日本共産党

2001年7月19日(木)「しんぶん赤旗」

 水産基本法が成立したが…?


 〈問い〉 先の国会で水産基本法がつくられましたが、どういう法律なのか、党の態度を含め教えてください。 (福井・一読者)

 〈答え〉 海に囲まれた日本は、漁場としても恵まれた条件をもっています。しかし、漁業を巡る情勢は、国際的な二〇〇カイリ体制(排他的経済水域)の進展と、開発による漁場や資源の衰退によって変化し、漁業・水産業の基本理念や位置づけを明確にした基本法の制定を望む声が漁業関係者から強く出されていました。また、輸入の急増や魚価の下落による漁業経営の困難、担い手不足などへの対策も切実に求められていました。水産基本法は、こうした漁業関係者の意見を反映した内容をもっており、先の国会で日本共産党を含めて全会一致で成立しました。

 基本法は、実効性を含め問題点も少なくありませんが、食料の安定供給の立場から水産業を位置づけ、国内漁業生産の増大を基本に自給率の向上を旨とする「水産基本計画」をたてることを明記。輸入の一定の規制条項も組み入れました。また、乱獲的な操業にならないように「資源の保存と管理」「持続的な利用」を基本とすること、漁場を守るため「水産動植物の環境の保全、改善」をはかることなども盛り込みました。一方、漁業が水産物供給以外にも「多面にわたる機能」をもつことも明らかにされました。

 日本共産党は、基本法を実効あるものにするため、漁場を荒廃させてきたこれまでの開発優先政策や、輸入水産物の増大を野放しにしてきた行政の転換の必要性を指摘。その上で、「効率的・安定的な漁業経営」の育成の名で現に生産を担っている漁業者を切り捨てない、資源保護のために行う漁獲規制にたいし国が責任をもって経営助成をする、魚価・経営安定対策を抜本的に強化するなどの点で内容の充実を求めてきました。今回の法制定を契機に、国民の命と健康の糧である水産物の供給とともに、国土や集落を維持し国民のレジャーにも欠かせない役割をもつ漁業・漁村への理解と関心を高め、これを守る運動の発展が求められます。(島)

 〔2001・7・19(木)〕


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