JCP

日本共産党第25回大会

文字の大きさ : [] [] []
党大会特集へ

志位和夫委員長の結語

1月16日報告、同日採択


写真

(写真)結語をのべる志位和夫委員長=16日

 代議員および評議員のみなさん、おはようございます(「おはようございます」の声)。CS通信、インターネット中継をご覧の全国のみなさんにも心からのあいさつを送ります。

 私は、中央委員会を代表して、討論の結語をおこないます。

 3日間の討論で、62人の同志が発言しました。全体として大会決議案と中央委員会報告が豊かに深められ、実践への決意と抱負が語られた、明るく、楽しい、笑いあり涙ありの素晴らしい討論になったと思います。(拍手)

 討論での発言を希望された方は、259人におよびます。用意した発言原稿がありましたら、ぜひ事務局にお届けください。新しい中央委員会の責任で、今後の活動に大いに生かすようにしたいと思います。

全国からの反響――双方向での認識の発展に歓迎

 大会初日の中央委員会報告は、全国でCS通信とインターネット中継で約2万人が視聴し、500人以上から感想文が送られてきました。まず全国からの反響を報告しておきたいと思います。

 中央委員会報告は、全体として、全国の同志にもきわめて積極的に受け止められています。とくに、党大会決議案の全党討論のなかで、さらにつっこんだ解明が求められた問題について、中央委員会報告がそれに正面からこたえたことにたいして、歓迎の声がよせられているのが特徴です。報告では全党討論と情勢の進展をふまえて、とくにつぎの諸点で新しい解明と提起をおこないました。

 ――米軍基地問題の解決の方途と日米安保体制について。

 ――経済危機への対応と、「ルールある経済社会」の意義について。

 ――労働運動の現状と展望をどうとらえるか。

 ――米国・オバマ政権をどうとらえ、どう対応するか。

 ――地球環境問題への国際社会の対応の到達点と、今後の展望について。

 ――中期的展望にたった「成長・発展目標」を提案した意味について。

 とくに日米関係について、「対等なパートナー」というならばこの現実はどうかと、日米軍事同盟の現実の姿を事実にてらして明らかにし、その異常な実態の是正を求めた報告の提起にたいしてきわめて強い反響、共感の声がよせられました。私たちが大会報告で提起したような内容は、本来は日本政府こそ提起すべきことではないでしょうか(拍手)。しかし、民主党政権になっても、「日米軍事同盟絶対化」の枠組みからは一歩も出られず、米国にたいしてまともにモノがいえない。そういうもとで、中央委員会報告は、大会というわが党の最高意思決定機関の名において、21世紀のあるべき日米関係の未来についてのわが党の立場を、米国政府にメッセージとしてのべたものともなりました。

 中央委員会が決議案を提案し、全党討論でさらに解明が求められる問題が提起され、それにこたえて大会の中央委員会報告ではさらに問題をつっこんで解明しました。こうして、全党討論をつうじて党全体の認識が大きく豊かに発展しました。ここにはわが党ならではの双方向での認識の発展の民主的プロセス、民主集中制という組織原則の生命力が示されているということを、まず強調しておきたいと思います。(拍手)

情勢の前向きの変化が生き生きと反映された

 大会討論での発言は、どれも豊かで素晴らしい内容のもので、『前衛』大会特集号が近く発刊されますが、全員の発言を収録したいと思います。発言はその全体が党活動の発展のうえで“宝庫”ともいうべき、たくさんの教訓に満ち満ちているので、ぜひ生かしていただきたいと思います。

 結語では、おそらく参加者のみなさんが共通して感じたであろういくつかの特徴点について、のべておきたいと思います。

 第一は、国民が新しい政治への探求を本格的に始めている、情勢の前向きの劇的な変化がこんなにも生き生きと語られた大会はなかったということであります。

 農林漁業という第1次産業の分野で、自民党支持の大規模な崩壊のもとで、全国各地で新たな交流、対話がすすんでいることが、多くの発言で語られました。わが党と農協や森林組合との交流、対話のなかで、「農家の気持ちが一番わかるのが共産党」という評価が広がっていることは、ほんとうにうれしいことであります。農協との懇談会の会場に行ってみると、「共産党との懇談会」の立派な看板がかかっていたという発言もありましたが、いまや誰の目もはばかることなく自由な交流が可能な時代となったということを実感いたします。

