2003年9月15日「しんぶん赤旗」

保育所 “隠し待機児童”増えている

破たんした小泉“ゼロ作戦”

 減るどころか、逆に増えているのが小泉首相のいう“待機児童ゼロ作戦”。自民党総裁選の公約にかかげて自慢顔ですが、実態は深刻です。ほんとうは希望する保育園に入れずに空きを待っている待機児童なのに、厚生労働省がカウントする待機児童には含まれない“隠し待機児童”ともいえる子どもたちが増えているのです。(江刺尚子記者)

 厚生労働省が発表(四月時点)した待機児童は二万六千人。これには、第一希望で認可保育園を申し込んだのに入れず、国の基準を満たさない保育ママや保育室などを利用している子どもたちは含まれていません。二年前までは、この子たちは待機児童とされていました。

 この“隠し待機児童”数は、ことし四月時点で一万六千人。昨年同時点より二千人も増えました。

 厚労省は「“五分でも近いところを”と待機する人は待機児の定義からはずした」(担当局長、「朝日」一月二十四日付)などと説明しています。実態はどうなのでしょう――。

姉妹別々に

 東京都北区の私立認可保育園で砂川伊津子さん(38)は、着替えなど長女(4っ)のしたくを手早く終えると、二女(生後三カ月)を連れて別の無認可保育室に向かいます。

 長女の保育園に二女も入園を申し込んでいますが、ゼロ歳児クラスに空きがなくて入れません。

 「朝夕二カ所に行くのはやっぱり時間がもったいない。仕事は続けたいのに、保育園に入れないんです。姉妹が同じ保育園だとずいぶん助かります。下の子の保育室には他にも兄弟と同じ保育園に入れなかった子がいて、苦労してるのはうちだけではないのですが…」

 無認可保育室は保育料が高くて経済的にも大変と砂川さんはいいます。「不景気で仕事が減ったため、長女が産まれたころに比べ夫の給料は、私のパート代分くらい減りました。来年四月にはなんとか二人同じ保育園に入れてもらいたいです」

定義を改悪

 砂川さんの二女のような場合、厚生労働省は待機児童とみなしません。

 二年前に待機児童の定義を変えたのは小泉内閣でした。内閣発足時、子育て世帯の切実な問題をとりあげて?待機児童ゼロ作戦?を打ち上げ、父母の期待を集めました。ところが、担当する厚労省が?ゼロ作戦?でまずやったのは、待機児童の定義を改悪して数だけ少なく見せることでした。

 第一希望の保育園に入れず空きを待っている間、保育室や保育ママなど国基準以下の保育施設を利用している場合は待機児童から除外しました。自宅で空きを待っている人でも第一希望しか申し込んでいない場合は待機児童に含めません。第二希望でがまんしないのは“わがまま”といわんばかりの改悪でした。

 しかし、いくら定義を変えても待機児童は年々増え続けています。ことし四月の待機児童は、新しい定義、従来の定義のどちらで集計しても過去最多となっています。入園申し込み自体をあきらめるなど、数にでない待機児童を入れると十万人を超えるともいわれています。

 砂川さんは「子どもを預ける場所がなくて苦労しているのに、待機児童とみなさない。国がいくら子育て支援といっても、子育て家庭の立場を全然わかってないことのあらわれだと思います。銀行に多額の税金を使うのではなく、仕事と子育ての両立を支援してほしい」と話します。

実態をゼロに

 “民間にできることは民間に”という小泉内閣は、保育園の施設整備、保育需要の受け入れも、民間まかせの姿勢です。やむをえず無認可施設などに通う状態をよしとすることで、保育にたいする国の責任逃れをはかることは許されません。

 日本共産党は、「保育所の待機児童問題を緊急に解決するために」(二〇〇一年七月)を発表し、公共事業等予備費を保育所の新・増設に振り向けて、待機児童を緊急に解決することなどを提案しています。

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