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日本共産党

中国平和軍縮協代表が緒方氏との会談で

台湾問題での不破提言を評価

 2001年3月31日(土)「しんぶん赤旗」


 日本を訪れている中国人民平和軍縮協会の代表団(団長・宦国英=ファン・グオイン=副会長)は三十日、国会内で日本共産党の緒方靖夫国際局長・参院議員と会談しました。

 会談で宦団長は、国際情勢とブッシュ政権への見方、銭其しん(チエン・チーチェン)副首相の訪米、台湾問題、平和の課題、中国経済について、緒方氏は、アジアの平和の課題、日本の政治・深経済情勢、森首相の訪米などについて語りました。

 会談のなかで、宦団長は、日本共産党が台湾問題に正確な態度を取り、正しい歴史認識を堅持していることに感謝をのべました。アメリカが進めるミサイル防衛計画の危険性を批判し計画の中止を強調しました。

 緒方氏は、森首相が訪米したさい、米本土ミサイル防衛(NMD)計画に支持を表明したことを紹介し、新たな日米軍事協力の拡大はアジアの平和を脅かすと批判。両国の平和運動が力を合わせることは、アジアと世界の平和の強化に貢献すると確認しあいました。

 宦団長は、台湾問題について、中国の台湾問題での基本的立場は変わらないが、今年一月の銭副首相の講話以来、表現を変えたとのべました。「中華人民共和国が唯一の合法的政府で台湾は中国の一部」との表現から、「中国は一つであり、中華人民共和国と台湾は一つの中国を構成している」と変えたことを説明。これは、簡単ではなかったが、台湾人民の共感を得る立場から変えたものだとのべました。

 これにたいし緒方氏は、日本共産党の不破哲三議長がこれまで中国共産党指導部との会談のなかで、台湾人民の共感を得る重要性を強調してきたことに触れ、中国側の「表現」の発展は賢明な方向だと思うとのべました。

 これにこたえ宦団長は「不破議長が台湾人民の声を注意するようにと提起したことを聞いている」とし、「このような提言はすばらしい」とのべました。さらに、「私たちは台湾海峡で緊張関係をつくりたくないのが真意だ」と強調しました。

 日本共産党からは、緒方氏のほか、佐藤三男平和運動局長、秋藤陽子同次長らが応対。中国の代表団は、日本平和委員会と日本原水協の招待で来日したものです。


「台湾問題」に関する不破議長の発言

日曜版(2000年12月31日・2001年1月7日合併号)から

 中国人民平和軍縮協会代表団との会談で話題になった中国の「台湾問題」に関する日本共産党の不破議長の発言は、「しんぶん赤旗」日曜版(二〇〇〇年十二月三十一日・二〇〇一年一月七日合併号)での不破、緒方対談でつぎのように紹介されています。

 不破 …台湾の総統選挙で「台湾独立論」があらためて問題になったころ、去年の四月でしたが、党の組織部長の曽慶紅さんが来たのです。そういう時期ですから、私は、この時の会談で、台湾問題をとりあげたのです。

 緒方 あの会談は印象的でした。

 不破 私は、「台湾問題の平和的な解決を望むのは、日本の国民の共通の希望だ」と言ったうえで、私たちがこの問題を考えるさい、二つの点を区別している、と話しました。

 一つは、この問題の国際法的な枠組みで、…とくに日本は、百五年前(一八九五年)に中国から台湾をとりあげて植民地にし、五十五年前(一九四五年)にポツダム宣言で台湾を中国に返した国だから、「一つの中国」の立場をだれよりもきびしく守る必要がある、という点です。

 もう一つは、私たちが平和的解決を求めるのは、その国際的な枠組みをきちんと守りながら、政治的な判断、希望、要請として問題をだしているのだ、ということ。

 この二つの点をよく見てほしい、と言ったのです。

 そのうえで、あなたがたは、台湾が中国に復帰する形として、「一国二制度」と言っている。これは、非常に有効な方式だと思うし、香港もマカオも、たしかにこの方式で中国復帰が実現した。しかし、香港やマカオの場合には、植民地だったから、イギリスやポルトガルとの交渉でこれを実現したのであって、住民の意思は問題にならなかった。台湾の場合は、その条件がまったく違っている。台湾でこの方式での統一を実現するためには、台湾の住民の意思が決定的になる、だから、あなたがたが成功しようと思ったら、台湾の「民心」をえる、つまり台湾住民の支持をえる努力がなによりも大事になるのではないか。こう話したのです。

 そうしたら、十人近い中国側の代表団がざわめいたんですよ。

 緒方 あのざわめきは非常に印象深くおぼえています。普通、会談でそういうことはありませんからね。

 不破 そのざわめきは、なんというか、ちょっと自分たちの視野になかった問題を提起された、といった感じでした。

 そうしたら、翌月の五月、今度は、中国の唐家セン外相の訪日があったのです。いろいろ話しているなかで、唐外相が「四月に不破委員長が曽慶紅さんに述べた中国・台湾問題にかんする意見を、中国では重視していま研究しているところです」と言ったので、私は驚いたんです。会談といっても、訪日のさいの話はだいたい三十分程度のことですから、その時だけの一過性の話で終わったとしてもおかしくないものです。ところが、四月に党の組織部長に話したら、五月にきた政府の外交責任者から、その提起を重視して研究している、という返事が返ってきた。これは、私たちの提言にそれだけ真剣に耳をかたむけていることの表れであると同時に、いろいろな人が次々とくるが、中国側としては総合的に対応しているんだな、ということが分かりました。

 緒方 私も驚きました。不破さんの話は、いい意味でショッキングな問題提起だったと思うんですよ。それを中国側がまじめに受けとめる、その真剣さを感じました。

 それと継続性ですね。会談する相手がかわっても、前の会談のときの話が引きつがれていて、連続的な話し合いができるということは、なかなかないことですから。

 不破 私たちが「一つの中国」という原則を一般的にくりかえすだけではなく、日本とアジアの多くの人たちの要望にそって、平和的にどう解決したらいいかについて、真剣な提起をすると、相手側も本気で受けとめる、こういう関係ができつつあることは、日本と中国の関係にとっても大事なことだと思います。

 

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