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日本共産党

「きれいな力が日本を変える」――21世紀を早くそういう時代に

尼崎での演説会

不破議長の訴えから

 2001年3月21日(水)「しんぶん赤旗」


 日本共産党の不破哲三議長が十七日、兵庫・尼崎市内でおこなった演説のうち、既報の経済提言部分を除く大要は次のとおりです。


森首相のごまかし退陣劇が
重大な「政治空白を」つくっている

 みなさん、いまの政治の状況をどうご覧になっているでしょうか。ほんとうに、ひどい状態だと思います。私は、国会に出て今年で三十二年目になりますが、そのあいだに十六人の首相が退陣する様子を見てきました。しかし、十七人目の今回ほど目も当てられない退陣の仕方はありません。(拍手)

 だいたい、自民党の仲間や公明党などの与党には、「退陣する」とこっそりいう、しかし、国会と国民には、また諸外国には、「退陣するつもりはない」という、こんなに内閣の終わり際でじたばたした内閣というのは、いまだかつてだれも見たことがないわけであります。

 しかし、これは、笑い事ですむことではありません。辞めたか辞めないかわからない人が総理の座に座っているということは、政治が真っ白な空白の状態になっているということです。

 国内でも、国外でも、大変な問題が毎日起こっているのに、責任を負ってそれに対応する政権がないということであります。

 「いや、おれはしっかりやってる」と森さんは、毎日国会で答弁しています。これは、ほんとうでしょうか。

経済問題でも、内閣の中身はすでに空っぽ

 たとえばいま、自民党や公明党は、「緊急経済対策」をつくってそれを真剣にやるのだと言い訳をしています。しかし、新聞にこんな記事がでていました。「緊急経済対策」が発表されたのは、三月九日でした。その晩、財務省――昔の大蔵省で、緊急の幹部会が開かれて、宮沢さんがいまなにをやるかという話をした。緊急対策が出された、財務省といえば、それを実行する内閣の一番大事なお役所だから、その総大将が、さぞや立派なことをいったのだろうと思うと、そうじゃない。「いったい党はこれからどうするのかねえ」。宮沢さんがそういっただけで、この会議はお開きになったとのことです。(笑い)

 つまり、辞めたか辞めないかわからない、はっきりいえば、もう辞めてしまっている“過去の人”を担いでいる内閣というのは、これぐらい空っぽなんです。

“過去の人”が訪米しても国益をふまえた交渉はできない

 外交では、明日十八日、森さんは、アメリカへ出かけて、十九日(日本時間二十日未明)に、ブッシュ大統領と日米首脳会談をやります。

 迎えるほうも困るわけですね。森さんが、「事実上の退陣表明」というものをした時、アメリカのマスコミでは、「退陣する首相と会談やっても無駄ではないか」ということが論調ですぐ流れ出しました。それにたいして、アメリカ政府は、盛んに言い訳をし、懸命に首脳会談の意義を説いたといいます。どう説いたかというと、“ともかく首相であるあいだは、相手がだれであろうと会談をやらなきゃいけない”、“たとえ過去の人であろうと、そこでアメリカがいったことは、日本の実力者に必ず伝わるに違いない”という言い訳でした。要するにアメリカの言い分のただの伝達役として扱っているということです。

 そんな議論が、首脳会談の相手の側でかわされている。そんな状況で、堂々と国民の利益、国の利益を踏まえた交渉ができるはずがない(「そうだ」の声)。何か決まったとしても、決まったことでしばられてひどい目に遭うのは、日本の国民自身じゃありませんか。(拍手)

 そういう状態を、これから一カ月になるのか、二カ月になるのかは知りませんが、無責任に続けようというのが、いまの政権と政権党であります。

 過去の政治の歴史でも、こんな無責任なことを国民の前で平気でやってのけた政権もなければ政権党もありません。それだけでもみなさん、自民党や公明党が、政権党として失格だということを、はっきり天下にさらけだしているではありませんか。(拍手)

 国民が怒りの声をあげた問題はなに一つ解決してない

 しかも、この間に起きたことで、国民が怒りの声をあげた問題は、なに一つ解決していないわけであります。 

 米原潜衝突問題

この問題で国民の立場にたった交渉ができますか?

日本共産党はただちにハワイに調査団を送った

 先ほど、お話があった「えひめ丸」の問題についても、あの事件が起きたとき、十日のお昼ころだったでしょうか、私たちは、テレビのニュースでそのことを聞きました。さっそく相談をして国際局長の緒方靖夫参議院議員を団長にホノルルに調査団を派遣しました。十二日の朝から大活躍をしてアメリカの当局とも必要な交渉をし、帰ってきた日に河野外務大臣に報告をしたら、「どうもありがとうございました」とお礼をいわれたそうであります。

 お礼はいいが、緒方さんは、「どうも立場が逆じゃないですかね」と感想をのべていました。日本の政府が日本の国民を代表する交渉をし、その内容を国民に報告して、「よくやった」といわれるのが筋道のはずであります。

 ところが森首相はそういう動きはぜんぜんできなかった。

こんなことでは、日本の政治全体が世界の笑いものになる

 では、なにをやってたのか。ゴルフであります。

 森さんはゴルフ場にいて、同じ十日の十一時ごろ、連絡を受けたが、そのあともゴルフを二時間続けた。私はいくらなんでも、こういうニュースを聞いて、首相が動かないというのは解せないと思ったら、そのあとで、「チョコレート」の話が出てきたので腑(ふ)に落ちました。

 「チョコレート」をかけてゴルフをやっていたんだそうであります。私はゴルフをやらないので、「チョコレート」とはどういう意味のことか知らなかったのですが、このあいだ、私が元の選挙区の墨田区に街頭演説にいったときに、墨田区の自民党の議員さんたちのあいだで話題になっていることを紹介してもらいました。

 「チョコレート」とは、ゴルフでお金をかける際の合言葉で、“チョコレートといえば、区議クラスでもだいたい一万円はかける。都議になるともっと高い。首相になったらどこまでいくのだろう”、そんな話がさかんだそうであります。

 また、かけゴルフをやっているときに、途中でやめると、やめた人が責任をとって賠償金を払うんだそうですね。そこまでわかってみると、森さんがゴルフを始めて、十何番かのホールのところでニュースを聞いたが、やめるにやめられなかった、何がその裏にあったのかということが、なんとなく腑に落ちるような気がします。

 これが国会で問題になったんです。「あなたは、かけゴルフをやったんじゃないか」。そう質問されたら森さんは否定しませんでした。「なにをやるときにも努力目標をもつのは必要であります」。(笑い)

 やってないんだったら「やってない」といえばいいのですが、かけゴルフをやったかと聞かれて、「努力目標をもつのはいいじゃありませんか」という答えですから、事実を認めたのと同じことです。

 そういうことを、ああいう重大なことが起こっても平気でいう首相とは、それだけでも世界の笑いものであります。首相が笑いものになるだけじゃない。そういう首相をかかえたままでいて、かけゴルフの事実が明らかになってから、一カ月以上たっても、いまだにその人が首相をつとめているということ自体、日本の政治全体が笑いものになる。こういう事態がすすんでいるということも、私は、みなさんにはっきりみていただきたいのであります。

被害を受けた日本国民の立場での交渉が必要

 「えひめ丸」の問題は、いまだに解決していません。アメリカの査問会議なるものの様子をみていると、「責任はなかった」といった議論が平気でまかりとおっています。結論はまだわかりませんが、たとえアメリカの軍法会議のルールがどうであろうと、アメリカの国内のルールがどうであろうと、それはアメリカの国内の問題であります。

 被害を受けたのは日本の国民であり、あそこで犠牲になった多くの方々です。「えひめ丸」の側になんの落ち度もなかったことは、証明されています(拍手)。その「えひめ丸」にたいして、アメリカの軍艦が、あれだけの無法、無謀な被害を与えたのだから、その責任がどこにあるのかということを明確に要求するのは、国としての日本の当然の責任であります。(拍手)

 いったい、それだけの覚悟をもってこの問題にあたっているのか。ブッシュ大統領に会うときにそれだけの覚悟をもって日本の代表として行動できるのか。

 私は、“過去の人”である森総理を日米首脳会談に送るという自民党や公明党の無責任なやり方は、この問題でも、日本の国の利益、国民の利益、国民の命を底しれず傷つけるものだということを、声を大にしてみなさんに訴えたいのであります。(大きな拍手)

