日本共産党

2002年1月20日(日)「しんぶん赤旗」

 マスコミの倫理綱領 報道に生かされているか?


 〈問い〉 「社会の木鐸(ぼくたく)」であるべきマスコミには、「倫理綱領」というものがあるそうですが、最近の報道で生かされていますか。 (福岡・一読者)

 〈答え〉 報道関係者には、誤った情報や一面的な情報で国民を誤導せず、時流や世相に警告も発する「社会の木鐸」の責任があります。日本新聞協会の「新聞倫理綱領」や、日本民間放送連盟と日本放送協会の「放送倫理基本綱領」を、この責任をはたすための指針としてみると、同時多発テロ事件とその後の報道は、みずから決めた指針に照らしてさえ問題の多いものだったといえます。

 その端的なあらわれが、十月七日のアフガニスタン空爆での報道です。日本新聞協会(加盟百十二社)自身の調査でも、空爆開始時点の六十一本の社説と論説はすべて空爆支持、軍事行動の正当性を主張していました。アメリカの空爆を批判したのは全国紙では「しんぶん赤旗」だけという状況です。

 一つひとつのニュースの扱いの点でも、「しんぶん赤旗」が一面で報じたイタリア二十五万人、ロンドン四万人、ベルリン三万人の反戦集会(十月十六日付)や、ニューヨーク・マンハッタンでの数千人の反戦集会(十月九日付)などは、商業紙では黙殺に等しく、テレビの方でもNHKなどは、米国防総省提供映像で残虐な精密誘導兵器の性能紹介にたっぷり費やす時間はあっても、「誤爆」の犠牲者や家族の苦しみ、世界の反対運動などを報道する時間は、ほとんどないという状況でした。

 「新聞は歴史の記録者であり、記者の任務は真実の追究である。報道は正確かつ公正でなければならず、記者個人の立場や信条に左右されてはならない。論評は世におもねらず、所信を貫くべきである」(新聞倫理綱領)、「放送は、意見の分かれている問題については、できる限り多くの角度から論点を明らかにし、公正を保持しなければならない」(放送倫理基本綱領)などの基本的な視点が、実際にはなおざりにされているのが現状です。(

 〔2002・1・20(日)〕


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