 大会には、JA全中の冨士重夫専務理事に、初めて来賓としておこしいただき、茂木守会長の「再生産可能な価格保障と所得補償、国境措置の維持・強化、日米FTA反対、食料主権の確立、こうした方向はわれわれのめざす方向とまったく同じであり、心強い限りです」というメッセージをいただきましたが、心強い限りであります(拍手)。たいへんうれしい激励であり、日本共産党との対話と共同がさらに発展することを心から願うものであります。

 自治体でおこっている変化も劇的であり、地方議会で奮闘している代議員のみなさんから、その様子が生き生きと報告されました。富山県議会議員の代議員の発言は、県議会でたった1人の議員でも、全体を動かしている様子が語られました。「日本共産党が単独で提案した『日米FTAに反対する意見書』が採択された。どう行動したらいいかわからなくなっている民主党にも働きかけ、辺野古米軍基地建設に反対する意見書をねばり強く協議し、一部修正のうえ、民主党は賛成にまわった。こうしたもとで1議席でいいのかと複数議席への挑戦に決意を固めている」との発言でありました。1人の議員の声でも、議会全体が動く。それは「政治を変えたい」という国民の巨大な声が情勢を前に動かす力として働き、この力は国政だけでなくて、地方政治にも働いているからにほかなりません。

 変化は知識人にもおよんでいることが語られました。東京の弁護士の党組織からは、情勢の反動的逆行を許さないことへの決意とともに、この1、2年の間に、20代、30代の若手弁護士が、「一貫して弱者のためにたたかう共産党は筋が通っている。そういう人生を歩みたい」と、つぎつぎに入党していること、これは「近年になかったこと」だとのうれしい報告もありました。

 全国革新懇の品川正治さんから来賓あいさつで、「いまほど大きな激動期はない。行き過ぎた大企業依存、アメリカ依存の根底には反共があった。それがはっきり崩れ始めている」「共産党は自分たちの出番だと自信をもつときだ」という激励をいただいたことは、参加者に大きな感銘をあたえました。

 「反共の壁」が崩れてきていることは、多くの発言で裏付けられました。熊本県・上天草市の代議員は、「前回の市議選は30票差で次点だったが、今回は3倍化してトップ当選をかちとった。情勢の大きな変化を実感する。以前は、『宮下さんは良か人ばってん、共産党だけんなあ。無所属で出たらトップ当選ばい。無所属で出なっせ』(笑い)とよく言われた。まだ共産党アレルギーがあった。それが今度の選挙では『共産党でないといかん』と言われるようになった」と情勢の劇的な変化を語りました。熊本県というのは、保守の地盤が強かったところですけれども、そこで「反共の壁」がガラガラと崩れている様子が、生き生きと語られました。

 もちろん、私たちは、なお日本共産党を封じ込めようとする動きを過小評価しません。しかし、品川さんが「反共は恐れるに及ばない。国民には通用しなくなりつつある」というのはまさにその通りであります。その気概で大いに奮闘しようではありませんか。(拍手)

 こういう情勢の変化は、自然におこったのではありません。党と国民とのスクラムをくんでのたたかいによって新しい情勢は開かれてきました。多くの発言で、そのことへの確信が語られ、そしてたたかいをつうじてたくましく成長する姿が語られたことは何よりもうれしいことでありました。

 京都府から参加した19歳の最年少の代議員は、大阪での高校時代に私学助成増額の運動にとりくみ、大阪府知事を相手に大論争をおこない、府の制度として所得の少ない家庭の生徒への授業料無料制度をつくらせた、その経験を語りました。「大阪の高校生に笑顔をください」という会をつくったということでありましたが、私は橋下知事と高校生のみなさんとの要請でかわされた議論の議事録を読んでみたのですけれども、圧倒的に高校生の勝ちです(拍手)。京都の大学に入って一時期、学ぶ意味がわからなくなったけれども、母校の文化祭で高校生の社会問題や平和問題の展示を見て、「学ぶことを中軸にして社会や人間の営みがある」ことを知り、「共産党は私が自分らしく生きられる場所」と確信し、迷うことなく入党したという体験を語りました。「民青、共産党は温かい場所。今日という日をスタートにがんばっていきたい」という発言は、日本の未来は洋々としていることを示す発言でした。この若い同志の入党をみんなで祝福したいと思います。(拍手)

