2001年5月31日(木)「しんぶん赤旗」

 主要国で奨学金制度はどうなっている?


 〈問い〉 日本の奨学金制度は、貸与制が基本で、欧米と比べ貧弱さがきわだつとのことです。外国の実情はどうなのですか。(東京・一読者)

 〈答え〉 日本育英会奨学金(政府出資の奨学金)はすべて貸与奨学金で、貸与額のみを返済する無利子奨学金と、貸与額と返済期間中の利子を返済する有利子奨学金とから成っています。今年度予算では、無利子貸与は七千人弱増、有利子は五万五千人増と有利子貸与を増やしています。

 フランスは、返済する必要がない給与奨学金制度が基本。大学のほとんどが国立大学で学費徴収はなし。奨学金は学生の生活費として支給されています。イギリスは、九〇年に貸与奨学金をスタートさせ、貸与分を拡充する傾向にありますが、現在でも給与制奨学金を受ける学生が多数です。ドイツは、受給した奨学金のうち半額を返済し、半額は給与となる制度。学生数の二割近い三十三万人が奨学金を受けています。アメリカは、貸与奨学金が奨学事業規模の大半を占めますが、この数年給与奨学金予算を拡充しています。給与奨学金を受給する学生は、全学生数の四割を超えています(九八年度)。

 給与制度がない点でも、また学生中、奨学金を受けている人の割合が非常に少ない(一四%)ということからも、日本の奨学金制度の貧弱さは明らかです。しかも日本は、百二十四カ国が批准している国際人権規約のうち、高等教育の暫時的無償化などをうたった条項(第一三条C項)を留保し、国立大学学費を毎年値上げしています。奨学金制度の抜本的な拡充とともに、高学費の引き下げが求められます。(田)

 〔2001・5・31(木)〕


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権:日本共産党中央委員会 
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp