2005年3月24日(木)「しんぶん赤旗」

厚労省審議会 

男女雇用均等法見直し論議 

財界は差別是正に消極的


 職場における女性差別を禁止している男女雇用機会均等法の見直し論議が、厚労省・労働政策審議会雇用均等分科会で始まっています。

 毎月1回程度開催される分科会では、昨年6月に見直しの方向を示した厚生労働省の研究会報告書を土台として、いくつかの課題を加えた論点項目(別項)にそって順次、審議しています。今年に入ってから本格的な審議がはじまりました。

 これまでに「男女双方に対する差別禁止」「妊娠・出産を理由とした不利益取扱い」「間接差別の禁止」等について議論されました。

〈優遇措置の問題〉

 1月19日の分科会では、女性に対する差別を禁止している均等法を、男性に対する差別も禁止する法律に変える「男女双方に対する差別禁止」が議題でした。

 そこでは、いまなぜ「男女双方」に変えることが必要なのか、根本的な検討はおこなわれず、男性差別も禁止した場合に、男性に対しても差別是正のための優遇措置を認めるかどうかなどが議論になっています。

 これについては、「女性の職場がどんどん拡大しているのならいいが、進展が弱い中で男女双方にと言っても、男性にも保育士をどんどん増やそうとか、従来から女性のところに積極的に男性を拡大していくための訓練をするというのもどうなのか」(連合委員)など、現実には女性差別が圧倒的に多い実態と矛盾があることも出されました。

〈妊娠・出産等で〉

 2月9日に論議されたのは、近年増えている妊娠や出産を理由として「パートになるようにいわれた」「遠隔地に配転された」などの不利益取扱いの問題。禁止の方向で議論がすすみました。

 しかし何が不利益取扱いになるかをめぐってみすごすことのできない議論もありました。


 ⇒男女雇用機会均等法とは

 企業の募集・採用から配置、昇進、教育訓練、退職にいたる女性に対する差別を禁止した法律。1985年制定時は採用や昇進等が事業主の努力義務にすぎませんでしたが、97年、雇用の全場面で差別が禁止されました。その際あわせて労基法の女性の残業、深夜労働等の規制が撤廃されました。


   (別項) 論点項目

1、男女雇用機会均等の促進について
 @男女双方に対する差別の禁止
 A妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止
 B間接差別の禁止
 C差別禁止の内容等
 Dポジティブ・アクションの効果的推進方策
 Eセクシュアル・ハラスメント対策
2、男女雇用機会均等の実効性の確保について
3、女性保護、母性保護について
 @女性の坑内労働禁止
 A母性保護

(厚労省・労働政策審議会雇用均等分科会資料)


 研究会の座長を務めた奥山明良委員は、労働基準法で権利として規定されている産前産後休業についても、産休を取ったこと自体を理由とした不利益扱い(減給や配転等)は禁止すべきだが、「休業はいわゆる不就労ですから、そういう不就労の状態を、例えば賞与等を支給するときに、出勤して働いている人との間で、同じように扱えるか」などと発言。休業したことによる査定や昇進、退職金、ボーナス等での格差はやむを得ないとの考え方を示しました。日本経団連の川本裕康委員も、「企業の立場からは、コスト管理、効率性追求、労働の対価としてどう払っていくかだ」と強調しました。

〈「間接差別」禁止〉

 3月11日には「間接差別」の禁止をめぐる議論がおこなわれました。

 「間接差別」とは、転勤などを条件にして賃金も昇進・昇格も違うコースに分けるなど、一見して平等な基準が、結果として一方に不利になるものとされています。

 「間接差別」禁止を法律に盛り込むよう要求した労働側委員に対して、川本委員ら使用者側委員は、「間接差別の概念はまだ漠然としており、導入すれば現場が混乱する」「時期尚早だ」、「“結果の平等”の追求につながる」などと、反対の発言を繰り返しました。あくまで法的規制の強化には反対という財界の姿勢は一貫したものです。

 研究会報告書ではじめて禁止の方向を打ち出した「間接差別」の問題ですが、審議会として合意できるかどうかは不透明です。

 分科会の審議は公開されており誰でも傍聴できます。年内にも検討結果をとりまとめ、来年の通常国会に改正法案を提出予定とみられています。

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