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日本共産党

日本共産党の躍進と野党戦線

――東京での不破議長の演説から

2001年4月18日(水)「しんぶん赤旗」


 日本共産党の不破哲三議長は、東京・墨田区(四月十三日)および東大和市(四月十五日)の演説会で、消費税減税などの「緊急経済提言」をめぐる政治状況について訴え、野党共闘や「野党連合政権」の問題について、日本共産党の立場を解明しました。以下は、演説のその部分の大要です。


 不破議長は、「先日、以前住んでいた墨田の商店街を都議候補といっしょに歩いたとき、お客さんからもお店のなかからも“この不況を何とかしてくれ”の声が軒並みだった」と語りはじめ、「ほんとうに長い長い、ひどい不況です。どの政府も景気対策をとなえて予算をつぎこんだのに、不景気は深刻になるばかり。なぜなのか」と問いかけました。そして、「それは、日本経済のいちばん大きな力である『個人消費』、国民の家計を冷え込ませる一方で、ゼネコンや大銀行の応援だけに熱中する見当違いの政策をやってきたからだ」と答え、日本共産党が提唱している政治の切り替え、家計をあたためることを最優先の課題とする「緊急経済提言」について説明しました。

 この「緊急経済提言」とは、

 (1)消費税減税、

 (2)社会保障の連続改悪の凍結、

 (3)中小企業振興とリストラ対策を柱とする本格的な雇用対策、

 の三つを柱とするものです。

 不破議長は、この「緊急経済提言」をめぐる状況について、次のように述べました。

 

国民の声にも経済の道理にもかなった「緊急経済提言」

地方を代表する企業の方も「これは賛成だ」と共感

 私たちはいま、この提言をもって、各方面の方々と意見の交換をやっています。さきほど緒方靖夫さんが報告した東京商工会議所との交流も、そういう意見交換でした。全国各地から報告を聞きますと、なかには知事選挙などで相手側にまわってきた、その地方では代表的な企業の方が、「これは賛成だ」といって、共同の経済シンポへの出席を約束されるなど、たいへんな反響がひろがっています。やっぱり、こういう政治の実現があちこちで待ち望まれているという実感を、ずしりと感じます。

 なぜ、そんな大きな反響があるのか。これは、私たちの提案が、国民の声にもかない、経済の道理にもかなっているということではないでしょうか。

世論調査では消費税減税、雇用と収入の不安解消が圧倒的

 国民の声といえば、こんなこともあります。日本銀行が“どうしたら消費が活発になるか”について、世論調査をやったのです。第一位をしめたのは「雇用と収入の不安の解消」で四五・九%、第二位は「消費税の引き下げ」で四二・六%、私たちの提案をそのまま表したような数字でした。大阪の信用金庫が中小企業を対象にやった調査でも、“不況対策にもっとも効果のある対策は”という質問で、第一位が消費税減税で四七・五%でした。消費者も中小企業も、圧倒的に求めているのが、消費税減税だということです。

アメリカの経済専門家も消費税減税を提案

 経済の道理という点では、最近、いろいろな新聞に出ているアメリカの経済専門家の意見がたいへん面白いのです。ブッシュ大統領の方は、失業者が出てもいいから「不良債権処理」に全力をあげろなど、勝手な注文をつけますが、長くアメリカ経済にたずさわってきた専門家になると、アメリカ経済の経験もふまえて、なかなか実のある助言をしてくれます。

 日本経済新聞に登場したある専門家は、“これまでのような予算の使い方では効果がないことがはっきりした。減税による景気刺激策、具体的には消費税の税率引き下げだろう”とズバリ提案しています(三月十三日付)。その二日後の新聞では、大学教授も“消費回復のため、消費税率の引き下げを検討してもおかしくない”と言いました(三月十五日付夕刊)。また、朝日新聞に意見を出した経済専門家は“効果の薄い公共投資をやめ、個人消費を刺激する所得・消費減税を優先すべきだ”と、これもはっきりしています(四月十日付)。

 アメリカの経済専門家のみなさんが、消費税減税ということを、海の彼方から、これだけ口をそろえて提案しているのは、ほんとうに珍しいことです。これは、私たちの提案が経済の道理にかなっていることの現れだと言ってよいでしょう。