 広島県・福山市議の代議員は、シャープの「派遣切り」とのたたかいをつうじて成長する青年労働者の姿を語りました。党と民主団体が一体に「命を丸ごと支える」活動にとりくむなかで「私は人間が嫌い」と話していた青年労働者が、「人間を信じられるようになった」「今度は自分が派遣切りにあった人を助けたい」と、人間への信頼をとりもどした。そして、日本の現実を変えねばと入党し、選挙でも素晴らしい力を発揮しているとの報告でした。

 日本の情勢は、国民が新しい政治を大規模に探求する大激動の時代に入っています。そしてこの変化は、党と国民のたたかいがつくったものです。そしてたたかうなかで国民も変化し、成長している。みなさん、ここに確信をもち、情勢の変化にふさわしい広い視野と高い志をもって、ともに奮闘しようではありませんか。(拍手)

参院選躍進に「全国は一つ」で挑戦する決意がみなぎった

 第二に、討論をつうじて参院選躍進に「全国は一つ」で挑戦する決意がみなぎったということであります。

 比例代表と選挙区の多くの予定候補者の代議員から、決意表明がありました。底抜けに「明るく元気」な(笑い)候補者、静かな中にも強い闘志の炎がめらめらと燃えていることを感じさせた候補者、多士済々、個性豊かな候補者を私たちは持っていることを、誇りに思うものであります(拍手)。候補者の方々は、その全員が、国会議員としてすぐにたたかう力をもっています。選挙勝利をめざす対話活動や党勢拡大でも、すでに先頭にたって奮闘しています。全国の力を一つに集めて、比例代表5人と東京選挙区の議席の絶対確保をはかるとともに、1人でも多くの国会議員をつくろうではありませんか。(拍手)

 発言を聞いて、やはりここが「要(かなめ)」と感じたのは、「支部が主役」の選挙戦の重要性です。

 岡山県・瀬戸内市の代議員は、「総選挙では得票を前回比106%と増やしたが、参院選勝利に向け全力をあげている。総選挙後も腰をおろしていない。腰を一度おろすとあげることがたいへんだからだ。総選挙後にはじめた『参院選勝利支部ニュース』は22号となり、みんなが楽しみにしている。『宣伝だよ』『拡大だよ』と呼びかけられるとついつい足がむく仕掛けになっている。草の根での宣伝を3世帯に1回の割合、1800回の目標でとりくみ、総選挙後すでに900回を突破している。みんな表に出て元気な姿、顔を見てもらっている。正義の味方でも顔を見なくてはわかりません」と語りました。「支部が主役」で、楽しく、元気にたたかっている姿が伝わってくる発言でした。

 兵庫県・芦屋(あしや)市の代議員は、ハンドマイク宣伝を「支部が主役」でとりくんでいる姿を語りました。「何々町の誰々ですと名乗って『なんで私が共産党を応援するかといいますと』と、身近にわかりやすく話している。母子家庭のお母さんが『暗いトンネルのなかを子どもの手を引いて一生懸命歩いてきた。ふとその手を離しそうになる。お金がほしいんやない。希望がないんや』と聞く人の心にしみる訴えをされる。84歳の党員は、脳梗塞(こうそく)をわずらい、リハビリで4年ぶりに復活した。『マイクを握る手が震えるほどの感激で、気分はそう快だ。涙が出るほどうれしい』とのべた」。こういう発言でした。私はこの発言を聞いて、草の根でこういう素晴らしい活動ができる政党がほかにあるだろうかと思いました。文字どおり日本共産党だけだと、誇りをもって聞いたわけであります。(拍手)

 情勢が求める「有権者の過半数との対話を」のよびかけにこたえた活動への決意もたくさん語られました。

 すでにこのとりくみを開始している報告もありました。長野県・佐久市の県議候補の代議員は、「3年前の県議選に挑戦したがおよばなかった。そこで年末から、毎日、100人を目標に対話に取り組んでいる。消防団の全員が支持してくれた。商工会でもあたたかい反応が返ってくる。スーパーの前での宣伝と対話にもとりくんでいる」と発言しました。党大会に4日間出たために“400人分の借金ができた”と言っておりましたが、大丈夫です(笑い)。すぐに取り戻して、さらに大きな発展をとげることは間違いありません(拍手)。こちらから壁をつくらず、どこにでも胸を開いてとびこんでいけば、どこまでもわが党の支持は広がるという確信を与えてくれた発言だったと思います。(拍手)

