日本共産党

2002年4月16日「しんぶん赤旗」

芸術・文化振興施策充実へ

瀬古議員が質問

意見の反映求める


 瀬古由起子議員は、八日の衆院決算行政監視委員会第二分科会で、国の芸術・文化振興施策の充実を要求しました。

 瀬古氏は、この二月にもった「芸術・文化団体」と党国会議員団との懇談会で寄せられた意見などを紹介し、昨年十二月に公布・施行された文化芸術振興基本法にもとづいて作る基本方針には、多くの意見をもれなく反映するよう求めました。

 遠山敦子文部科学相は「基本方針の策定にあたって広く国民の意見を反映させたい」とのべました。

 瀬古氏が、芸術・文化振興にふさわしい法的・財政的措置の改善についてただしたのに対し、銭谷真美文化庁次長は、わが国の文化芸術の現状は基盤整備や環境が十分でないことを認め、予算の充実、寄付税制の改善に全力をあげたいと答弁しました。

 瀬古氏は、学校の完全週休二日制がはじまり、いまでさえ少ない芸術鑑賞の時間がさらに減ってしまうとのべ、芸術・文化にかかわる時間を確保するため、名古屋、大阪で学校運営費として予算計上され注目されている事例を示して、こうした措置を広げる提案をしました。


○瀬古分科員

 日本共産党の瀬古由起子でございます。

 私は、昨年十二月の七日に公布、施行されました文化芸術振興基本法に関連して伺いたいと思います。

 この法律に基づいてつくられる基本方針、私は、これに多くの意見そして民意が漏れなく反映するようにすることが大変必要だというふうに考えています。

 私ども日本共産党の国会議員団としては、二月の二十六日に、芸術文化団体との懇談を国会内で公開で開催をいたしました。日本芸能実演家団体協議会、芸団協、レコード協会、日本音楽著作権協会、日本映画監督協会、常磐津協会など三十七団体、九十人余の出席をいただき、さまざまな御意見をお伺いいたしました。俳優の松山政路さんは、特殊法人改革で助成の抑制が計画されることについて、新国立劇場への国の助成は必要だ、一億円削られると芝居が三本やれなくなると意見を出されました。また、映画監督の崔洋一さんは、映画制作への支援は合わせて十億円しか出ていない、少なくとも十倍にしてほしいと主張されて、その他さまざまな御意見もございました。また、鑑賞する機会をどうつくるか考えてほしい、もっと文化庁として実態をつかんでほしい、俳優の中には意欲を持ちながら生活が不安定であるために演劇だけに打ち込めない人たちがいる実態をなくすために収入の保障が必要だ、こういう意見も出されております。

 そこで、大臣に伺いたいと思うんですが、文化芸術振興基本法の第三十四条では、芸術文化の振興に関して、「芸術家等、学識経験者その他広く国民の意見」を求めるとあります。このような関係者の意見を今後作成される基本方針に反映することがやはり求められていると思います。法律の積極的趣旨として、大臣、各団体からの申し入れ等があれば、当然、懇談会も開催していただきたいし、また、どういう内容で要望が出されてきたのか、しっかり情報公開もしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○遠山国務大臣

 今御指摘のように、文化芸術振興基本法第三十四条では、文化芸術の振興に関する政策形成について、芸術家や学識経験者を初め、広く国民の意見を求めることとされております。同法の第七条の規定に基づきます文化芸術の振興に関する基本方針の策定に当たりましても、この趣旨に沿って対応することといたしております。

 具体的には、同法第七条第三項の規定に基づきまして、学識経験者から成る文化審議会の意見を聴取するのみならず、文化芸術団体との意見交換、あるいは各地域で開催予定の文化芸術懇談会、最近そういうものが結構活発になっておりますが、そういう場を通じまして、文化芸術関係者や地域住民を初めとする国民の意見を広く聴取してまいりたいと考えているところでございます。このような取り組みを通して、基本方針の策定に当たって広く国民の意見を反映させるようにしていきたいと考えております。

○瀬古分科員

 こうした各界から聞かれた御意見を、今こういう要望が出ているんだということも国民の皆さんに公開していただくということはよろしいでしょうか。

○銭谷政府参考

 先ほど大臣から御答弁がございましたように、私ども、基本方針の策定に当たりましては、広く国民の意見を把握し、適切に反映させていきたいと考えております。

 私どもといたしましては、こういった文化芸術関係団体からの要望があればできるだけ意見交換の場を設けるよう努めるとともに、情報の公開につきましても適切に対応してまいりたいと考えております。

○瀬古分科員

 我が党としても、今後、お金は出すが口は出さないというアームズ・レングスの原則なども含めて、関係者、国民の要求をもとに振興基本法を生かして、自由、自律を尊重した公的支援の充実のための方策を求めていきたいと考えております。

 そこで、私は、公的支援に関連して、税制支援の問題についてお聞きしたいと思うんです。

 芸術文化への公的支援は、予算による直接支援と税制支援の二本柱となっています。特に税制支援というものは、差別や介入を招きにくい制度としてもっと検討すべきだと私は思うんですね。

 特に現在、デフレ、不況下におきましては、創造する側も鑑賞する側も支払っている消費税が大変だという点もございます。また、現在の寄附税制では、果たして、文化振興を発展させたり、また文化芸術振興基本法が施行された現在においてその要請を十分満たしているものなのかどうか。やはり、きちっと法ができた段階での検討が必要だと私は思うんですね。

 そこで、大臣にお聞きしたいんですけれども、文化芸術振興基本法第六条はこのように言っています。「政府は、文化芸術の振興に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。」としております。法財政措置、または税制支援についていえば、今どういうところに問題があり、どこをこの法の精神に基づいて改善しなければならないとお考えでしょうか。

○銭谷政府参考

 我が国の文化芸術の現状を見ますと、昨年、一昨年、関係者の大変な御努力がございまして予算の充実は図られつつあるとはいえ、まだまだ基盤の整備や環境の形成は十分な状態であるとは言えないと思っております。今後、文化芸術の振興に関する施策をやはり総合的に推進する必要があると考えております。そのため、必要に応じまして、法整備や予算の充実などの法制上または財政上の措置、その他の措置を講ずる必要がございまして、文化芸術振興基本法では、第六条においてこれらの措置を政府に求めているところでございます。

 今後、私どもといたしましては、この法律に基づき策定される基本方針や、文化芸術関係者など広く国民の意見等を踏まえまして、文化芸術予算の充実、それから寄附税制の改善、こういったことに向けて必要な施策の推進に努めてまいりたい、かように考えております。

 とりわけ、寄附税制につきましては、本年度からメセナ協議会が行っております寄附税制の取り扱い範囲等について一定の改善を図ったわけでございますが、まだまだ個人や企業からの文化芸術関係事業に対する寄附というのは各国に比べまして必ずしも多いと言える状況にはございませんので、寄附税制の改善には私ども全力を傾注してまいりたいと考えております。

○瀬古分科員

 税制支援というのは第二の予算とも言われております。現在の支援としては、今お話もありましたような寄附に関する問題、税制もございます。指定寄附金や特定公益増進法人、認定NPO法人に対する寄附、それから美術品の美術館における公開の促進に関する法律にかかわる寄附などでございます。

 しかし、国民から見た場合に、総計で一体どれだけの税制支援になっているのかという点はもう少し明確にされる必要があるんじゃないかと思うんですね。現在の文化庁の予算九百億円プラスどれだけの税制支援を今後やっていくのか、目標もある意味では決めて、そしてそれを積み上げていくということも大事ではないか。やはり経年的に統計をとるシステム、こういうものも検討したらどうかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

○銭谷政府参考

 いわゆる税制の問題についてちょっと一例を申し上げますと、例えば、現在文化庁が所管をしております文化芸術関係の財団、社団法人のうち、特定公益増進法人の認定を受けている法人数は四十五法人でございます。この四十五法人の平成十二年度における寄附金総額は、約五十一億円強でございます。一法人当たりにしますと、約一億一千万強ということになろうかと思います。

