を実効あるものにするために、生活再建支援金の上限を現行の百万円から五百万円に引き上げ、住宅再建支援金(上限五百万円)を新設すべきです。中小企業の事業再建も支援対象とし、有珠山や三宅島噴火のような長期の避難生活の場合にも即座に支給し、住宅ローンの負担軽減を図るなどの改善をおこなうことが必要です。
測地学審議会が“要注意”としている三十七の活火山のうち、常時観測の体制をとっているのは、わずか二十にすぎません。活動のきざしをとらえ、災害を最小限にくいとめるためにも、すべての活火山に常時監視体制をとるべきです。また国の事業として災害予測図(ハザードマップ)がつくられているのは、十九火山だけです。住民の避難に役立てられるよう、残りの火山についてもただちにハザードマップの作成を急ぎます。
消防車両に対する人員の充足状況は九六年度時点で、七一・九%にすぎません。これでは大規模災害や、震災時の同時多発火災などには対応できません。防災計画を応急対策のマニュアルにわい小化するのでなく、被害想定で予想される被害を計画的に小さくし、無秩序な都市開発などによる災害の拡大要因を減らす総合的防災計画として見直します。防災計画にもとづき、被害の拡大をくいとめ、減らす観点から、職員や装備、車両の確保など消防力の整備をすすめることが必要です。
堤防や排水施設の強化、緑の保全による保水機能の涵養(かんよう)で水害対策をすすめ、地滑り地帯の防災工事を推進します。
阪神・淡路大震災の教訓の一つは、人命を守るためには、既存の建物の耐震性を強化することでした。政府は耐震診断を助成する制度をつくりましたが、民間の建物の補強自体については、ごく一部を除き所有者まかせで、各地の自治体が独自に助成制度をもうけているのが実情です。災害に強いまちづくりをすすめる観点から、既存の建物の耐震補強を促進するために、国のレベルでの助成制度を抜本的に拡充します。
多くの国際専門機関が、人口の増加、異常気象、農用地拡大の制約など、さまざまな要因によって、二十一世紀の食料不足を警告しています。ところが、日本の食料自給率は、四〇%まで低下し、日本の人口のうち七千六百万人分の食料を海外に依存せざるをえなくなっています。農業を立て直し、自給率を早期に五〇%に向上させることは国民的課題です。
農産物価格の暴落と水田面積の四割にまで達した減反の拡大(百六万ヘクタール)によって、大規模農家ほど深刻なダメージをうけています。緊急に米価の下支え対策をとり、義務がないにもかかわらず、年間七十数万トンもの外国産米を無理やり輸入することはやめ、すでに輸入した分については海外援助などに役立てるべきです。輸入急増による野菜の生産者価格の低下は深刻です。政府は、ようやくネギ、生シイタケ、イ草の三品目について、セーフガードの暫定発動を決めましたが、対象品目の拡大と本格発動への移行をもとめます。
日本の主食である米を「自由化」の対象からはずすとともに、生産拡大への助成措置を一律削減・禁止する条項の削除など、WTO農業協定の改正をもとめます。また、農業の多面的な機能を尊重し、食料の安全性を重視した農業貿易ルールにするため、WTO農業協定や衛生植物検疫措置協定の改正を世界に呼びかけます。
価格・所得保障……国内生産の拡大を保障するため、農業予算の五割を公共事業が占め、価格・所得対策はわずか二割台という世界的にみても異常な予算の使い方を是正し、価格・所得保障を農政の中心にすえます。二〇〇〇年産米では、農業予算の二%程度を米価対策に上乗せすれば、九八年産米の水準(六十キロ当たり全国平均一万八千五百円)にもどすことができたのです。農山漁村における農林漁業の国土・環境の保全に果たす機能を評価し、条件が不利な中山間地や半島・離島などの農林漁業への支援(直接支払い)をすすめます。
林業……森林は、木材供給とともに、国土・自然環境の保全、水資源の涵養、二酸化炭素の吸収など多面的機能をもっています。ところが、長期不況と外材輸入増大による木材価格の大暴落などで、国内林業は崩壊の危機に直面し、森林面積の四割を占める人工林の多くが、間伐もできない、伐採しても植林しないなど、急速に荒廃しています。
