2001年11月24日(土)「しんぶん赤旗」

負けてたまるか リストラの職場で

退職拒めば「ごみ拾い」

松下電器・茨木の工場

「変身大学」で強要

党支部が告発、労組も是正申し入れ



松下電器(本社・大阪府門真市、四万五千人)は、「早期退職」の名で八千人ともいわれる人減らしをすすめていますが、社内に「変身大学」を設け、労働者に退職を強要しています。工場でゴミ拾いをさせるなどの人権侵害のいやがらせをしているもので、労働者は「ひどすぎる」と立ち上がっています。

 関西総局 岡清彦記者


「変身大学」は広告塔の建屋の1階にあります=大阪府茨木市の松下電器の工場

 大阪府茨木市松下町に広がる工場(約三千人)。広告塔の建屋の一階に「変身大学」と呼ばれる会議室があります。

 人事直轄の人材活用センターに設けられ、早期退職に応じない四十代から五十代の労働者を集め、“変身”させようというものです。

 Aさんも対象の一人で、ビニール袋を持って工場内の“落ち葉集め”を強要されました。松下の「綱領・七精神」の暗記など能力アップとはほど遠い内容です。「早期退職に応じないか」と面談をつづけています。

 松下は、「IT(情報技術)不況で売り上げが落ち赤字になった」として九月から勤続十年以上で五十八歳以下の労働者を対象に早期退職募集を始めました。

 茨木の工場でも、小さな子どもがいる女性に「茨木には仕事がなくなった。宇都宮(栃木県)の工場へいけるか」と事実上の退職を迫りました。ほかの労働者にも「仕事がなくなる。『変身大学』へいくか、会社を辞めるか」「パソコン、英会話についていけるか」「十一月までの応募期間がすぎたら上乗せはない」などと退職を迫りました。なかには十一回の面談を受けた労働者もいます。

 茨木の工場は、同社のテレビ生産の最大の工場でした。宇都宮やマレーシア、中国などに生産を移管、プラズマテレビの生産だけになりました。激しい退職強要は、企業の「空洞化」が背景にあります。

 日本共産党松下テレビ支部は、職場新聞「働く仲間」を工場門前で配布。「みんなでむちゃなやり方をやめさせよう」「退職強要・『変身大学』のいじめやめよ」と、たたかいをよびかけています。

 「変身大学」へ入れられた労働者や宇都宮への転勤を強要された女性労働者は、松下電器労組(電機連合加盟)支部へ訴えました。組合は「早期退職制度の趣旨から逸脱している」と会社に申し入れ、一時、面談が中止になりました。

 「人事との一対一の面談がなくなってほっとした」という喜びの声や「退職を断ったよ」とVサインをする労働者などが生まれるなど反撃が始まっています。


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