2005年6月30日(木)「しんぶん赤旗」

女性の坑内労働禁止撤廃

厚労省専門家会合が報告書案


 厚生労働省の「女性の坑内労働に係る専門家会合」はこのほど、労働基準法に盛り込まれている女性の坑内労働禁止規定の撤廃を求める報告書案をまとめました。

 現在の労基法では、母性保護の観点から、鉱山やトンネル内で女性が働くことを原則禁止しています。

 例外は、医療、取材、自然科学の研究のために臨時に入る場合だけです。

 報告書案は、坑内労働のリスク(危険)は「男女双方が等しく遭遇しうるリスク」であり、「現在では、女性に坑内の就労を一律に排除しなければならない事情は乏しくなってきて」おり、特別措置は「女性の保護というより、むしろ女性の職業選択の幅を狭める」とのべています。妊産婦については、「動作、姿勢または環境条件等」が影響を与える可能性があり、「授乳中の母体等にもいっそうの負荷」「緊急時の迅速な対応が困難」など安全・衛生に好ましくない条件があり、「十分な配慮が必要」としています。

 今後、労働政策審議会をへて、男女雇用機会均等法の見直しとあわせて、来年の国会に提出される見込みです。

財界が一貫して要求

[解説]

 報告書案は、女性の坑内労働禁止撤廃の根拠のひとつに国際的な流れをあげています。

 これまでも政府は、均等法制定、「改正」のたびに女子差別撤廃条約の趣旨に照らせば労基法の女子保護規定は本来撤廃すべきものとして、「規制緩和」をすすめてきました。しかし、条約は女子保護規定を一律に廃止することのみをその趣旨としていません。第11条1項で、雇用の場での女子差別撤廃措置のひとつに「作業条件に係る健康の保護及び安全(生殖機能の保護を含む。)」の権利をあげ、2項で婚姻又は母性を理由とする差別を禁止。3項で「保護命令は、科学上及び技術上の知識に基づき定期的に検討」し「必要に応じて、修正し、廃止し、又はその適用を拡大する」としています。
  報告書案は、ILO(国際労働機関)第45号条約(1935年)のうえに新たに「鉱山における安全及び健康に関する条約」(95年)が制定されたことをあげ、解禁の方向としています。しかし諸外国でも、それぞれの事情をふまえた対応をしており、一律ではありません。

 女性に与える影響について、報告書案は、高い安全性の確保が図られるようになっており、男性と比較して特別に問題が生じるとの明らかな知見は得られていない、としています。トンネルなど、ずいどう建設工事での粉じん対策はいまでも大きな問題となっており、また、女性への影響を検証していません。

 女子保護規定撤廃は、一貫して財界・大企業が男女雇用機会均等法とセットに積極的に推進してきました。今回の専門家会合の設置・検討も、日本経団連や東京都からの要望をうけて行われてきました。日本土木工業協会なども法「改正」を求め、要請活動をすすめています。

 女性の坑内労働禁止撤廃に、全労連、新婦人、連合加盟の労働組合から反対意見が出されています。

 (党女性委員会・平兼悦子)

 

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