「経済財政運営の基本方針」
(骨太の方針)について

2001年6月21日

日本共産党政策委員長 筆坂秀世


一、本日、政府の経済財政諮問会議が、「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」を決定した。しかし、ここには、いまの深刻な不況を打開する対策も、国民の暮らしや福祉を向上させる策もなく、あるのは、「倒産・失業」、「社会保障改悪」、「大増税」という、耐えがたい“三つの痛み”を国民に押しつける計画だけである。

一、「基本方針」は、「不良債権の早期最終処理」を強調している。しかし、いま「不良債権」とされているのは、懸命に働きながらも、この長期不況のもとで経営が悪化している中小企業である。この大不況をつくった自民党政治の犠牲者である。これを「最終処理」するということは、融資を打ち切り、担保を回収するということであり、多数の企業を倒産に追い込むことである。「骨太方針」は、これを「創造的破壊」などといっているが、はっきりしているのは「破壊」だけであり、政府部内からさえ、「こんなことをやれば経済はますます悪化する」という危惧の声があがっているのも当然である。

一、また、社会保障についても、今後は「給付は厚く、負担は軽く」というわけにはいかないとして、国の責任を放棄して「自助と自律」を強調し、医療費などのいっそうの国民負担増をうちだしている。これでは、社会保障制度への信頼を根底からゆるがせ、国民の将来不安をいっそう増大させるだけであり、まったく展望のないやり方だといわなければならない。

一、さらに重大なことは、「課税ベースをできるだけ広くとる」などとして、消費税増税のレールを敷いていることである。これは、二〜三年後には「消費税の増税も視野に入れて」とか、消費税率は「最低でも一四%にしなければならない」とする小泉内閣の閣僚発言とも軌を一にするものである。“第二消費税”とされ中小企業に大打撃となる外形標準課税の導入を明記したことも重大である。

一、このような耐えがたい痛みを国民におしつける小泉内閣の「構造改革」を実行すれば、深刻な危機にある日本経済に壊滅的な打撃を与えてしまう。いまやるべきは、長期不況で痛めつけられた国民の暮らしをささえ、応援する経済対策である。日本共産党は、(1)消費税減税など、国民の購買力を直接あたためる、(2)社会保障の連続改悪を凍結し、将来に安心のもてる体系をつくる、(3)雇用危機打開に本格的にとりくむ、という三つの転換を提案しているが、国民の暮らしを立て直してこそ、日本経済の再生への道が開けるのであり、その実現のために全力をつくすものである。


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