主張
児童扶養手当
自立支援に逆行する削減法案
自民、公明などは、母子家庭に支給されている「児童扶養手当」改悪案を、十分な審議がないままに衆院を通過させようとねらっています。
児童扶養手当は、今年度予算で受給者の約半分に当たる三十三万人が減額されたばかりです。減額分の受け取りはこの十二月(八月分から十一月分)からです。所得制限を厳しくしたうえ、所得に応じて細かく減額される措置に、母子家庭から悲鳴があがっています。
母子家庭の現実無視
その最中、さらに児童扶養手当の支給制限を強化する母子寡婦福祉法等改悪案を今臨時国会で強行しようとしているのです。
改悪案は、「十八歳の年度末まで」支給されていた児童扶養手当を、支給から五年(三歳未満の場合は七年)たてば、最大で半減できるようにするものです。
母子家庭の母親の九割は就労しているにもかかわらず、平均年収は約二百二十九万円にとどまり、一般世帯の三分の一程度です。児童扶養手当は、まさに母子家庭にとってはなくてはならない命綱です。
だからこそ、七日の衆院厚生労働委員会での参考人質疑でも五人の参考人のうち、賛成を明言したのは一人だけで、反対や慎重審議を求める意見が相次ぎました。この声に耳を貸さず、衆院厚生労働委員会で法案に賛成した自民、公明、保守、民主各党の責任は重大です。
家計の負担は、子どもが小学校から中学校、高校へと進学すればするほど大きくなります。手当が、以前は義務教育終了までだったのが十八歳までになり、さらに十八歳の年度末まで延長された経過を考えれば、現行の支給期間を維持する必要性は明らかです。
母子家庭の親は、劣悪なパート労働をかけもちするなど必死に生きています。支給から五年たてば収入が増え、手当が不要になるとして削減するのは、母子家庭の現実を顧みない情け容赦のない仕打ちといわなければなりません。
私たちは、五年後の削減措置を撤回し、「十八歳の年度末まで」の支給を保障するよう強く求めます。
政府・与党は、児童扶養手当の支給制限の理由として、「母子家庭の自立促進」をかかげ、就業支援の強化をはかるとしています。
しかし、就業支援事業は行政の努力義務規定にとどまっており、どこまで実効性が担保されるのか疑問です。就労支援策の効果について、坂口力厚生労働相は「やってみないとわからない」と答弁しています。
十分な自立支援策がとられないまま「自立」を押し付け、手当を削減するのでは、母子家庭の生活はますます困難になります。母子家庭の自立にも逆行する措置です。
手当の性格を変質
父親の養育費支払いを履行させるための努力を、母親に押し付けていることも見過ごせません。
父親の養育費の支払い義務を明記することは当然ですが、それを母親の努力に任せることは母親の負担を大きくするばかりです。養育費の支払い義務が履行されない場合の救済などの制度的保障こそ必要です。
母子寡婦福祉法の基本理念は、すべての母子家庭児童の健やかな成長に必要な条件整備と、母親の健康で文化的な生活の保障をうたっています。母子家庭の現実を無視して支給制限を強化することは、本来の児童扶養手当の性格を大きく変質させるものです。私たちは母子寡婦福祉法等改悪案に強く反対します。