 KSD問題

政党の丸ごと買収は、日本の汚職史上にもかつてなかったこと

 KSDという問題があります。これもまったく解決されていません。私、さきほど国会に出て三十二年目といいましたが、この間には、田中角栄のロッキード事件から、リクルートとか、佐川急便などなど、さまざまな汚職腐敗がありました。しかし私は、今度のKSD事件くらい汚い、腹立たしい汚職・腐敗はないと思います。

 だいたいいままでは、汚職といえば大企業が自分のもうけのなかからわいろをおくって、政治家に自分の都合のいい仕事をやらせる。これが汚職のきまりでした。

中小業者の共済掛け金がわいろの財源に

 ところが、こんど汚職に使われたわいろのお金は、どこの会社のもうけでもないのです。全国の中小企業、業者のみなさんから、共済の掛け金だといって集めたお金、それを政治家を買収するわいろに使った。こういう例はいままで聞いたことがない。

 しかも労働省など政府の後ろ盾がありますから、百万を超える会員ができる。そして、みなさんから掛け金を集める。だいたい年に二百数十億円のお金が集まるそうであります。そのうち共済の費用には八十億円から九十億円のお金を当てればすみ、掛け捨ての保険ですから、あとは全部、KSDのもうけに残ります。

 それを使って、あれだけ大規模な政治家と政党の買収をやったわけですから、私は、これは徹底的に究明しなければならないと、そして買収をやった当のKSDの側の責任者と、買収されてそのために動いた政治家や政党と、この中身を徹底的に明らかにしないと、国民の胸はおさまらない、中小業者の胸はおさまらない、そういう性質の問題だということをまず訴えたいのです。(拍手) 

 私は政治家と「政党」の買収といいました。「政党」がまるごと買収されたというのも、これもかつてないことです。なにかというと、KSDは幽霊党員をつくって、「もみがら党員」という言葉を逮捕された村上さんがいいだしたので、わが党の議員がそれを紹介したら、森さんは「もみがらは大事だ」といって反論しました(笑い)。そういう党員を勝手につくって、その党費だという名目で自民党の本部にお金をおさめ、自分たちの利益代表である村上さんや小山さんを国会議員にしたのです。 

 ですから、買収されたのはこの二人の捕まっている政治家だけではないんです。そういう幽霊党員の党費をまるごと受け取って平気な顔をしている自民党そのものが、まさに買収されたのであります。(「そうだ」のかけ声) 

 幽霊党員の数は五十三万九千六百三十三人。平均して一人四千円の党費だそうでありますから、まるまる払ったとしたら二十一億五千八百五十三万円。全国の業者から集めたお金が、「党費」という名目で二十一億円も自民党に流れ込んだ。その事実がわかっても、いまだにもらった二十一億円はそのまま懐におさめて平気な顔をしている。まさにみなさん、これは、この党がまるごと買収されたことの、まぎれもない証拠ではありませんか。(拍手)

幽霊党員問題――調べる気などまったくない

 私たちは、この「党費」のおさめ方を調べました。東京の支部や埼玉の支部、神奈川の支部がおさめるときに、書類にその支部の責任者の名前が出ているのです。その人たちに会ったり電話をかけたりして調べたら、「私は自民党の党員ではない」とか、「支部の責任者なんかになった覚えはない」とか、全員が否定をしました。届け出の“責任者”が「私は関係ない」といっているのだから、これぐらいまぎれもない幽霊党員の証拠はないのであります。

 志位委員長がその事実を森さんにつきつけて、「実態を調べなさい」といったのが、二月の九日です。三月七日の参議院予算委員会で、筆坂政策委員長が、「調べた結果はどうなったか」と質問したら、「とても調べきれるものではありません」というのが森さんの返事でした。なんにもやってないのです。

 四人の「支部長」を調べるだけで、なんでそんなに時間がかかるのか。筆坂さんは「私はけさも質問の前に一人の『支部長』さんに電話をかけて事実がはっきりした。『関係ない』といっていた。だから午前と午後一人ずつやっても二日で調べがつくじゃないか」といったのだが、「それがなかなか難しいことで」という答弁、まったく調べる気がないのです。調べて幽霊党員だとわかったら、KSDの新しい責任者は「返せ」といっているわけですから、返さないといけなくなる。あくまでほおかむりで通そうというのが、いまの自民党であります。