森林と林業の再生のために、国の取り組みを抜本的に強化しなければなりません。自民党政治の大規模林道やコンクリートダムに偏重した治山事業などを見直し、国産材の生産・流通対策費がわずか五%という林野庁予算をあらため、住宅建設や公共施設への国産材の利用対策や森林整備に重点的に配分していきます。森林の手入れのための間伐への助成と間伐材の有効利用をすすめます。
漁業……漁業は、農業とならんで食料を支える大きな柱です。ところが魚介類の自給率は、八五年の九六%から九九年には六五%にまで低下しています。水産資源の保存・管理を国の責任ですすめるとともに、海の生命の“ゆりかご”ともいうべき干潟や藻場をまもるため、諌早湾干拓のような大型公共事業を中止、見直し、漁場を回復させる対策をつよめます。価格暴落の原因である水産物の輸入急増に対し、セーフガードの発動を求めます。
食料の安全性は国民の健康上、最優先の問題です。大量に輸入している食料品の検査体制を抜本的に強化し、原産国に関する表示の徹底をはかります。口蹄疫(こうていえき)や狂牛病などの家畜伝染病に機敏に対処できるよう研究や対応策を強化します。
国民の多くが不安感をもっている遺伝子組み換え食品について、品目が限定され、しかも五%までは混入しても表示なしという表示制度をあらため、表示をより広範な品目で厳密にします。承認のための審査も食品添加物なみに強化し、とりわけ遺伝毒性や慢性毒性の検査を義務づけます。
郵政三事業(郵便、貯金、簡易保険)は、二〇〇三年から郵政公社にされようとしています。公社化で、国営・三事業一体という現在の骨格を引き継ぐとしていますが、郵便貯金の利子を銀行より低くすることや、信書の配達の一部を宅配業者などに開放するなど、「郵政事業の弱体化」がすすめられようとしています。
ところが小泉首相は、それでもあきたらず、あくまで民営化を主張しています。郵便貯金の民営化は、銀行業界の年来の主張にそって、銀行の競争相手である郵貯を「弱体化・解体」するというもので、「改革」どころか、あからさまな銀行応援政治です。
郵便貯金は、一千万円以下の小口預金だけを対象に、零細な国民の貯蓄をまもることを目的とした国営の事業です。銀行経営にとって、このような小口預金は、コストがかかる「重荷」となっており、銀行に預金口座を置いておくだけで手数料をとるという「口座維持手数料」の本格的導入もねらっています。こうしたサービスの切り捨てをやるには、「国民の零細な貯蓄をまもる」ことを大義名分とする郵貯が邪魔になる、というのです。
すでに米国では、小口の預金口座には、利子をつけるどころか、反対に「口座維持手数料」を徴収するのが当たり前になっています。日本でも、東京三菱銀行などが一部導入しており、ATMなどで「時間外」や「他行」の手数料をとるのが一般化しています。もし郵便貯金が「弱体化」「廃止」になれば、小口預金、国民大多数の預貯金へのサービス切り捨てがすすむことになります。地方や近所の金融窓口を確保する、という点でもたいへんです。近所に郵便局しか金融機関がないという所は過疎地だけではありません。とくに、銀行のリストラの中で、支店の閉鎖が今後も相次ぎ、ATMだけの無人化もすすんでいます。
ニュージーランドでは、郵貯を民営化した後に、地方都市の郵便局廃止が相次ぎ、お年よりが年金を受け取れないなどの問題が続出したため、ことし二月に国営の小口金融機関の復活を決めています。
郵貯の民営化=「弱体化・解体」に反対し、国民の貯蓄をまもります。
郵貯の「弱体化・解体」攻撃は、公的金融システムという「出口」の面からもつよまっています。これは、“郵貯があるから、役割が終わっている財投機関に資金が供給され、ムダな公共事業もなくならない”“むつ小川原開発、苫小牧東部開発などに、北東公庫(当時)から融資された財投資金は返済されない、郵貯の不良債権である”などというものです。
しかし、無駄な公共事業は、自民党政治がおこなっているものであって、決して郵貯が存在しているからではありません。“民間に任せた方が市場原理がはたらき、資金が有効なところにまわる”のだったら、民間銀行には不良債権など発生せず、金融政策などまったく不要ということになります。
