児童福祉司の配置強化
厚労省
虐待の深刻化に対応
児童虐待に対応する体制を強化するとして、厚生労働省は十日、児童相談所に配置される児童福祉司の担当区域の基準を、現在の「人口おおむね十万―十三万人に一人」を「五万―八万人に一人」に引き上げる児童福祉法施行令の改正案を発表しました。現在の児童福祉司の配置基準は一九五七年に定められたもので、見直しは初めてのことです。
同案について同省は、広く国民からの意見や情報を募集。二月二十五日まで、メール、郵便、ファクスで受けつけます。その結果を反映させて最終的にとりまとめ、四月一日から施行する予定です。
児童福祉司は、児童虐待問題の相談・援助の中核を担っています。近年、児童虐待は深刻化し、全国の児童相談所に寄せられた虐待相談の処理件数は、過去最高の二万六千五百六十九件(二〇〇三年度)にのぼりました。
これにたいし、全国の児童福祉司は千八百十三人(〇四年五月)にすぎません。相談内容も複雑になり、児童福祉司の人手不足は大きな問題となってきました。
また、地方公務員である児童福祉司の実際の配置は、地方自治体の裁量に委ねられるため、自治体ごとにばらつきがあり、地域間の格差も解決が求められていました。
〈解説〉
共産党議員が改善要求
昨年の臨時国会で、児童虐待防止対策の充実・強化を盛り込んだ改正児童福祉法が全会一致で成立しました。今回の改正案は、この審議のなかで、児童福祉法施行令の配置基準見直しが指摘されたことを踏まえたものです。
日本共産党の山口富男議員は、衆院厚生労働委員会(04年11月5日)で、「(配置)基準が40年以上にわたって放置されていることが一番の問題だ」と指摘。全国児童相談所長会が「5万人に1人」を要求していることを紹介して改善を求めました。
また、小林みえこ議員は参院予算委員会(同3月17日)で、痛ましい事件が起きた大阪府岸和田市の児童相談所の体制にふれながら、「相談件数にたいし福祉司の人数がおいつかないのは、47年前の配置基準が足かせになっているからだ」とのべ、増員を求める現場の要望に真摯(しんし)に応えるのが厚労省、政府の役割だと迫っていました。問題の深刻さとはかけ離れた配置基準を正す、こうした論戦を受けて改正に踏み切ることになったものです。(江刺尚子記者)