 なお、これらの寄附金、寄附をしたことに伴う控除の状況でございますが、これは各寄附者である個人や企業にゆだねられておりまして、その額は承知していないわけでございますけれども、基本的には、所得控除や損金算入の対象になっているというふうに把握をいたしております。

 なお、文化庁の所管外の都道府県の所管の文化芸術関係法人やNPO法人につきましては、現在、その詳細は把握をしていないところでございます。私ども、全体として、文化芸術に対する寄附をトータルとしてどのようにふやしていくかということを大きな課題としておりますので、今後よく研究してまいりたいと思っております。

○瀬古分科員

 こうした税制上の措置などが多くの国民や企業の寄附へのモチベーションになる、こういうようなことをぜひ期待をしております。

 そこで、次は子供の問題について伺いたいんです。

 芸術文化を自由に創造し、享受することは国民の基本的権利であり、振興基本法の第二条では、「人々の生まれながらの権利」、このように高らかにうたっています。

 また、そもそも日本国憲法十三条、「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」、二十一条、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」こういう内容、第二十五条、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」こういうふうに憲法でうたわれています。

 また、さらに一九七九年発効の、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約では、その前文で、「世界人権宣言によれば、自由な人間は恐怖及び欠乏からの自由を享受するものであるとの理想は、すべての者がその市民的及び政治的権利とともに経済的、社会的及び文化的権利を享有する」条件がつくり出される場合に初めて達成されることになる、このようにされております。

 また、一九九四年発効の子どもの権利条約では、第三十一条で、「締約国は、児童が文化的及び芸術的な生活に十分に参加する権利を尊重しかつ促進するものとし、文化的及び芸術的な活動並びにレクリエーション及び余暇の活動のための適当かつ平等な機会の提供を奨励する。」としております。

 そこで、大臣に伺いたいんですが、子供と、それから教育をめぐるいろいろな深刻な事態も先ほどのお話の中でも指摘されていますけれども、この子どもの権利条約にあります三十一条の文化的な権利という問題なんですが、この芸術文化の振興に当たって、子供の文化芸術にかかわる権利というものは特別に位置づける必要があるのではないかというふうに私は思うんですね。  そして、本来、文化芸術振興基本法自体にも、子供の権利として本当はもっとしっかりうたってもらいたかったんですが、残念ながら、子供の権利という部分がなかなか入っていません。特に、特別に子供の権利というものが大事なのは、やはり芸術文化活動をすべての子供のあらゆる生活場面、学校教育の場面、地域の場面、そしていろいろな家庭の場面でもありますでしょう、それから発達段階に沿ったプログラムというのは、子供の場合には、芸術文化にかかわる権利の問題で私は特別に大事だと思うんですね。

 そういう点で、私は、特別にこうした子供にかかわる権利の問題をしっかりと位置づけるべきだというふうに思いますし、そういう施策も打ち出すべきだというふうに思うんですが、その点、大臣いかがお考えでしょうか。

○遠山国務大臣

 子供たちが未来を担っていくわけですけれども、今いろいろ、権利、権利、こうおっしゃいましたけれども、私は本質的に、子供たちが文化芸術に親しんで、それに触れ合うことによって、人間性や感受性が豊かな人間として成長していくことが大変重要だと考えております。

 文化芸術振興基本法の中でも、青少年の文化芸術活動の充実でありますとか、学校教育における文化芸術活動の充実についてきっちりとうたっているところでございます。それに乗っかって国が必要な施策を講ずるように規定がなされております。

 私どもといたしましては、この法の趣旨を踏まえまして、これまでもさまざまな政策をやってまいりましたけれども、本年度から、それらをむしろ総合いたしまして、文化芸術創造プランを創設したところでございます。

