女性専用外来 増やしたいね
女性が来やすい医療に
話をよくきき、ゆとりも大事
ここ数年、各地で「女性専用外来」が産声を上げています。日本共産党がいっせい地方選にのぞむ各分野の政策でも、「公立病院に女性専用外来をつくります」と掲げましたが、「女性専用外来ってなに?」「どんなメリットがあるの?」との質問も寄せられています。その実際とあわせ、男女の違いに着目した性差医療の新しい流れを見てみました。 堤 由紀子記者
根強い「男性 医師はイヤ」
「女性がかかりにくい医療ではだめ。女性外来をやりたい。これが長年の夢でした」。国立横浜病院の外科医土井卓子(たかこ)さんは、女性診療外来を始めた訳をこう語ります。
二年前の九月に開設。二人いる女性外科医がまず診察し、訴えに応じて婦人科、皮膚科、精神科、内科、整形外科の女性医師へとつなぎます。失禁や肩こりでフィットネスが必要なら、同じ区内にある戸塚女性フォーラムなどの機関にも橋渡しします。
「二十代から四十代までの患者さんを予測していたのに、十三歳から八十代後半までと幅が広い」と土井さんは驚きます。とくに、七十−八十代の女性は「殿方に診てもらうなんて、とんでもない」と受診をためらいがち。ひどい子宮脱に長年悩み続けた人、六軒回ってたどり着いた人など、「男性医師はイヤ」という気持ちは強いといいます。
もう一つの問題は、病気ではないとわかると「ハイ、さようなら」という医療側の姿勢です。「お乳が張って痛い」と患者さんが訴えたけれど、検査では異常が見つからない。でも、「悪いところはありません」では未解決です。「『生理前や更年期前には張りが強くなることがある。鎮痛剤を飲んでも治らない。副作用が出る場合もあるけれど、ホルモン剤を出しますか?』と説明があれば、『それなら我慢できるかも』と納得されるでしょう」
つきあたりの個室を確保し、プライバシーを守るために医師や看護師の通り抜けも、中待ちもなし。洗面台や姿見を置いて、身繕いの空間も。「私のいる外科外来に来てくれればいいと思うけれど、そういうものでもないんですね。時間的・空間的なゆとりが大事だ、とよくわかりました」
欠かせぬコミュニケーション
JR関内駅すぐのオフィス街に建つ、ふれあい横浜ホスピタル。ホテルを改築した院内には、ゆったりとした時間が流れます。
昨年四月に始まった女性外来の窓口は、内科医の萩原恵里さん。「医療にはコミュニケーションが欠かせない。だからこそ、女性が訪ねてくるのではないでしょうか」と話します。
詳しい説明もないままに「女性ホルモンを飲みなさい」と薬を渡され、不安を感じてきた人。「食欲がない」「おなかが痛い」という症状をよくよく聞いていったら、実は便秘だとわかってやっと解決した人…。「外来は忙しいし、患者さんとのコミュニケーションには十分な診療報酬は保証されないけれど、『もうちょっと耳を傾けてもいいんじゃないの?』と思うんです。でも、女性外来で話をしておけば、男性医師を紹介しても割とあっさり受け入れてくれる人が多い、というのは意外でした」
総合的にみる間口の広さも
さらに、総合的な診療という間口の広さも、女性外来の良さだといいます。「医療の流れは臓器別に細分化されていますが、いろいろな臓器にまたがる病気がたくさんある。でも、その窓口がわかりにくい」と萩原さん。土井さんも「私たちの役目は、訴えを聞いて何が必要か整理すること。そういう点では、ホームドクターが地域に根を下ろして窓口の役割を果たすことも大事だと思います」。
女性のニーズに応えたい、と歩み始めた女性専用外来。その流れが、医療現場のあり方を塗り替えるかもしれません。萩原さんは言います。「うちの院長は男性の産婦人科医師。女性外来に尽力しているのに、患者さんから『男の先生なんですか』と言われ、寂しい気持ちになるそうです(笑い)。男女を問わず、性差について共通理解がすすんでほしいと願っています」