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日本共産党

日本経済の危機打開へ3つの転換を

尼崎での演説会 不破議長の訴えから

 2001年3月20日(火)「しんぶん赤旗」


 日本共産党の不破哲三議長は、十七日の兵庫・尼崎市での演説で、日本経済の危機打開にむけた三つの転換を提唱しました。その関連部分の大要を紹介します。


 では、どう日本を変えるのか、私たちは、「日本改革」という言葉で、日本の政治を、経済の分野ではこう変えたいと思っている、教育の分野ではこう変えたいと思っている、外交の分野ではこう変えたいと思っているという私たちの考えを、みなさんにずっと訴えてまいりました。

景気対策のカギは「個人消費の拡大」にある

 そして、いま思うことは、そういう改革が、経済の分野で今日何よりもつよく求められているということです。

 日本の経済の現状は、このままほおっておくわけには絶対にゆきません。だいたい、経済というと、桜の話がよくでます。“今は苦しくても桜の花が咲くころにはなんとかなる”、この話を一番最初に政府の口から聞いたのは四年前のことでした。しかし、桜の花が咲いてもだめだった。また三年前にも二年前にも、同じ話がでました。しかしだめでした。去年もそうでした。今年も、桜のことをいい出しかけた人がいましたが、どうも様子をみていると、今度は桜の花が咲いてもどうにもならないことがいまからはっきり見えているから、桜のサの字くらいで止まっちゃったようであります。

 しかし、これは笑い話でなく、実際の話です。政府が無責任な見通しをいくらならべても、現実の経済は、それほどに悪化につぐ悪化です。森首相などはのんきなもので、一月にはダボスというところで開かれた国際会議に出て、いまや日本経済は着々と本格的な回復の軌道にのっていて、回復した日本経済が世界経済の最先端に立って貢献できるだろう、それが私の確信でありますなんて大見えをきったのですけれども、これがまったく、見通しをもたない人の大ぼらだったということは、たちまち明らかになりました。

個人消費が落ち込んでは景気は絶対に回復しない

 なぜ、こんなことになるのか。歴代政府が、“私たちは景気の問題に一番力をいれています”といいます。しかし、力を入れても入れても、何十兆円のお金を景気対策につぎ込んでも、日本経済はよくならなかった。なぜなのか。そこがいまいちばんの考えどころです。

 みなさん、日本経済という時、なにが一番大きな力であるかご存じでしょうか。経済にはいろんな力があります。企業の活動、企業の設備投資も大きな力ですが、日本の経済の中で、全体の六割を占める最大のものは、国民の「個人消費」であります。「個人消費」というと、なにかややこしい話のようですが、要するに、毎日毎日みなさんが暮らしの上で売り買いしていること、つまり国民が暮らしのためにつかっている消費のことです。一人ひとりの暮らしは小さいけれども、一億二千万人の暮らしを集めるとこれが日本経済の六割を占める力になっている。これが、経済の実際なのです。

 経済の見方はいろいろありますが、全体の六割を占める個人消費が落ち込んだり冷え込んだりしていたら、景気は絶対に回復しないのです。さらに、六割も占める国民の個人消費にたいして打撃を与えるようなことをやったら、それこそ経済の全体が致命的な打撃を受けるのです。

 それを、はっきり証明したのが、実は、四年前の橋本内閣の消費税増税でした。消費税を三%から五%に上げる、それで五兆円の増税、それに医療費など社会保障の改悪と特別減税の廃止をくわえて、一年間で九兆円もの新しい負担を国民におしつけるということをやりました。景気は多少よくなっているから、もういいだろうという考えだったのでしょうが、この大変な計画をやったのが橋本内閣だったのです。

 私はその時、九七年一月の国会で、いまお話ししたようなこと、つまり、日本の経済にとって「個人消費」がどんなに大事かということを国会の壇上でのべたうえで「国民に年間九兆円という過去どの内閣もやったことがないような負担をおしつける、国民の消費にこんな打撃を与えたら大変なことになる。これは、日本経済のかじ取りを決定的に誤るものだ」と、橋本首相に政策の根本的な転換を求めました。

