「男女共同参画社会基本法案」修正(案)要綱の発表にあたって

「男女共同参画社会基本法」で修正案

日本共産党が要綱を発表 母性保護規定の追加など明記

1999年4月29日「しんぶん赤旗」


 日本共産党の吉川春子、阿部幸代、井上美代各参院議員、瀬古由起子衆院議員は四月二十八日、国会内で記者会見し、「男女共同参画社会基本法案」にたいする日本共産党の修正案要綱を発表しました。政府案が審議される参院総務委員の阿部議員は、会見後、各党に修正案要綱を説明、協力を要請しました。

 吉川議員は、記者会見で、「政府案は政策決定過程への女性の参加拡大を中心にしているが、これだけでは男女平等、人権が保障される社会を求める国民の声にこたえるものとしては不十分」だと指摘しました。

 吉川議員は、とくに「雇用労働現場での昇進・昇格差別や、家族を無視した配転・単身赴任の強要、サービス残業を放置し、男女が家族的責任を担えないままでは、『男女共同参画』も実現しない」と強調。修正案は国民の期待にこたえ、より積極的なものとするためのものだとして、そのポイントを説明しました。

 男女平等の理念を明記し、人間社会の存続にとって欠かすことのできない母性保護規定を追加し、雇用機会の確保、労働時間の短縮、家族的責任との両立など企業責任を明記することなどが特徴です。




「男女共同参画社会基本法案」修正(案)要綱の発表にあたって

1999年4月28日 日本共産党国会議員団

 政府は、政策・方針決定過程への参加拡大を中心的内容とした、「男女共同参画社会基本法案」を国会に提出しました。

 政策・方針決定過程などへの女性の参加を拡大することは当然ですが、これだけでは男女平等や人権が尊重される社会を、という国民の声にこたえるものとしては不十分です。雇用労働現場での昇進・昇格差別、家族を無視した配転・単身赴任の強要、サービス残業などを放置して男女が家族的責任を担えないままでは「男女共同参画」は実現できないからです。

 政府自身もかつては、憲法が保障する一切の国民的権利を女性が男性と等しく享受し、かつ、国民生活のあらゆる領域に男女両性が共に参加、貢献する事を可能にする社会環境を形成することを全体的目標にすると述べていました(一九七七年・婦人問題企画推進本部「国内行動計画」)。

 そこで政府案を国民の期待にこたえ、より積極的なものとするため、以下の修正案を提案します。

「男女共同参画社会基本法案」に対する修正案要綱骨子

一 法律の名称を「男女共同参画促進法」に改めます

 社会のあらゆる分野への男女共同参画をより積極的に促進するため、名称も「男女共同参画促進法」とします。

二 憲法及び「女性差別撤廃条約」などの男女平等の理念を明記します

 男女格差や女性差別が根強く残っている現状では、男女共同参画を促進するためには、憲法及び「女性差別撤廃条約」などの男女平等の理念を明確にすることが重要です。政府案は「社会経済情勢の変化に対応」するために男女共同参画が必要としていますが、男女の人権の尊重はいかなる社会経済情勢にあっても促進すべき普遍的課題であり、この規定は削除します。

三 男女差別の禁止を明確にします

 男女共同参画を進めるためには性別による差別の禁止とともに、コース別人事管理など性別以外の名目によるものであっても、事実上の男女差別となっているものも含めて禁止することが必要です。

四 母性保護規定を追加します

 母性は社会的機能であり、その保護は人間社会の存続にとって欠かすことの出来ない基本的条件であり、権利であることを明記します。

五 企業責任を明記します

 賃金格差など女性への差別が最も強く残っているのが雇用の現場です。これを放置したままでは男女共同参画はあり得ません。雇用機会の確保、労働時間の短縮、家族的責任との両立など企業の責任を明確にします。

六 男女共同参画の促進に関し、苦情の処理および救済を行うための機関(オンブズパースン)の設置について法的整備をします。

 苦情の処理や、差別をうけている被害者を救済するためには、既存の行政機関の活用だけでなく、独立した機関であり、行政を監視し、苦情を処理する機関(オンブズパースン)の設置が必要です。


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