銀行の貸し渋りが横行し、中小企業、住宅や福祉・医療施設などへの資金供給がますます必要になっているいま、公的金融の役割がいっそう高まっています。庶民の大切なお金を怪しげな「マネーゲーム」などで「自主運用」させるのではなく、国民の暮らし・営業の応援にまわすよう、真の財投改革をすすめます。また、財投機関の総点検をおこない、無駄な公共事業への融資を中止するとともに、融資資金の回収をはかります。政策投資銀行(旧開発銀行と旧北東公庫)などへの政府出資金を適正化し、国民生活向け財投機関への出資をふやして、低利で良質な資金を供給できるようにします。
信書など郵便事業を国営事業で一元的に運営してきたのには、(1)全国一律料金制が万国共通の大原則であり、日本中同じ料金だからこそ、切手を張ってポストに投函(とうかん)すれば配達する、という郵便事業が成り立つ、(2)信書の秘密、プライバシーの保護、という二つの大きな理由があります。
ところが、ここに新しい事業者が、コストがかからない部門や確実にもうかる部門に参入したら、その事業者は料金を安く設定できるため、全国一律のサービスを提供している事業(国営の郵便事業)は、成り立たなくなってしまいます。「いいとこどり」の参入と競争は、大口・大都市を優遇する一方、そのあおりで個人や小口、地方のサービスが切り捨てられることになります。
また、郵便事業を民間に開放すれば、プライバシーの侵害は、「郵便物の中身を読んでしまう」ということだけではありません。どこの家、どこの会社に、どんな郵便物がきているか、だれが差し出した郵便物がきているか、家庭や会社の経済状態はどうなっているか、などもわかってしまいます。
日本共産党は、国民にとって“百害あって一利なし”の郵便事業の民営化につよく反対し、全国一律料金の郵便事業を堅持します。
日本の女性は、職場でも家庭でも、地域でも農村でも大きな役割を担い、力を発揮しています。しかし、女性の賃金は男性の半分にすぎず、子育てや介護の責任も多くが女性に負わされています。憲法には男女平等がうたわれていますが、社会のあらゆる場で男女が平等とはいえません。
日本は平均寿命や教育水準、国民所得などの指数は百七十四カ国中九位です。ところが、女性の政治や経済活動での意思決定への参加、所得格差などの総合的な比較では四十一位(二○○○年「国連開発計画」の報告)で、サミット参加国の中でも最低です。
男女平等、女性の地位向上をすすめることは、女性の切実な願いです。人口の半数を占める女性の力が正当に評価されず、生かされないようでは、二十一世紀の日本社会の発展はありえません。日本共産党は、二十世紀に前進をみた女性の権利の尊重などの世界的な流れを二十一世紀にさらに広げるために力をつくします。
昨年、雇用労働者のなかで女性の比率がはじめて四割を超えました。女性労働者の役割と比重がますます大きくなっているのに、昇進・昇格でも、賃金でも、女性への差別的扱いは放置されています。男性の賃金にたいする女性の平均賃金は日本では四九・一%ですが、欧米諸国では、八割前後まで縮小しています。女子学生にたいするさまざまな採用差別、女性パート労働者の無権利状態も横行しています。
「同期に採用され、仕事の内容も男性と同じに働いてどうしてこんなに差別されるのか」やむにやまれぬ思いから是正をもとめ、裁判に訴えている女性もいます。女性労働者にたいする差別の解決は、すべての労働者の地位向上にかかわる大事な問題です。
男女雇用機会均等法の実効ある改正を……九七年の男女雇用機会均等法の改正とだきあわせに女子保護規定を撤廃したのは、「規制があるから平等に扱えない」というのが口実でした。にもかかわらず、差別は改善されていません。同一労働同一賃金を保障し、同期同年齢男性との同一昇格などの実現をはかります。均等法を改正し、事実上の差別をなくす措置をとります。調停委員会を差別是正の権限のある行政委員会に改組・強化し、委員会の構成は公益・労働者・使用者の三者構成とし、その二分の一を女性とします。
女性パート、派遣労働者の権利をまもる……パート労働者、派遣労働者の七割は女性です。深刻な不況のもとでの一方的な解雇、雇い止めを規制します。地域最低賃金の引き上げをはかるとともに、パート労働者に労基法など現行法の厳格な適用や最賃法違反の時給をなくすため、監督を強化します。正規労働者との平等な待遇を原則とする「パート、アルバイト労働者保護法」と、賃金、福利厚生施設の利用などの労働条件・待遇で派遣労働者への差別的扱いを禁止するなどの「派遣労働者保護法」を制定します。
