2003年12月28日「しんぶん赤旗」

主張

公立保育運営費

国の責任放棄は許さない


「保育のためにお金がいままでどおりつかわれるか疑問です。保育の質を下げないために先生の努力にだけたよるというのは父母として切ないです。子どもの命の重みにみあうだけの財政保障をしてください」―公立保育所運営費削減・一般財源化に反対する緊急集会でのお母さんの訴えです。

保育水準の低下も

 政府・与党は、来年度予算で補助金一兆円を削減するために、保育所運営費負担金四千二百二十億円のうち公立保育所の人件費にあたる千六百六十一億円の削減を決めました。そのかわりに一般財源化=税源移譲されます。税源移譲額が国庫負担金を下回る市町村は、地方交付税で補う措置をするとしています。

 しかし、公立保育所の国庫負担金の廃止によって、今後、自治体施策が見直され、保育料の値上げ、保育士の削減、自治体独自施策負担分の後退、保育水準の地域間格差の拡大が懸念されます。とりわけ少なくない市町村が公立保育所の切り捨て・民営化をすすめている状況のもとで、国庫負担金の廃止による今回の措置が、その流れを加速する危険も指摘されています。

 待機児童は増える一方です。その対処策でつめこみ保育がされていますが、子どもの安全や健康がおびやかされ、保育士の負担も深刻です。国・自治体にもとめられているのは、どの子にも必要とするゆきとどいた保育を保証していくことです。

 この間財界は、企業が保育の経営にもっと参入しやすくするために行政につぎつぎと要望をだしてきています。日本経団連が今年七月にだした「子育て環境整備に向けて〜仕事と家庭の両立支援・保育サービスの充実〜」という意見書のなかでは、運営費補助の余剰金の使途制限の撤廃や、調理室必置義務の撤廃、競争原理の導入、認可保育所制度自体の廃止、直接契約制度の導入などを行政に提案し実施をせまっています。

 これは、公立保育所の民営化にとどまらず、私立認可保育所の制度をなくし、公的保育の制度から、国も自治体も撤退し、企業にゆだねようという方向そのものです。

 「なぜ弱者が多く利用者が声をあげにくい福祉分野を真っ先に予算削減の対象と考えるのか」と新聞の投書欄に寄せた三十歳の女性の批判はもっともです。予算削減はまず公共事業の無駄遣いや軍事費こそやるべきです。ところが来年度予算案には、イラク派兵の経費や、新たな導入を計画している「ミサイル防衛」システムの費用を盛り込んでいます。

 日本には「ポストの数ほど保育所を」という父母と国民の保育所建設運動で、国と自治体の保育責任を明確にして制度化をかちとってきた歴史があります。保育所の運営費は国と自治体の公費と保護者が負担する保育料でまかなってきました。八五年度までは国が公費の八割を負担し、八六年度以降は五割に削減。今回の負担金削減は公立保育所の運営費負担を全廃しようとするものです。

「少子化対策」に逆行

 負担金削減は、少子化社会対策基本法や次世代育成支援対策推進法でかかげる「少子化対策」に真っ向から逆行するものです。

 今後、児童扶養手当や生活保護費も削減しようとしています。

 年明けの通常国会にむけて、イラク派兵反対のたたかいと一体に、軍事費ではなく、くらし、子どもたちの福祉を守れの声をあげ、公立保育所運営費削減・一般財源化を撤回させていきましょう。

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