その影響は自民党の総裁選挙にも

 私たちの提案は、始まった自民党の総裁選挙にも影響を与えています。

四候補とも大不況おこした橋本内閣の大臣で、森内閣の支え手

 実際、変なものですね。あの総裁選挙というのは(笑い)。四人の候補が出て争っていますが、この四人の共通の特徴をご存じですか。一つは、四人とも、橋本内閣の閣僚だったということです。首相は橋本さん、建設大臣が亀井さん、厚生大臣が小泉さん、経済企画庁長官が麻生さん、こういう顔ぶれでした。消費税増税でこの大不況を起こしたあの内閣の首相と経済閣僚が、そろって立候補したのです

 第二の共通点は、四人とも、無為無策でこの不況をひどいものにした森内閣を支える柱となってきた人びとだということです。橋本さんは行政改革担当、麻生さんは財政経済担当の大臣、亀井さんは自民党の政調会長、小泉さんは森首相の派閥の会長ですから。寄ってたかって森首相を支えてきた人たちが、そろって顔を出している。

 橋本内閣の大臣であり、いま森内閣の支え手である四人が、これまでの政治に何も責任がないような顔をして、テレビで討論しているのを聞いていると、大変むなしくなりますが、そのなかで面白いのは、亀井さんが、何と消費税減税を言いだしたことです。

 ついこの間、与党三党の経済緊急対策をまとめたときには、国民の家計の冷え込みなどそっちのけで、「さあ、株価対策だ、不良債権だ」と騒いだ人ですよ。その人が、自分が総裁選挙に出るということになったら、にわかに“消費税減税が大事だ、三%への引き下げだ、これぐらいのことをやらなければ、日本経済は立ち直れない”と言いだした。翌朝の新聞を見ましたら、「『亀井さんは共産党と共闘するのか(笑い)。自民党的な考え方ではない』(政府首脳)と政府・与党内に波紋を広げている」(「読売」四月十一日付)とか、「消費税率引き下げは共産党も主張しているだけに、与党内にも驚きと困惑が広がっている」(「産経」同日付)とか、書きたてられていました

党の提案は景気対策の核心をついたことを証明

 自民党内ではよほど評判が悪かったのでしょう。二日もたったら、「私は三%などといった覚えはない」と、森さん流の言い訳をし始めました。やはり、人気取りをねらった底の浅い発言だったんですね。しかし、「国民の家計をあたためる政治を」、「まず消費税減税からやろうじゃないか」という共産党の提案が、自民党の総裁選挙にまで影響をおよぼしたということは、愉快なことではないでしょうか。(拍手

 ここには、私たちの提案が景気対策の核心をついた提案だったということの、一つの大きな証明があります。

 不況からの活路は、この道しかないのです。

 みなさん。この声をさらに大きく広げ、選挙でもこれを国民の圧倒的な声にして、くらしの向上と景気の打開に役立つ政治の切り替えを、国民の力で実現しようではありませんか。(拍手

消費税減税が、なぜ与党と野党の対決の焦点にならないのか

 もう一つの問題があります。消費税減税の問題は、これだけ政治の大問題になっているのに、与党と野党の対決の焦点にはなっていない。なぜか、という問題です。

消費税減税を主張する政党は野党のなかで日本共産党だけ

 簡単にいうと、野党のなかでも、消費税減税を主張する政党が、日本共産党以外にないからです。

 参議院選挙が近づいてくると、「共産党は、野党連合政権の旗をなぜ思い切ってかかげないのか」という質問によく出合います。この答えもやはりいま見たところにあります。

 現在、野党にはいろいろな党がありますが、その多くは自民党から分かれて出てきた政党です。分かれてできた新生党、日本新党、「さきがけ」などが、いま民主党や自由党の中心をなす流れになっています。社民党は別の歴史をもっていますが、ついこの間まで自民党と連合政権を組んでいた政党です。

 これらの政党が、それぞれなりに自民党流の政治ではダメだということに気づいて「反自民」の野党の立場をとるようになった。さらに、長いあいだ、「除く」「除く」といっていた状態からぬけだして共産党との共闘に踏み切るようになり、この二年ほどのあいだに、共産党をふくむ野党共闘が、国会では当たり前の姿になってきた。こうして、日本の政治には、いま新しい情勢が開けつつあります。だから、私たちは、野党共闘の発展には、特別に大きな力をそそいできました。

 ただ政策の面になると、ほかの野党の人たちは、長いあいだ自民党政治の流れのなかで政治に取り組んできたみなさんですから、なかなか政策の考え方までは野党的にはならないのです。