農家・自営業者の家族労働を正当に評価する税制に……農業や商工自営業者の家族従業者の多くは女性ですが、その労働は、税制上、一般の給与所得者に比べても、不当に低い評価になっています。自家労賃を税制上きちんと評価します。
女性が一人の人格ある個人として尊重されることは当然です。暴力や性の退廃など、女性の人間としての尊厳をふみにじる深刻な実態を野放しにせず、解決をいそぎます。女性の生涯にわたる健康・権利(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)を保障するための総合的な対策も必要です。
民法を改正し夫婦別姓が選べるようにする……この間、野党共同で民法改正案を提案してきましたが自民党の反対で実現していません。憲法の「両性の平等」「個人の尊厳」の規定を真に実行させるうえでも、選択的夫婦別姓制度の導入や女性のみの再婚禁止期間の見直しなど民法の改正をおこないます。
女性への暴力をなくし、尊厳をまもる……今年の通常国会では日本共産党をふくむ超党派の取り組みで「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(DV=ドメスティック・バイオレンス防止法)が成立しましたが、まさに第一歩です。被害者の自立支援の充実や加害者である男性への対策など、さらに充実をはかります。セクシャルハラスメントにかんする事業主の防止義務、違反への罰則規定をもうけます。
サービス残業の野放しなど世界でも異常な長時間労働のもとで、子育てや介護などの家庭の責任の多くは女性の肩にかかっています。男女がともに子育てに責任を果たせるようにするためには、労働時間の短縮など労働条件、労働環境を抜本的に改善することが必要です。
残業、休日労働、深夜業を男女とも規制する……厚生労働省がだしたサービス残業をやめさせる「通達」を徹底し、その解消をはかるとともに、残業を男女とも年間百五十時間以内に制限します。子育て中の男女労働者が、残業や深夜業の免除を請求できるようにし、変則勤務や単身赴任なども規制します。
育児・介護休業制度を利用しやすい制度に改善する……出産した女性労働者で育児休暇をとったのは半数にすぎません。どんな職場でも、女性も男性も利用しやすい制度に充実させることが急がれます。休業中の所得保障の六割への引き上げ、代替要員の確保のための中小企業にたいする国の助成の拡充、看病や授業参観などで休める「子ども休暇」の創設、パート労働者への適用など制度の改善をすすめます。
保育・学童保育を拡充する……いま保育園に入れない「待機児」が五万人もいます。公立保育所の増設、保育士の確保、無認可保育所にたいする補助と指導の充実など、国と自治体の責任で「保育所整備計画」をつくり、希望するすべての子どもに保育を保障します。国と自治体の公費負担を増やして、高い保育料を引き下げ、父母負担の軽減をはかります。
学童保育を一小学校区に一カ所以上つくり、施設と指導員の確保、拡充ができる十分な補助金を保障します。
日本も批准している女性差別撤廃条約やILO一五六号条約(家族的責任をもつ男女労働者の権利保障条約)の内容を真に生かし、政府の「男女共同参画基本計画」の充実をはかります。女性差別撤廃条約選択議定書、ILOの母性保護条約、パートタイム労働に関する条約(第一七五号)などを批准し、日本の女性の地位を国際的水準に高めます。国際的にも立ち遅れている女性の政治参加をすすめ、審議会をはじめ意思決定機関への女性の登用をはかります。
青年の自立は、青年自身の問題であるとともに、社会の健全な発展にも大切です。ところが、日本社会の現実は、青年に安定した仕事がない、大学進学には親の重い負担と援助が不可欠、十八歳選挙権でも世界の大勢から立ち遅れているなど、青年の自立に多くの障害をつくってしまっています。この克服は、政治に課せられた大きな責任です。
大卒者の就職率は五五%、高卒求人数は十年前の八割減など、きびしい就職難が続き、青年の失業率は約一〇%と全世代の二倍になっています。定職がなく、アルバイトなどで暮らしをつなぐ「フリーター」は、働く青年の五人に一人にまで急増しています。その平均月収はわずか十二万円程度、多くが年金、健康保険などの社会保険にも未加入という、自立した生計を営むのは困難な状態に置かれています。