 「党の自力をつけなければチャンスを逃す。自力をつけ勝つべくして勝ったといえる選挙に」という中央委員会報告のよびかけにこたえ、なんとしても党勢拡大の上げ潮をつくり、そのなかで選挙をたたかう決意もたくさん語られました。

 東京・渋谷地区委員長の代議員は、「参議院選挙に勝てず本当に悔しい思いをした。結局は、選挙に勝てる分厚い党をつくるしかないと思いを定めた。16カ月連続で毎月10人の党員拡大目標を達成し、『しんぶん赤旗』読者の拡大でも21カ月連続増をつづけ、民青地区委員会も14年ぶりに再建して、都議選・総選挙をたたかった。総選挙で得票率を7・9%から9・8%へ123%前進させた」と発言しました。「やはりやるべきことをやれば、結果は必ず出ます。選挙に勝つには分厚い党をつくるしかない」――この言葉はそれに営々ととりくんできた党の責任者の言葉として、ずっしりと重くひびいたのではないでしょうか。この言葉を、全党の共通のものにしようではありませんか。

 千葉県・東葛(とうかつ)地区委員長の代議員は、党勢拡大で前大会時を突破して大会をむかえたことについてこう発言しました。「得票目標の実現に執念をもち、党員拡大に思い切って力を集中してきた。前大会以後、1年目は32人、2年目は50人、3年目は110人、4年目は168人と党員拡大が年を追うごとに広がってきた。現勢の23%の党員拡大をすすめ、これが読者拡大をささえる力となった。住民の苦難軽減、市民に開かれた生活相談活動にとりくんだことが、『困ったときは共産党』と信頼を広げた。情勢の大きな変化を感じている」。こう教訓と決意を語りました。

 みなさん、半年後に迫った参議院選挙を、「やるべきことをやりきり、勝つべくして勝った」といえる選挙とするために、大会参加者が躍進の先頭にたってがんばろうではありませんか。(拍手)

「成長・発展目標」が深められ、民主連合政府への展望が語られた

 第三は、中期的展望にたった「成長・発展目標」をもった活動という提案が深められ、民主連合政府への展望が見えてきた大会となったということです。

 「すすんだ党組織」からは、大志をもって過去最高の峰を大きくこえる決意が語られました。大阪府委員長の代議員は、「大阪は、総選挙の比例代表で10%を超えたが、情勢が求める水準にてらせば決してすすんでいるとはいえない。当面の参院選で、80万、17%の得票率を掲げるとともに、『成長・発展目標』としては過去最高を大きく超える25%の得票率を掲げ、1960年代に『大阪が変われば日本が変わる』の意気込みで躍進したことを想起して、さらに大きな躍進の時代をつくりたい」との決意を語りました。

 奈良県委員長の代議員は、「まず参院選で必ず第3党をかちとる決意だ。そのうえで『成長・発展目標』が第2党では面白くない。かといって第1党は言いすぎだ。そこで2010年代後半には『第1党を争う』ところまで押し上げる。『国づくり』が最初におこった歴史をもつ奈良こそ、『国民が主人公』の新しい国づくりのさきがけになる決意だ」という発言がありました。

 「遅れた党組織」からもつぎつぎに決意が語られました。香川県委員長の代議員は、「遅れは宿命ではなく、前進の条件が大きいという報告の指摘はありがたい。香川は『日本の夜明け』でもなく、『都の発祥地』でもないが、報告の指摘を信じて頑張りたい」と語りました。

 千葉県委員長の代議員は、「遅れは宿命ではない。千葉県でも、農村部で激変がおこり、都市部でも前大会から党組織を倍加している経験が生まれている。壮大な展望に確信をもって、2010年代を躍進の時代にすることに挑戦する」と決意をのべました。

 短期間で大きな変化をつくっている経験もたくさん語られました。新潟・上越市頚城(くびき)区の代議員は、「5年前は合併選挙で次点に泣いた。『今度こそ』と、党員を7人から45人に増やし、世帯の80%に後援会員になってもらった。そして2008年には定数2でトップ当選をかちとった」と、わずかの期間に大きな変化をかちとった経験を語りました。「成長・発展目標」というのは、中期的展望にたった目標ですけれども、ゆっくりぼちぼちやろうというものでもないのです。どんどん変化をつくりながら、それを加速させていくことが重要で、その点では短期間に大きな変化をかちとった教訓がたくさん語られたことは、大事でありました。

