日本共産党

2002年3月30日(土)「しんぶん赤旗」

有事立法のねらいは米軍の戦争への動員体制とは?


 〈問い〉 小泉内閣の有事法制案のねらいが、日本の防衛とは関係のない、米軍の戦争への動員体制づくりだと聞きましたが、どういうことでしょうか。(北海道・一読者)

 〈答え〉 小泉内閣は今国会成立をねらい、有事法制関連法案の準備を進めています。これまで「我が国に対する武力攻撃に対処する体制を普段から整えておく」(一月二十二日、内閣官房文書)などと説明してきましたが、この間の答弁や法案の経緯、内容をみても、真のねらいは米軍が海外で行う戦争に日本を総動員できる体制をつくることです。

 「日本有事」の想定に現実性がないことは、一九七八年、福田首相の「万万万万一ということ」(九月二十九日)など、政府は再三認めています。昨年も中谷防衛庁長官が、日本への侵攻能力を持つ国は「三年、五年のターム(期間)では想像ができないかもしれませんが」(五月三十一日)と答弁しました。

 それにもかかわらず、政府が有事法制の制定を急いでいるのはアメリカの強い要求があるからです。二〇〇〇年十月、アーミテージ現国務副長官ら、アメリカの超党派の軍事・外交専門家がまとめた「アーミテージ報告書」は、日本への要求の一つに有事立法をあげました。いまブッシュ政権の中枢には、アーミテージ氏ら報告書をまとめた関係者が多数います。

 この報告書をうけ、〇一年一月、森首相が施政方針演説で有事法制の検討開始を表明。この検討作業は小泉内閣に引き継がれ、今年一月、小泉首相は施政方針演説で、有事法制関連法案の今国会提出を表明しました。

 アメリカの戦争への協力体制としては、すでに九七年の新ガイドラインを受けた周辺事態法が強行成立させられましたが、同法は、自治体や民間に「協力を求め」「協力を依頼する」建前になっているなど制約があります。有事法制案は、軍事活動への協力拒否を“犯罪”扱いして罰則を設けるなど、周辺事態法の制約を取り払い米軍の戦争への協力を全面的に推進しようとする内容です。

(清)

〔2002・3・30(土)〕

 


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