こうした事態は日本の企業、産業の将来にとっても重大です。長期の新規採用削減で、労働者の年齢構成が「逆ピラミッド型」になったり、若い世代の不安定就労の増大は、仕事や技術が受け継がれない、という深刻な問題をもたらしています。十年後、二十年後の企業や産業はどうなってしまうのでしょうか。こんな未来のないリストラ経営から、日本企業がぬけだすこと、そのために政治が役割を発揮することが必要です。
ところが自民党と公明党の政府は、自らの責任を棚上げして、青年失業の増大は「若者の職業意識が不十分だから」(森前首相 参議院本会議)、フリーターの急増も「経済的豊かさの影響」(『労働白書』)などといっています。
日本共産党は、二月十三日に青年雇用政策「深刻な就職難を解決し、青年に働きがいのある仕事と、安心して働ける権利を保障するために」を提案しました。日本経済と日本社会は、ほんとうは若い力を大いに必要としています。サービス残業を根絶し、残業を減らすなどの労働時間短縮をすすめれば、新たに二百六十万人もの雇用が生み出されることになります。教育や福祉、消防などの分野でも、百万人以上の人手を必要としています。この実現に全力をあげます。
私立大学の学費(初年度納付金)は百二十八万円、国立大学でも七十七万三千八百円となり、一九七五年と比べると、国立大学が九倍、私立大学が四・六倍にもなってしまいました。十八〜二十代前半の「子ども」を大学に行かせるために親が長期のローンを組むという日本の現状は、学生になると奨学金などで経済的にも自立していく欧米では、信じられないような事態です。
ヨーロッパでは、大学の学費は基本的に無料で、最近、学費を導入したイギリスでも上限が千ポンド(約十八万円)です。アメリカでも、学生の六割が通う州立大学の学費は平均二千八百ドル(約三十五万円)です。大学など高等教育にかかる費用を、ヨーロッパ諸国はほぼ九割、アメリカでも半分以上を公費でまかなっていますが、日本は四割にもなりません。そのうえ日本の奨学金制度は、質、量ともに先進国での最低のレベルです。自民党政治の教育予算がいかに貧困なものであるかは明白です。
国際人権規約は、大学の学費を漸進的に無償にするとしています。この世界の流れに反して、政府は、国立大学の学費を十五年連続で値上げしてきました。これをあらため学費の値下げへと転換します。希望者全員に無利子の奨学金を支給するとともに、給付制の奨学金も導入します。これらは憲法・教育基本法が保障する教育の機会均等からも当然ですし、日本の科学・技術の将来や人材の育成を、まともに考えるなら、先進国の中で最低、最悪の大学教育予算の大幅増額と、負担の軽減を国政上の重要課題と位置づけるべきです。
選挙権の問題でも、日本は世界から大きく立ち遅れています。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどは、一九六〇〜七〇年代に選挙権を十八歳に引き下げ、すでに、世界で百五十カ国以上が十八歳選挙権(一部でそれ以下)となっています。二十歳または二十一歳という国は、二十一カ国にすぎません。
日本共産党は、長年にわたって十八歳選挙権の実現をもとめつづけてきましたが、青年の権利と自立という面からも避けることのできない問題になっています。
文化・学術の発展は、豊かな人間性をはぐくみ、社会の進歩に欠かせないものです。日本国憲法は、文化・学術にかかわって、幸福追求権(第一三条)、思想・表現の自由(一九・二一条)、学問の自由(二三条)、文化的に生活する権利(二五条)などの規定をもっています。この精神をまもり生かして、文化・学術が豊かに花ひらく社会をめざします。
「残業、残業で観劇の時間などない」「この不景気で高いチケットに手が出ない」――長引く不況は国民をますます文化から遠ざけています。芸術家も、「芸術活動だけの収入」で成りたっているのは、わずか一五・六%です(文化庁調査)。専門家の多くが、赤字に頭を痛め、アルバイトに頼らざるをえない状況になっています。文化を自由に創造し、享受する条件を整えることは、政治の責任です。文化は「市場原理」だけにまかせられない分野であり、公的支援を中心に民間の協力もえて、経済的に支えることで多様な発展が保障されます。ところが、自民党政治は、長年、文化に冷たい政治を続けてきました。国の予算に占める文化庁予算の割合はわずか〇・一%で、イギリスの四分の一、フランスの十分の一にすぎません。文化を国民の権利として大事にする政治へきりかえます。
