子育てと両立しない仕事のあり方、重すぎる教育費負担など、日本の子育ての環境はたいへんまずしいものです。そのことは、少子化の社会的要因にもなっています。また、相次ぐ少年事件の背景に、家庭の問題が指摘されますが、核家族化や地域社会の弱体化、競争的な社会、親の長時間労働やリストラなど、多くの困難が家族にのしかかっている現実を見過ごすわけにはいきません。安心して子育てできる社会にするために、ゆきとどいた子育ての社会的環境をつくります。
(1)子育て中の親の「労働のルール」の確立
親が子どもと一緒にすごせることをはじめ、「家族的責任」(ILО156号条約)を社会のルールとして確立する必要があります。出産を理由にした解雇など不利益の強要を禁止します。働きながら子育てすることがよろこびとなるような労働のルールをつくるために奮闘します。
妊娠・出産にともなう解雇等をやめさせる……違法な解雇や退職強要が横行し、パートへの配置転換など不利益な扱いや嫌がらせも深刻化しています。法律ですでに禁止されている妊娠・出産、産休・育休を取得したことによる解雇をやめさせ、安心して妊娠・出産できる職場にするために、企業への指導を強めルールをまもらせます。解雇や不利益扱いの禁止が実効性をもつよう法令を整備します。
育児休業の希望者全員取得……育児休業を希望するすべての父母が取得できるようにします。そのため、元の職場への復帰の保障、育児休業中の賃金保障を現在の4割から6割へひきあげ、パート労働者への適用拡大、代替要員の確保のための中小企業への助成拡充をすすめます。
「子ども休暇制度」の創設……子どもの病気、行事への参加などのための「子ども休暇制度」をつくります。
子育てに配慮した労働のあり方をつくる……子どもが小さいときなどの場合に、変則勤務・夜間労働・単身赴任を基本的にしないですむようにします。
(2)すべての子どもに豊かな保育を
「小泉改革」は、「待機児ゼロ作戦」をかかげましたが、その結果はどうでしょうか。定員オーバーの詰め込みで「廊下で寝かしつける」など保育条件の低下をもたらし、待機児数も解消どころか去年よりもふえる結果におわりました。乳幼児期は人格の基礎をつくるもっとも大事な時期だからこそ、もっとも手厚い条件で育てられなければなりません。その立場から保育の改革をすすめます。
「待機児童」解消……数万人の待機児童をゼロにするためには、保育施設と保育士の確保が不可欠です。あらたに4万人分の保育所を確保し、異常な過密状態を解消し、延長・夜間・休日・一時保育などの要求にもこたえられるようにします。
運営費の増額・保育料引き下げ……国の保育所運営費をふやして、高い保育料をひきさげます。運営費削減や、「幼保一体化」の名による保育条件の切り下げをやめさせます。
専業主婦の子育て支援の場を……専業主婦に孤立した子育てを強いていることは、社会問題です。自治体を支援して、身近な場所に専業主婦の子育て、育児相談のための多様な場をつくります。
保育基盤の抜本的な向上を……将来的には、三歳以上のすべての子どもに公的保育を保障できるようにすることをめざし、基盤整備をすすめます。幼稚園と保育園のあり方をどうするかは、そうした抜本的改革の一環として検討します。
(3)国の制度として乳幼児の医療費無料制度をつくる
乳幼児の医療費無料化を、国の制度として実現させ、各自治体の独自施策を上乗せできるようにします。こうすれば、多くの自治体で小学校までの医療費無料化の道がひらけます。
小児救急の体制不備や小児科医の不足は、乳児の死亡事件を招くなど深刻な不安を広げています。住民、行政、医療関係者の連携で小児医療供給体制を整備します。
(4)地域での子どもの居場所を整備する
完全学校五日制となりましたが、各地で「子どもが安心して過ごせる居場所がない」という声があがっています。子どもたちが居場所をもっている地域となるような整備計画をつくり実行します。
子ども、青年の施設整備……生活圏内に、安心して遊べる自然空間・児童館・中高生の居場所・スポーツ施設などを整備します。
学童保育の拡充……「全児童対象事業」への解消をやめさせ、学童保育の独自の拡充をすすめます。「遊びと生活の場」にふさわしい設置基準を明確にし、国からの補助金を増額させます。
障害児をもつ家庭への支援……完全五日制にみあって、障害をもつ子どもの居場所への公的支援をつよめます。
(5)子どもと親への専門的な相談・支援を拡充する
不登校や「ひきこもり」、児童虐待や少年非行などの解決には、第三者による相談や支援が大切です。子どもと親への相談・支援のしくみを豊かなものにして、この面でも安心して子育てできる環境をつくります。
子どもにかかわる専門機関の増員……児童相談所、保健所、養護教諭、児童自立支援施設、児童養護施設など子どもをケアする専門機関の人手不足は深刻です。機関の拡充とともに人員を倍加するなど必要な体制を保障します。
不登校や「ひきこもり」にかかわる民間団体への支援……「親の会」やフリースペース、フリースクールなど民間のとりくみへの公的支援を拡充します。
心のケアをふくむ小児医療の拡充……精神的な面で悩みをかかえる子どもの場合、専門的な対応の遅れが深刻な結果となることもあります。心のケアによって健やかに育つよう、医療面の体制の充実、関係機関の連携の強化をはかります。
(6)子どもを守る社会の責任をはたすための、社会の自己規律を確立する
日本は、子どもを守る社会のルールがあまりにおそまつです。たとえば、日本のような「少女買春」は世界に例がなく、日本は国連・子どもの権利委員会から「児童のポルノグラフィー、売春及び売買を防止し、これと闘うための包括的な行動計画が欠けている」と勧告されるほど、この分野の後進国です。子どもを守る社会のルールの確立を広範な国民と協力してすすめます。
少女買春など大人の犯罪の徹底取り締まり……少女買春、性の商品化、少女をターゲットにした風俗業などおとな側の犯罪を厳罰にし、おとな側の取り締まりを厳重にすすめます。
暴力や性の有害情報などから子どもを守るルールの確立……雑誌、広告、テレビ、インターネット、ゲームなどでの、性や暴力のむき出しの映像などから子どもをまもる社会的規律、子どもをもうけの対象とする度をこした商業主義を規制する社会的規律の確立を促進します。
(7)「子どもの権利条約」を社会の各分野でいかす
子どもの権利条約は、社会が子どもをきちんと保護すると同時に、子ども自身の意見表明、自分に関係することを決定するプロセスへの参加など子ども自身の積極的な権利の行使を保障することをうたっています。このように子どもを社会の一員として尊重することは、社会の病理から子どもをまもるうえでも、子どもが自尊感情をはぐくんで市民道徳をつちかううえでも、大切なことです。国や地方の行政、学校、子どもにかかわる施設など社会の各分野で、子どもが参加できるしくみをつくるなど子どもの権利条約を生かします。