 困難を抱えている党組織の責任者が、科学的展望と不屈の気概をもって、「成長・発展目標」に挑戦していることも、私たちの心を打ちました。静岡県の新県委員長となった女性の代議員は、前県委員長を病気で失うという不幸と悲しみのなかで、後継県委員長を引き受け、みんなの意見にじっくりと耳を傾け、集団的な英知と力で困難を打開して、前途を開く決意を語りました。私は、その勇気と決意に心からの敬意と連帯の気持ちをのべるとともに、ぜひ困難をのりこえて、大きな成功をおさめることを願ってやまないものです(拍手)。新中央委員会も必ずや、ともに困難をのりこえるための親身の援助をすると思います。(拍手)

 この討論をつうじて、民主連合政府への展望が見えてきたのではないでしょうか。「成長・発展目標」を全党の生きた目標とし、2010年代を党躍進の歴史的時代にするために奮闘しようではありませんか。(拍手)

強く大きな党づくりへの道がしめされた

 第四は、強く大きな党づくりへの道が、討論をつうじて生き生きと明らかになったということです。3点ほどのべたいと思います。

 一つは、ここでも「支部が主役」の党づくりこそ、強く大きな党への大道だということです。このことが党づくりとの関係でも鮮やかに浮き彫りとなりました。

 石川県は、全国でただ1県ですが、前党大会時比で、党員、日刊紙読者、日曜版読者ともに前進して大会をむかえた県です。その最大の教訓について石川県委員長の代議員が、つぎのようにのべたことを、私たちは深くかみしめたいと思います。

 「4年間の前進で実感できたことは、『支部が主役』の党づくりでこそ党が変わるということであり、この道にたってこそ前進・飛躍は可能だということだ。住民のあらゆる苦難解決・要求実現の活動をすすめ、毎週の支部会議にとりくみ、決定で党をつくる努力をすすめ、決定読了で過半数を突破してから機関も支部も変わった」

 こういう努力のなかで、毎月の読者拡大で成果をあげる支部が3割台から4割台、この2年間は5割台にまでひろがったとのことでした。「『支部が主役』の党づくりに徹すれば党は必ず変わる」――この教訓を、全党のものにしようではありませんか。

 「支部が主役」の党づくりにとりくむ支部自身の発言がたくさん出されましたが、どれも素晴らしいものでした。

 宮城県・仙台東・大梶(おおかじ)支部の代議員は、県営住宅のなかでの粘り強い党づくりの教訓を語りました。この支部は平均年齢77・6歳ということでした。支部長さんが、町内会長、地区社会福祉協議会の活動、安心連絡員として孤独死を防ぐ活動などにとりくみ、信頼を広げるなかで、党員が増えている。「焦らず、ゆっくりでいいから頑張ろう」という精神でやってきた。「高齢者のみなさんが、実は力も知恵も経験も豊かで出番を待っている」ことを痛感している。「会議は月2回休まず続け、党費は未納者なし」でやっているということも報告されました。住民の多くが、高齢者であり、月10万円以下の年金か生活保護で暮らしている。そういう生活苦のなかで、未来を展望し、「成長・発展目標」をもって、明るく、楽しくがんばっている。平均77・6歳の支部であっても、心は若いですね。「成長・発展目標」をもって、未来を展望してがんばっている。この発言も胸が熱くなるものだったのではないでしょうか。

 二つ目は、職場支部の活動についてであります。大会で職場支部の発言がこれほど活発に出されたのは、久方ぶりだと思います。前大会後の2回の「職場講座」を力に、このとりくみが端緒だが前進を始めていることが、生き生きと反映された大会となりました。

 神奈川県の代議員は、いすゞの党組織のたたかいを報告しました。いすゞでは47年前から不屈に職場に党の旗を掲げ続け、神奈川県川崎市の工場が閉鎖され、神奈川県藤沢市と栃木県の二つの工場にわかれたときにも、双方に党支部をつくり、たたかいをつづけてきた。苦しい中で党の旗を守りつづけてきたからこそ、「派遣切り」にさいして全国にさきがけてたたかいがおこったのであります。発言のなかで、正規労働者が非正規労働者に心を寄せ、その願いの実現にともにたたかってきた経験が語られました。粘り強く門前ビラを配布する、工場内を歩いて、非正規の労働者をさがして話を聞く、そういう努力のなかで2年目あたりから「ビラを読みました」とメールや手紙がくるようになった。その一人ひとりに丁寧に返信し、結びつきをつくっていった。党の結論を押し付けず、「実態を教えてほしい」と苦しみと要求を聞くことからはじめた。そういう長い粘り強いたたかいがあったからこそ、「派遣切り」にさいして非正規の労働組合がいち早く結成されました。そのなかで入党もすすんだ。非正規労働者にこういう姿勢で接すれば、「結びつくことは必ずできる」。この確信が語られました。

