2003年3月16日(日)

乳幼児医療費

小泉内閣 「少子化対策」どこへ
支援の自治体に“制裁”

 「少子化対策」を施策の柱と強調する小泉内閣。ところが、子育て世帯の願いにこたえ独自に努力する自治体にたいし、国庫負担金をカットするという正反対のことをしています。(江刺尚子記者)

 自治体が子育て中の家庭を経済的に援助する乳幼児医療費助成制度。そのなかでも、窓口での負担なし・負担軽減は幼い子どもをもつ親たちの大きな助けになっています。

 千葉県では、四月一日からすべての市町村が窓口無料化方式になります(通院は三歳未満、入院は就学前)。これまでは県内の全市町村が、病院の窓口でいったん医療費の自己負担分を全額支払い、あとで申請して払い戻しを受けるという「償還払い」方式でした。十数年にわたる、親たちのねばり強い運動と日本共産党県議団のがんばりが実を結んだものです。

国庫負担カット

 ところが、この「窓口無料化」を実施すると、国が市町村に交付する国庫負担金が最大15%も減額されるのです(表参照)。償還払いであれば減額にはなりません。

 全市町村の七割にあたる二千二百二十六自治体が減額され、これによる国庫負担の削減額は約四十九億円(二〇〇〇年)にのぼります。(十四日の参院予算委員会、厚労省保険局長の答弁)

 乳幼児医療費のほかにも、自治体が独自に高齢者、障害者、母子家庭などの医療費を助成し、窓口負担を軽減すると「減額調整」の対象になります。(別項)

(2月27日付官報から作成)
全額負担なし 1割負担の場合 2割負担の場合
3歳未満児
(自己負担2割)
-13.9%
-6.5%
3歳〜69歳
(自己負担3割)
-15.7%
-8.5%
-2.1%
70歳以上で
自己負担2割
-12.0%
-5.2%
70歳以上で
自己負担1割
-7.1%

 “制裁”措置ともいえるこのしくみについて、厚労省の担当者はこう理由づけします。

 「窓口負担を軽減すると、病院へいく人が増え、医療費が増える。助成内容によって医療費が増える自治体と増えない自治体が出ると公平でなくなる。だから、自治体独自の事業で増えた医療費分は、国庫負担の対象とはせず減額して調整する」

 公平さを問題にするのなら、国自身が全国共通の制度をつくることこそ、解決策です。

 幼い子どもは病気にかかりやすく、抵抗力が弱いため、「早期発見・早期治療」がとりわけ大切です。長い目で見れば医療財政にとってもプラスになります。

 これまで償還払いで二歳児までの医療費を助成してきた千葉県成田市に住む女性(33)は、四歳と二歳の子どもがいますが、一度も払い戻しを受けたことがないといいます。「申請には所得や家族構成の証明など何枚もの書類が必要で、病院の領収書も医療内容がわかるものでなければなりません。そろえるのは二度手間、三度手間。子どもがいると動きにくく、せっかくの制度も、あまりにめんどうで使えない」と嘆きます。「四月からの窓口給付はほんとうにうれしい。でも、下の子も二歳なので、うちが利用できるのはあと少しです」

 窓口での無料化が必要であることを物語っています。

 すでに、二〇〇一年十月に関東地方知事会は、国としての無料制度の創設と減額調整措置の廃止を求めています。

 日本共産党は、一九七一年に国会で乳幼児医療費無料化を求めて以来、くりかえしとりあげてきました。〇二年四月には、国の制度として小学校就学前までの医療費を所得制限なしで窓口無料にすることを提案した法案大綱を発表し、実現にむけて活動しています。


減額調整とは

 減らされるのは、国民健康保険への国庫負担金(国保療養給付費等国庫負担金)。市町村の国保は、かかった医療費のうち患者の自己負担分をのぞいて、残りの五割程度を国が負担しています。減額調整は、「かかった医療費」に条件に応じた減額率をかけて計算し、国庫負担分を減らすしかけです。

2003/3/16付「しんぶん赤旗」

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