2004年1月13日「しんぶん赤旗」

問われる

日本の“子どもの権利”

条約批准から10年 (上)

競争教育、体罰、保育、「改正」少年法…

国連の第2回審査に注目

 子どもの権利条約を日本が批准・発効して十年。二十八日には、国連・子どもの権利委員会で、条約にもとづいて日本政府が、どう義務を果たしてきたか審査が行われます。前回一九九八年に続く二回目の政府報告審査です。この間、国連から問題提起されたこと、政府のとった措置、今回の審査で注目されていることなどについてみてみました。

 二〇〇三年、「私たちは殺したくも、殺されたくもありません。あらゆる戦争を拒否します」などと訴える「高校生戦争協力拒否宣言アピール署名」が一万人近く集まりました。高校生や中学生が自ら平和のメッセージを発し、一歩足を踏み出した生き生きした姿が光っています。

 昨年十月に「子どもの権利条例」を制定した北海道奈井江町は、市町村合併の賛否を問う住民投票にあわせて、小学校五年以上から高校生までを対象とした「子ども投票」を実施。「参加する権利が保障される中で町のことを考える意識が生まれている」(中学校校長)。各地で住民投票に子どもの参加が進んでいます。

 日本は子どもの権利条約を一九九四年に批准しました。

前回は異例のきびしい勧告

 批准にあたって自民党政府は、条約上の権利の多くは「国内法制で既に十分に保障されている」から、新たな実施体制や予算措置、法的措置は必要ないという態度でした。また、条約の精神や内容にたって子ども施策を見直し、検討することも拒みました。

 そうした政府の実施状況にたいして、九八年の国連子どもの権利委員会の第一回審査のときに二十二項目にわたる改善の提案・勧告が出されたのです。発達した資本主義国にたいして、こうしたきびしい警告は異例でした。

 子どもの権利条約が国内法より優位にあるにもかかわらず、裁判の判決に適用しないことや、権限を持ち、効果的な調整ができる政策調整機関や政府から独立した実施監視機構がないことが指摘されました。

 また、有害情報からの保護、家庭内の虐待からの保護や学校の体罰・いじめの根絶などを勧告。とくに注目されたのは「高度に競争的な教育制度によるストレスにさらされ、かつ、その結果として余暇、身体的活動および休息を欠くにいたっており、子どもが発達にゆがみをきたしていることを懸念」し、「それらを生みだす教育制度と闘うための適切な措置をとるよう貴国に勧告する」というものです。

子どもの見方見直しを迫る

 子どもの権利条約の成立は、従来の子ども観の見直しを迫る画期となったといえます。条約は子どもの人間としての尊厳と権利の保障をかかげ、保護されるだけではなく、独立した人格を尊重するという考え方にたっています。

 条約の第二条ではいかなる差別もうけないこと、第三条では子どもにかかわるすべての措置は「最善の利益」を考慮するとし、さらに第十二条が「自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利」、いわゆる意見表明権の保障をうたっています。表現・思想・良心・集会・結社など市民的自由を子どもに認めています。子どもの養育についての父母の責任とともにそれを援助する国の責任もうたっています。

子どもの声を拒否した文部省

 子どもは「子どもの専門家」なのだから、子どもにかかわる問題を決めるときには、子どもを中心におき、何が最善なのかについては、子どもの意見に耳を傾けようという努力が国民のなかで始まっています。

 一方、条約公布にあたって文部省(当時)は、この条約は発展途上国の子どもたちのものであり、意見表明権は一般的な概念を定めたもので、必ず反映することを求めているものではない、とする通知(文部事務次官通知)を出しました。管理・規制の校則を見直してほしいという子どもの声を聞く必要はないという立場を学校に押しつけています。

 (日本共産党女性委員会 副責任者・広井 暢子)(つづく)

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