日本共産党

2002年1月19日(土)「しんぶん赤旗」

 政府が在外被爆者に援護法を適用しないのはなぜ?


 〈問い〉 国外に居住する被爆者にも被爆者援護法の適用を求める裁判が起こされ、原告勝訴判決が出ていますが、厚生労働省はなぜ適用を拒否しているのでしょうか。(兵庫・一読者)

 〈答え〉 同じ被爆者として、日本国内の被爆者と同様に援護施策を、という在外被爆者の願いはまったく正当なものです。厚生労働省が一九九四年の被爆者援護法成立後も、在外被爆者への健康管理手当などの支給を拒否しつづけてきたのは、旧原爆特別措置法などの手当を受けられるのは日本国内居住者に限るとする、七四年に出された旧厚生省の通達にしがみついているからです。

 この政府の対応のため、被爆者援護法にもとづく健康管理手当支給を受けてきた韓国人被爆者が、帰国と同時に手当を打ち切られることがおこり、国の違法性を問う裁判が相次いでおこされました。昨年六月の大阪地裁判決、十二月の長崎地裁判決ともに、国に未払い分の支払いを命じました。いずれも現行援護法では国内居住が資格要件とされていないことを指摘し、在外被爆者の不利益扱いは援護法の趣旨に反するとして、国の主張を退けています。

 厚生労働省はこの間、裁判では控訴して争う一方、在外被爆者にも援護を求める内外の声に押され、検討会を開くなどしてきました。そして十二月十八日に、坂口厚生労働相の記者会見で、在外被爆者への施策を発表しました。この施策は、一方で在外被爆者の渡日治療の旅費などを補助するとしたものの、他方では、裁判でも争点になった被爆者健康手帳の扱いについて、国内のみ有効と明記するなどの法令上の「整備」をおこなうとしています。在外被爆者が援護法の適用から除外されている現状を固定することにつながりかねないものです。

 厚生労働省は、昨年の二つの地裁判決にしたがい、控訴を取り下げ、七四年通達を廃止し、在外被爆者への援護法適用を明確にすべきです。(

 〔2002・1・19(土)〕 


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