 長野・長水地区・職場援助委員会責任者の代議員からも、粘り強い系統的なとりくみについて報告されました。「第1回講座以後、職場支部援助委員会をたちあげ、3年7カ月欠かさず毎月援助委員会と職場支部交流集会を開いてきた。選挙中も態勢をくずさず、職場支部の対話・支持拡大は、この20年間で最高の到達になった。『ぞくぞく』とまではいかないが、ぞく、ぞく、(笑い)入党者も広がりつつある」とのことでした。

 大阪・高槻(たかつき)島本地区・職場援助委員会責任者の代議員からは、「職場支部との接点を多く持ち、職場支部の悩みと正面からむきあうことに心を砕いてきた。家庭内の生活なども伝え、『蛇でも鬼でもなく、普通のおっさん』というプロフィルを配った。長いこと会議を開いていない支部では、『支部長と私と2人だけ』でも開こうと努力してきた。そのなかで支部会議の定例化は57%から87%に拡大した。『20年前に党をやめた』といっている人には、1年半にわたって手紙を送りつづけた。とうとうカンパが寄せられ、今年もどうぞよろしくとのあいさつが寄せられた」という発言がありました。これを8分間で言うのは簡単ですが、やってきたことは大変だったと思います。営々とした努力の積み重ねの上に変化をつくっていると思いました。

 職場支部の活動のすぐれた教訓で共通しているのは、一言でいえば、長期にわたって系統的に粘り強くとりくんでいることです。職場支部の活動を強めることは、一朝一夕にはいかない困難も苦労もあります。即効性だけをもとめず、粘り強い系統的な努力をつづければ、必ず実を結ぶ。このことこそ発言からくみとるべき最大の教訓ではないでしょうか(拍手)。中央委員会として、その助けになるために、つぎの大会期にも「職場講座」を系統的におこなうことを約束したいと思います。(拍手)

 三つめは、若い世代に党活動を継承するとりくみです。決議案と報告では、この問題の重要性をとくに訴えましたが、発言では継承する側の若い同志たちが、「これからの党をになうのは私たち」という意気込みで素晴らしい決意をつぎつぎと語った。これは画期的なことだと、私は思います。(拍手)

 福島県の33歳の県常任委員は、「私たちの世代で必ず福島県からも国会議員を送り出そう。これを合言葉に、福島の青年は大志と夢とロマンをもって大きく成長している。決議案で党活動の世代的継承をよびかけているが、私たちは継承する立場。継承を受ける側のみなさん、ともに成長・発展目標をやりぬこう」と力強く語りました。たしかに福島県の選挙区で国会議員を出せるようになれば“民主連合政府近し”(笑い)、これはまちがいありません。福島の同志のみなさんがんばってください。(拍手)

 兵庫県の選挙区候補の37歳の代議員は、「決議案は2010年代を党躍進の時代にとよびかけた。私は、この提起を党員としての自らの人生に重ねて受け止めた。先輩からの重大なバトンをどう受け止めるか。決議案の提起を受け、自分の30代半ばからのこの10年をどう生きるのか。自らの人生と重ね合わせ、党躍進を歴史に刻むことができるよう自らの成長もかけて奮闘する決意だ」と力強く表明しました。

 山梨県の富士河口湖町(ふじかわぐちこまち)に移住して町議会の空白を克服した31歳の代議員は、「中学3年までの医療費無料化の署名にとりくみ、町長に提出し、町に医療費助成の対象年齢を15歳まで引き上げる条例を提案させ、実現させた」と、すでに町政を動かす奮闘をしていることを語りました。

 香川県・小豆島・土庄町(とのしょうちょう)に、高松から移住して空白克服のために奮闘している31歳の同志の発言も胸が熱くなるものでした。つぎの大会では「議席の確保を報告できるようにしたい」との決意が語られましたが、それが実るように、小豆島・土圧町をみんなで応援しようではありませんか。(拍手)

