住民利益を守って
日本共産党員の市町村長が語る
「直送便」の声を生かす
岩手・陸前高田市長 中里 長門さん
八億円のタラソテラピー(海洋療法)施設を中止し、市民から「やめて良かった」という声が広がっています。ほかの自治体が設置した同じ施設が経営難になっている例も出ているからです。
昨年度から国保税を一世帯当たり約一万五千円引き下げました。市民にとって一番大変な税金であり、非常に喜ばれています。しかし、本年度は国保会計が苦しくなり、十二月議会で補正予算を組みました。「改正」老人保健法施行で、七十五歳未満の医療費給付が国保での対応になったためです。
十月から県単独の医療費助成制度が改定され、乳幼児、妊産婦、重度心身障害者、母子家庭にたいして自己負担が導入されましたが、市単独で助成し、すべてで無料化を継続しました。県内十三市の中では唯一です。これも歓迎されています。
市には誘致企業が少なく、経済振興のためには農林水産業を発展させるしかないと、力を入れてきました。
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農業では、国の「米政策大綱」にもとづく地域水田農業ビジョンを全集落で策定しました。意欲のある農家はみんな「担い手」になってもらおうと、担当課の職員にも汗をかいてもらい、地域で話し合いを重ねました。食品メーカーに納めるトマトの栽培が市で始まったのも明るい話題です。
林業では、地元産材を使った公共施設などの建設を進めています。
国からの地方交付税や補助金の削減などで市の財政も大変な状況です。〇五―〇八年度の四年間で八億五千万円の予算不足が見込まれたため、人件費の削減などを中心とした「行財政改革プログラム」作りに八月から取り組んできました。
できるだけ市民サービスの切り捨てをせず、内部努力でやろうと、職員組合とも協議を続け、十二月議会前に合意に至ったところです。
市民の目線で市政運営をすることに心がけてきました。市長の報酬を20%カットし、さらに来年度から5%減らします。自分の軽トラックで通勤し、市長専用車は競売にかけました。
市長と語る会や「市長直送便」には多くの市民が参加し、寄せられた意見はできるだけ反映させています。
当面、単独市でやっていきますが、常に情報提供をし、内部努力をし、市民と協同してまちづくりを進めることが大事だと思います。
聞き手 岩手県 三国大助記者
(2004年12月28日「しんぶん赤旗」より)