【主張】
少子化傾向の克服ーー
「先進国並みに」というなら
政府の少子化対策である「子ども・子育て応援プラン」に、男性の子育てにかける時間を、「他の先進国並み」にするという目標がかかげられています。
主要資本主義国の男性の家事・育児時間の割合と出生率の関係をみると、男性の家事・育児時間割合が低い国ほど出生率も低い傾向にあるという調査があります。日本の男性の家事・育児についやす時間は、六歳未満の子どものいる夫婦の夫でみても四十八分です。二―三時間以上にもなる欧米諸国と比べて極めて短いのが特徴です。
家族的責任を共有
日本の男性が家事・育児にかかわる時間が極端に少ないのは、長時間労働に苦しめられているからです。子育て期にあたる三十代の男性の四人に一人が週六十時間以上も働いているという現状を変える必要があります。政府は、「長時間にわたる時間外労働を行っている者を一割以上減少」させるとしています。
しかし、こんな程度で少子化傾向に歯止めがかかるでしょうか。
たとえば、フランスでは、出生率回復(一九九五年の1・70から二〇〇二年1・88)の背景に、一九九八年の週三十五時間制の導入があります。その効果で、一九九〇年代半ばと二〇〇一年を比べると、年間の労働時間が百二十六時間も短縮されています(厚生労働省編「世界の厚生労働二〇〇四」から)。
家事・育児の負担と労働時間は、メダルの裏表の関係です。男性も家庭でしっかりと子どもに向き合うようにするというなら、サービス残業の根絶をはじめ、人間らしく働いて生活できる雇用のルールを主要資本主義国並みに確立・徹底することが不可欠です。
一九六〇―八〇年代に下がった主要国の出生率が八〇年代後半から、波がありつつも回復する傾向をみせている背景には、両性の平等実現にむけた国際的な流れがあります。
一九八一年にILO(国際労働機関)で採択された男女労働者の「家族的責任条約」もその一つです。
それまでは、家族的な責任を女性がになうことを前提に、その負担を配慮して女性を保護することにより、平等をはかるというものでした。その政策を転換させ、男女労働者がともに家族的責任を共有し、労働との調和をはかっていけるよう、すべての労働者の労働条件一般を改善するとともに、特別な援助措置をはかるものです。母性の保護が平等と矛盾しないことも大切に位置付けられています。
条約にもとづき育児休暇が各国で制定されましたが、当初は男性がとる例はほとんどありませんでした。そこで、いかに両性が平等にとれるようにするか努力がはかられ、九〇年代半ばから、一定期間を男性に割り当てる制度や、配偶者の出産直後にとる「父親休暇」も導入されています。
憲法24条は力になる
日本政府は、国内外の世論と運動をうけて、一九九五年、家族的責任条約を批准しています。国内の実情は国際的な水準からはほど遠い状況にあります。同時に、両性が家族的責任を果たすことは、それぞれの国の文化的違いを超えて、世界の流れとなっています。
憲法第二四条は、家族生活における個人の尊厳と両性の平等をうたっています。憲法と世界の流れを生かすことは、それぞれの家族の幸せのために大切であるとともに、少子化傾向を克服していくうえでも力になるでしょう。