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2007年2月24日「しんぶん赤旗」

対談

すべてのパートに均等待遇を

日本共産党高橋千鶴子さん/全労連政策局長井筒百子さん


パート労働法どんな改正が必要

 政府が再チャレンジ支援策の柱の一つにしているパート労働法の改正法案が、国会に提出されています。パートの待遇は改善されるのか? どんな改正が必要なのか? 日本共産党衆議院議員の高橋千鶴子さん(衆院厚生労働委員)と、全労連(全国労働組合総連合)政策局長の井筒百子さん(パート・臨時労組連絡会事務局長)が話し合いました。

抜け道いっぱいの「差別禁止」

パート店長やサービス残業も

 高橋 今国会では格差と貧困が問題になっていますが、安倍政権の目玉として出されているのがパート労働法と最低賃金法の改正です。非正規労働者は三人に一人で、とくに青年と女性は二人に一人。まがりなりにも、政府も乗り出さなければならなくなったのは世論の反映ですね。

 井筒 パート労働法が施行されて十四年ですが、格差は広がっていますから。パートは職場で基幹的な役割を果たしているのに、賃金は低いままです。

 高橋 全労連がパート労働法改正に向けてとりくんだ「パートのひとこと」集(左nの別項参照)を拝見しました。短期契約を繰り返しながら十年も二十年も働き、職場ではベテランで頼りにされ、責任ある部署を任されているのに、賃金は正社員の三分の一で、手当もない、というような声がたくさん寄せられていますね。

 井筒 商業サービス関係ではパート店長もいます。正規の人が減らされてきて、パート中心で職場が回っているんですね。パートでもサービス残業をしている人が意外と多いんです。

「正社員と同じ 仕事」が6割に

 高橋 先日、仙台で開かれた青年雇用のシンポジウムで、外食チェーン店で働く女性のパート店長が報告していました。職場がきついから店員さんが次から次とやめていく。その穴はすぐ埋められない。結局自分がかぶって一日十八時間、連続二週間で働いたって。それを会社に申告したら、そんなに働けるはずないという扱いをされたと。

 井筒 本当に、すさまじいですね。

 高橋 衆議院の調査室がまとめた『格差問題に関する資料』を見ると、「正社員とほとんど同じ仕事をしている非正社員」が「いる」と答えた事業所が、六割もありますよ。

 井筒 全労連調査では、正社員と同じ仕事をしているパートなどの六割が、格差が「大きい」と答えています。複数の仕事をかけもちするダブルワークの人は一割もいます。非正規で働く理由のトップは「正規の仕事がないから」です。

ほとんどの人が救済されない

 高橋 パート労働法改正法案の最大の売りは、均等待遇つまり「差別的扱いの禁止」です。柳沢厚生労働大臣は対象になる人はパートの4〜5%と国会答弁しました。だけど私が厚労省の担当者に聞いたら「1%未満」と話していました。大臣の数字に根拠はないと思います。差別禁止の対象は条件が多すぎますから。

 井筒 法案では三つの条件をすべてクリアしなければいけない。第一は業務の内容や責任、職務の内容が通常の労働者と同じこと。第二は期間の定めのない労働契約、これは反復更新を含みます。第三は退職まで通常の労働者と同様の頻度で配転・転勤などの職務の変更が見込まれること。

 高橋 どんなパートか、イメージできますか。

 井筒 パート店長がいる職場の人たちでも、これに該当する人はいないといっています。正規がやっている仕事でパート店長にはさせない仕事を、使用者は必ずつくっていますからね。

 高橋 ほとんどの人が救済されないですよね。

正規と非正規の連帯を大切に

最低賃金も低すぎる日本

 井筒 正社員との違いをちょっと作れば同じ待遇にしなくてもいいわけです。特にパートは三カ月や一年などの有期雇用の契約を更新して働くことが多いですが、使用者が更新しないといえば、対象になりません。事業所に同じ仕事をする正社員がいない場合も対象外です。いくらでも抜け道があるわけです。

 高橋 「均衡処遇」といって、教育訓練や福利厚生などをやるといっていますが、実効性も含め「均等待遇」ではないですね。

 井筒 ええ。どこから変える必要があるかというと賃金です。例えばパートの看護師さんが多いですが、正規と同じ仕事なのに、時間給は相当低い。同じ仕事をしているなら時間当たりの賃金は同じにすべきだという均等待遇の原則を打ち立てる必要があります。

 高橋 パートは、働く時間が短いという以外は普通の労働者と変わりないということは、ILO(国際労働機関)パートタイム労働条約(一七五号条約、一九九四年採択)も定義しています。日本は未批准だけれど、EU(欧州連合)は、条約にそって九七年に指令を出し各国に改善を求めています。均等待遇原則は国際基準として広がっていますね。

 井筒 有期雇用契約も、ILO勧告(一六六号)やヨーロッパ諸国は限定的にしか使えないようにしています。ところが日本は歯止めがなく雇用の調整弁として使われています。日本は最低賃金も低すぎます。日本の大企業は、賃金・労働条件を低く抑えて大もうけしている。日本企業の働かせ方は世界から見ても異常ですね。

 高橋 日本共産党は七〇年代から国会でパートや有期雇用労働者の差別是正を求め、その後も独自の立法提案をしてきました。先の衆院予算委員会では、志位委員長が最低賃金の大幅引き上げを求めました。日本の最低賃金は平均的所得の32%ですが、ヨーロッパ諸国は40〜50%台です。日本は過労死ラインの三千時間働いても、年収二百万円にしかならないと。

不安定・無権利状態に歯止めを

 井筒 格差が社会問題化しワーキングプア(働く貧困層)もマスコミで取り上げられています。いまはチャンスです。パートをはじめとした非正規労働者の実態を国会で明らかにして、格差解消に実効ある法改正になるよう論戦してほしいと思います。

 高橋 国会では公務のパート問題にも光を当てたいと思っています。学校では、学期ごとに雇い止めされます。十年二十年と働いて責任もあるのにね。こんな不安定・無権利な状態に歯止めをかけたいですね。

 井筒 パート労働法は公務が適用外です。私たちは適用しろと運動しています。だけど適用になっても、いまの改正案では差別禁止の対象外です。公務の場合は必ず雇い止めをしていますから。

 高橋 仕事が継続してあるなら、期間の定めのない雇用にすべきですね。

 井筒 春闘でも貧困と格差をなくせの声を大きくし、パート労働法の実効ある改正と、有期雇用の規制、最低賃金の引き上げをセットで求めていきます。

 高橋 いま低賃金の非正規労働者と長時間働く正規労働者の、二極化がすすんでいます。どちらもたいへんです。正規と非正規の連帯を大切にしながら、パート労働法も差別是正に実効あるものになるようにがんばります。残業代をなくすホワイトカラー・エグゼンプションを、今国会には出させなかったのも運動の力です。ゆるまず、臆(おく)せず、がんばりましょう。政治は変えられます。


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