そのために、だれもが安心して創造活動に参加できるよう、公的助成の大幅な拡充と、専門家の社会的地位の向上をはかります。芸術文化振興基金による助成は、超低金利政策のもとで利子収入が減ったため、最高時の三分の一まで落ち込み、しかも、公演事業の赤字補てんが中心となっています。文化の創造活動には、発表以前の調査・研究や練習に大きなエネルギーがつぎ込まれていることをふまえ、そうした日常の運営経費への助成に力点をおき、助成額をふやします。映画、演劇などの後継者を養成する公的教育機関の設立をめざします。
同時に、すべての国民が気軽に文化を楽しむことができるよう、高すぎるチケット代に国や自治体が補助することや、文化施設の低料金化と利用時間の延長など、利用者本位にたった改善をすすめます。日本の文化を支えてきた自主的な文化活動への援助を強めます。子どもたちがすぐれた文化に接する機会をふやします。
こうした支援を実現するため、文化庁予算をヨーロッパなみに拡充することをめざし、当面二倍にします。文化活動にたいする個人や企業の寄付について優遇措置をもうけるなど、文化分野にふさわしい税制面での支援を充実します。
文化にかんする国の施策の基本的な理念や枠組みを示す基本法の制定をもとめる機運が高まっています。「文化貧国」の現状を打開し、抜本的、継続的な文化支援をおこなうために「文化振興基本法」(仮称)の制定にふみきるときです。その柱として、世界人権宣言や国際人権規約などの国際的な流れと日本国憲法の精神をふまえ、国民の文化的権利とそれを実現するうえでの国や地方自治体の責任を明記し、創造・表現の自由と文化活動の自主性の尊重をうたいます。また、専門家の役割にふさわしい社会的地位や、国民の文化的生活への参加を具体的に保障すること、財源の裏づけをもった基本計画の策定を国に義務づけ、文化政策の立案と実施への国民・関係者の意見の反映をはかることなどを盛り込みます。
学術研究の積極的な振興をはかり、多様な特性をもつ各分野のつりあいのとれた発展を保障することは、国の重要な責務です。ところが、研究開発費に占める基礎研究費の割合が一三%程度にとどまるなど、基礎科学の振興は軽視されてきました。今年度から政府がすすめる新たな「科学技術基本計画」でも、国家的要請の強い研究への重点投資や産業への応用策に偏重しています。基礎科学の豊かな発展を保障するために、科学技術予算の配分を見直し、人文・社会科学を含め、基礎研究への支援を土台にすえます。大学・研究機関の経常的な研究費の大幅な増額や、研究支援者の増員をすすめます。
国の学術振興策は、政府機関である総合科学技術会議だけでなく、科学者の代表機関である日本学術会議の意見を尊重しつつ、国会審議をへて決めるべきです。
わが国の学術の中心である大学の教育・研究機能を強めることは、社会の豊かな発展にとって不可欠の課題であり、ユネスコの世界高等教育会議が採択した「二十一世紀の高等教育宣言」(一九九八年)にも示されている世界的な流れです。ところが政府が検討している国立大学の独立行政法人化は、「効率化」の名のもとに、大学の予算と教職員を削減し、大学を政府の強い監督と関与の下におくという、教育・研究とは相いれないものであり、学術の衰退をもたらします。また、小泉首相がいう「国立大学の民営化」は、国が本来負うべき学術と高等教育にたいする責任を放棄するものです。
いま政府がなすべきことは、国立大学の独立行政法人化や民営化ではなく、国民の高等教育への期待にこたえる方向での各大学の自主的創造的な改革を支援することです。わが国の高等教育予算は、国内総生産(GDP)の〇・五%におさえられ、欧米諸国の半分以下にすぎません。予算を抜本的に増額し、国公私立にわたる教育・研究全体の豊かな発展の条件を充実させます。そして、スペース不足で新しい機器も導入できないなど、狭く老朽な国立大学の施設を抜本的に改修・整備し、私立大学への経常費助成を大幅に増額します。
