2001年6月3日(日)「しんぶん赤旗」

 企業献金問題で小泉首相が判例をあげたが…?


 〈問い〉 企業献金問題を追及した日本共産党の代表質問に、小泉首相が最高裁の判例をあげて、悪と決めつけられないと答弁していました。日本共産党は、この判例をどう考えますか。(滋賀・一読者)

 〈答え〉 小泉首相があげたのは、八幡製鉄(現在の新日鉄)の献金にかかわって最高裁が一九七〇年六月に出した判決で、当初から批判が強く、企業献金を「助けた判決」(元最高裁長官・岡原昌男氏、93・11・2衆院政治改革特別委)と批判を浴びてきたものです。

 一株主が、会社の自民党への献金は定款に定める会社の目的外の行為で、取締役の忠実義務等を定めた商法の規定に反すると訴えたのにたいし、判決は、「会社は社会的実在」であり、一見定款の目的とかかわりないように見えても「社会通念上、期待ないし要請されるもの」ならなしうる、災害救援での寄付はその例だ等といって、企業献金を容認しました。

 憲法が定める国民主権と議会制民主主義の原則のもと、政治の進路、方向を決めるのは主権者国民であり、企業には参政権は認められていません。献金は国民が支持する政党や個人の活動を支えるためにするものであり、選挙権の行使と同様、個人に限るべきものです。判決は憲法原則に背くものです。

 企業は「社会的実在」だといっても営利の追求を目的とする存在であり、その献金は本質的にわいろ性をもっています。「投資に対するリターン、株主に対する収益を確保するのが企業だから、企業が政治に金を出せば必ず見返りを期待する」(経済同友会幹部、「日経」八九年六月三日付)。企業が政党・政治家に金を出し、政治に影響を与えることは、国民主権の政治をゆがめ、国民の権利を侵害することになります。企業献金を慈善事業などへの企業の寄付と同列視できないことは明白です。

 KSD汚職をはじめ、政治腐敗の根本には企業・団体献金の問題があります。政府に設置された選挙制度審議会は、何度もその禁止を答申してきました。小泉首相が判例をもち出しても、企業献金を合理化することはできません。(岡)

 〔2001・6・3(日)〕


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