 福井県の福井市議会議員の31歳の代議員は、「遅れた県」から抜け出す決意を、県党を代表して堂々と語りました。地元紙で「これからの福井の10年をになう人物の一人」と紹介されたといいますが、福井県だけでなく日本共産党の未来をしょってたってほしいという期待をのべたいと思います。(拍手)

 沖縄県の浦添(うらそえ)市議会議員の28歳の代議員は、「基地のない沖縄」をめざす素晴らしい決意を語りました。瀬長亀次郎さんいらいの、「沖縄の心」をもったたたかいが、若い世代にしっかりと受け継がれていることに、私たちは胸がいっぱいになる思いで聞きました。

 こうして継承する側の若いみなさんが、明るく、勇気をもち、堂々とし、確信をもって、大いなる抱負を語りました。わが党の未来は洋々と開けていることを示すものではないでしょうか。(拍手)

 みなさん、決議案と報告でよびかけたように、2010年代を、党建設の面でも、歴史的前進を党史に刻む時代とするために、全力をあげようではありませんか。(拍手)

在日の外交団の感想について

 この大会には、在日の外交団の方々に傍聴のご案内をしましたが、19の国の大使館からご出席がありました。そのうち初参加は10カ国であります。外交団を招待するのは今回が4回目ですが、もっとも多い参加となりました。参加は各大陸におよび、わが党の野党外交の広がりを反映したものとなりました。

 私たちは、初日に、お礼をかねて懇談する機会がありましたが、その席で、こうした交流をおこなうこと自体への歓迎が語られたことは、うれしいことでありました。

 懇談で出された感想を若干紹介いたします。ある外交団の方は、「共産党の大会に、これだけの数の大使館が傍聴したことに、驚いた」と語っていました。ある方は、「自民党も民主党も外交団を招かない。招待してくれたのは日本共産党だけだ。日本の政党の大会を傍聴し、日本の政治を知る唯一の貴重な機会となった」と語ってくれました。ある方は、「規律あるよく組織された政党だということがわかった」「千人をこえる参加者があれだけ狭い席に(笑い)、3時間以上もじっとして(笑い)、しかもメモをとりながら(笑い)、熱心に報告に集中している姿に驚いた。なかなかできないことだ。こちらでは、ビールを飲んだり、歩きまわったり、新聞を広げたりという大会もある」と感想を語りました。

 報告のなかでのべた核兵器廃絶、地球環境問題について、私たちの主張への共感の言葉が多くのべられ、今後、協力していこうという声が、少なくなく聞けたこともたいへんうれしいことであり、ご報告しておきたいと思います。(拍手)

 外交団の傍聴招待は、相互理解と友好のためにおこなってきましたが、今後もこういう機会を大いに発展させていきたいと考えております。

決議案の修正・補強について

 つぎに全党討論、中央委員会報告、大会での討論をふまえて修正・補強した決議案を提案いたします。手元に文書で配布してあります。傍線の部分が修正・補強した個所であります。500件以上におよぶ意見がよせられ、一つひとつを吟味して提案するものです。

 主な修正・補強個所はつぎのとおりであります。

 ――第1章・第4項。中央委員会報告をふまえて、いまおこっていることを、「日本の情勢の深部で広がった支配体制と国民の利益との矛盾の蓄積が、政治の前面にあふれ出し、国民的規模での新しい政治の探求という巨大な奔流となっている」と、綱領的視野からの矛盾とのかかわりで表記しました。

 ――第2章・第6項。農林漁業について、WTO農業協定の改定の要求を明記するとともに、林業、漁業の振興の方策について具体的にのべました。

 環境問題について、再生可能なエネルギーの利用を抜本的に高めること、温暖化対策を口実にした原発推進に反対する立場を明記しました。

 米軍基地問題について、政府の対応の問題点と、「基地のない沖縄」「基地のない日本」をめざす一大国民闘争のよびかけをのべました。

 教育問題について、新しい教育基本法の策定にあたってのわが党の基本姿勢として、「一人ひとりの子どもたちの主権者としての人格の完成を目的とし」という理念を明記しました。これは改悪前の教育基本法の根本理念であります。教育というのは、一人ひとりの子どもの全面的な発達、人格の完成を唯一の目的におこなわれるべきであって、特定の国家目的に従属させるようなことは絶対あってはならない。これが根本理念でありますが、その立場を、明記をいたしました。

