尖閣列島の領有権問題をどう考える?


  〈問い〉 最近、一部の新聞が、衆院安全保障委員会が尖閣諸島を視察すると報じました。日本共産党は、視察には反対であると表明しましたが、尖閣諸島の領有権の問題をどう考えていますか。(鹿児島・一読者)


 〈答え〉 七月二十九日付産経新聞は、衆院安全保障委員会が尖閣諸島が「日本の領土であることを宣言」するために同諸島を視察し「魚釣島に上陸して日の丸を掲揚する予定」であるとして、日本共産党を含む各党がそれに賛成しているかのようにゆがめて報道しました。しかし、八月三日に開かれた同委員会理事会での再度の論議でも結論はでず、日本共産党、公明党、社民党は視察に反対しました。

 尖閣諸島の領有権が日本にあることは明らかですが、中国も領有権を主張しています。日本共産党は、この問題は話し合いを通じて、平和的に解決することが必要だと考えています。国会が挑発的な行動をするなどは論外です。

 尖閣諸島の最初の領有行為は、一八九五年(明治二十八年)にさかのぼります。日本政府は、それまで無人島でどこの国の領土とも決まっていなかった尖閣諸島を日本に編入。沖縄県の所轄とし、日本人が居住してかつお節工場がつくられるなど、日本が実質的に支配しました。

 この日本への編入自体は、侵略戦争などによる不当な領土拡張ではありません。たとえば日清戦争で日本が中国から不当に略取した台湾・澎湖(ほうこ)諸島などの地域は、第二次世界大戦後、中国に返還されましたが、それに尖閣諸島は含まれていません。当時中国も尖閣諸島を要求することはありませんでした。中国は七一年以降、尖閣諸島の領有権を主張するようになりましたが、それ以前の中国や台湾の地図でも、尖閣諸島は自国の領域外におかれていました(六〇年代までの中華人民共和国発行の全中国の地図など)。(絹)

〔1999・8・8(日)〕



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