 しかし、橋本内閣は「そんなことはない。大丈夫ですよ」といって、この暴挙を強行しました。その結果、ちょっと上向きになっていた景気が九七年に逆転して下がりはじめ、いまの長引く不況に落ち込んだのです。私は、それ以来、国会で代表質問に立つたびに「最大の問題は個人消費の冷え込みにある。ここをあたためる政治に切り替えるべきだ」ということを歴代の首相に繰り返し呼びかけてきました。

自民党政府は大銀行、ゼネコン応援だけの景気対策をつづけてきた

 しかし、自民党政府はそれを無視して、大銀行やゼネコンの応援だけに力を入れた景気対策を四年間続けてきました。その結果が、いまの状態であります。

 だいたい、この問題は政府の統計にもはっきり出ているのです。統計をみると、九七年から去年まで、勤労者世帯で生活に使えるお金(可処分所得)は毎年減りつづけ、三年間で平均して毎月二万四千円以上減ってしまいました。これは、一世帯あたり、購買力が年間三十万円落ちたということです。毎年連続して減って、ここまで落ちたということは、戦後の日本の経済の歴史にはないことです。経済のかじ取りを誤った結果、ここまで落ち込んでしまったのです。

 宮沢財務大臣が、今年の一月、ある会合でのべた話をききましたが、“私は前は、企業を応援して企業に力をつけさえしたら、やがてその力は国民消費にまでおよぶと期待していた。しかし、企業の利益は回復しはじめたが、それが家計にはまわらない。私の見通しは間違っていました”と告白していました。政府の側も、大企業の応援、ゼネコンや大銀行の応援だけでは日本経済の一番の土台が立ち直らない、これではだめだという認識にまでは、どうにか来たようであります。しかし、政策は変えようとしない。わかっていながら変えないのだとしたら、その罪はいっそう深いわけであります。

 私は、いまの景気をいい方向に向けなおそうと本気で思ったら、日本経済のかじ取りを、ゼネコンや大銀行への応援から国民の暮らしの応援に切り替える必要がある、国民の消費の購買力を国が応援して拡大する政治に切り替える必要がある、このことを提唱したいのであります。(拍手)

 そのためには、私は、三つの分野を考えなければいけないと思います。

第1の転換

消費税減税など、国民の購買力を直接あたためる

 一つは、国民の購買力を直接あたためる政策です。

 今度の不況は、橋本内閣の消費税五%増税から始まったわけですから、やっぱりそこを考え直すところから始めるのが、いまいよいよ必要になっていると思います。

反響を呼んでいる全労連の消費税3%引き下げの提唱

 実は、全労連という労働組合の全国組織が、三月二日の大きな全国集会の時に、消費税を三%に引き下げようじゃないかという提唱をおこないました。これがいま、非常な反響を呼んで、全国にその声がまさに広がりつつあります。

 政府は、まったく反対の立場です。去年の総選挙の前に、政府の税制調査会の会長が、そろそろ消費税を一〇%から一五%ぐらいに引き上げる時期がきたという報告をまとめようとしました。私どもはこれに反対しましたし、選挙でも大問題になりました。

 このごろは、何パーセントという数字をあげることは避けていますが、宮沢財務相あたりも、消費税の増税は避けられない方向だといいはじめています。政府は、国民とはまったく逆のことを考えているのです。こんなことがやられたらそれこそ大変です。

 消費税のいまの税率五%を一〇%に上げるとすると、五%増税ですから十二兆五千億円の増税、一五%に上げるとなると一〇%増税で二十五兆円の増税になります。日本経済をここまで落とし込んできた国民の暮らしの冷え込みをもっと冷え込まして、とんでもないことにしようというのです。もちろん、こんなことを許すわけにはゆきません。

