2005年3月1日(火)「しんぶん赤旗」

女性自然科学者少ないのは先天的?

米ハーバード大学長発言 広がる批判

「仕事か家庭か」の強要背景に


【ワシントン=山崎伸治】   

 自然科学の研究者に女性が少ないのは先天的な要因もあるという、米ハーバード大学のラリー・サマーズ学長の発言が米国内で波紋を広げています。米国で最も古く、権威のある大学の学長の言明だけに注目されていますが、背景にはサマーズ氏の大学運営に対する批判もあります。同時に、女性の社会進出が比較的すすんでいるといわれる米国でも女性研究者が直面する困難が改めてクローズアップされています。 


 この発言は1月14日、自然科学の研究所でどのように研究者の「多様性」を確保するかをテーマとした会合でのもの。サマーズ氏は、研究者の「不均衡」について「3つの仮説」があると指摘。研究食の過重さ、助成研究者に対する社会的偏見とともに、「本来備わった男女の差異」をあげました。

辞職勧告の動き

 会合は非公開でしたが、地元メディアが女性差別発言として報道、全米で大きく取り上げられることとなりました。2月15日の教職員会議でサマーズ氏は「発言で大きな誤りを犯した。この苦い経験から自分がまだ勉強が足りないということがわかった」と反省の弁を述べ、それまで拒否していた発言全文の公表に踏み切りました。

 月一回の教職員会議が異例にも一週間後の22日に開かれ、再度この問題が取り上げられました。サマーズ氏の辞職勧告動議が出されるかどうか注目されましたが、この日はありませんでした。しかし3月の会議では提出すると言明する教授もおり、問題はまだ尾を引いています。

 サマーズ氏は第2期クリントン政権の財務長官を経て、2001年7月にハーバードの学長となりました。しかし、同氏の物言いの「率直さ」は有名で、今回の発言についても地元紙コラムニストも「そう、それがラリーだ」と指摘するほどです。

就任後登用減る

 しかしこれほどの問題になったのは、発言内容の重大さに加えて、同氏の大学運営への批判が背景にあります。

 サマーズ氏が学長就任以来、女性教授の登用が減っているとも指摘されており、52%の教授がサマーズ氏の大学運営に不満をもっているといいます。

 サマーズ発言については、「言論の自由」だと擁護する声もある一方、反論も続出しています。

 男女の能力差が先天的なものでないとの指摘のほか、「女性科学者の少なさをめぐる議論に欠けているのは『家庭』という言葉だ」(コラムニスト、アン・アップルバーム氏)と、「仕事か家庭か」の選択が男性よりも女性に強要される現状をあげるものもあります。

 一方で改めて注目されているのが女性研究者の割合の低さです。1月30日付米紙ワシントン・ポストによると、米国主要50大学で女性教官の理系に占める割合は、電子工学が6・5%、物理学が6・6%、数学が8・3%、化学が12・1%、天文学が12・6%などとなっています。

 

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