 一つは、本物の舞台芸術に触れる機会を確保しようということで、学校へ芸術家を招いて、子供たちに本物の舞台芸術に触れる機会をふやしますとか、あるいは、子供たちが文化会館などへ足を運んで、そこで舞台芸術に触れるという機会をより充実していこうというのが一つでございます。  それから、学校の文化活動を推進するということで、これは、芸術家でありますとかあるいは伝統的なさまざまな技を持った方々を学校へ派遣するような仕事も考えているところでございますし、また、文化体験プログラム支援ということで、市の単位でもモデルプログラムをやっていただいて、そういったことが普及していくようにということで施策を本格的に取り組むことを考えているところでございまして、こうした施策によって子供の文化芸術体験活動を総合的に推進してまいる予定でございます。

○瀬古分科員

 そこで、私お聞きしたいんですが、学校の完全週休二日制というのが始まりました。芸術文化に親しみ、子供たちの感受性を養う情操教育というのは、学校教育でも私は重要な柱になるというふうに思います。映画「マイ・フェア・レディ」の原作で有名なバーナード・ショーが、学校は劇場のように楽しくなければならない、このように言っております。学校教育を本当に楽しく、基礎、基本を身につけるところでなくてはならないと私は思うんですね。とりわけ、この週休二日制の中で、今でさえ少ない芸術鑑賞の時間が実は減ってしまう、こういう点で大変心配しているわけなんですね。

 そこでお伺いしますけれども、こういう芸術文化にかかわる時間を確保するために、例えば、幾つかの自治体で工夫もしています。私の住んでおります名古屋、また大阪などでは、芸術鑑賞費というのを予算の中に位置づけているんですが、これを、普通、芸術鑑賞費で位置づけている自治体もあるんですが、それを補助金という形じゃなくて、学校運営費として位置づけている。ある意味では、子供たちのこういう芸術鑑賞の機会というのは、子供たちの感性を高めるために、生きる力をつけるためになくてはならぬカリキュラムの一つとして位置づけている、そういう予算の費目にもちゃんと位置づけている、こういう自治体が出てきているということは大変私は注目すべき内容だと思うんですね。

 もちろん、鑑賞だけじゃなくて、子供たちが自分自身を自己表現する、こういうものについても、そういう予算のつけ方、位置づけが私は大変大事だと思うんですけれども、こういった措置をうんと広げていく、こういう点での考え方はいかがでしょうか。

○銭谷政府参考

 先ほど大臣からもお話がございましたように、子供たちがすぐれた芸術文化に触れる、こういうことは、豊かな心をはぐくみ、感性を刺激して、創造力を生み出す上で大変大事なことだと思っております。

 それぞれの学校におきまして、子供たちの文化芸術体験活動をどのように推進し、その経費をどのように負担をするか、それは各教育委員会、学校の方でいろいろとお考えをいただくことかなとは思いますけれども、お話の点は一つの試みとしてお聞きをさせていただきました。

 なお、先ほどの大臣のお答えとちょっと重なるかもしれませんが、国としても、こういう機会を積極的にふやしたいということで、先ほど申し上げました、本物の舞台芸術体験事業あるいは文化体験プログラム事業といったようなものを実施いたしまして、こういう事業に係る公演経費あるいは団体の旅費等については文化庁で負担をしまして、無料で子供たちに鑑賞してもらうということにしているわけでございます。

 さらに、加えまして、何も舞台芸術だけじゃなくて、すぐれた美術の作品に接するということも子供たちにとって大変大事なことではないかと思いまして、本年度から、国立の美術館、国立の博物館におきましては、完全学校週五日制の実施に伴いまして、小中学生が常設展を観覧する場合には年間を通してその料金を無料としているところでございます。

 今後とも、子供たちが本物のすぐれた芸術文化に触れたり参加したりする機会の充実に努めてまいりたいと考えております。

○瀬古分科員

 次に、映画の問題についてお聞きしたいと思います。

 一九九四年八月の文化庁の映画芸術振興に関する調査研究協力者会議の報告では、初めて行政として映画の芸術的価値を認めつつ、今この状態が続けば、やがて日本映画が消滅するといった最悪の事態の到来も架空のものでなくなるおそれがある、このように指摘しております。

