ホームレス問題をどう考える?


 〈問い〉 ホームレスとなった人が全国で一万六千人にも上っているそうですが、日本共産党は、この問題をどう考えていますか。(大阪・一読者)

 

 〈答え〉 いわゆる「ホームレス」に至る要因はさまざまですが、最近の急増の主要因が長引く不況による失業で収入を断たれ、住居を追われた結果であることは明白です。現に、「会社が倒産し、失業して一年になる」「リストラにあって失業保険で一年間は暮らせたが、仕事が見つからない。蓄えもなくなった」などと、失業の長期化を裏付ける深刻な訴えが「しんぶん赤旗」にも寄せられています。

 厚生省、労働省など五つの関係省庁と東京都、大阪市など五都市でつくる「ホームレス問題連絡会議」も、今日の現状について、「経済・雇用情勢の悪化等」がホームレスを増加させていると分析しています。

 ホームレスを急増させた背景に、劣悪な生活保護行政の実態があります。八〇年代からの「適正化」の名による極端な締めつけで、「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」(憲法第二五条)という、生活保護の本来の役割が機能せず、やむをえずホームレスになる人も少なくありません。ホームレスになれば、住民票がない者や、働く能力があるとみなされた者は、現実に仕事がなくても保護の対象外にされているのが現状です。

 ホームレス問題は、企業の解雇を野放しにするなど、政治の貧困が大もとにあることは明白です。政府も、ようやくホームレス対策にとりくむ姿勢をしめしています。

 真に実効ある救済策にするために、なによりも人権を守る立場から、宿舎の確保、食事と医療の提供が急務です。労働意欲がありながらホームレスを余儀なくされた人たちは六、七割もいます。国と自治体の責任で雇用の創出、確保に努め、社会復帰を支援する施策が重要です。生活保護行政を改善し、当面の生活を保障することも不可欠です。また、病気や障害を抱える高齢者などが全体の一、二割いるといわれます。こうした人たちには、医療や福祉、精神的ケアなどの提供も必要です。

 国と自治体が積極的なイニシアチブをとることを要求します。(三)

〔1999・6・19(土)〕



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