日本共産党

財政投融資のしくみはどう変わる?

 2001年1月28日(日)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 来年度予算から財政投融資のしくみが大きく変わると聞きました。どのように変わり、国民の暮らしとどうかかわるのでしょうか。(滋賀・一読者)

 

 〈答え〉 財政投融資は、郵便貯金や厚生年金、国民年金など、国民から預かった資金を財源として、社会資本の整備や中小企業への融資などのために資金を配分するという制度です。投融資活動を通じて資金を配分することから、第二予算とも呼ばれてきました。

 この制度の仕組みが昨年の法改定(資金運用部資金法改定)により、今年四月から大きく変わることになりました。資金の入り口である郵貯などと、資金の配分を受ける出口としての公社・公団等の特殊法人が切り離され、郵貯・年金等の資金は、金融市場で全額自主運用されることになりました。

 その結果、これまで財投資金に頼っていた公社・公団などは、財源を民間企業と同じように、基本的に市場から調達しなければならなくなります。そうなると、国民生活金融公庫のような、中小企業に低利の資金を融資する金融機関は、経済性が優先される結果、求められるサービス提供ができにくくなり、深刻な問題となっている貸し渋り問題にもますます対応できなくなってしまいます。

 他方、財務省(旧大蔵省)の資金運用部に預託されていた郵貯・年金等の資金は、全額自主運用になる結果、五百兆円を上まわる巨額の資金が金融市場で運用されることになります。これらの資金は国の制度下で集められた国民の財産であり、運用にあたっては安全性・有利性はもとより、公共性が重視されなければなりません。

 有利性を求めるあまり、その大きな割合が株式市場へ運用されると、国民の財産をリスク(危険)にさらします。いま政府・自民党は株価下落を食い止めるとしてなりふりかまわない株価維持策を検討中です。財投資金の一部がPKO(株価維持操作)などといって投じられたように、これらの資金が株価の下支えのために使われるとすると大きな問題です。

 公共性を無視した資金運用を厳しく監視するとともに、財投制度を国民に役立つものにしていくことが強く求められます。

(合)

〔2001・1・28(日)〕

 

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