企業・団体献金の禁止こそが最大の教訓

 私たちは、この真相と責任は徹底的に追及するつもりでありますが(拍手)、同時に、いわなければなりません。これだけありとあらゆる手だてを使っての汚職腐敗が横行するもとは、どんな団体であれ、どんな企業であれ、どんな手口であれ、政党への企業・団体献金を当たり前としているいまのやり方にこそ、一番の根っこがあるんじゃないか。(「そうだ」の声)

 多くのみなさんが求め、私たちが一貫して主張し、実行しているように、企業や団体からの献金はいっさい禁止する。有権者である国民一人ひとりが自分の信じるところに従って、自分の所得のなかから政党に献金をする。この大きな民主主義の大道に政党の財政を切り替えるべきだ、政党への資金の出入りを切り替えるべきだ。

 私はここに、KSD事件の、また過去のすべての汚職事件を含めての、一番の教訓があると考えています。(拍手)

 機密費問題

横領や官僚の飲みくいだけだなく腐った政治の財源になっている

 お金にまつわる汚さをさらにはっきりと示したのが、いわゆる機密費問題です。今度のことでずいぶん多くの方が、機密費という問題を、「こんなものがあったのか」とご覧になるようになりましたが、いままで日本の予算のなかに、これが前からずっとあったのですね。

毎年72億円の税金が「機密費」の名で勝手放題に使われている

 官房機密費というのが十六億二千四百万円、外交機密費というのが五十五億六千六百万円、あわせて七十一億九千万円、約七十二億円ですが、これが毎年積みあげられていて、領収書がいらないお金、なんに使っても文句がいわれないお金、会計検査院でもほとんど手をつけないお金、そういう一番暗い汚い部分が、国民の税金でできた予算のなかにあったのです。

 「機密費」というからには、なかなかの国家機密に使ってるんだろうと、普通の人は思います。私も外交官の方がたの話をいろいろな形でうかがっていますが、なかには、「私は、こういう国にいったときにこういう目的で、当時は公開できないお金の使い方をこうした」。いま話をうかがっても“それはなるほどそうだろうな”と思う使い方をされていた人も、たまにはいます。しかし、おそらくそれは、七十二億円の機密費のなかのほんの、ごくごくごくごく一部だと思います。

 いま、どんどんどんどん、いろんな形で明らかになっておりますが、大部分は、大臣や官僚たちの飲み食いの費用じゃありませんか。「機密費」という名目で、いろんな料亭やなにかのつけがまわされる。そういうことも明るみに出てきました。

共産党が国会提出した文書には全ぼうが当事者の肉筆で

 この問題について、二月九日の質問のさいに、志位委員長が国会に提出した文書があります。政府は否定をしておりますが、ある雑誌が、この文書は政府にとって“衝撃的な”意味をもったものだと評していました。これは、機密費の全ぼうを政府の当事者自身がきちんと書いた、極めて重大な文書です。 

 どんな文書かといいますと、みなさん、宇野内閣をおぼえておられるでしょう。十二年前の参議院選挙をやった内閣ですが、女性問題ですぐ宇野首相が退陣し、日本で一番生命が短かった内閣の一つです。 

 その前が、消費税導入で悪名の高い竹下内閣でした。内閣が交代するときに、前の官房長官から新しい官房長官に、機密費の問題について申し送りをする慣行があったようです。私たちが国会に提出したのは、竹下内閣から宇野内閣への、機密費の問題の引き継ぎの文書で、当時それを扱っていた官僚の肉筆で書いたものでした。 

 そのなかには、いま政府が否定していることが、全部生なましく書かれているのです。 

 たとえば、さっき私は、官房機密費十六億円、外交機密費五十五億円といいました。これは、国家予算でそう仕分けされていて、その間の流用は財政法上許されないはずのものです。 