 いまは、経済の実態からいっても、増税どころか消費税の減税を当面の一番大事な課題としなければならない時に来ている、と私は思います。

消費税減税は景気対策の中心問題になってきた

 共産党はもともと、消費税に反対であります。税金というものは、生活に必要な費用にはかけない。それから、所得の少ない人には軽く、所得の大きい人に重くかける、これが大原則です。ところが、消費税というのは、まさに国民の生活に必要なお金にかける税金です。また所得が少ない人だろうと、多い人だろうと、同じものを買えば同じだけの税金がとられるわけで、税金の大原則に反する一番不公平な税金であります。だから私たちは、そもそも消費税に反対なのですが、消費税をなくしてゆくには、やっぱりそれだけの予算の裏づけが必要になりますから、そこへすすんでゆくための段階と手だてをいろいろと考えてきました。去年の総選挙の時には、財政再建をやりながら、その中で、消費税の減税から廃止へ向かって進んでいこうという見通しを発表しました。

 しかし、景気の冷え込みがここまでくるとそういう回り道はもはや許されなくなっていると考えざるをえません。

 ですから、消費税の増税の計画をやめさせることはもちろん、景気打開の緊急の対策として、少なくとも増税前の三%に消費税を減税すること、これで五兆円の減税になりますが、それを中心に国民の消費の力、国民の購買力を直接あたためる政策にただちに転換することが、急務となっていることを訴えたいのであります。(拍手)

第2の転換

社会保障の連続改悪を「凍結」し、将来不安をとりのぞく

 第二に、消費の冷えこみのもう一つの大きな問題は、社会保障の連続改悪です。年金も医療も、まだ不十分だとはいっても、以前は定まった制度があって先々のあてにすることができました。いまはどの分野をとっても、先々の頼りになるものがありません。保障の水準をひきさげる改悪が毎年計画されて次から次に悪くなる。そうなると、病気の時のためや、老後のために苦しい生活のなかでも自分で貯金をしておく以外に頼るものがない。そういう状態が消費を冷えこませる大きな原因の一つになっていることは、もう常識です。思いきってそこをあらためる必要があります。

国民が安心して頼りにできる社会保障の体系を

 私たちはいまおこなわれている社会保障の改悪も、これからおこなわれようとしている改悪も、これをただちに「凍結」する、そして「凍結」している間に、国民のみなさんが将来にわたって安心してあてにできるような、ちゃんとした社会保障の体系を練りに練ってつくりあげる。こういう方向に切り替えることを提案したいのであります。(拍手)

 昨年実施が始まったとか、今年これから実施が始まる予定だとかいうものを調べてみますと、老人医療の問題、高齢者の介護保険料が全額負担になる問題、年金の賃金スライドが停止される問題から雇用保険、失業保険の改悪までたくさんあって、これを全部合わせますと、国民の負担増は年間三兆円にものぼります。

 さらに、政府はいま、お年寄りの医療制度を根本からあらためて、七十歳以上の人からも保険料をとりたてたうえ、医療費の負担をいまよりもっと重くする大改悪、いわば、お年寄りの医療の特別の制度を根本からなくしてしまうことまで検討しています。

 こういうものを全部「凍結」し、そのあいだに、将来安心して頼れる社会保障の制度――日本の条件にかなった社会保障のきちんとした体系をつくりあげようじゃないか、社会保障の分野では、そういう切り替えがいまなによりも求められていると思うのであります。(拍手)

第3の転換

雇用危機打開に本格的にとりくむ──中小企業対策とリストラ対策

 第三は、雇用の問題です。

 ほんとうに失業は最悪です。完全失業者が三百万人を超えて、三百二十万人、こういう状態がずっと続いています。これは、日本の資本主義の歴史のなかでもほんとうに異常なことなんです。

 これまでにもいろんな不況がありました。しかし、雇用と失業の問題はここまでひどくなりませんでした。一九七〇年代の石油ショックは日本経済に大打撃を与えましたが、あのときの失業の年度での最高の数字は、一九七八年の百二十四万人でした。一九八〇年代には、円高不況が日本経済を直撃しました。これも大変な不況でしたが、失業が一番増えたのは、年度でいいますと一九八七年で、百七十三万人でした。二百万人を超えたことはなかったのです。

 ところが、いまの不況では、完全失業者は三百万人を超えて、いまでも約三百二十万人、失業率はこの二月で過去最高の四・九%です。いままで働いて収入を得ていた方が、失業して収入がなくなる。それは、そのご家庭にとって大変な問題であると同時に、日本経済全体を考えても、消費がそれだけ減るわけですから、まさに、国家的な大問題です。