 消費税の問題でも、社民党と「さきがけ」は、橋本内閣当時の与党で、五%増税を推進した党です。また民主党や自由党のなかには、もともと消費税増税という根強い流れがあります。去年、総選挙の投票日の翌日、NHKテレビで党首討論会に出ましたら、民主党の代表も自由党の代表も、消費税を増税して社会保障の財源にするということを、気楽に言っていました。だから、消費税問題になると、減税の要求で、野党が足並みをそろえるという条件は、いまはないのです。

「不良債権」問題で経済界のなかにも大失業への懸念

 それから、「不良債権」問題にしても、同じような状況があります。この問題では、経済界の一部にさえ、こんなことを無理にあわててやったらたいへんだ、失業者が百三十万人も増える、という心配の声が強くあるのに、野党のなかには、「結構じゃないか」という推進論がかなり大きくあります。この間、野党四党の党首が共同の街頭演説会をやったのですが(三月二十一日)、わが党の志位さんは、「不良債権対策」中心の政府のやり方を批判し、国民の家計をあたためることが大事だという演説をする、民主党の鳩山さんは、アメリカから言われた「不良債権対策」はもっと早くやるべきだったと演説する。共同の演説会で、同じ宣伝カーの上から演説をやっているのですが、こんな調子で、訴える政策の中身はまったく違うのです。

 こういう違いをそのままにして、野党四党が、いま一致できる範囲でなにか政権構想を出すとしたら、どういうことになるでしょう。私たちは、消費税減税など、いろいろな緊急の提案があるが、野党の一致点となると、消費税減税もその他のこともなにも入らないことになります。他の党にしても、いちばん言いたいことが入らないことになる。結局、どこから見てもどうということのない、ごく抽象的で、中途半端な取り決めしかできないことになります。そうなったら、どの党も、本気で自民党政治と対決する政策的な立場を失い、国民の失望を買うだけです。

野党のそれぞれが自分の政策で自民党政治を追い詰めることが大事

 私たちはその点を考えて、ほかの野党のみなさんにも、率直に言ってきました。いまの野党共闘は、政策の面で一致点を確認しあっているのは、「公共事業を減らす」ことだけという程度なのだから、共同の政権構想をつくれる状況にはない、だから、今度の選挙では、それぞれの党が、“わが党は自民党政治をこう変える”という独自の政策をもって、それぞれなりに全力投球で自民党政治に切り込もうじゃないか。政策の違う点については、野党同士の論戦も気持ちよくやろうじゃないか。こういうことを提案しているのです。

 こういう正面からの勝負で自民党・公明党を追い詰め、選挙の結果、野党が過半数をしめるなどの新しい状況が生まれたら、そのときは、国民の利益にたって、どういう点で政策の一致ができるか、野党のあいだでの本気の議論がそこで始まるはずです。そういう苦労をしないで、国民に信頼される政策の旗印なしに、政権だけを問題にしても、これでは、自民党にかわる新しい政治への道は開けません。

 八年前に、細川内閣ができたときには、わが党以外の野党は、「非自民」の旗印で政権をつくりましたが、“自民党政治にかわる政治”の旗はなに一つ示せず、逆に、「自民党政治の継承」をうたいました。それが細川内閣の失敗の大きな原因となりました。自民党政治の危機がここまですすみ、二十一世紀の新しい政治への道を切り開こうといういま、細川内閣のこの失敗をくりかえすようなことがもし起こったら、それこそたいへんです。

自民党政治にかわる政治の「日本改革」提案こそ日本のすすむ道

 私たちは、日本共産党として、自民党政治にかわる政治についての提案を、「日本改革」の政策にまとめて、提案してきました。だからこそ、景気対策のような問題でも、国民の声にこたえ、問題の核心をついた積極的な提案ができるのです。どの野党も、それぞれなりに“自民党政治にかわる”自分の政策をうちだすでしょうが、私たちは、わが党の「日本改革」の提案のなかにこそ、日本の政治がすすむべき大道があると確信しています。

 この党――明確な「日本改革」の提案をもち、金権・腐敗の政治と一貫してたたかっている政党・日本共産党が国政で大きな力をもってこそ、自民党政治を追い詰める野党全体の力もさらに大きくなるし、それが国民の世論の高まりと結びつけば、消費税減税などを野党の共同要求にしてゆく条件も広がってきます。また、国民の期待にこたえる新しい政治をこの日本に起こしてゆく日も、さらに早くなります。このことをご理解いただいて、日本共産党の躍進に大きなご支援をいただきたい、このことを心からお願いする次第です。(拍手

 

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