 また、文化庁の「映画芸術振興方策の充実について」という内容を見てみますと、この状況をこのまま放置した場合には、国際的にも高い評価を受け、世界有数の映画国であった我が国の映画制作と映画文化の存在が、まさに危機的な状況に陥ってしまうおそれがある、このように書いています。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですが、この報告が出て以来、日本映画が消滅するといった最悪の事態の到来という認識は、今も文部科学省、文化庁としてお持ちなんでしょうか。

○遠山国務大臣

 映画は、国民の身近な娯楽として生活の中に定着していますが、それと同時に、総合的な芸術として重要な位置を占めてきたものでありまして、その重要性というものは時代が経ても同じではないかと思っております。

 現在の邦画界は、国際映画祭などで高い評価を得る作品も出てきておりますし、興行的に成功する作品も出ていますね、最近では千と千尋の映画のように。大変明るい状況も見られますものの、全体として見ますと、制作本数とか鑑賞人口などはピーク時に比べますと激減をしております。

 一方で、今はいろいろなチャンネルがふえたり、あるいはいろいろなメディアが出てきている中で、映像ソフトというものを確保することが大きな課題となっておりまして、そういう角度から見ましても、その供給源として映画の果たすべき役割は大変大きくなっていると思います。

 そういうことにかんがみまして、我が省としましては、幾つか大変重要な政策をとっているところでございまして、その中身については次長の方からまた御説明すると思いますけれども、新たに平成十四年度から始まりました文化芸術創造プランの中で、トップレベルの映画制作に対して重点支援を行いますために新たに約七億円を計上しているところでございまして、今後とも映画振興に関する施策の充実に努めてまいりたいと考えております。

○瀬古分科員

 一九九六年六月の通産省のシネマ活性化研究会の報告書は、映像関連産業の市場拡大の可能性は映画に対するニーズの高まりへの期待感につながる、これまでテレビやビデオの登場によって衰退したかのように言われてきた映画産業であるが、それらのメディアにおける劇映画の視聴率の高さ、ビデオ販売における劇映画のシェアの高さが証明している、映画に対する人々のニーズは依然として強いのではないか、このように述べているわけですね。要求はあるわけです。

 そこで、私がきょう実は映像新聞という新聞のコピーをちょっと持ってきたんですが、「韓国から学ぶ映画振興策」というのが載っていまして、大変参考になりました。韓国のさまざまな支援策が講じられていることがよくわかります。制作支援、海外に展開することに対する支援、それから制作施設の提供、教育研究部門、人材育成と、実に公的支援がきめ細かいんですね。その結果、今韓国の映画はどうなっているかというと、世界ではもうアメリカ映画が圧倒しているんですけれども、韓国は自国映画のシェアが五〇%を超しているんですね。それに比べて日本はどうかと思いますと、私は大変深刻な状況にあるんではないかと。もっと国として施策をきちんとやるべきだというふうに思います。

 そこで、時間がございませんので、幾つかの点について質問したいと思うんですが、まず、映画、演劇の国の養成機関、それから後継者の育成の問題なんですが、これは本当におくれていると思います。今、国立大学では音楽や美術だけしかありません。新たに東京芸大で新しい学科ができたそうですけれども、映画や演劇というのはないんですね。ヨーロッパでは国が責任を持って映画学校だとか演劇の養成機関を持っております。新国立劇場の研修事業もバレエやオペラだけに今とどまっていますけれども、演劇はまだ実現していませんよね。  そこで、やはり国の責任で、養成機関の実現、後継者の育成をもっと真剣に検討すべきだというように思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

○工藤政府参考

 人材養成が大切なことは御指摘のとおりでございます。

 現状を申し上げますと、私立大学では、御案内のとおり、日本大学で映画学科、演劇学科がございましたり、多摩美術大学の映像演劇学科があったり、幾つかの大学で人材養成を行っているところでございます。また、国立大学については、今御指摘ありましたように、東京芸術大学で、新しい世紀をリードする芸術家養成を目指した音楽環境創造科をこの四月に開設したところでございます。

 日本の大学での人材育成というのは、国公私を通じまして、それぞれの大学でニーズやあるいは可能性等を判断しながら対応しているわけでございますけれども、私どもも、各大学の検討状況を踏まえながら、適切な対応に努めてまいりたいと思います。