 しかし、いまの自民党と公明党の政権は、それにたいするちゃんとした対応をなんにもやってこなかった。これが問題であります。

 私は、雇用危機の打開に本格的にとりくむことも、個人消費の拡大のためにいまやらなければならない一つの大きな柱だと思っています。

中小企業がどうなるかは日本の雇用の8割を左右する

 これには、問題が二つあって、一つは中小企業対策です。

 中小企業(資本金一億円未満)の倒産は、去年一年間でも、一万八千四百九十七件、ほんとうに高い水準で続いています。

 中小企業のこの状態をたて直し、安心して仕事がおこなえる条件をつくるために、国は全力をあげる義務があります。

 日本経済のなかで中小企業がしめる役割と比重は、たいへん大きなものがあります。実際調べてみますと、雇用の面でも、いま日本のあらゆる分野で働いている方が五千七百三十万人、そのうち四千六百万人、つまり八割の方が中小企業で働いています。つまり、中小企業がどうなるかということは、雇用の八割を左右する大問題なのです。

 しかし、政府がこの問題に本気でとりくんできたことがあったでしょうか。

 選挙になると政権党――自民党も公明党も保守党も、言葉では中小企業対策が大事だといいます。しかし、この方々がどれだけ本気で中小企業の問題を考えているかは、この方々が今年組んだ予算案で、中小企業対策がどれだけの重みを持っているかを見れば、すぐわかります。

こんな予算では実のある中小企業対策ができるはずがない

 今年の予算は、総額約八十三兆円。借金財政ですから、八十三兆円あっても、国債の償還や利子払いに使う分が大きいですから、現実に使える一般歳出はかなり減って四十八兆円ほどになります。そのなかで、中小企業予算がいくらあるのかというと、千九百四十八億円。一般歳出四十八兆円のわずか〇・四%です。

 働く人の数でいえば日本経済の八割を占めている中小企業にたいして、わずか予算の〇・四%しか使わない。これでは、何も実のある対策はできない。だれだっておわかりではないでしょうか。

 日本にアメリカの基地が無数にあります。日米安保条約という条約を結んでいますから、私たちがいくらいらないといっても、政府は義務があるといって、条約の上で基地予算のかなりの部分を引き受けています。しかも、それにくわえて、条約にはきまっていないが、アメリカの財政が苦しいだろうから、「思いやり」をもって特別にプラスアルファをつけましょうといって、「思いやり予算」を別に組んでいます。

 その「思いやり予算」が、なんと今年の予算では、二千五百七十三億円にもなりました。アメリカの基地にたいして条約上の義務がないのに、「思いやり」でつけてやっている予算の方が、全国の中小企業のために組んでいる予算の総額よりもなんと六百二十五億円も多いのです。

 自民党が、KSDという団体にまるごと買収されていたことは、最初にお話ししました。その自民党が、実際に中小企業のためにやっていること、やろうとしていることは、この程度なのです。

 みなさん、中小企業は日本経済の主役です。こんなやり方をおおもとから切り替えて、主役である中小企業にふさわしいような予算の裏付けをもって、堂々とした中小企業対策を実行できる政治をみんなで築きあげようではありませんか。(大きな拍手)

雇用危機の大もとには大企業のリストラ競争がある

 もう一つの問題は大企業のリストラです。

 大企業がいま、もうけをあげ始めたというのに、なぜ、雇用が増えないのか。それが問題になったとき、宮沢財務相も、「やっぱり問題はリストラだね」とこたえています。リストラでもうけをあげるのは、自分の企業にとってはいいことでしょうが、そこで働いている労働者のくびを切って消費をせばめれば、経済全体はめちゃくちゃになり、それがまた自分たちにもはねかえってくる。いま日本の経済で大企業の行動はこういう悪循環に陥っているのです。ところが政府は、雇用危機の原因にリストラがあると認めながら、実際には不況のなかでリストラ応援の政策をずっととってきました。