 ところがこの文書を見ますと、外交機密費のうち、二十億円は内閣官房へと召し上げる(「外務省計上分を内閣官房に交付する」)と書いてあるのです。つまりこれは、明白な法律違反ですね。国会で仕分けを決めているものを、二十億円勝手に横流しするわけですから。政府は流用などないとあくまでいいはっているのですが、この引き継ぎ文書には、ちゃんと書いてあります。

消費税の導入と実施にも10億円の機密費

 また、その使い方についても、一九八八年度は機密費を特別に五億円増やした。なぜかというと、消費税導入のために、対策費が必要だったからだと書いてあります(五億円は「税制改正のための特別の扱いである」)。一九八九年度にも、同じく機密費が五億円増えているけれども、これは消費税実施のために特別のお金がいったからだと書いてあります(「これも新税制の円滑実施等の事情によるものであり、異例の扱いである」)。

 要するに、竹下内閣が消費税を導入した、そのときに、国会対策にお金が必要だったから、この年だけ五億円の機密費を増やしました、つまり、五億円ばらまいたということです。翌年消費税を実施するときにも、国会対策をやらないと実施できないから、また五億円積み増ししてばらまきました、そういうことが麗々と書いてあるわけです。

 ここで重大なことは、この機密費というのは、官僚・大臣の飲み食いだけじゃない。与党、野党にわたる国会対策のなれあい取引、そういう腐った政治のために、そのための財源として使われているのだということが、実にはっきりとあらわれたのです。

 私たちがこの文書を国会で示し、政府に手渡しました。政府は「これは事実無根だ」「こんな文書は存在しない」といいはります。しかし、筆跡を調べると、その当時機密費の取り扱いの責任者だった内閣の首席参事官、古川さんという人ですが、この人の筆跡に間違いないのです。

 テレビ朝日で筆跡鑑定を専門家に頼んだら、「間違いない」という答えが出た。

 私たちも独自に筆跡鑑定を専門家に頼んだら、「間違いない」という結論が出た。その古川さんが、いま官房副長官をやっています。「否定するのなら、国会に出てきて答弁すればいいじゃないか」と、われわれは何度も国会に出てくるように要求しました。普通だったら大臣以外でも次官や副長官が出てくれとか、これこれの官僚が出てくれといったら、いくら自民党でも公明党でも、断ることはないのです。しかし、この人だけは絶対にだめだというのです。出席要求を予算委員会の理事会にかけると、自民党や公明党が反対して、「出す必要ない」とかばい立てのし通しです。

 このあいだの参院予算委員会では筆坂さんが、「これが信用できないというのなら、政府が自分たちで筆跡鑑定をすればよい。現役の官房副長官なんだから、古川氏が書いた文章は政府の手もとにいくらもあるはずだ。その筆跡鑑定を政府の責任でやれば、明りょうになるじゃないか」と追及しましたが、それにもいっさい応じようとしません。ここに示したものが真実のものだということの告白であります。

与党にも野党にも真相の全ぼう解明の責任がある

 国民の税金が、ある官僚によって何億円も横領される、これもがまんができません。そして、飲み食いに何億円も何十億円も使われる、これもがまんができません。同時に、その税金が、消費税の導入という国民にとって痛い悪法を通すために、なれあい取引の財源に使われる、これもがまんができないではありませんか。(拍手、「そうだ」の声)

 この状態はいままでずっと続いているのです。社会党の村山さんが総理になった村山内閣のとき、社会党の野坂さんという方が官房長官になりました。この人がやめてから、ある新聞にあからさまに書いていました。官房長官の部屋には、金庫があって、いつでも七千万円か八千万円の金がはいっている、そして、政治家が海外に行くといってあいさつにきたら、「せんべつ」だといって、そのなかからお金を渡す。

 国会対策に必要だといわれれば、国対関係者にお金を渡す。こういう使い方をしてきた。せんべつはみんな取りにきた。取りにこないのは共産党だけ。「呼んでも来ない」と野坂さんはいうのですけれども、私たちはもともと呼ばれたことがないのです(笑い)。野坂さんが覚えているので一番たくさん渡した相手は、村山さんで、一回の外遊に一千万円以上渡した。こう書いていました。社会党の官房長官でもこんな使い方を平気でしていたという証言まで、当の官房長官自身から明らかにされているのです。

