日本共産党

不良債権の直接償却とは? 

 2001年4月7日(土)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 不良債権の直接償却ということが問題になっています。どういう問題なのですか。(佐賀・一読者)

 

 〈答え〉 回収が難しくなった銀行の不良債権の処理方法には、大きく分けて間接償却と直接償却の方法があります。

 間接償却は、貸出先企業の倒産などで貸出金が返済されなくなる場合に備えて引当金を積んでおく処理方法です。銀行は、回収できなくなるリスク(危険)の度合いに応じた金額(例えば破たん先債権なら担保処分で回収できない部分の全額)を引当金として積み立てます。

 直接償却は、間接償却からさらに進んで、不良債権を銀行のバランスシート(貸借対照表という会計帳簿)から消し去る処理方法です。その手法には、債権の回収、債権の放棄、債権市場への売却などがあります。

 政府・与党が口にする不良債権の「早期処理」は、直接償却の促進を意味し、その中心は、経営の悪化した大手ゼネコン・大企業向け貸出の債権放棄、つまり借金の棒引きを、不採算部門の整理などの大規模なリストラを条件に進めようというものです。

 政府のいう「早期処理」のやり方は、ゼネコン・大企業のリストラ計画を促進して失業者を増やす点でも、中小企業への強引な融資回収と中小企業倒産の危険をもたらす点でも、また国民の税金投入を利用する点でも重大な問題を生み出します。

 ゼネコンや大銀行にてこ入れしても、労働者と中小企業が被害を受ければ、景気はいっそう冷え込みます。銀行の貸出先企業の経営が悪化すれば、それは新たな不良債権となります。現に、この八年半で六十八兆円の不良債権が処理されているのに、長引く不況の中で不良債権総額は逆に増えています。

 政府・与党の対策では、このような悪循環をいっそう進めるだけです。大事なのは、国民の個人消費と中小企業へのてこ入れによる景気の回復であり、それによってこそ不良債権問題の解決にも道が開けます。

(池)

〔2001・4・7(土)〕


 日本共産党の政策や方針などについて質問をお寄せください。

 住所、氏名(匿名可)を明記の上、〒151―8675、東京代々木郵便局私書箱62号 赤旗編集局・知りたい聞きたい係まで。FAXは、03(3350)1904。

 

機能しない場合は、上にあるブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権:日本共産党中央委員会

〒151−8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4−26−7
TEL:03−3403−6111 FAX:03−5474−8358