 みなさん、ご存じでしょうか。いろいろな企業がリストラの計画を立てると、政府から応援の金がくる、「産業再生法」という法律でそういう仕掛けができています。

 たとえば富士銀行と第一勧業銀行と日本興業銀行が統合したときに三千人の従業員をリストラする計画を発表しました。このリストラはいいことだというので、政府は百四十億円の減税をしてやりました。このように、大企業がリストラの計画を立てると、税制面で大幅な減税が受けられる、金融面でも特別な恩恵を受ける、そういう仕掛けになっています。

 与党のなかでも、言葉のうえでは、雇用問題が重要だという人もいるかもしれません。しかし、自民党と公明党が政権党として現実にやっていることは、リストラをすればするほど企業はもうかるという仕掛けをつくってやって、さあやれ、さあやれといっているのですから、これでは政府が不景気をいっそう激しくする先頭に立っているのと同じであります。

サービス残業なしの経営計画を立てさせる大運動を

 私はいま、日本全体がそこに目を向ける必要があると思います。リストラをやっている企業を見てみましょう。リストラしたあと、そこで働いている方はどんな状況にあるのか、そういうところではかならずサービス残業が横行します。サービス残業というのは犯罪行為だということは政府も認めていることです。これから経営計画を立てるときには、サービス残業などはいっさいやらせない、サービス残業を追放して、働く人には、働いた時間だけの賃金をきちんとごまかしなしに払う、そういう前提で経営計画を立てるようにする。そうすればみなさん、サービス残業でやらせていた分、働き手をもっと増やさなければならなくなって、リストラなど必要なくなるはずです。すべての企業に、そういう経営計画を立てさせる必要があります。

 それから、日本の職場では、労働時間が長すぎるのです。世界では、一日何時間と労働時間が法律や協約で決まっていたら、それを基準としてちゃんと経営をやるのが当たり前です。しかし、日本では、八時間労働のたてまえが決まっていても、十時間労働、十二時間労働を当たり前の体制にして平気でいる、そんな企業が横行しています。ですから、サービス残業ゼロの次には、法律どおりの労働時間をきちんと守ってそれで経営計画を立てることを問題にしなければなりません。そうすれば、“私たちの社内には人が余って困る”なんてことはなくなり、むしろ人手が足りないという声がどこでも出てくるでしょう。

 だから私たちは、サービス残業なしの経営計画を立てる大運動を、あらゆる産業にわたって起こさせる必要があると思っています。その先頭に政府が立ち、リストラを応援するのではなしに、そういう健全な経営計画を応援する政治に切り替える、政府はもともと財界諸団体と仲がいいのですから、財界諸団体にも呼びかけて、日本経済の難局にあたり、そういう形で長年の懸案であるサービス残業をなくす問題にとりくもうじゃないか、こういう大運動を起こす。さらにすすんだところでは残業をなくす大運動を起こす、このようにしてゆくのが、不景気のなかでの労働対策では当たり前のことです。

 ヨーロッパでは、政府が先頭に立って、法定の労働時間を減らすことまでやって、着々と成果をあげています。

サービス残業ゼロで90万人、残業ゼロで260万人の雇用が増える

 それをやったらば、雇用はどうなるのか。実は、サービス残業や残業をなくしたときの雇用効果は、社会経済生産性本部という財界系の研究機関がちゃんとはじきだして、一昨年、結果を発表しています。サービス残業をゼロにしたら、九十万人の雇用が増える、残業をゼロにしたら、二百六十万人の雇用が増える、これが財界系の研究団体が計算した結果であります。

 みなさん、リストラの応援ではなしに、そういう形で職場の働く仲間の状態をきちんと改善しながら、失業難も解決し、日本経済を立て直す、こういう方向に日本の経営のあり方が変わっていくように、政府が先頭に立つ、この大運動を起こそうじゃありませんか。(拍手)

 私たちが以前から主張していますように、ゼネコン・大銀行を応援する政治から、国民の暮らしを応援する政治に国政のかじを切り替えれば、景気対策の問題でも、財政再建の見通しや段取りをきっちり示しながら、こういう大転換を実行することがかならずできると確信しています。

 それをやらなければ、いつまでも日本経済はいまのような見通しのない暗い状態を長引かせる結果になります。

 まさに、経済の面からいっても、大転換のときがきていることを強調したいのであります。


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