 学術・文化・スポーツの振興への政治の責任について、この問題は「事業仕分け」などをめぐって、短期的な効率のみを追い求めて、中・長期的な視野で、学術・文化・スポーツなどの振興をおこなう立場を欠落させた議論も横行するなかで、重視して一項を立ててのべております。

 ――第2章・第8項。中央委員会報告をふまえ、今日の経済危機の性格、雇用者報酬の落ち込みと大企業の内部留保の急増、内部留保を社会に還元させる政策転換の必要性、「ルールある経済社会」という方策の意義などについて、補強をいたしました。

 ――第2章・第9項。マスメディアのあり方への問題提起をしている部分で、「良識あるマスメディア関係者と広く協力」することを補強いたしました。決議案では、メディアのなかにおこっている動きを問題にしたのであって、個々のメディアで働いている方々のなかに、良心と勇気を持って活動している多くの方々がいることを私たちはよく知っています。ですから、そういう方々との協力ということを明記いたしました。

 ――第2章・第10項。労働運動の現状と展望を党としてどうとらえているかについて、中央委員会報告をふまえて補強をいたしました。

 ――第3章・第12項。米国オバマ政権によるアフガニスタンへの米軍増派に反対する立場をのべました。日米関係のあるべき未来について、中央委員会報告をふまえて端的に補強してあります。

 ――第3章・第16項。地球温暖化対策の問題について、新しい項を立てました。この問題について、決議案にまとまった叙述がなかったのは、COP15が昨年12月に予定されていたからであります。中央委員会報告では、昨年12月のCOP15の結果をふまえて、地球温暖化対策の国際的到達点と、今後の課題についてのべましたけれども、その中心点を新たに項をおこして補強しました。その後の項は、一つずつ番号がずれていくことになります。

 ――第4章・第19項。参議院選挙の方針で、「比例を軸に」という立場について、よりいっそう鮮明になるように補強しました。党勢拡大の大きな上げ潮で選挙をたたかうことが、勝利にとって不可欠であること、後援会員の拡大と後援会ニュースで結びつくことの重要性などを補強いたしました。

 ――第4章・第21項。「成長・発展目標」を達成するための党建設では、「量とともに質を」の見地が重要です。そのことは中央委員会報告でものべましたが、そうした立場で補強をおこないました。

 ――第4章・第22項。ここではいくつかの補強がおこなわれています。まず、大会にむけた「党躍進特別期間」の到達点をのべています。それから、「たたかいこそ人間らしい労働のルールをつくる力であり、労働者の階級的自覚と成長の力である」という重要なこの間の教訓を補強して明記しています。それから、青年・学生のなかでの活動の強化を、党機関が、党と革命運動の未来がかかった問題として総力をあげて探求・挑戦することを特記してあります。それから、党機関の指導姿勢として、「聞く力」が重要であることを明記いたしました。さらに、中央委員会として規律委員会、訴願委員会からの報告をうけ、新たに一項をたて、市民道徳と社会的道義をまもり、規律ある党生活を築き、社会進歩の促進のためにたたかう人間集団にふさわしいモラルを確立していくことに力をそそぐことを明記しています。

 ――最後に、第5章・第25項。日本共産党が未来社会への展望をもっていることは、目の前で解決が迫られている問題の打開の道筋とその意義を、より大きな視野と展望のなかで明らかにする力となっているという、中央委員会報告での提起を、決議案にももりこみました。

 以上が、主な修正・補強点ですが、そのほかにも字句上の修正は多数あります。一言一句詳細な検討をくわえて、修正・補強の作業をおこないました。

 この大会での最大の任務は、新しい情勢のもとで、日本共産党が内外の諸問題にとりくむ大会決議案を練り上げ、決定することにあります。その案は、全党の英知を結集して立派に仕上げられたと確信するものであります。(大きな拍手)

 みなさん。党綱領と、採択されるであろう大会決議をもって、広い国民と日本の前途を大いに語り合おうではありませんか。そして半年後に迫った参議院選挙で必ず躍進をかちとろうではありませんか。(大きな拍手)

 以上をもって、討論の結語といたします。(長く大きな拍手)

(「しんぶん赤旗」2010年1月18日掲載)



JCPトップページサイトマップ「しんぶん赤旗」著作権リンクについてメールの扱いについてアクセス地図

(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4−26−7 TEL.03-3403-6111 FAX.03-5474-8358 メール