2003年7月6日「しんぶん赤旗」

主張

少子化対策
人間らしい労働と社会を

 少子化社会対策基本法案が参議院で審議されています。

 法案は、少子化の進展に歯止めをかけるために国や自治体、事業主に子どもを安心して生み育てることができる環境の整備を求めています。

長時間労働が関係

 衆議院では、論議の結果、前文に「もとより、結婚や出産は個人の決定に基づくもの」と加える修正議決が行われました。付帯決議にも「国民の多様な価値観を尊重するとともに、子どもを有しない者の人格が侵害されることのないよう配慮すること」が盛り込まれました。

 国民一人ひとりの人権を尊重するとともに、日本社会の未来にかかわる根本問題として、少子化克服のために本腰を入れることが大切です。

 衆議院の審議では、長時間労働が出生率の低下につながっていることが明らかになりました。

 二〇〇二年の出生率(一人の女性が生涯に産む子どもの平均数)は全国では一・三二ですが、北海道では一・二二、沖縄県では一・七六というように、地域によって格差があります。その社会的特徴・要因はどこにあるのか。日本共産党議員の質問に、政府は「長時間労働者の比率が高い地域ほど出生率が低いというような相関関係もみられる」(青木豊・厚生労働省大臣官房審議官)と答えました。

 厚生労働省政策評価官室が作成した資料は、全国を十四の地域に区分し、週六十時間以上就業している者の割合(有配偶男性)と出生率との関係を、一九九七年の統計でみたものです。それによると、長時間労働者の割合が10%以下の東北、北陸、山陰では、出生率がそれぞれ一・五〇以上です。それにたいし、出生率が全国平均(九七年は一・三九)以下の北海道、南関東、近畿(京阪神)では、長時間労働者の割合が13%前後と高くなっています。

 私たちは、少子化の要因として、個人の生活も家族の一員としての責任も無視した「働かせ方」を野放しにしている?ルールなき社会?を問題にしてきましたが、そのことが、厚生労働省の分析でも裏づけられました。

 週六十時間以上就業している男性労働者の割合は年々増加しており、〇二年では18・6%です。その上、サービス残業の横行です。これでは少子化に歯止めがかかるはずもありません。

 少子化対策として「時間外労働の縮減や年次有給休暇の取得の促進が有意義だ」(青木審議官)というなら、サービス残業をはじめ職場の無法を根絶するために国をあげてとりくむべきです。

 少子化を克服するために政治が果たす役割はさまざまあります。二十代後半から三十代前半までの女性の労働力率が高い諸国では出生率が高いという実態は、男女差別・格差をなくし、女性が働き続けられ、その力を生かせる社会をつくることの大切さを示しています。

女性蔑視許せない

 政府の調査では、高すぎる教育費など経済的負担が出生率低下の理由として上位を占めています。保育所への待機児童が増えていることも問題です。出産・育児と仕事の両立を応援する対策が欠かせません。

 重大なのは本来政治が果たす役割を忘れた政府・自民党幹部の発言です。

 少子化対策にかこつけて子どもの数で差別する森前首相の発言に至っては女性蔑視(べっし)の最たるものです。彼らに少子化対策を語る資格があるのか問われます。

日本共産党女性委員会 mail to : josei@jcp.or.jp
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