文部科学省は、大学への予算配分権を利用して大学運営への関与を強め、大学の自主性や創造性を損なっています。大学の自治を尊重し、政府のゆきすぎた関与をあらためさせます。
自民党政治は、スポーツ予算を低くおさえる一方、スポーツをギャンブル化する「サッカーくじ」を導入するなど、スポーツをゆがめ、その発展の障害となってきました。これをただし、だれもがスポーツに親しめ、競技能力の向上をはかれるスポーツ振興に力をそそぎます。
身近で使いやすいスポーツ施設を拡充するため、施設の運営費まで利用者に負担させる使用料値上げにストップをかけ、車いすでも使えるバリアフリー化や全国十万人のスポーツ指導者の協力と参加によるサービス向上などをすすめます。企業チームの一方的な休・廃部や選手の解雇は、競技水準を停滞させ、選手の人権をおびやかしています。これに歯どめをかけ、ケガ・故障への労災保険の適用、選手の肖像権の確立、スポーツ科学の発展とその成果の活用などで、選手・コーチが安心して競技に専念できる環境づくりにつとめます。
「サッカーくじ」の収益金にたよる「スポーツ振興基本計画」(文部科学省)では実効あるものになりません。スポーツを国民の権利として保障し、国の責任と財源の裏づけをもつ基本計画の策定を定めた「スポーツ振興基本法」(仮称)を制定します。
保健・医療・福祉、社会教育、文化・芸術、環境保全などの分野で、NPO(民間非営利組織)の活動が注目されています。これらの運動に自発的に参加して、社会のことを考え、貢献したいという市民運動の潮流が各地で発展していくことは、日本社会の進歩にとって、積極的な意味をもつものです。
特定非営利活動促進法(NPO法)が制定されてから二年半になり、すでに四千をこえる団体が法人格を取得していますが、NPO法は、NPO団体にとって使い勝手が悪いものとなっています。また、今国会で制定されたNPO税制も、不十分なものにとどまっています。NPO活動の発展のために、次のような措置を講じます。
現行のNPO法では、NPOの認証の対象を十二の分野に限定しており、これに該当しない分野の市民団体がNPOの認証を受けにくくなっています。この十二分野に、(1)情報の伝達・普及を図る活動、(2)科学技術および学術の推進を図る活動、(3)産業・流通の振興を図る活動、(4)消費者の保護を図る活動――の四分野を追加します。
申請のために必要とされる書類を最小限のものに簡素化して負担を軽減するとともに、現行は二カ月となっている審査期間を一カ月に短縮するなど、法人の設立の審査を迅速化します。
今年十月から実施される予定のNPOへの優遇税制は、個人や法人がNPOに寄付する場合に、一定の範囲で寄付金控除や損金算入を認め、所得税や法人税を軽減するものです。また相続財産を寄付した場合には、相続税の課税価格に算入しないことになっています。これ自体は前進ですが、NPO団体の実態と要望にてらせば、きわめて不十分です。
NPO法人の収益事業(NPO本来の目的以外の、資金確保のためにおこなう事業)には、通常の営利企業と同じ税率の法人税がかかります。これを、公益法人と同様の税率に引き下げます。収益事業から得た所得をNPO法人の本来事業に支出した場合は、その五〇%までは損金算入を認めて非課税とします。福祉を目的とするNPO法人が本来事業としておこなう福祉事業にたいする課税は、社会福祉法人に準じて非課税とします。
個人のNPO法人への寄付については、一万円以下の少額の寄付も控除対象にするとともに、所得控除方式と税額控除方式の選択制とするなど、内容を拡充します。法人からの寄付についても、従来の寄付金枠とは別枠にするなどの拡充をはかります。
現行法では、優遇税制を受けるためには、国税庁長官の認定が必要ですが、会員に関する事項など、税制面以外の内容も国税庁の認定要件となり、NPO法人の自由な活動がさまたげられないか心配されています。優遇税制を受けられるNPO法人の認定は、一年以上の活動実績、本来事業への支出が七五%以上であること、法人と役員との間での私的取引がないことなどを要件とし、国税庁ではなく、新設する独立した行政委員会がおこなうようにします。
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