日本共産党

2002年3月17日(日)「しんぶん赤旗」

日本の課税最低限は高い?


 〈問い〉 小泉内閣は「日本の所得税の課税最低限は高い」として、課税最低限を引き下げようとしていますが、本当に高いのでしょうか。 (東京・一読者)

 〈答え〉 政府はいま「日本の所得税の課税最低限は高い」と主張し、「働いている人のうち四分の一が所得税を負担していない」などとして「税の空洞化」への対処として課税最低限の引き下げを計画しています。しかし、この主張は▽課税最低限が生計費非課税の原則を根底にしていることを無視している▽実体経済とかけ離れた為替レートによって計算するというごまかしがある―という点で誤ったものです。

 課税最低限とは、これを下回る所得からは税をとらないという基準をさします。この根底には、最低限の生活費には税をかけないという、生計費非課税の原則があります。憲法二五条が保障する、健康で文化的な最低限度の生活を、税制の面から保障するものといえます。

 しかもいまの課税最低限は、生計費非課税とほど遠いのが現実です。実際の課税最低限は、適用される各種控除によってまちまちですが、財務省のモデルでは、給与所得者の場合、単身者で年収百十四万円、夫婦子ども二人で三百八十四万円、などとなっています。この収入だけで生活を維持することには困難があります。

 財務省は一ドル=一一九円の為替レートで計算し、欧米に比べ日本の課税最低限は高いと主張しています。しかし、その収入でどれだけのものが買えるのかを示す購買力平価でみれば事情は逆になります。OECD(経済協力開発機構)発表の購買力平価一ドル=一五六円で計算すると、ドイツ、フランス、アメリカなどよりも課税最低限は低いことが分かります。

 そもそも、非納税者は一九八〇年の34%から二〇〇〇年には26%と、減っているのが現実です。「税の空洞化」を問題にするのなら、九〇年代に相次いでだされた大企業や高額所得者への減税政策にこそ、メスを入れるべきです。

(清)

〔2002・3・17(日)〕

 


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