日本共産党

2001年6月14日(木)「しんぶん赤旗」

 従軍慰安婦は強制でなかったか?


 〈問い〉 従軍慰安婦は強制ではなかったという人がいます。実際はどうだったのでしょうか。(神奈川 Y・S)

 〈答え〉 日本軍の慰安婦にされた女性は十〜二十万人といわれますが、徴集、慰安所での性行為や生活の実態など、全体にわたり本人の意思に反した強制だったことが、多くの公文書や被害者の証言で明らかになっています。

 慰安婦徴集は、軍と警察、植民地では総督府が連携し、役場や業者を使ってするという指揮命令系統のもとで行われました。具体的方法は、時期や場所により多様ですが、拉致(らち)のほか、「いい仕事がある」などとだまして慰安婦にする、借金のかたに債務奴隷にする、未成年を使役する(慰安婦の大半が未成年)などがあり、いずれも強制にあたります。昨年十二月、韓国が女性国際戦犯法廷に提出した調査結果によると、被害者二百三十七人のうち、拉致が三五%、だまされた人が五一%、人身売買が五%でした。

 東南アジアの占領地ではさらに暴力的な方法もとられ、ゲリラ掃討の名目で住民を虐殺する際に女性を拉致するケースもありました。

 女性たちが慰安所で一日に何十人もの将兵を相手に強要された性行為は、およそ本人の意思によるとはいえないものでした。また「慰安婦外出ヲ厳重取締」(フィリピンの慰安所規定)など、慰安婦の生活は非常に制約されていました。朝鮮から中国の慰安所に送られた河床淑さんは「窓に柵(さく)があって、その柵ごしに中国の子どもたちと話をすることができたが、絶対出てはいけない」と証言しています。やめる自由もなく、祖国から遠い国に連行された場合、逃げ帰ることもできませんでした。こうした慰安婦の実態は国際的には日本軍の「性奴隷」と認定されています。

 「強制でなかった」という議論は、「自由意思でやった商売だった」という、国の責任の免罪論につながるものです。(絹)

 〔2001・6・14(木)〕


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