 私たちは、この機密費全体が問題だが、なかでも機密費が国会対策に使われていたということは、とりわけ大事だと思います。残念ながら、それに、日本共産党を除く全政党が加わっていた。これが、消費税導入のときのように野党とはいっても大きな反対はしない、悪法を通す「オール与党」政治のささえになっていたということですから。

 いま野党全体がこの機密費問題をとりあげ、自民党政治を倒そうという態度で追及しています。私たちは、野党がほんとうに国民の信頼を得るためには、たとえ自分たちの過去にかかわりがあることであっても、「真相はこうだった」「こういうことは今後は野党はいっさいしないんだ」ということをきっぱり明らかにしてこそ、ほんとうに密室政治の打破ということを言葉だけにしないことになるし、国民の信頼を野党の側に大きくひき寄せる力にもなる、と考えます。そういう態度を取ろうじゃないかという希望を、私どもはいま共闘をやっている野党のみなさんにも率直に表明しているところであります。(拍手)

「きれいな力が日本を変える」は国民のみなさんへの呼びかけ

 私たちは参議院選挙をめざして、「きれいな力が日本を変える」、これを合言葉にしたいと考えて、今度のポスターもつくりました。これは、ただ私たち日本共産党が、金権政治や企業献金や政党助成金にかかわりないという、自分たちの信条をあらわしただけではないのです。

 日本の政治を変えようとするものは、きれいな力として自分を発展させないと、ほんとうに日本を変える力にならない、そういう「きれいな力」を発展させて日本の政治を変えようじゃないかという、国民のみなさんへの呼びかけであり、ともに自民党政治を追及している野党のみなさんへの呼びかけでもあります。 

 そういう広い呼びかけであるということをよくご理解いただいて、二十一世紀の日本では、「きれいな力が政治を動かす」、そういう時代が一日も早く開けるように、みなさんのご協力を心からお願いするしだいです。(拍手)

 政権問題

政治の中身の切りかえがなによりも重要

 (不破議長はこのあと、自民党政治を転換する「日本改革」の中身を語り、とりわけ経済政策で三つの転換を訴えました〈三月二十日付既報〉。そのあと、つづけてつぎのようにのべました) 

 いま、経済問題を含め、国民に背を向けた自民党政治を終わりにしなければ いけないときがきています。

 私たちは、森内閣を倒す、自民党政治を終わりにするというときに、九〇年代の苦い経験を教訓にする必要があると思うのです。それは、首相の首が変わっただけじゃだめだ、内閣の顔ぶれが変わっただけじゃだめだ、政治の中身の切り替えがおこなわれなければいけないという教訓であります。 

 細川内閣のとき、政権党が変わり、総理大臣も変わりました。「自民党政治を受け継ぎます」ということではじまった細川内閣は、なんにも政治を変えられないで、失敗に終わりまし た。 

 村山内閣のときには、社会党の総理が生まれました。しかし、社会党が自分の政策を捨てて、自民党の政治に歩み寄っただけでしたから、これは結局、同じ連合内閣で自民党の橋本さんが首相をつとめる内閣に変わっただけに終わりました。 

 いまの自民党、公明党、保守党の内閣も、国会で議席の数が多くなっただけで、自民党の悪い政治に歯止めをかける役割など、なにひとつできない「連合」内閣です。そのことは、いまの森内閣のわけのわからない状態に公明党や保守党が手を貸していることにも明りょうであります。 

 やっぱり、自民党政治を終わらすためには、政治の流れを切り替えることが大事であります。参議院選挙では、そのことの国民的な討論をしっかりして、中身を切り替える力を持った勢力が大いに伸びる、それでこそ自民党、公明党、保守党を追いつめる野党の力が強くなる、そこをぜひよく見ていただきたいのであります。 

 どんな金権政治にも縁がない政党、同時に国民の立場で「日本改革」の政策をしっかり持ってる政党、日本共産党が躍進してこそ、二十一世紀を日本の国民にとって明るい未来を持った世紀にすることができると思います。 

 今度の参議院選挙が、ほんとうに二十一世紀最初の国政選挙として、日本国民にとって明るい世紀をひらく選挙となるように、日本共産党の躍進にみなさんの大きな力を貸していただくことを、心からお願いするものであります。

 ご清聴どうもありがとうございました。(大きな拍手)

 


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