2001年6月1日「しんぶん赤旗」で発表

環境

環境保全と両立できる経済社会に

第19回参議院選挙にあたっての日本共産党の各分野の政策


 世界第二位の経済規模を誇り、大量の資源や製品の輸出入、企業の海外進出も盛んで、国の内外でおう盛な生産活動を展開している日本は、地球環境の保全にとって、決定的な影響力をもっています。

京都議定書をただちに批准し、地球の温暖化防止でイニシアチブを発揮する

 今年一月、新たに公表された「温暖化の予測」によって、一段と深刻な状況があきらかになったにもかかわらず、米ブッシュ政権は、温暖化ガスの削減目標を定めた京都議定書にたいして不支持を表明しました。この議定書は、温暖化ガスの排出権取引など、削減目標を実質的に後退させる仕組みをアメリカ自身の強い要求で取り入れたものですが、それでも温暖化ガス削減を一歩前にすすめるものです。日本は京都議定書を取りまとめた国際会議の開催国・議長国として、きぜんとした態度でアメリカに批准をもとめ、みずからも早期に議定書を批准すべきです。

 日本政府も、森林吸収や原発に頼る方式に固執せず、省エネの徹底と再生可能エネルギーの利用拡大に重きをおくやり方に転換すべきです。

生活環境の安全を確保し、資源循環型社会の実現をめざす

 ダイオキシンなど有害物質による環境破壊・汚染の防止をすすめる……ダイオキシンをはじめ、人体に害を及ぼすとみられている環境ホルモンの研究と、除去・無害化を含めた対策に本格的に取り組みます。ダイオキシン発生の原因となる製品などの生産抑制と代替素材の開発、メーカーが責任をもって回収するシステムづくりをすすめます。地球のオゾン層破壊と温暖化を促進するフロンについては、回収・分解を義務づける法律を制定し、メーカーの責任と負担を明確にします。

 リサイクルへのメーカーの責任を明確にし、引き取りを義務づける……今年四月から実施された家電リサイクル事業は、処理手数料と輸送費を消費者に排出時に一方的に負担させる仕組みです。これをあらため、メーカーの責任で引き取り、リサイクルをおこなうよう義務づけます。消費者にリサイクル費用の一部の負担を求める場合には、販売時にすべきです。その費用の使途について、徹底した情報公開をするのは当然です。リサイクルの対象をコンピューターや自動車にも広げます。EUで実績をあげ、OECDでも重視されている拡大生産者責任制度の立場にたって、メーカーのリサイクルや廃品回収の義務づけを強化します。

大気汚染など自動車公害をなくすための取り組みを強め、被害者の救済に努める

 幹線道路のそばで暮らす住民が、環境基準を超える大気汚染物質に常にさらされ、激しい気管支ぜんそくの発作や肺がんなどで、長年にわたって命と健康をおびやかされるような事態を、一日も早くなくさなければなりません。

 窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)、ベンゼン類を大幅に削減するために、自動車NOx削減法を改正し、事業者にたいして、使用する自動車からの大気汚染物質の排出総量を規制したり、ディーゼル排気微粒子(DEP)の除去装置の装着を期限を決めて義務づけます。地域で実情にそくした対策がとれるよう、地方自治体の権限を強化し、条例で総量削減計画や特定自動車の排出基準、自動車使用管理計画に関して、特別の規制ができるようにします。自動車排ガス削減と低公害車の普及を促進するため、自動車メーカーにたいして、車両区分ごとの排出ガス総量規制や、低公害車の販売を義務づけます。また、ディーゼル車も、ガソリン車と同等の排出規制を実施することが必要です。

 住民の健康をまもり生活環境を保全するため、沿道の測定データや健康影響データなどの情報を充実し、全面的に公開するとともに、ディーゼル排気微粒子の調査・研究を急ぎ、早急に微粒子(PM2・5)の環境基準を設定します。公害健康被害補償法を改正し、二酸化窒素や浮遊粒子状物質(SPM)、微粒子、ディーゼル排気微粒子を対象物質に追加するとともに、公害指定地域を再指定すべきです。


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