2004年1月11日「しんぶん赤旗」

主張

住友電工訴訟

和解を女性差別撤廃への力に


 住友電気工業の女性社員二人が同社と国を相手に訴えた男女差別訴訟が大阪高裁で和解しました。

 和解内容は、五十代の二人の女性をそれぞれ主席(課長相当)、主査(係長相当)に昇格させるというものです。国にたいしても実質的な性別による雇用管理にならないように施策と調停の運用を求めています。

一審判決を覆す勝利

 一九九五年八月の提訴から八年余り、「私達が裁判に込めた願いが、今回の和解によって実現できた」(原告声明)というように、原告敗訴の二〇〇〇年七月の一審判決を事実上覆す、勝利の和解です。

 注目されるのは昇格の実現です。提訴の段階では、差別実態の資料が不足し、賠償請求に絞りました。裁判では、女性社員への著しい昇格・賃金差別の実態が明らかにされました。

 和解後、原告以外の女性四人の主席昇格も実現したといいます。女性たちの昇格は、職場で差別是正が目に見えてわかり、将来につながるものとして、大きな意味を持ちます。 一審の大阪地裁判決の誤りを高裁で明快に否定したことも貴重な成果です。

 地裁判決は、男女別雇用管理を憲法一四条の趣旨に反するとしながら、原告が採用された「昭和四十年当時の社会状況においては公序良俗に反しない」として、訴えを退けました。七九年に国連で採択された女性差別撤廃条約も、八五年成立の男女雇用機会均等法も、原告らには適用されないというに等しい、不当な判決でした。

 一方、高裁の和解勧告では、国際社会の流れと憲法を生かす法改正をふまえ、「男女差別の根絶を目指す運動の中で一歩一歩前進」し、「すべての女性がその成果を享受する権利を有する」と明確にうたっています。そのうえで、「過去の社会意識を前提とする差別の残滓(ざんし)」の容認は、「社会の進歩に背を向ける結果となる」と指摘し、地裁判決との鮮やかな対比を見せました。

 もともと、原告の女性たちが裁判に訴えざるをえなかったのは、国が均等法にもとづく調停を不開始にしたからです。

 今回の和解勧告は、会社と国の双方に出されたものであり、その内容を国も重く受け止めるべきです。

 日本政府は、女性にたいする雇用差別でたびたび国際的な批判を受けてきました。

 〇一年八月の国連・人権規約委員会の最終見解は、「多くの企業では、女性には専門的な仕事に昇進する機会がほとんどないという雇用慣行が続いていることに懸念を表明する」とのべています。

 昨年八月には国連女性差別撤廃委員会が、コース別雇用管理など実質的な女性差別をなくす法整備を勧告しています。

実質的差別許さない

 委員会の勧告が、「一般労働者より賃金の低いパート労働者や派遣労働者に占める女性の割合が高いことを懸念する」と指摘していることも重要です。

 大企業のリストラで、正社員を減らす一方、パート・派遣労働者が急増しています。

 女性労働者の四割はパートであり、女性の平均賃金が男性の五割にも満たないという、異常な男女間格差を作り出しています。

 “実質的な女性差別は根絶すべき”とする、大阪高裁の和解勧告は、パート労働者への差別的取り扱いを禁止し、均等待遇を保障させる力ともなるでしょう。

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