◆(3)アメリカいいなり政治の異常をただし、独立・平和の日本をきずく改革を

 第二は、異常なアメリカいいなり政治をただし、独立・平和の日本をきずく改革である。

 新しい綱領は、日本の現状を、「きわめて異常な国家的な対米従属の状態」と規定し、この体制を打破することを当面する政治変革の最大の課題と位置づけている。小泉政権のもとで、アメリカいいなり政治の異常は、さらに極端なものになった。

 (1) 日米軍事同盟の体制は、日米安保条約の枠組みさえこえた、地球的規模の「日米同盟」への侵略的変質を深めている。

 すでにそのことは、この数年間にあいついでつくられた自衛隊の海外派兵法に、あらわれている。この間、一九九九年に「周辺事態法」(ガイドライン法)、二〇〇一年に「テロ特措法」、二〇〇三年に「イラク特措法」と、三つの海外派兵法がつくられ、インド洋やイラクへの自衛隊派兵が強行されるという事態がおこった。この三つの海外派兵法できめられた内容は、そのどれもが日米安保条約の枠組み――「日本有事」のさいの「日米共同行動」、「極東有事」が日本に波及したさいの「日米共同行動」という枠組みをこえ、地球的規模での日米の軍事共同に道を開くものとなった。

 政府は、その「根拠」を、「日米同盟」のためと説明するが、どんな軍事同盟でも条約上の権利と義務で組み立てられているものである。それをこえて「日米同盟」のためという理由だけで、アメリカの戦争に世界のどこであれ無条件に協力する――これはまともな主権国家ではありえない異常な従属の姿というほかない。

 アメリカ・ブッシュ政権が、地球的規模ですすめている「米軍再編」は、(一)米軍を、先制攻撃の戦争をたたかうために、世界のどこにでも迅速に展開できる、より機動的な軍隊につくりかえ、再配備するとともに、(二)この戦争をともにたたかうために、同盟国との本格的な軍事的協力体制をつくりあげることを目的としている。

 「日米同盟」の強化は、その中軸的位置をあたえられており、世界でも突出した異常性と従属性をもっている。

 二〇〇五年二月と十月におこなわれた日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書には、「日米同盟の変革と再編」という名で、「日米同盟」の地球的規模への拡大という方向を、さらに大きくおしすすめる重大な内容が盛り込まれた。

 ――日米の「世界における共通の戦略目標」として、「国際テロ」「大量破壊兵器」への対抗が掲げられた。すなわち世界のどこででも、アフガン戦争、イラク戦争のような先制攻撃の戦争がおこなわれたさい、日米が軍事共同をすすめることが、「共通の戦略目標」とされた。また「地域における共通の戦略目標」としてアジア太平洋地域の「不透明性や不確実性」への対処をあげ、日米が共同してこの地域での軍事的対応をおこなうことを宣言した。

 ――米軍と自衛隊が一体になって海外での共同作戦を可能にする態勢づくりがうちだされた。米軍と自衛隊が、司令部機能の統合、基地の共同使用、共同演習の拡大、情報・通信ならびに作戦と運用の一体化を、より一段とすすめ、世界中の紛争に介入する態勢をつくることが確認された。日米の軍事一体化は、自衛隊を米軍の補完戦力として、その指揮下に組み込むという従属的一体化を重大な特徴としている。そのために自衛隊の海外派兵の恒久立法や秘密保護法など、新たな法整備が計画されていることは、重大である。

 ――在日米軍基地の機能の強化・永久化がおしつけられようとしている。沖縄の海兵隊のための新基地建設、神奈川県・キャンプ座間への米陸軍の新しい司令部の移設、横須賀基地への原子力空母の配備、山口県・岩国基地への空母艦載機の移転など、いますすめられている基地増強計画に共通しているのは、在日米四軍――陸海空・海兵隊の、海外への「殴りこみ」機能を一段と強化することである。在日米軍再編の財政負担を日本国民におしつけるくわだてがすすんでいることも重大である。

 また、キャンプ座間に米陸軍の新しい司令部を移設するとともに陸上自衛隊の新たな戦闘司令部を設置し、東京都・横田基地の在日米空軍司令部に航空自衛隊の戦闘部隊を統括する司令部を併置するなど、在日米軍と自衛隊との司令部機能の統合がすすめられようとしている。

 「日米同盟の変革と再編」の名でおこなわれている、地球的規模での海外派兵態勢づくりの際限ないエスカレーション(拡大)、在日米軍基地強化・永久化のくわだてを許さないためのたたかいは、直面する熱い課題である。

 (2) こうした「日米同盟」の侵略的強化の道は、日本国憲法――とりわけ憲法九条といよいよ両立できなくなっている。

 自民党政府は、これまでに、さまざまな自衛隊の海外派兵法をつくってきた。しかし、どの海外派兵法でも、こえられない一線があった。それは海外での武力の行使である。「周辺事態法」「テロ特措法」「イラク特措法」など、これまでの海外派兵法では、「武力による威嚇又は武力の行使」は、明文的に禁止されている。

 海外での武力の行使の「歯止め」となってきたのが、憲法九条、とりわけ「戦力保持の禁止」と「交戦権の否認」をさだめた九条二項である。戦後、政府は、憲法にそむいて自衛隊を創設し増強してきた。そのさい政府は自衛隊について、「わが国の自衛のための必要最小限度の実力組織であり、憲法九条が禁止している戦力にはあたらない」ことを建前としてきた。政府は、この建前から出てくる結論として、「武力行使を目的とした海外派兵」「集団的自衛権の行使」「武力行使をともなう国連軍への参加」は、憲法上許されないということを公式の見解とせざるをえなかった。

 憲法九条二項を改変、削除し、「自衛軍の保持」などを書き込んだとたんに、この「歯止め」はとりはらわれてしまう。すなわち、「海外派兵」「集団的自衛権の行使」「国連軍への参加」など、海外での武力の行使に道が開かれてしまう。

 アメリカの先制攻撃の戦争に参戦するために、自衛隊を「戦争のできる軍隊」にし、日本を「戦争をする国」につくりかえること――ここに憲法九条改変の最大の核心がある。この正体を広く伝えきることが、憲法改悪反対の国民的多数派を結集していくうえでの最大の要である。

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