住民投票法案大綱について

2000年11月15日 日本共産党


 建設省がすすめる吉野川可動堰(かどうぜき)計画に対し、徳島市民は、住民投票で反対の意思を表明し、国がすすめる大型公共事業のあり方に、大きな影響を与えました。住民投票は、新潟県巻町の原発建設反対、岐阜県御嵩町や宮崎県小林市等での産業廃棄物処理場建設反対、沖縄県での米軍基地の是非を問う問題など、全国各地に広がり、国政をゆるがす大きな動きになっています。このような、住民みずからの意思を直接投票という形で示す運動の広がりは、住民の切実な意思と要求を直接地方政治に反映するうえで意義深いものです。同時に、地方自治の新しい発展として注目すべきことです。

 現状では、住民投票条例が制定されなければ、投票は実施できません。そのため、地域や住民生活に重大な影響を及ぼす問題について、住民が意思を表明する機会を安定的、普遍的に保障するための住民投票制度の制定が、いま強く求められています。

 日本共産党は、これまで、住民投票の実現のために、各界のみなさんと力を合わせ取り組んできましたが、いま、法制化の実現が必要であると実感しています。そのため、日本共産党として法案大綱を作成しました。ぜひ各方面からのご意見をいただき、法制化の実現にむけて努力してまいりたいと考えます。

 法案大綱

 一、目的

 住民投票制度を設けることにより、地方公共団体(普通地方公共団体、特別区、広域連合)にかかわる事項に住民の意思をより的確に反映できるようにし、もって地方自治の発展と住民の福祉の増進に資することを目的とする。

 二、住民投票実施の請求

 投票資格者(注)は、地方公共団体にかかわる事項(将来において当該地方公共団体に重大な影響を及ぼすおそれのある事項を含む)又は当該地方公共団体の区域内の住民の生活に重大な影響を及ぼす事項について、次に掲げる数以上の投票資格者の連署をもって、住民投票の実施を請求することができる。

 1、投票資格者数が五十万以下の部分についてはその百分の二十

 2、投票資格者数が五十万を超え百万以下の部分についてはその百分の十五

 3、投票資格者数が百万を超える部分についてはその百分の十

 ()投票資格者
  当該地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(広域連合にあっては当該広域連合を組織する普通地方公共団体、特別区の議会の議員及び長の選挙権を有する者で当該広域連合の区域内に住所を有する者)。条例で、それ以外の者を投票資格者とすることができる。

 三、住民投票の実施

 地方公共団体の長は、住民投票管理委員会を設置しなければならない。二の請求があった場合には、地方公共団体の長は住民投票管理委員会に通知する。住民投票管理委員会は、通知から六十日以上九十日以内に、当該事項について住民投票に付さなければならない。

 四、住民投票の結果とその処置

 当該地方公共団体の議会及び長は、住民投票の結果を尊重しなければならない。

 賛否いずれか過半数の結果が投票資格者総数の三分の一以上に達したときは、当該地方公共団体の長その他の機関は、住民投票の結果に反する措置をしてはならない。

 


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