2001年6月10日(日)「しんぶん赤旗」

 障害者の運転免許取得条件はどう変わる?


 〈問い〉 障害者の運転免許の取得条件が変わると聞きましたが、どう変わるのでしょうか。(神奈川 K・K)

 〈答え〉 運転免許の取得条件は道路交通法で定められ、これまで障害者については、「精神病者、知的障害者、てんかん病者、目が見えない者、耳が聞こえない者又は口がきけない者」は「免許を与えない」(八八条)とされていました。このように、障害や病気を特定して、資格や免許の取得から排除する規定を「欠格条項」と呼んでいます。

 いま国会で審議中の道交法改正案は、この欠格条項の規定を削除することにしており、障害者の社会参加を不当に阻んできた要因を取り除く前進面をもっています。政府は、この法改正により原則としてだれでも運転免許試験に合格すれば免許を取得できるようになると説明しています。

 同時に改正案には、これまでと同様、一部の病気や障害について、一定の要件のもとに免許を与えないことができると規定するなどの不十分さを残しています。多くの先進諸外国では、免許の取得の条件として、病名や障害名を特定するような方法をとらず、医師や専門家がかかわって運転能力を個別に評価する仕組みが整っています。

 日本共産党は、免許取得の基準は、その人の能力等が運転業務の遂行に適しているか否かで判断されることが必要と考え、衆議院では、一律に病名や障害名を特定して免許取得を制限しないよう、他党と共同して法案の修正を求めました。

 今国会には、道交法だけでなく、欠格条項にかかわって医師法など厚生労働省所管の二十七法律の改正案が提出されています。欠格条項の見直しは、各省庁で進んでいますが、関係団体の強い要望・運動が政府を動かしたものです。九八年三月、日本共産党の寺前巌衆院議員(当時)がこの問題を取り上げ、政府に「見直し作業を急ぐ」と約束させました。(千)

 〔2001・6・10(日)〕


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