○瀬古分科員

 もっと国がやはりきちんと責任を持つ。海外のいろいろな事情を見てみますと、やはり国が、映画についてもちゃんと責任を持っている、演劇についても責任を持っている。こういう点で、ぜひ力を入れていただきたいと思います。

 そこで、私は、一つ撮影所について聞きたいと思うんですね。二年前に伝統ある松竹の大船撮影所が閉鎖されました。あの寅さんを生み出した、日本映画のふるさとと言われている撮影所ですね。全国の映画ファンの熱い支援によってかち取られた二〇〇二年末までに新撮影所を建設するという約束も、今ほごにされようとしているんです。東映の東京撮影所は三年前にオープンセット地が売却されたまま、それから東映の京都撮影所も経営が大変だというふうに聞いております。大映撮影所も企業整理が進んでいると言われています。こういう実態に今あるわけです。

 一月二十六日にNHKが放映しました「地球に乾杯」チネチッタ夢工場、イタリア映画を支える人々というのがまた大変好評で、一昨日再放送されたんですね。私も見て大変感激しました。イタリア映画名作がどうやって生まれたのか、親、子、孫とその技術が受け継がれてきた、そして、ハリウッドとの違いはここにあるということですね。映画の大道具づくり、苦労、こういうものをフェリーニ監督が職人との交歓を交えて描いていました。

 撮影所というのは、設備だけでなく、それを担う技術やスタッフも育ててきたところで、日本映画そのものも支えてきたところだと思うんです。そういう意味では、大臣、そういう認識で文化振興を本当に所管する立場からこの撮影所の問題についてどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。  そして、最後なんですが、時間がございませんので、映画の振興基金なんですね。これを今何度も私たちも提案してきたんですが、関係者からも、ぜひこの基本法の精神に基づいて映画の振興基金をつくってもらいたい、こういう要望が出ております。ぜひこの点についても、どのようにお考えなのか、この二点をお伺いしたいと思います。

○銭谷政府参考

 お話がございましたように、最近伝統のある有名な映画撮影所がなくなりつつあるということは、映画を愛するファンから見れば大変寂しい気持ちがあるのかなと思います。ただ、このことは、映画界全体の衰えととる見方もございますけれども、現在の映画というのは、コンピューターグラフィックスの活用など、映像技術の進歩に伴ってさまざまな撮影手法による撮影が行われていることなど踏まえれば、また別の見方もできるのかなという気もいたします。

 文化庁といたしましては、先ほど大臣の答弁でちょっと触れましたが、映画というものは、やはり国民の身近な娯楽として、その振興は大変重要なことだと認識をしておりまして、現在までも、優秀映画に対する顕彰、あるいは映画の、特に地方での上演の支援とか、あるいは芸術文化振興基金による制作活動への助成、国立近代美術館フィルムセンターにおける邦画の収集や紹介事業、さらには、平成十三年度からは、地域において、または地域を題材として企画された映画の制作や地域の映画祭への支援、そして、お話にございました、十四年度からはトップレベルの映画制作に対する重点支援といった、さまざまな施策は講じてきているわけでございます。

○山名主査

 次長、簡潔に。

○銭谷政府参考人

 はい、簡単にいたします。

 ことしの一月に出されました文化審議会の報告の中でも、映画の制作や上演への支援などを積極的に行う必要性が指摘をされております。

 お話のございました日本映画振興基金につきましては、一つの御提案とは受けとめておりますけれども、現下の厳しい経済財政状況のもとではさまざまな解決すべき課題があり、すぐ実現というのは困難な状況にあろうかなと思っています。引き続き関係者の御意見を伺いながら、映画振興につきまして、十分私どもとして研究してまいりたいと思っております。

○瀬古分科員

 ありがとうございました。

 皆さん、それこそ文化庁自身が映画の問題についてはまさに危機的な状況だということも指摘されているわけで、そういう意味では思い切った国の施策をぜひこれからつくっていただきますように要望いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。


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